【文徒】2018年(平成30)10月17日(第6巻194号・通巻1368号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】堀田善衛の生誕100年をめぐって
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2018.10.17 Shuppanjin

1)【記事】堀田善衛の生誕100年をめぐって

堀田百合子「ただの士 父、堀田善衞のこと」(岩波書店)の刊行を記念して、10月23日(火)、三省堂書店池袋本店で著者と鈴木敏夫トークイベントが開催される。堀田は生誕100年を迎える。
https://book.asahi.com/article/11877017
https://www.iwanami.co.jp/book/b376417.html
スタジオジブリは「路上の人」「聖者の行進」「時代と人間」を復刊している。むろん、発売元は徳間書店である。
「次にご縁があったのが『時代の風音』という本をつくった時です。ある雑誌から宮崎監督にインタビューの依頼があったんですが、どうせやるならば、宮崎監督が尊敬する堀田さんと、好きな作家である司馬遼太郎さんの鼎談ができたらおもしろいんではないかと、こちらから逆に企画をもちかけてでき上がった単行本です。この企画が実現し、東京と大阪で二回、それぞれ4~5時間かけて鼎談をしました。この時の宮崎監督は、二人の作家に囲まれて、本人もあとがきで書いている通り書生のようで、とても緊張していましたね
http://www.ghibli.jp/h_books/relation.htm
当時は集英社を出て「エスクアイア日本版」の編集長をつとめた長澤潔が「時代の風音」には一枚噛んでいる。
https://product.rakuten.co.jp/product/-/e7e43d498e9336af59729c9731034c31/
南京事件」を中国人の眼を通して扱った「時間」は、1955年に新潮社から刊行されたが、現在、新潮庫では読むことができず、岩波現代庫に収められている。
「一人一人の死が、何万にのぼったのだ。何万と一人一人。この二つの数え方の間には、戦争と平和ほどの差異が、新聞記事と学ほどの差がある……」
https://www.iwanami.co.jp/book/b256244.html
辺見庸が「1★9★3★7(イクミナ)」で「時間」を取り上げた結果、復刊に至ったそうだ。「1★9★3★7(イクミナ)」の編集は向井徹である。
https://www.dailymotion.com/video/x4qvt9y
高志の国学館(富山県立)では生誕100年記念特別展「堀田善衞―世界の水平線を見つめて」が今日から開催されている。
https://twitter.com/koshinokunibun/status/1050608219549097984
堀田百合子と鈴木敏夫トークイベントは今日も高志の国学館で開催される。
https://twitter.com/ghibli_world/status/1051986101638914048
高岡市立博物館では「堀田一族と伏木」が開催されている。堀田善衞は、高岡市伏木の廻船問屋「靏屋」の出身だそうだ。
https://twitter.com/museumnews_jp/status/1049921671199645696
よって網野善彦とも対談している。
https://www.iwanami.co.jp/book/b260867.html
こういう集英社が嫌いじゃない。宮崎駿池澤夏樹・吉岡忍・鹿島茂・大高保二郎「堀田善衞を読む 世界を知り抜くための羅針盤」が集英社新書から発売された。
https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-721052-1
吉岡忍が執筆者に名前を連ねている。吉岡と堀田善衞はベ平連で繋がっている。ちなみにベ平連第1回会議の参加者は次の通り。玄洋社国際部長の杉山龍丸が参加している!
小田実(作家) 開高健(作家) 武井昭夫(新日本学会) 深作光貞(カンボジア研究家) 古山洋三(わだつみ会) 瀬藤多恵子(主婦) 浮田久子(主婦) 高戸要(キリスト者平和の会) 後藤宏行(思想の科学研究会) 野村浩一(中国研究家) 白川充(編集者) 堀田善衞(A・A作家会議) 佐藤忠男(映画評論家) 福田善之(劇作家) 杉山龍丸(玄洋社国際部長) 高橋和巳(作家)  吉田喜重(映画監督) 篠田正浩(映画監督) 井出孫六(編集者) 小松左京(作家) 久保圭之介(映画プロデューサー)
https://www.facebook.com/kyuusakudoguramagura/posts/602170646552278
堀田善衛は「方丈記私記」(ちくま庫)で次のように書いている
「危機の時代にあって、人々が赫ッと両眼を見開いて生者の現実を直視し、未来の展望に思いをこらすべき時に、神話に頼り、みやびやかで光栄ある伝統のことなどを言い出すのは、むしろ犯罪に近かった」
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480022639/
私は堀田善衛を読むために「朝日ジャーナル」を買っていた。今年1月にキューバに行ったのも堀田の影響かもしれない。堀田の「キューバ紀行」は集英社電子書籍としてリリースしている。
https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?jdcn=08748315941069000000

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2)【本日の一行情報】

◎「キリスト教本屋大賞」なんてあるんだね。主催はキリスト教版販売協会。2018年の大賞は片柳弘史の「こころの深呼吸」(館)に決まった。
http://www.kirishin.com/2018/10/14/19910/
マザー・テレサの勧めでカトリックの司祭の道に進んだという。

◎「ビジネス+IT」が「広告会社アマゾンの成功が約束されている理由、グーグル・FBとは明らかに違う」を掲載している。次のようなフレーズが総てを物語っている。
「アマゾンは単なるオンラインのマーケットプレースではなく、世界最大のショッピング検索エンジンなのである」
https://www.sbbit.jp/article/cont1/35525

花田紀凱が「週刊ポスト」10・12/19合併特大号が掲載した「『陛下は靖国を潰そうとしている』靖国神社トップ小堀邦夫宮司『皇室批判』の波紋」を久々の大スクープだと絶賛している。
https://www.sankei.com/life/news/181014/lif1810140002-n1.html

長江俊和の小説「東京二十三区女」(幻冬舎庫)がWOWOWで連続ドラマ化される。脚本、監督をつとめるのも長江俊和である
https://www.oricon.co.jp/news/2121455/full/
https://www.gentosha.co.jp/book/b11976.html

◎「しらべぇ」が、全国20~60代の男女1,344名を対象に調査したところ、もっとも信用できない新聞は1位が朝日新聞2位が讀賣新聞、3位が産経新聞となった。
https://sirabee.com/2018/10/14/20161827239/
産経が健闘しているのは、ネットでたっぷりと読めるからなのではないだろうか。

朝日新聞デジタルが「世界バレー、TBSが億単位の赤字見込み CM収入低迷」を掲載している。
「今大会のTBSの支出は国際連盟への放映権料、マーケティング権料などで計20億円以上。企業が広告費を抑えた影響でCM収入が伸びなかったといい、赤字額は10億円近くになるとの見方もある。日本協会は入場料収入が伸び悩み、約6億円の損失が出そうだ」
https://www.asahi.com/articles/ASLBD7K5CLBDUTQP032.html

和田誠監督によって映画化されたことがある阿佐田哲也の「麻雀放浪記」は、斎藤工主演・白石和彌監督のタッグで「麻雀放浪記020」としてリメークされるが、竹書房の「近代麻雀でコミカライズされ連載中だ。漫画×映画の同時進行企画である。
http://www3.cinematopics.com/archives/95033

集英社の「週刊少年ジャンプ」46号(10月15日発売)に連載されている林聖二のご当地ギャグマンガ「ジモトがジャパン」は、同誌で地元にまつわる広告“ジモト広告”の募集を開始する告知ページが掲載した。広告料は無料だ。
http://mainichi.jp/articles/20181014/dyo/00m/200/025000c

筑摩書房が正社員を募集している。応募資格は「未経験者は32歳まで(2019年以降卒業見込者不可)」。
http://www.chikumashobo.co.jp/company/recruit.jsp

◎日本医学ジャーナリスト協会賞が発表された。ロボットコミュニケーターの吉藤健太朗による「『孤独』は消せる。」(サンマーク出版)が優秀賞、読売新聞東京本社 医療部の高梨ゆき子による「大学病院の奈落」(講談社)と朝日新聞東京本社 社会部の青木美希による「地図から消される街」(講談社現代新書)が特別賞を獲得した。
http://meja.jp/prize.htm

◎新潮社の佐藤隆信社長に憤りをおぼえるのは、私たちの記事の反からしても、どうやら私だけではないようだ。「AbemaTIMES」の「『新潮45』休刊、残された課題は議論されぬまま…論点ずらしは『共犯者』だ」は、堀潤の発言をまとめたものである。
「"言論には言論で"が根幹にあるべきですし、社会的に批判を浴びたのなら、それを引き取って議論を続けることこそが役割だろうと思ったからです。でも新潮社の姿勢は、社長のコメントも含めて"だって儲からないからしょうがないじゃん。休刊します"という、いわば"逆ギレ的"なものに映りました。憤りを覚えましたね。
ビジネス的な側面を理由にしていますが、実際はあのような過剰な表現に舵を切っても、決して部数は伸びなかったわけですから。自らのブランドを守るための選択だったんだろうと思いますが、それはいわゆる保身です。長期的に見てもマイナスの判断だったのではないでしょうか。もったいないし、悲しいですよね」
https://abematimes.com/posts/4988974

◎神里雄大にとって初めての小説が掲載されたのが「新潮」であり、また神里が発表した戯曲はすべて「新潮」に掲載されているそうだ。そんな神里が琉球新報の「南風」に「言葉の使い方」を書いている。
「だから、今回の一連の『新潮45』の事件には残念な思いと、そして失望を感じた。もちろん、新潮社全体がこれに加担したわけではないし、新潮編集部がこれまでわたしの書いたものにしてくれたことが変わるわけではないが、これは自分にとって他人事ではない」
「言葉によって傷つけられてしまった人たち、そして言葉自体に対して、ごめんなさい。自分のこととして猛省し、そういう暴力をなくすために戦っていきたいと思います」
https://ryukyushimpo.jp/hae/entry-818716.html

◎扶桑社の「女子スパ」が「『新潮45』事変を能町みね子・サムソン高橋が斬る『小川榮太郎クンはセクシー』!?」を掲載。
「能町:小川氏の記事で気になったのが、『性には、生物学的にXXの雌かXYの雄しかない』って言ってるところ。
これ、実はXXYやXYYで生まれてくる人もいたり、色々あるので、そこからめっちゃ間違ってる。XXYのクラインフェルター症候群(男性の性染色体が一つ以上多いことであらわれる症候群。精巣の発育障害や無精子症を引き起こすこともある)とか普通に有名なのに、それも知らないんだ、って思った。
サムソン:『雄しべ雌しべ以外に、レズしべとかゲイしべというのは無い』とも言ってるよね。
能町:そう、すごい言葉作ってて(笑)。それと『『朝日新聞を叩く』『嫌韓本を書く』となれば、一定のメンバーが喜び勇んでその言論に馳せ参ずる。手堅いマーケット=支持層があり、安全地帯からどれだけ『敵』を悪し様に語っても許される構図が確立しているからだ』とも書いていて、このあたりは、『この人、わかってて言っていて、その上でこれを書くんだ!』と感じたから、面白いといえば面白かった。
それと、『この人はセックスのことばっかりずっと考えてるのかな?』というエッセイだよね(笑)」
https://joshi-spa.jp/882297/2
同じ資本系列にありながら、産経ジャーナリズムの「歴史戦」を共有しているとは、とても思えない。

集英社の女性マンガ誌「YOU」が、15日発売の11月号をもって休刊となった。
https://mainichi.jp/articles/20181015/dyo/00m/200/007000c

日本新聞協会は、新聞週間に合わせた「#にほんをつなげ74」と題する全国統一キャンペーンとして、加盟新聞社のうち74紙に全面広告を掲載した。
https://www.sankei.com/life/news/181015/lif1810150038-n1.html
モデルは木村拓哉工藤静香の次女コウキ!

ショーケース・ティービーは、三栄書房と業務提携し、ウェブメディア「ゴルフサプリ」を10月15日にリリースした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000104.000003483.html

高野苺による「君になれ」コミックス第1巻が双葉社から発売されたが、「試し読み小冊子とフェイスパック(!)セット」のサンプリングや、様々なプレゼントキャンペーンなどを予定しているそうだ。コミックスと、コブクロの「君になれ」のCDがセットになった「コブクロCD付き限定版」も売れ行きが注目される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000110.000014531.html

講談社は、10月16日(火)~19日(金)に幕張メッセで開催されるCEATEC JAPAN 2018のUKパビリオン内に「コミュニケーション・ロボットATOM」を出展する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001900.000001719.html

◎「週刊ポスト」(小学館)で実施した読者1000人を対象とした「好きな野球漫画」アンケートで見事1位となったのは水島新司の「ドカベン」であった。2位が「巨人の星」で、3位が「タッチ」か。読者層はオレの世代なんだね。
https://www.news-postseven.com/archives/20181014_773065.html?PAGE=1#container
振り返るのならば、オレの世代って「週刊ポスト」を大学生の頃から買っているんだよね。それが不思議ではなかったのよ。現在、「週刊ポスト」を読んでいる大学生なんて想像もつかないもんなあ。そう言えば、その頃、日刊ゲンダイの映画評は松田政男だった。

資生堂の歌舞伎などで使われる舞台用化粧品の復活が決まった。市川海老蔵や市川笑野のインターネットでの訴えが資生堂に通じたのである。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1810/15/news073.html
これが市川笑野の訴え。「…舞台用化粧品が数々ある中で、資生堂の粉白粉は抜群の白さでカバーする力が凄いのです。これは本当に群を抜いております」とまで書かれている。
https://ameblo.jp/emino-i-koenkai/entry-12411846350.html
これは市川海老蔵
https://ameblo.jp/ebizo-ichikawa/entry-12411578571.html
資生堂歌舞伎座同様に「銀座」の企業だということを忘れてはなるまい。しかし、これ資生堂にとっては大宣伝になったんじゃないの?まさか広報による仕掛けじゃないよね。

◎これは楽しみだよね。「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」で直木賞、「かがみの孤城」で本屋大賞を受賞した辻村深月が来年3月1日に公開される「映画ドラえもん のび太の月面探査記」の脚本を担当する。辻村による「小説ドラえもん」も読みたい。
https://www.daily.co.jp/gossip/2018/10/15/0011733897.shtml

毎日新聞によれば、三島市在住の絵本作家・江頭路子は同市に絵本約150種類を扱う専門店「えほんやさん」をオープンした。
https://mainichi.jp/articles/20181015/ddl/k22/040/146000c

虎ノ門ヒルズでは、10月26日~27日の2日間、ブックイベント「OUR PARKS “TORANOMON BOOK PARADISE”」を開催する。
https://ignite.jp/2018/10/139922/

日本財団による「18歳の意識調査」によれば52.5%が新聞を読んでいない結果となった。読まない理由の1位は、「面倒くさい・読む時間がないから」。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000025872.html
逆に47.5%もの18歳が新聞を読んでいるんだねぇ。そのことに私などは驚いた。

トーハンは、、恒例となっていた「新春の会」を開催しないことに決めた。
http://www.tohan.jp/news/20181015_1285.html

トーハンは、来春、新宿区の本社にある書籍新刊発送拠点を、SGリアルティが埼玉県和光市に今年3月に竣工した最先端の大型物流施設「SGリアルティ和光」に移転する。2019年5月7日(火)に業務を開始する予定だという。
http://www.tohan.jp/news/20181015_1284.html

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムは、ZOZOテクノロジーズと戦略的パートナーシップを締結した。これによりDACは、ZOZOテクノロジーズが開発・運営するファッションコーディネートアプリ「WEAR」の広告展開開始に際し、メディアレップとして全広告商品を独占的に広告会社向けに販売する。また、ZOZOテクノロジーズとともに「WEAR」および同グループ会社であるZOZOが運営するファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の広告商品を開発予定である。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000138.000017676.html

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3)【深夜の誌人語録】

涙を流す暇があったら汗を流せ。