【文徒】2019年(令和元)11月26日(第7巻214号・通巻1634号)
Index------------------------------------------------------
1)【記事】博報堂DYメディアパートナーズとアドウェイズが資本業務提携
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.11.26 Shuppanjin
VOYAGE GROUPが電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)と経営統合してCARTA HOLDINGSとなり、セプテーニの株式の20%を電通が取得して持分法適用関連会社とするといったようにインターネット広告業界の再編が進んでいるが、これもそうした再編の一コマと言って良いのかもしれない。
博報堂DYメディアパートナーズは、アドウェイズと、アプリプロモーション領域において資本業務提携を締結した。
アドウェイズは、博報堂DYメディアパートナーズを割当予定先とする第三者割当による自己株式の処分を行い、博報堂DYメディアパートナーズは、12月9日付けでアドウェイズの2,837,800株(発行済株式総数の6.82%相当)を取得する予定だ。これにより、アドウェイズは約9.6億円を調達し、これによって博報堂DYメディアパートナーズは創業者の岡村陽久、伊藤忠商事に続いてアドウェイズの第3位株主となる。
https://www.adways.net/press/adways459.html
https://media-innovation.jp/2019/11/22/adways-hakuhodo-partnership/
アドウェイズの代表取締役社長 CEO岡村陽久のプロフィールを見ておこう。
《1980年、埼玉県生まれ。兄と妹にはさまれた3人兄弟の次男。小学4年から東京・台東区に家族と共に移り住む。中学卒業後、16歳で訪問販売会社に就職。営業として働き始める。1年半在籍し、トップセールスの座を勝ち取った。その後、さらなる営業力の強化を目的に単身大阪へ。前職よりも規模の大きな会社に転職し、2年半在籍。ここでは西日本地区のトップセールスと、全国2位の成績を収める。
2000年8月、インターネットの将来市場性に着目し、メールメディアを媒体としたクリック保証型広告事業を行う、アドウェイズエージェンシーを個人事業として起業。2001年2月に、株式会社アドウェイズを設立。
その後、いち早く成果報酬型のアフィリエイト広告に事業を転換し、モバイル市場でも同サービスをスタートさせるなど、競争優位性を発揮しながら急成長を遂げる。2006年6月20日、これまでの最年少記録を塗り替えて、東証マザーズに上場を果たした。》
https://www.dreamgate.gr.jp/contents/case/interview/34043
若干気になるのはアドウェイズの第2四半期業績が売上高180億2300万円(前年同期19.9%減)、営業損失1億0495万円(―)、経常損失2124万円(―)と赤字であったことだ。むろん、博報堂DYメディアパートナーズからすれば、この辺りのことも織り込み済みの資本業務提携であろう。
https://ir.adways.net/irnews/20191108_142Zmm.pdf
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2)【本日の一行情報】
◎時事通信は11月21日付で「横浜地検、電通前局長を不起訴」を発表している。
《ラグビーワールドカップ(W杯)の試合会場で警備員を殴ったとして、暴行容疑で逮捕された大手広告代理店「電通」の前新聞局長(51)=人事部付=について、横浜地検は21日付で不起訴処分にした。理由は公表していない。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112101013&g=soc
産経新聞は「電通の吉野純元新聞局長(51)を不起訴処分とした」と実名で報じている。
https://www.sankei.com/affairs/news/191121/afr1911210047-n1.html
◎「Media Innovation」は11月22日付で「集英社はいかにデジタルメディアとECを成功に導いたか・・・デジタル戦略を率いてきた小林常務に聞く」を公開している。Project8の代表取締役で、集英社の常務取締役としてデジタル戦略を牽引してきた小林桂は次のように語っている。
《物流は成長に従って様々な会社を使ってきたのですが、現在は昭和図書という小学館と集英社グループの出版倉庫の会社を使っています。そこにスタジオを併設していて、一日中撮影を行っています。特に力を入れる商品に関しては雑誌の編集部の協力を得て別途行っています。雑誌の編集ページと同じクオリティで画像を作っているというのは他のECではなかなか無いと思います。》
《いま店舗は、横浜そごう、千葉そごう、東急銀座、渋谷スクランブルスクエア、西武渋谷に出店していて、近々JR京都伊勢丹にも出店予定です。店舗開発は元百貨店に務めていた人間を中心に担当していて利益が出なければ撤退と決めています。条件面でも固定費、売上歩合、MGなど様々な組み合わせがありますが、一番優位な条件を取れるように交渉しています。》
https://media-innovation.jp/2019/11/22/shueisha-interview/
◎「AFPBB News」は11月21日付で「FBとグーグルのビジネスモデルは『人権に対する脅威』、アムネスティ報告書」を発表している。これは、とても重要な指摘である。
《アムネスティは報告書の中で、無料でオンラインサービスを提供してからユーザー情報を使ってターゲティング広告で利益を得る手法は、言論の自由と表現の自由を含むありとあらゆる人権を危険にさらしていると述べた。
さらに、「両社の監視に基づくビジネスモデルでは、ユーザーはファウスト的契約を強いられ、人権侵害の上に成り立つシステムに従うことでしかオンライン上で人権を享受できない」と説明。》
https://www.afpbb.com/articles/-/3255899?cx_part=search
ターゲティング広告の手法は、考え方としてはターゲテッド・キリング(標的殺害)と同じなのかもしれない。
◎朝日新聞デジタルは11月22日付で「爆死せし妻の遺骸を…あの夏描いた半世紀前の劇画が復刻」を掲載している。
《「ある惑星の悲劇」。そんな題名の劇画が、半世紀前に出版された。広島原爆で家族を失った男性が、東京で天涯孤独な生活を送る中でつづった手記をもとにしたものだ。それが今年、装いも新たに復活した。》
https://www.asahi.com/articles/ASMBY56XFMBYPTIL01V.html
ゴマブックスから電子書籍としてリリースされた。
https://bookwalker.jp/de0235af46-1be8-48f3-9aff-2b69da18928d/
朝日新聞デジタルの記事によれば1969年夏に「週刊少年マガジン」(講談社)で3回連載され、その後「元の手記も読みたい」との声が編集部に寄せられ、劇画と手記を一緒にした単行本が同年12月に刊行されたという。歴史に埋もれ、発掘を待っている作品があるということである。
◎「dancyu」編集長の植野広生が「土佐のおきゃくPR大使」に就任した。「おきゃく」とは土佐弁で「宴会」の意味である。私も11月上旬、土佐に5連泊していたが、確かに旨いのだ。酒も、メシも。何しろ高知県には蔵元が24もあるらしい。食べ物ではカツオのたたきは有名だが、ウツボはたたきでも唐揚げでも旨かったし、サバは刺身で喰えるし、鯨は鍋でも、刺身でも、ステーキでも旨い。で、最後のシメは屋台のマヨネーズラーメンである。
植野のプロフィールが良いじゃないか。
《1962年、栃木県生まれ。七五三で神社にお参りした際にお神酒をお代わりする。法政大学法学部に入学。上京後すぐに、銀座のグランドキャバレー「モンテカルロ」で黒服のアルバイトを始める。その後、鰻屋や珈琲屋、アイスクリーム屋など多数の飲食店でアルバイトを経験。卒業後、新聞記者を経て、出版社で経済誌の編集を担当。その傍ら、大石勝太(おおいし・かつた。「おいしかった」のシャレ)のペンネームで「dancyu」「週刊文春」などで食の記事を手掛ける。
2001年、プレジデント社に入社、以来「dancyu」の編集を担当し、2017年4月に編集長に就任。》
https://www.atpress.ne.jp/news/199129
植野はNHKでも取り上げられている。今年の5月4日に「プロフェッショナル 仕事の流儀『食いしん坊の覚悟~雑誌編集長・植野広生~』」が放送された。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/284/1669538/
門井慶喜の歴史小説「自由は死せず」(双葉社)は自由民権運動を指導した板垣退助の波乱の生涯を描いている。高知新聞は11月23日付で「板垣の生涯を小説に 上級武士の目で幕末描く 直木賞作家の門井さん『自由は死せず』」を掲載している。
https://www.kochinews.co.jp/article/326229/
◎日本能率協会マネジメントセンター(JMAM:ジェイマム)は、出版、人材事業を手掛けるダイヤモンド社の人材開発・教育分野と提携し、ダイヤモンド社の適性検査を用いたJMAMの研修プログラム3商品の提供を11月20日より開始した。近年企業の人事部が注力する「組織開発」「経験学習」「グローバル人材育成」をテーマに、ダイヤモンド社が強みを持つ診断ツールにJMAMの研修サービスを組み合わせて提供することになる。
https://digitalpr.jp/r/36167
https://www.jmam.co.jp/topics/1237865_1893.html
◎三浦崇宏と福本龍馬が率いるTheBreakthroughCompanyGO は朝日新聞社と連携し、社会課題解決型の新聞広告を企業と共に発信するサービス「ブランドニュース」の提供を開始した。論説委員やGLOBE副編集長を歴任してきた朝日新聞の高橋万見子と社会派広告クリエイターが組む。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000023488.html
女性誌は社会課題解決型の雑誌広告を真剣に考えるべきだった。
◎「VOGUE」や「GQ」「WIRED」などを擁するコンデナストは「パリ協定(気候変動)」達成のための国際的なイニシアティブを発表した。メディア企業として初めて「気候変動に関する国際連合枠組条約」の「ファッション業界気候行動憲章」に参加することを発表し、エレン・マッカーサー財団の「新プラスチック経済グローバル・コミットメント」(Ellen MacArthur Foundation New Plastics Economy Global Commitment)に加わり、雑誌等の商品パッケージから再利用不可能なプラスチック等の削減を公約した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000637.000000930.html
◎祥伝社は、SDN48の元アイドルで現在フリーランスライターとして活躍している大木亜希子のノンフィクションノベル「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」を11月30日(土)に発売する。
https://www.atpress.ne.jp/releases/199100/att_199100_1.pdf
大木亜希子は博報堂系列の「しらべぇ編集部」にいたことがある。「note」から生まれた才能である。
https://note.mu/a_chan/n/n82b1d096c43d
◎「SixTONES」が小学館なら「Kis-My-Ft2」(キスマイフットツー)は講談社だというわけで、11月22日に発売された月刊美容誌「VOCE」(ヴォーチェ)1月号で、女性誌での初連載「キスマイと過ごす“大人な休日”ダイアリー Sweet Moment」がスタートした。
https://mainichikirei.jp/article/20191121dog00m100006000c.html
◎「バー堂島」(ハルキ文庫)の吉村喜彦は「大手飲料メーカー・サントリーの元社員で、ウイスキーなどの宣伝を担当」していたそうだ。
https://www.sankei.com/west/news/191121/wst1911210033-n1.html
12月11日にジュンク堂書店大阪本店開店20周年記念イベント「江弘毅の今、あっとかなあかん人」第4回のゲストは吉村だ。
https://twitter.com/josakabungei/status/1197360104711942147
◎電子版の「角川新字源 改訂新版」をリリースしたのは物書堂だ。Apple社iPhoneのTVCMに起用された三省堂「大辞林」アプリも物書堂の仕事である。
https://kadobun.jp/serialstory/shinjigen/8uy7ozfpv7cw.html
辞書は物書堂の時代がやって来た。
https://www.monokakido.jp/
https://www.monokakido.jp/history.html
◎LINEは、ワンダープラネットとの共同事業となるスマホ向けゲームアプリ「ジャンプチ ヒーローズ」が、全世界700万ダウンロードを突破したと発表した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001903.000001594.html
◎「美的」(小学館)1月号の付録は、温活のエキスパート・小林麻利子監修の腹巻き+ペチコートパンツ「あったか ペチパン」だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000450.000013640.html
◎チャンネル登録者数はおよそ130万人に上り、「台湾で最も有名な日本人」と言われるYouTuberの三原慧悟は元フジテレビ社員だ。
https://times.abema.tv/posts/7029764
◎デイリースポーツが11月22日付で「キンコン梶原 YouTuberとしての年収が約8000万円!」を掲載している。
https://www.daily.co.jp/gossip/2019/11/22/0012899476.shtml
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3)【深夜の誌人語録】
正しすぎる意見は決して正しくないのである。