【文徒】2018年(平成30)10月29日(第6巻202号・通巻1376号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】巨人アマゾンの強さの秘密はどこにあるのだろうか?
2)【記事】「月刊Hanada」掲載の「新潮社社員」記事で読み解く新潮社の惨状
3)【記事】サイバーエージェント決算と「AbemaTV」について
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】巨人アマゾンの強さの秘密はどこにあるのだろうか?

朝日新聞デジタルは10月26日付「アマゾン過去最高益、グーグルも増収増益 でも株価下落」で次のように書いている。
「米IT大手のアマゾンとグーグルが25日、それぞれ2018年7~9月期決算を発表した。アマゾンの純利益は、前年同期の11倍の28億8300万ドル(約3230億円)となって過去最高益を記録し、グーグルも増収増益だったが、いずれも市場の事前の業績予測を下回り、同日の夜間取引で株価が下落した」
https://www.asahi.com/articles/ASLBV5F6FLBVUHBI024.html
ブルームバーグが掲載した「成長エンジンに暗雲、アマゾンとアルファベットの株が大幅安」は、こう書いている。
「両社は低金利環境のもと、堅調な世界経済に支えられる形で急速に拡大する電子商取引、デジタル広告、クラウドコンピューティング市場の恩恵にあずかる機会を投資家に提供し、株価が急騰していた。
だが現在では金利は上昇し、投資家は投資リターンを求めて別の選択肢に目を向けているほか、景気見通しが不透明になった。株式相場が大幅下落したばかりでもあり、両社に業績面でつまずく余地はほとんどない」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-26/PH7QA46TTDSE01
結局、アマゾン強しなのである。日本ではアマゾンジャパンの目黒の新オフィスが話題になっている。アマゾンは、この新オフィスを報道陣に公開したのだ。「Business Journal」が「秘密主義だったアマゾンが公開したオフィスが衝撃的…礼拝室や搾乳室も完備」を掲載している。
「ビル自体は一般的な長方形のフロアだが、内装には流線形を採り入れており、堅苦しい印象はない。ソファやファミレスのような座席も多く、自宅にいるようにくつろげる空間を演出している。アマゾンの分析によれば、こうした空間が生産性を最大化するのだという」
「ここへきてアマゾンは、なぜオフィスを公開したのか。狙いのひとつは、多様な人材を獲得するためだろう。新オフィスには礼拝室や搾乳室、男女の区別なく使えるジェンダーフリーのシャワー室も用意しており、人種や国籍、性別にかかわらず活躍できる体制を整えた」
https://biz-journal.jp/2018/10/post_25271.html
日本市場においてもアマゾンは絶えず革新しつづけていると言って良いだろう。革新しつづけることで「アマゾン経済圏」を拡大しているのだ。プライム会員に限定してだが、新サービスとして「プライム・ワードローブ」をスタートさせている。これはAmazon Fashionが提供する数千のブランドの中から気になるアイテムから3点以上、8点までの商品をまとめて取り寄せ、自宅で試着後に、配送された翌日から最長7日間のうちに購入する商品のみに対し代金を支払うサービスである。
https://ecnomikata.com/ecnews/20595/
カタログ通販が次々に斬新なサービスを打ち出すアマゾンによって窮地に追いやられるのも致し方あるまい。10月26日付日経「カタログ通販 逆風やまず アマゾン猛威、対応遅れ」は次のように書いている。
千趣会やニッセンもいまやカタログよりネット経由の売り上げの方が多いが、商品開発や物流など事業モデルも転換するのは難しい。物流に巨額投資するネット専業に比べて配送サービスでも後手に回り、若年層の開拓が進まずに固定客に頼る縮小均衡に陥った」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36979880W8A021C1TJC000/
信販売大手の千趣会が業績不振を受け大規模なリストラを検討していることを「日経ビジネス」がスクープ。「数百人規模の希望退職や本社の売却に加え、星野裕幸社長も引責辞任することで最終調整に入った」そうだ。「アマゾンエフェクト」である。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181024-54491130-business-brf
「アマゾン経済圏」の拡大にともない大打撃を受ける企業が世界的に続出しているのだ。「デス・バイ・アマゾン」(日本経済出版社)で城田真琴は、こう書いている。
「…売上高約1778億ドル、日本円にして約20兆円の巨大企業に成長したアマゾンの台頭によって、多数の企業が存続の危機に直面しているのは紛れもない事実だ。本書のタイトルとした『デス・バイ・アマゾン』とは、『アマゾンの台頭によって窮地に陥るであろう上場企業銘柄の株価を指数化したもの』である。2012年に米国の投資情報会社『ピスポーク・インベストメント・グループ』が設定したインデックスであり、日本語では『アマゾン恐怖銘柄指数』と訳される」
https://www.nikkeibook.com/item-detail/32223
「PRESIDENT Online」が掲載した「なぜ日本企業はアマゾンにいつも遅れるか」はアマゾンジャパン立ち上げから15年間にわたって活躍し佐藤将之による記事だ。
「アマゾンは他の大企業に比べ、組織階層は驚くほど少なく構成されています。これはアマゾン内での『決断』と『行動』のスピードを高める、非常に大きな要素です。
私は、アマゾンジャパンのオペレーション部門のディレクターという肩書きを拝命していました。その上にはVP(ヴァイス・プレジデント/世界各国のアマゾンの社長にあたる)、その上にSVP(シニア・ヴァイス・プレジデント/各部門の最高決裁者でシアトルにいる)、そしてCEOのジェフ・ベゾスがいるだけです」
https://president.jp/articles/-/26523
マイクロソフト社長の成毛眞も「amazon 世界最先端の戦略がわかる」(ダイヤモンド社)で次のように書いている。
「ベゾスにとって、コミュニケーションを必要とする組織は、きちんと機能していないという証拠でしかないというのだ。
ベゾスが求めるのは、協調などするよりは個のアイデアが優先される組織である。つまり、権力が分散され、さらにいえば組織としてまとまりがない企業が理想だという」
https://www.diamond.co.jp/book/9784478105054.html
「速度の経営」において日本の出版社はアマゾンを少しは見習うべきではないのか。アマゾンからすればわが出版業界を支配する時間旧石器時代と変わらないのかもしれない。

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2)【記事】「月刊Hanada」掲載の「新潮社社員」記事で読み解く新潮社の惨状

10月27日は字・活字化の日であることを読売新聞の10月26日付社説「活字化の日 良書と出会う機会を大切に」で知ったのだが、実は、この社説では新潮45」騒動を取り上げている。しかも、この間、この問題を掲げた他の新聞の社説同様に新潮社に厳しいものであった。読売新聞は「活字化の価値を自ら貶めるような姿勢が見られる」と新潮社を批判しているのである。こう書いている。
「新潮社の月刊誌『新潮45』は、自民党杉田水脈衆院議員の性的少数者(LGBT)に関する論を掲載した。『彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない』という記述があった。
それが批判されると、『そんなにおかしいか『杉田水脈』論』と題する特集を組んだ。中には、犯罪を助長するかのような主張もあり、再び批判を浴びた。
極論で注目を集めて、売り上げを伸ばそうという姿勢が目に余る。人権への配慮を欠いた表現や、違法行為を容認するような内容は、信頼を傷付けるだけだ。良識的で多様な意見を取り上げることが、論壇誌の基本だろう。
性急に休刊した新潮社の対応も疑問だ。批判に対しては、誌面で応じるべきであった」
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20181025-OYT1T50112.html
読売新聞も高橋源一郎を泣かせたほどの実力を持つ小川榮太郎を名指しすることなく、しかし、名指しするも同然の言い回しで小川の評論を「犯罪を助長するかのような主張」「違法行為を容認するような内容」と切って捨てている。
一方、予想通り「月刊Hanada」12月号は84頁にも及ぶ大特集「『新潮45LGBT休刊と言論の自由」を組み、「小川榮太郎独占手記 私を断罪した者たちへ」を巻頭トップに据え、更には小川と松浦大梧との対談「封殺された当事者たちの本音」も掲載している。
この大特集の中で私の関心を最も強く引いたのは「新潮社社員」による「『斎藤十一』の精神はどこへいったのか」である。実名ではなく匿名なのは、まだまだ「新潮社社員」にしがみつきたいからなのだろうけれど、新潮社の実態が活写されているという意味では貴重な章である。この「新潮社社員」は自らが「新潮45」で杉田水脈を担当したならば、「生産性」について書かれた部分は変更してもらうよう杉田と何度でも話し合うとしているところからして、杉田や小川榮太郎章に全く問題がないとは思っていないようである。「新潮社社員」は、こう書いている。
「小川氏の記事を担当した編集者も小川氏に確認を取り、校閲部からの指摘も伝えたが、小川氏からはこの表現でいきたいとの意向が示され、それに従ったと聞く。杉田議員の場合も同様だったという。それならば、最後は若林良作編集長自らが出て行き、『ここだけは変えてほしい』と著者に相談すべきではなかったか」
しかし、そうは進まなかったのは「編集体制の劣化」があったのではないかと「新潮社社員」は推測している。最近では編集部員がゲラを回し読みする習慣も疎かになっていたようだし、編集部の半数が「反若杉編集長」であるといった「崩壊状態」にあったようなのだ。
小川榮太郎は松浦大梧との対談では次のように語っている。
「今回の『新潮45』の原稿には校正が三度入り、三人のベテラン校正者と、編集者と編集長の計5人が事前にチェックしましたが、差別的な表現だから変えたほうがいいとの指摘はありませんでした
元「新潮45」編集長の中瀬ゆかりにしても「波」12月号で、今回の「新潮45」騒動について「雑誌を世に出す時には極めて繊細な思考や作業が必要なのに、そのための体制が十全ではなかった」と書いている。
松浦との対談で小川は続けて言っている。
「新潮社の五人から、差別の疑念さえ出なかった代わりに繰り返し指摘があったのは、性的嗜好ではなく指向ではないか、分けないのは意図的ですね、という確認です。私は当然、意図して使ったのです」
もっとも、「新潮社社員」によれば担当編集者がどんな人物かといえば、こんな風に書いている。
「しかも、小川氏の論を担当したベテラン編集者は校了時に酒を飲み、酔っぱらって編集部に帰ってきてソファで眠りこけるような、職業倫理に照らしても疑問符がつく行動をしていたとも聞く」
斎藤十一が築いたと言われている新潮ジャーナリズムの精神は、このように堕落してしまっていたようなのだが、佐藤隆信社長の「斎藤十一嫌い」がこのような新潮社をもたらしたのではないのだろうか。「新潮社社員」は、こうも書いている。
「先代社長とともに斎藤十一が築いた新潮ジャーナリズムの精神などいまの社長はもともと好きではなく、遠ざけたいとの思惑があるという。『斎藤十一的なもの』はできるだけ排除したいとの考えなのだ」
佐藤隆信社長を芟除し、「斎藤十一的なもの」を復権させない限り、新潮社に未来はないのではないだろうか。
ちなみに「職業倫理に照らしても疑問符がつく行動」をする編集者や編集部を「崩壊状態」にしてしまった若林良作編集長を小川榮太郎は巻頭の独占手記で、次のように描写している。「新潮社社員」とは現実の見え方が相当、違うようである。
「ところが『新潮45』の編集長と担当者――私の物書き人生でも、卓越した能力、見識に感銘した――に加え、新潮社の校閲三名は、編集・校閲段階で、誰一人として拙に差別的な表現としての懸念を指摘していない」

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3)【記事】サイバーエージェント決算と「AbemaTV」について

サイバーエージェントの2018年度通期連結業績(17年10月~18年9月)は、売上高が4195億円(前年比13.0%増)、営業利益が301億円(同1.8%減)、純利益が48億円(同20.5%増)と増収増益。
ゲーム事業の売上高は2月に投入した「プリンセスコネクト!Re:Dive」のヒットがあり1465億円を記録した。営業利益は前年を下回って253億円。ただし、ゲーム事業では、9月にリリースした任天堂との共同開発タイトル「ドラガリアロスト」が過去一番のヒットを記録している。
広告事業は、売上高が2414億円(同16.0%増)、営業利益が213億円(同14.0%増)。
「AbemaTV」は、開局2年半でアプリが3400万ダウンロードを突破し、WAU(週間アクティブユーザー数)は600万超、ユーザーの総視聴時間は5348万時間(18年9月時点)と堅調に推移し、売上高は63億円と、前年の19億円に比べて約3倍に拡大した。ただし通期で約200億円を投資している。
http://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/jasE/MGAm/EFCu.pdf
日経は10月25日付「『アベマに積極投資』サイバーエージェント藤田社長」で次のように書いている。
サイバーエージェントがアベマTVに積極投資する背景には、若者を中心としたテレビ離れがある。若い世代を中心にスマートフォン(スマホ)などで好きな場所で番組を見たいという需要が高まりNHKもテレビ放送とインターネットの常時同時配信を目指す。インターネットで番組を見る傾向は今後さらに高まっていく見通しだ」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3692882025102018X13000/
藤田社長は、どこまでも「AbemaTV」に楽観的なのだが、不安要素もある。「東洋経済オンライン」が「アベマTV、3年連続200億円赤字に漂う不安」を掲載している。
「懸念としてまず挙げられるのが、週間視聴者数の推移だ。開局から2年半で着実に伸びているものの、2018年に入ってからは500万~600万台で微増かほぼ横ばいを行ったり来たりしている。2017年11月に元SMAP3人が出演した「72時間ホンネテレビ」でつけたピーク値(729万)はその後超えられておらず、開局当初から目標に掲げる1000万という大台はまだ見えてこない」
https://toyokeizai.net/articles/-/245569
「AbemaTV」はプラットフォームとしては設計されているように思えず、サイバーエージェントが過去の遺産の総決算とも言うべき最後のマスメディア事業に200億円もの投資ができるということ自体、同社が優良企業でなければあり得ない話ではあるだろう。もっとも、裏返して言うのであれば広告やゲーム、タップルなる出会い系事業がコケたら、「AbemaTV」は一巻の終わりとなる。そういうリスクを避けるためには「AbemaTV」売却といウルトラCの可能性もゼロとは言えないのではあるまいか。

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4)【本日の一行情報】

朝日新聞は10月25日付で「NHKチーフP、スカート内にスマホ差し入れ容疑で逮捕」を掲載している。逮捕されたのはNHK報道局ニュース制作センター「おはよう日本部チーフプロデューサーの重藤聡司容疑者(42)だ。
「北沢署によると、重藤容疑者は25日午後1時25分ごろ、東京都世田谷区の京王井の頭線下北沢駅構内の上りエスカレーターで、前に立っていた20代の女子大学生のスカートの中にスマホを差し入れた疑いがある。目撃した男性にホームで取り押さえられたという」
https://www.asahi.com/articles/ASLBT6TG7LBTUCVL02C.html
27日、釈放された。警視庁の調べに対し、「盗撮行為をしたことは間違いありません」と容疑を認めているため、在宅のまま捜査が続けられる。

◎「講談社青い鳥庫」で累計発行部数300万部を誇る人気シリーズ「若おかみは小学生!」を原作とする劇場版アニメ「若おかみは小学生!」は韓国で開催された第20回プチョン国際アニメーション映画祭の長編部門において優秀賞と観客賞をダブル受賞した。監督は「茄子 アンダルシアの夏」以来15年ぶりとなる劇場公開作となった高坂希太郎だ。
https://news.merumo.ne.jp/article/genre/7985618

◎学研プラスは、10月12日に発売した累計40万部の「ことば選び辞典」シリーズの最新作である「美しい日本語選び辞典」と「漢字の使い分け辞典」(定価:各630円+税)の増刷を決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001884.000002535.html

図書印刷が開発した紙面が広がる製本様式の「spreak(スプレック)type2」を学研教育みらいは、直販商品「おたんじょうブック(パーティーへようこそ)」で採用した。
https://www.atpress.ne.jp/news/169099

茂木健一郎のブログ記事が話題になっている。「J-CASTニュース」が「今の中学生は『明石家さんま』知らない? 茂木健一郎氏『テレビ凋落』に愕然」を発表しているし、日刊スポーツも報じている。
https://www.j-cast.com/2018/10/23341866.html?p=all
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201810230000547.html
これが話題となったブログ記事。タイトルは「地上波テレビ、衝撃の凋落。」である。
「子どもたちから若い世代にとって、地上波テレビとは、極論すれば、深夜アニメを流すための媒体である。
では、深夜アニメの何が彼らのハートを熱く掴んでいるのかと言えば、やはり、企画、制作で世界観、オリジナリティを追究して、作画の方々が(忙しくて時々『作画崩壊』を起こしながらも)一生懸命つくり、声優の方々もいい仕事をして、クオリティの高いものをつくっているからだろう。
その前の時間帯に見られる、タレントの馴れ合い、内輪話、事務所のゴリ押しといった『悪しき地上波化』が深夜アニメにはない」
https://lineblog.me/mogikenichiro/archives/8398423.html

◎結局、百田尚樹の「日本国紀」(幻冬舎)は、編集を担当する有本香のツイートによれば「発売19日前にして、すでに4刷25万部」となったそうだ。
https://twitter.com/arimoto_kaori/status/1055021644018827264
百田本人のツイート。
「【緊急連絡】!!『日本国紀』、25万部はすべて初版となりました!!ですから、今、ご注いただいている皆様は、全員、初版を手にしていただけることになります。社長の英断です」
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1055231277626884096
初版部数を決めていなかっただけの話なんだろうね。それでも初版25万部というのは凄い数字だ。

◎「ダイヤモンドオンライン」が「年収1800万から200万に転落、元敏腕週刊誌記者のマイルド貧困」を掲載している。
「出版社によって支払い方法は異なるが、週刊Hの場合、専属記者へのギャランティは週払いだった。新人記者で週給6万~8万円、中堅で10~15万円、エースと言われる敏腕記者だと25万円を稼ぐ者もいた。
ベースとなるギャラ以外にも『スクープ料』『企画料』が上乗せされる場合も多く、週刊誌業界全体では年収1000万円プレーヤーもザラにいた時代だ」
「週刊H」って「週刊宝石」だろうか。
「しかし、そんな時代は長く続かなかった。2000年代に入ると出版不況の波が押し寄せ、河田の所属していた週刊Hは廃刊。それを機にフリーランスのライターとなったが、収入は半減した。
それでも約10年間は年収500万円程度はキープしていたが、その後スマホ全盛の時代を迎えると、ネットメディアが勃興し、紙媒体の仕事が激減。ギャラの相場も90年代の3分の2から半分の水準にまで落ち込んだ」
週刊宝石」が休刊したのは2001年1月のことだから、この記事と辻褄が合う。ちなみに光社は後継誌として、2001年7月に週刊誌「DIAS」を創刊したが、これも翌2002年3月に休刊となった。
https://diamond.jp/articles/-/183281

長部日出雄が亡くなった。「津軽じょんから節」「津軽世去れ節」で直木賞、「見知らぬ戦場」で新田次郎学賞、「桜桃とキリスト もう一つの太宰治伝」で大佛次郎賞和辻哲郎化賞を受賞した作家として追悼されるのだろうが、長部が切っ先鋭い映画批評家であったことを忘れてはなるまい。映画批評家としての長部は佐藤忠男編集長の「映画評論」を拠点にしていた。「松竹ヌーヴェル・ヴァーグ」は長部の命名なのである。
https://www.asahi.com/articles/ASLBS4STKLBSUCVL00L.html

電通は、海外本社「電通イージス・ネットワーク」を通じて、スイスおよびドイツで事業展開する大手総合デジタルエージェンシー「Namics AG」(ナミックス社)の株式100%を取得することで合意した
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2018106-1023.pdf

◎このダルビュシュ有のツイートが凄い数字を叩き出している。10月28日、午後6時27分現在、返信が859、リツイートが16265、いいねが53927。
「一人の命が助かったのだから、自分は本当に良かったなぁと思います。
自己責任なんて身の回りに溢れているわけで、あなたが句をいう時もそれは無力さからくる自己責任でしょう。皆、無力さと常に対峙しながら生きるわけで。人類助け合って生きればいいと思います」
https://twitter.com/faridyu/status/1055450819645132800

◎「ダイヤモンドオンライン」が「朝日新聞から次々流出!新旧メディアの人材流動化マップ」を掲載している。記事は、こう書いている。
「そもそもテレビ・新聞業界は、新卒で入社した後は定年まで勤め上げる人間が多い純血主義の世界。『毎日新聞』や『産経新聞』といった負け組全国紙からの転職を除けば、同業他社への横の移動も限定的だった。伝統メディアからすれば“格下扱い”だったデジタルメディアにこれだけの人材が流れる状況は、旧来型のメディアエリート没落を象徴する」
https://diamond.jp/articles/-/183327

◎96歳の現役作家である瀬戸内寂聴がネットで10代の「あなたの悩み」を募集している。相談内容と寂聴の回答は、2019年に講談社から発売する書籍に収録する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001912.000001719.html

◎10月18日に発売された小学館の「名探偵コナン」95巻と同作のスピンオフ作品「ゼロの日常」2巻が、ともに重版決定した。
https://animeanime.jp/article/2018/10/24/40989.html

◎LINEの2018年1~9月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が60億円の赤字だった。ちなみに前年同期は120億円の黒字。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL24HEQ_U8A021C1000000/

毎日新聞の読書世論調査によると、「電子媒体を除く雑誌の読書傾向を聞いたところ、この3年間で雑誌を買うことが『増えた』は5%にとどまる一方、『減った』は37%にのぼった」そうだ。
https://mainichi.jp/articles/20181026/ddm/010/040/022000c

◎10月26日付日経「ADK執行役員がインサイダー関与か 強制調査」は書いている。
「広告大手のアサツーディ・ケイADK)の元執行役員がインサイダー取引に関与した疑いがあるとして、証券取引等監視委員会金融商品取引法違反の疑いで関係先を強制調査していたことが26日、分かった」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36952670W8A021C1CC0000/

楽天コボが新発売する8インチディスプレイの「Kobo Forma」はマンガや雑誌、絵本の見開き表示に対応したモデルだ。重さは約197グラム。価格は税別3万1800円。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36869090U8A021C1000000/

主婦の友社の月刊誌「ゆうゆう」は、「楽活」(ハピカツ)をテーマに「人生を豊かにするシリーズ」イベントを、11月12日(月)に横浜・新都市ホール(そごう横浜店 9階)で開催する。今回のテーマは「健康」。プロスキーヤー・三浦雄一郎をスペシャルゲストとして招いた講演のほか、協賛社によるミニステージ、協賛社ブースなど健康に関するさまざまなコンテンツを提供する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000849.000002372.html

◎KADOAKWAのファンタジア庫で18年振りの新刊となっ神坂一の「スレイヤーズ16 アテッサの邂逅」が「発売即大重版」だそうである。
2000年に刊行された第15巻「デモン・スレイヤーズ!」をもって、本編が終了。その後は外伝の「すぺしゃる」「すまっしゅ。」シリーズとして刊行が続いていたが、本編が18年ぶりに再開されたのである。シリーズ累計2000万部を売ったラノベの金字塔の一つである。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005142.000007006.html

鳥嶋和彦は言わずもがな白泉社の社長だが、「週刊少年ジャンプ」の元編集長・鳥嶋和彦と言ったほうが未だにしっくりするのは私だけだろうか。鳥嶋は「#SHIFT」でインタビューに応えているが、次のような指摘に拍手喝采である
「私は、編集者の仕事は『思い付きが企画』で『雑談がプロジェクト』だと思っています。だから仕事で考えたり行動したりすることも、実は決して『たいしたこと』ではないのです。大層に『仕事』だと考えるから、発想もこり固まってしまっていろんなことができなくなるのですよ」
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1810/26/news017.html

BBCニュースによれば「グーグルは25日、セクシュアル・ハラスメントの訴えを受けて2016年以降の2年間に従業員48人を解雇したと発表した。解雇された従業員には、上級管理職13人が含まれるという」。アメリカでは「男性が支配的な米シリコンバレーの性差別的な風土」に非難の声が高まっている。
https://www.bbc.com/japanese/45987263
日本のマスコミ業界も男性が支配的な性差別的な風土を長らく問題とは認識して来なかった。そのツケはいつか支払わされるはずだ。

集英社の「週刊少年ジャンプ」公式の無料マンガ制作アプリ「ジャンプPAINT」が100万ダウンロードを突破した。これを記念して「バクマン。」のコミックス全巻が、特設サイトで26日正午から30日午後4時までの100時間限定で無料公開された。
https://mainichi.jp/articles/20181025/dyo/00m/200/061000c

◎「この世界の片隅に」のこうの史代による新作読み切り「リーゼと原子の森」が、「月刊コミックゼノン」12月号(徳間書店に掲載された。物理学者リーゼ・マイトナー核分裂を発見する様子が描かれている。
https://natalie.mu/comic/news/305118

◎アムタスは、トーハンと共同で電子コミック配信サービス「めちゃコミック」(めちゃコミ)において人気の作品を全国300のリアル書店で紹介するフェア「めちゃ本屋」を開始した。
フェア展開作品は次の通り。
「凪のお暇」(1)~(4)(コナリミサト/秋田書店
「なのに、千輝くんが甘すぎる。」(1)(亜南くじら/講談社
「きっと愛してしまうんだ。」(1)~(5)(一井かずみ/小学館)
深夜のダメ恋図鑑」(1)~(4)(尾崎衣良小学館
「外面が良いにも程がある。」(尾崎衣良小学館
「ラブファントム」(1)~(7)(みつきかこ/小学館
「あなたがしてくれなくても」(1)(2)(ハルノ晴/双葉社
https://www.amutus.co.jp/news/press/2018/p181026000000.html
http://www.tohan.jp/topics/20181026_1293.html
http://www.tohan.jp/topics/upload_pdf/20181026_mechahonyasan_bookshop.pdf

博報堂DYメディアパートナーズは、テレビ実視聴ログデータとWeb閲覧等のオンラインアクチュアルデータを連携することでさらなるテレビCMの効果向上を図る、次世代のデータドリブン型テレビスポット「Atma DataDriven TVSpot」を開発した。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/10/HDYMPinfo20181026.pdf

幻冬舎の女性ファッション誌「GINGER」の中国版となる「GINGER潮儿」(ジンジャーチャオアー)が10月18日に創刊された。創刊号の表紙には、中国国内でも人気のGENERATIONS from EXILE TRIBE片寄涼太が起用され、撮り下ろしカットやインタビューのほか、カネボウ化粧品のメイクアップブランド「KATE」のTOKYO REDキャンペーンページとのコラボ企画など全8ページにわたり特集されている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000419.000007254.html

◎日本芸社の「週刊漫画ゴラク」で連載されている原作・志名坂高次、作画・粂田晃宏によるホラー漫画「モンキーピーク」のタテアニメ(縦型アニメ)化が決定し、スマホアプリ「アニメビーン」で10月26日から配信されている。
https://anime.eiga.com/news/107332/
アニメのスマホシフトは果たして成功するのだろうか。

◎「メセナアワード2018」が発表された。メセナ大賞は講談社「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」に決まった。
https://www.mecenat.or.jp/ja/award/post/awards2018/

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5)【深夜の誌人語録】

敗走もまた前進であること知るべきである。