【文徒】2018年(平成30)11月14日(第6巻214号・通巻1388号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】ABC部数が証明する転形期を迎えた女性誌
2)【記事】木村幹が「週刊ポスト」に怒っている!
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2018.11.14 Shuppanjin

1)【記事】ABC部数が証明する転形期を迎えた女性誌

「毎日キレイ」の「GLOW:宝島社のファッション誌がイベント 山崎育三郎や吉田羊が登場」。
「宝島社のファッション誌『GLOW(グロー)』の読者イベント『GLOWプレミアムサロン2018』が11日、渋谷ヒカリエ東京都渋谷区)で開かれた。同誌の読者約1000人が参加し、俳優の山崎育三郎さんや女優の吉田羊さんのトークショー、出展企業の体験型ブースなどを楽しんだ」
https://mainichikirei.jp/article/20181111dog00m100004000c.html
今回、発表されたABC部数で生活実用誌を除けば、40代をターゲットにした「GLOW」が女性誌のトップに君臨することになった。ABC公査に加わる雑誌をランキングするのであれば、「GLOW」は9位に位置する。かつて女性誌は出版社系週刊誌を蹴落とし、ランキングの上位に顔を並べたこともあったが、今やその勢いはない。加えて10代や20代をメイン読者とする雑誌は、ベスト10には一誌もランキングされない時代を迎えた。雑誌は熟年層のメディアに変貌を遂げたのである。
女性誌では宝島社が30位までに「GLOW」の9位を始め、13位の「sweet」、18位の「リンネル」、19位の「InRed」、21位の「mini」をランキングさせている。
これに対抗するのが光社と集英社。光社は23位に「VERY」、26位に「STORY」、集英社は24位に「LEE」、27位に「MORE」という具合である。
かつて女性誌王国を築き上げた小学館女性誌はベスト30に一誌も顔を出していない。小学館や光社にとって、最も売れている女性誌は「女性セブン」であり、「女性自身」であるという時代に戻ってしまったのである。
小学館で最も売れている月刊の女性誌は今や「美的」という時代なのである。しかし、一番売れている「美的」でも10万部を切っている。37位である。時代の風景を一変させたことのある「CanCam」は78位で約6万部、「Oggiは84位で約5.6万部である。ただし、読み放題(UU)のランキングで言うと、小学館女性誌はベスト10に二誌もランキングさせているのである。「Oggi」が5位で約22万UU、「Domani」が7位で約21万UUである。
講談社女性誌もランキング上位から姿を消した。「ViVi」が49位で約8.5万部。しかし、かつて赤字系と言われた女性誌のなかでは、ぶっちぎりのトップである。販売でも、広告でも講談社の女性誌の屋台骨を支えていた「with」は競合誌の「MORE」に引き離されてしまい66位に沈んでしまっている。
女性誌はビジネスとして言えば明らかに「転形期」を迎えようとしているのである。ちなみに宝島社の女性誌を広告媒体として評価するのであれば、部数に目を奪われてはなるまい。「付録」によって維持された部数である以上、宝島社の女性誌を広告媒体として評価する際にABC公査部数は、その力量を正確に反映しているとは言い難いのである。

ABC公査部数ランキング (2018年1~6月平均)
順位      誌名      当期部数
1       家の光     485,536
2       週刊春    335,656
3       週刊新潮    251,403
4       藝春秋    238,288
5       週刊ポスト   211,336
6       週刊現代    209,025
7       サンキュ!   208,905
8       ESSE    197,724
9       GLOW    197,697
10      オレンジページ 193,040
11      女性セブン   191,755
12      月刊ザテレビジョン       190,088
13      sweet   189,342
14      女性自身    184,943
15      日経ビジネス  177,513
16      ハルメク    175,972
17      レタスクラブ  166,654
18      リンネル    159,677
19      InRed   151,601
20      nicola  149,598
21      mini    146,174
22      プレジデント  143,202
23      VERY    140,480
24      LEE     140,359
25      めばえ     124,962
26      STORY   122,853
27      MORE    118,214
28      致知      116,051
29      栗原はるみ haru mi   113,442
30      美人百花    113,084
31      Seventeen       111,426
32      TVガイド   110,219
33      non・no  102,513
34      たのしい幼稚園 101,019
35      大人のおしゃれ手帖       100,027
36      週刊女性    99,568
37      美的      97,411
38      MonoMax 97,187
39      ザテレビジョン 96,780
40      日経WOMAN 96,752
41      てれびくん   94,766
42      FRIDAY  92,112
43      otona MUSE      91,748
44      ポップティーン 91,066
45      ベビーブック  91,017
46      日経TRENDY        90,858
47      ディズニーファン        84,789
48      MAQUIA  84,743
49      ViVi    84,740
50      おともだち   83,434
51      CLASSY. 82,523
52      BAILA   80,813
53      クロワッサン  80,570
54      婦人公論    80,269
55      ねこのきもち  80,021
56      週刊プレイボーイ        79,675
57      mamagirl        78,695
58      steady. 77,918
59      週刊朝日    77,451
60      Marisol 77,144
61      週刊ダイヤモンド        76,812
62      家庭画報    76,037
63      SPRiNG  74,926
64      スポーツ・グラフィック ナンバー        73,543
65      週刊大衆    73,398
66      with    72,905
67      smart   69,909
68      &ROSY   68,894
69      ニコ☆プチ   68,878
70      サライ     68,593
71      BE-PAL  68,489
72      毎日が発見   66,985
73      FLASH   66,929
74      Tarzan  64,470
75      いぬのきもち  62,742
76      テレビマガジン 62,730
77      Mart    61,503
78      CanCam  61,302
79      OCEANS  60,027
80      やさい畑    58,330
81      日経ヘルス   57,522
82      JJ      55,961
83      週刊東洋経済  55,874
84      Oggi    55,842
85      ナショナルジオグラフィック日本版        54,911
86      eclat   54,869
87      CARトップ  54,262
88      日経エンタテインメント!    53,599
89      上沼恵美子のおしゃべりクッキング        53,147
90      MEN’S NON-NO    52,592
91      週刊アサヒ芸能 52,528
92      日経PC21  51,177
93      andGIRL 49,860
94      VOCE    49,707
95      Begin   48,882
96      日経パソコン  47,256
97      ぷっちぐみ   44,690
98      日経トップリーダー       43,914
99      SAPIO   43,913
100     サンデー毎日  43,607
101     AERA    43,573
102     日経おとなのOFF       42,819
103     ゆうゆう    42,371
104     SPA!    42,077
105     ar      42,033
106     幼稚園     42,030
107     Casa BRUTUS     41,945
108     ノジュール   41,941
109     BRUTUS  41,302
110     Ray     40,338
111     LEON    39,241
112     mina    38,834
113     美ST     37,523
114     Domani  37,275
115     GetNavi 35,857
116     DIME    34,039
117     クウネル    33,346
118     SPUR    33,085
119     Kansai Walker   32,846
120     HERS    31,154
121     JUNON   29,734
122     Tokai Walker    29,585
123     げんき     28,498
124     ニューズウィーク日本版     27,334
125     おとなの週末  27,254
126     日経アーキテクチュア      27,209
127     YOKOHAMA Walker 24,656
128     UOMO    23,005
129     日経コンストラクション     22,373
130     日経コンピュータ        21,247
131     GoodsPress      20,161
132     Kyushu Walker   19,173
133     日経ヘルスケア 19,086
134     トランジスタ技術        18,870
135     日経NETWORK       18,296
136     日経エレクトロニクス      18,149
137     MacFan  17,463
138     アサヒカメラ  16,573
139     日経サイエンス 16,570
140     日経ものづくり 15,807
141     日経ソフトウエア        15,259
142     CQ ham radio    14,937
143     日経SYSTEMS       14,466
144     日経Linux 14,018
145     日経ホームビルダー       12,884
146     Interface       12,578
147     Tokyo Walker    11,267
148     日経デザイン  7,086
149     日経ESG   5,244

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2)【記事】木村幹が「週刊ポスト」に怒っている!

ABC公査で久しぶりに「週刊現代」を抜いた「週刊ポスト」だが「朝鮮/韓国ナショナリズムと『小国』意識 朝貢国から国民国家へ」や「近代韓国のナショナリズム」「日韓歴史認識問題とは何か」などの著書で知られている政治学者の木村幹が同誌に怒っている。木村はツイッターにこう投稿したのだ。
週刊ポストさん、この中吊りの表現は話が違う。そもそもこの肩書きもあり得ない。コメントの趣旨も汲めていないし、酷すぎる。抗議します」
https://twitter.com/kankimura/status/1061898164842582016
木村が怒っているのは「週刊ポスト」の11月23日号。同誌は、この号で「これは『ヘイト』ではなく『正論』である。幼稚な韓国とどう付き合えというのか?」を大特集し、木村もここに登場しているわけだが、自らが登場した記事に付けられた「当事者能力を喪失した、弱くて破壊的な政府」というタイトルと、肩書を「高麗大学元研究員」とされたことを問題視したいるのだ。
木村はツイートをつづけ、何故、酷すぎるのかを説明する。
「依頼の内容は『やみくもに韓国を批判するのではなく、冷静かつ客観的な識者の方々の意見を紹介することを企図しています』だった筈。なのにこの煽りまくりのタイトルはあり得ない」
小学館の様な大出版社がこういう騙し討ちの様な行為をするのは、良識を疑う。そもそも自分のコメントの趣旨と違うタイトルを自分の名前の前につけるとかあり得ない」
「そもそも『破壊的な政府』などという表現はコメントでも使っていない。朝日へのコメントでも使った様に『破壊的』は判決の影響の話。他方、『(市民団体を統制できない)弱い政府』はこれまでの歴代政権に共通する話として行っている。ここまで来るとミスリード以前の意図的な改竄」
https://twitter.com/kankimura/status/1061898680200912896
https://twitter.com/kankimura/status/1061900583605436417
https://twitter.com/kankimura/status/1061901755800158208
また、肩書については次のようにツイートしている。
「だいたい研究員って何だよ。せめて客員研究員か客員教授だろ(どちらもやった)。これじゃ韓国の大学に専任で雇われていたみたいじゃないか」
https://twitter.com/kankimura/status/1061913599633850368
木村に対して次のようなリツイートがあった。
「木村先生、週ポスにどーゆー夢もって依頼受けたんですか。どんだけ背伸びしてもゴシップ雑誌でしょ、あそこ」
https://twitter.com/fizzbang_alvitr/status/1061904601505443840
木村が答える。
ゴシップ誌であっても、取材をした相手が言ってもない事を言ったかのように書いて良いはずかありません」
https://twitter.com/kankimura/status/1061915303414648832
木村は週刊誌の作法を知らないわけではないようだ。こうツイートしている。
「メデイアさんの作っているルールだから知らない人が多いのだろうけど、通常、記事のタイトルや広告の章はメデイア側の編集権の問題なので、コメントを受けた側は手を出せないのです。しかしながら、今回は明らかに常軌を逸しているので、抗議させていただいています。ご参考まで」
https://twitter.com/kankimura/status/1061981481277390848
木村が問題にしているのは、記事の内容そのものではなく、冠せられたタイトルについてである。
「取材の依頼は丁重だったし、コメントの編集もよかったんですよ。正直、他の論者の論調は知った事じゃないので、自分のコメント部分だけ、きちんとしていれば大丈夫だと思ったんですよ。でもまさかの中吊り広告、確かに油断してました。まあ参りました。これじゃ記事を書いた記者さんも可哀想だと思う」
https://twitter.com/kankimura/status/1061995292151603200
木村は「日韓歴史認識問題とは何か」(ミネルヴァ書房)で次のように書いている。
「『キーセン観光』への反発は、日本への反発となり、それは過去の日本による植民地支配批判へと結び付いた。日本人は今も昔も同じ『汚れた』存在だ、というわけである。そして、その結果として発掘されるのが、従軍慰安婦問題なのである」
こうした木村が今度の徴用工問題をどう考えているのか。かくして記者は神戸に飛んだわけだが、木村は記者のことは評価しているのだ。
「メデイアの関係者の皆さん向けに書いておくと、大衆週刊誌や写真誌の記者さんにも、いろいろな問題に真摯に取り組んでいて、勉強している人は沢山いるんだよね。だから、信頼してコメントするんだけど、時に編集でめちゃくちゃになってしまう。これって結構悲しいんですよ」
「だから俺は『寄稿』なんてしてねーんだよ。丁寧なメールの後、わざわざ記者さんが神戸まで来たからインタビューに応じただけなんだよ。そもそもコメントなんてほとんど収入にもならないボランティアなんだよ」
https://twitter.com/kankimura/status/1061996106853244929
https://twitter.com/kankimura/status/1062111186018136065

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3)【本日の一行情報】

◎「ORICON NEWS」のこの分析は鋭いと思った。確かに「下町ロケット」は「少年ジャンプ」なんだわ。
「『少年ジャンプ』の『友情・努力・勝利』で育った中年男性が社会に出て、『下町ロケット』と同じような出来事を経験し、普段ドラマを観ない中年男性にもウケている」
https://www.oricon.co.jp/confidence/special/52084/

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の相撲マンガが原作のテレビアニメ「火ノ丸相撲」と「日の丸交通」がコラボした「ヒノマルタクシー」が今冬都内で運行されることになった。
https://mantan-web.jp/article/20181111dog00m200025000c.html

◎「その出版社、凶暴につき 情報センター出版局クロニクル」に大学時代のオレが登場している。すっかり忘れていたことが書かれている。
https://note.mu/eden_rrr/n/n5ef3d37332ee?fbclid=IwAR3rD8DLHtuYlzTf3kPKE0Xcsfu1aZp-oq_BwA_QgxUOY-0v2ZaMQoJMW_I
やっていることが今と同じなのが情けない。「アジのような不思議な章」を今に至るも書きつづけている。「私小説のような」やつも、たぶんオレだと思う…いずれにしても田代よ!誌名は「Ecstasy of the Angels」に対するオマージュだぜ。若松孝二の「天使の恍惚」さ。話せば長くなるけれど、このサークルはもともと日共=民青が牙城としていたサークルなんだけれど、そういうの嫌だから変えちゃったのよ、たぶんオレが…。
もうちょっと昔話をすると、竹橋に「週刊ポスト」が入っていたビルがあったのだが、ここの警備は中央大学の日共=民青が牛耳っていた。オレのクラスメイトもここでガードマンをしていた。彼は凸版印刷に入社して鐘紡を担当する。当時は彼からトロツキスト人の誰それが来たとかなんとかいう話をよく聞かされたものである。オレの(語学)クラス(1法36組だったか)には今は母校で教えていると風の便りで聴いたこともあるが、政治学者の宮本太郎もいた。日共に君臨しつづけた宮本顕治の倅である。あの頃、宮本太郎はシャミンではなかった。もう40年も前の話である。オレは家永三郎ゼミに属していたのだけれど、このゼミで若松孝二の「犯された白衣」の上映会も企画したことがある。
もう一つ。同じクラス同じサークルにいた奴の兄貴が明大映研にいて、現在、オレの仕事を手伝ってくれている高崎俊夫の仲間であった。私は高崎とは東京アドエージで知り合うことになる。そうそう今読んでいる佐々木史朗の「時の過ぎゆくままに」(ワイズ出版)は、編集にかかわった高崎から献本されたものだ。長崎俊一をしっかりと押さえているところが好感の持てる一冊であった。
https://honto.jp/netstore/pd-book_29367968.html
https://twitter.com/wides_shuppan/status/1059716873661505536

◎元「DIME」編集長は元広報室長でもある。
https://gunosy.com/articles/RwWfB
https://dime.jp/genre/624152/
オレは43cmの鬼カサゴを釣ったことがある。

◎「日経 xTECH」が「静止画ダウンロードの違法化を推進する理由、講談社の見解」を掲載している。乾智之広報室長の発言。
ブロッキングも選択肢の1つとしてあり得ると考えている。ただ大前提として、『通信の秘密』や『検閲の禁止』などを規定した憲法第21条に抵触しないとの解釈が成立するなら、の話だ。
この半年間の議論で、専門家の多くが『ブロッキング法制化は憲法に触れるのでは』と声を上げ、世論もそれを支持した。そんな中、ブロッキング法制化の推進が最優先事項になることはあり得ない。
講談社にとって優先順位の1、2位はリーチサイト規制と静止画ダウンロード違法化だ。その次に、新たな法整備を伴わないフィルタリングや広告出稿抑制、著作権の普及啓発などがある」
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/01245/
ブロッキング法制化の推進が最優先事項になることはあり得ない」と踏み込んで発言していることに注目したい。

◎累計10万部突破の「1日10分でちずをおぼえる絵本」でおなじみの、あきやまかぜさぶろうによる「1日10分なるほど国旗のお話絵本」と「1日10分 なるほど国旗のお話絵本 ぬりえブック付き」が白泉社から発売となった。白泉社は児童書出版社として着実に実力を蓄えつつある。
http://www.dreamnews.jp/press/0000184607/

◎関西の老舗ファッション誌「カジカジ」を母体とし、交通タイムス社が運営するウェブメディア「COMEPASS コンパス」は、11月1日に2014年のスタート以来、初の大型アップデートを行った。
https://www.atpress.ne.jp/news/170280

朝日新聞デジタルは11月12日付で「ユダヤ人権団体、BTSに謝罪要求 かぎ十字似の旗振る」を掲載している。ユダヤ人権団体とは「サイモン・ウィーゼンタール・センター」である。藝春秋の「マルコポーロ」に対してホロコーストを否認する記事を掲載したとして抗議し、休刊に追い込んだ団体である。
https://www.asahi.com/articles/ASLCD4T4BLCDUHBI01C.html

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4)【深夜の誌人語録】

省略は短絡に通じる。