【文徒】2018年(平成30)11月29日(第6巻224号・通巻1398号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】藝春秋OBの勝谷誠彦が肝不全で亡くなった
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2018.11.29 Shuppanjin

1)【記事】藝春秋OBの勝谷誠彦が肝不全で亡くなった

勝谷誠彦が肝不全で亡くなったことが公式ホームページで公表された。
「今年8月に『腹痛と膨満感で、3分ほども座ってられない』『まえ屈みだと、右脇腹に激痛が走る』などと激しい腹痛を訴えて緊急入院した。その後『重症アルコール性の肝炎』と診断されて治療を続けていた」(「日刊スポーツ」)
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201811280000165.html
たかじんのそこまで言って委員会」「スッキリ」などテレビ番組にも数多く出演していたコラムニストだが、勝谷は藝春秋のOBでもある。勝谷は新卒で藝春秋に入社し、写真誌「Emma」編集部に配属された。勝谷は一年目からデスクをつとめていたという。
「もともと編プロでライター連中をまとめていたから、特派記者やカメラマンの扱い方は、上のひとたちよりよっぽどわかっている」
柳澤健が光社の「小説宝石」で連載している「2016年の週刊春」で、「Emma」を取り上げた「第11回 忌み嫌われた雑誌」で柳澤は勝谷の歯に衣を着せぬ肉声を伝えているのだ。勝谷は藝春秋にとって「Emma」はインパール作戦ったとも喝破している。
牟田口廉也中将みたいな無能な上官が、人もカネも戦略もないまま、ただ『FOCUS』みたいな雑誌を作れと俺たち兵隊に命令を下した。俺には『FOCUS』にも『FRIDAY』にも知り合いがいたから知ってるけど、『Emma』の人数はフリーも含めて五分の一くらい。要するに大東亜戦争の末期に竹槍を持ってB29に突撃しろ、みたいなものですよ。
誰だったか忘れたけど、上の人間に『この体制でどうするんですか?』って聞いたら『お前らが気合いでやるんだよ!』って叱られたことがある。今でも忘れられない。
(中略)
無能な上官が立てた作戦が失敗して、案の定戦争に負けると、我々を忌み嫌っていた連中は、ここぞとばかりに悪口を並べた。
上官はひとりも責任をとらず、すべては曖昧なままで終わっていく。日本的といえば日本的だけど、春も相当なものだと思うよ」
こうした勝谷の発言を藝春秋に対する「愛情」と読めるかどうかである。むろん、私は「愛情」だと思う。
https://www.kobunsha.com/shelf/magazine/current?seriesid=104001
春野球コラムペナントレース2018横浜担当のフリーライター黒田創がツイートしている。
「僕のライターの師匠が春で仕事してた頃の担当が当時社員の勝谷誠彦で、地方出張時の風俗代を経費で切りすぎたため最後はウチの師匠が使った事にして提出。後日師匠が別件で精算申請したら経理部の女性に『まさか◯◯さんがそういう所へ行く人とは思いませんでした!』と軽蔑された話を思い出しました」
https://twitter.com/kiwi_allergy/status/1067579252906721280
勝谷は学生時代から風俗ライターの仕事をしていたのである。柳澤の連載で勝谷は、こうも語っている。
「『Emma』に入った時の僕は、まだ風俗ライターの仕事を切り切れていなかった。編集部からソープの店長に電話をかけて『明日、店に行くよ。わかった、白夜(書房)の雑誌に書くから』なんてしょっちゅう話していたから、隣の席にいた東大卒で芸志望のTさんが精神的におかしくなって、ある日、自分の机を壁際に持っていっちゃった。気がつけば電算室に異動になっていて、二度と編集ラインには戻ってこなかった(笑)」
産経ニュースが「『天才的で優秀』『何でもできる人』 勝谷さん偲ぶ声続々」を掲載している。小川洋子は、勝谷と早稲田大学第一学部の同級生だった。小川は、こう話している。「才能がありすぎて何でもできる人なので周りが放っておかず、色んなことを全部やったのだと思います。ただ、本当にやりたいことは小説なんだと話していて、私のことを認めてくれて学の話をよくしていました。これから、腰を据えて小説が書ける年齢になっていくところだったので、とても残念でショックです」
https://www.sankei.com/west/news/181128/wst1811280033-n1.html
勝谷の小説「ディアスポラ」は庫から刊行されている。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167900342
花房観音のツイート。花房は東良美季の紹介で勝谷誠彦と知り合ったという。
勝谷誠彦さんが亡くなりました。とても優しい人で、素晴らしい才を持つ小説家でした。まだ57歳、これから生きていたらたくさんの章を紡ぎ出せたのにと思うと残念です。選挙等、一緒にいて楽しい世界を見せてくれました。感謝しています」
https://twitter.com/hanabusakannon/status/1067562501410250752
花房は勝谷にインタビューしている。こんなことを語っている。三尋狂人というペンネームを持っていたという。みのり書房から風俗ライターに転進する。学生時代の話である。
「当時、愛読していた少年愛雑誌に『JUNE』とか『アラン』とかあって、その『アラン』の発行元がみのり書房だった。で、フリーライターって肩書き入れた名刺をつくってサングラスかけて、少なくとも25歳ぐらいに見えるようにして営業行った」
http://hanabusa-kannon.com/joko/1545/2
http://hanabusa-kannon.com/joko/1545
下流老人」「貧困世代」の藤田孝典も勝谷と交流があったようである。藤田のツイート。
勝谷誠彦さんの訃報。57歳。早すぎる。2年前の尼崎医師会でご一緒した際の写真。テレビ番組でも一緒に酒飲んだなー。ご冥福をお祈りします」
https://twitter.com/fujitatakanori/status/1067575913720635392
樋渡優子は藝春秋OGである。フェイスブックで勝谷を追悼している。
「そのうち、勝谷さんが春をやめることになり、新宿通りの向こうのビルの中のお店で、有志による壮行会が開かれました。私は週春の仲間でも週刊編集部の勤務経験もなかったのですが、『ひわたりにも声かけて、って勝谷さんが言ってるから』と週刊の幹事にさそってもらって、行ったのを覚えています。
パーティの途中、主賓の勝谷さんが『ひわたりさん』と声かけて、くれて、ストールに座ってちょっと話しました。『僕は今日でやめるけれど、これからもがんばって。あとは頼んだよ』と言われて、勝谷さんのえもいわれぬ気持ち、春を離れることの寂しさを感じ、
その言葉を受け止めました」
https://www.facebook.com/yuko.hiwatari/posts/2487186944687281
有田芳生も呟いている。
勝谷誠彦さんが亡くなったと連絡がありました。2018年11月28日午前1時48分。勝谷誠彦は故郷の尼崎で57年間の人生を終えました。思想的立場は違えども、拉致問題解決のためにニューヨーク・タイムズやル・モンドなどに掲載する意見広告運動の同志でした。ありがとう。お疲れ様でした」
https://twitter.com/aritayoshifu/status/1067546958867374081
ラジオ・パーソナリティの松本ともこのツイート。
勝谷誠彦さんが亡くなったニュースに驚いています。残念です。『ストリーム』でご一緒した日々。鮮やかなるトーク、政治からサザン、美味しいものの話!お顔と言葉がたくさんたくさん浮かびます!!ご冥福をお祈りします」
https://twitter.com/djmappie/status/1067556002264899584
イスラム学者の中田考は勝谷の灘校同期である。中田がツイートしている。
「勝谷君さようなら」
https://twitter.com/HASSANKONAKATA/status/1067504655775686656
二人は「日本でいちばんイスラームを知っている中田考先生に、灘高で同級の勝谷誠彦が教えてもらった! 日本一わかりやすいイスラーム講座」をアスコムから刊行している
柳澤健が「春オンライン」に「追悼・勝谷誠彦 “恐るべき新人”だった春時代」を発表した。
「私が現在『小説宝石』で連載している『2016年の週刊春』のために、インタビューを頼んだのは今年の6月。約束の昼12時千代田区二番町のマンションにある仕事部屋に行くと、いきなりワインが出てきたから驚いた。
私に直接言うことはなかったが、連載担当から、勝谷さんが『2016年の週刊春』を褒めてくれました、と聞いてうれしかった」
勝谷誠彦は精いっぱい生きたのだ。
さようなら、勝谷誠彦
君は天才だった」
http://bunshun.jp/articles/-/9849

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2)【本日の一行情報】

◎ReproのAI・機械学習の研究開発チーム「Repro AI Labs」は集英社の協力のもと、マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」でAIによりアプリから離脱しそうな傾向にあるユーザーを予測できるか、またその予測したユーザーを離脱させないことができるかどうかを検証する実証実験を行った。
アプリから離脱しそうなユーザーをAIで予測すると、AIの予測誤差を約10%に留めることができた。
予測したユーザーのうち、再訪確率のより低いユーザーの再訪率が増加したことが確認できた。このことから、再訪確率の低いユーザーに特典付きのプッシュ通知を配信することで、ユーザーの離脱を防ぐことが可能であることがわかった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000072.000013569.html

◎「ダイヤのA actⅡ」のTVアニメ化が決まった。同名の原作は「週刊少年マガジン」に連載されている。
https://news.ponycanyon.co.jp/2018/11/28112

◎AbemaTVの「AbemaSPECIALチャンネル」で、Popteenカバーガール戦争」#4が11月23日に放送されたそうだ。Popteenの「2軍モデル」である「レギュラーモデル」の11人が、雑誌の表紙を飾ることができる「専属モデル」を目指し、さまざまな企画に挑戦するという番組だという。「Popteen」の版元は角川春樹事務所。
https://abematimes.com/posts/5305926
雑誌を盛り上げるためには、このくらいの仕掛けは必要だろう。

◎知らなかったけれど「エル シネマアワード2018」なんてのがあるのね。「エル ベストアクトレス賞」は寺島しのぶ。「エル メン賞」は東出昌大。「エル ベストディレクター賞」には三島有紀子
https://natalie.mu/eiga/news/309541

◎「Business Journal」が「新聞、18歳の過半数が『将来読まない』…会社員や経営者の間で『新聞不要論』広がる」を掲載している。
https://biz-journal.jp/2018/11/post_25628.html

◎「チケットぴあ」が「パナソニック×ぴあがJ1で電子チケット実証実験!」を掲載している。
「2025年万博の開催地が大阪に決まった日、1970年万博の地で実証実験が行われた。11月24日・パナソニックスタジアム吹田での『明治安田生命J1リーグガンバ大阪×V・ファーレン長崎にて、チケッティングの電子化によるスタジアム体験価値向上の実証実験が実施されたのだ」
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201811260003

◎「サウジアラビア―変わりゆく石油王国」や「ジハード主義――アルカイダからイスラーム国へ」の著者として知られる保坂修司はフェイスブックのアカウントを永久に停止されてしまったそうだ。ニューズウィーク日本版」の連載で保坂は書いている。
「わたしのアカウントは結局、何が問題だったのだろう? 関係者のかたにはぜひとも教えてもらいたいものだ。もう立冬もすぎたが、『物言えば唇寒し秋の風』の故事が思い浮かぶ。とはいえ、物をいった自覚すらないのに秋風が吹いてしまうのは、ことさらに気分がよくない」
https://www.newsweekjapan.jp/hosaka/2018/11/post-25_1.php

◎「BuzzFeed News」が掲載した「BTSの誤情報、ドワンゴのニュースサイトが一部記事の配信を停止」は次のように書いている。
「インターネットメディア『Buzz Plus News』(バズプラスニュース)が韓国アイドル『BTS』に関する誤情報などを掲載していたことを受け、ドワンゴが運営する『ニコニコニュース』への記事配信を停止したことがわかった」
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/bts-gunosy-niconico2

◎枻出版社のディスカバー・ジャパン事業部門が「株式会社ディスカバー・ジャパン」に事業譲渡された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000039497.html

◎Teads Japan(ティーズ ジャパン)は、ハースト婦人画報社に、クリエイティブ制作ツール「Teads Studio」を国内で初めて提供することとなった。Teads Studioとは、Teads が独自の技術をもとに開発した、リッチでインパクトの高いインタラクティブなクリエイティブを簡単に制作することができる広告クリエイティブ制作ツールである。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000039273.html

電子書籍総合ストア「BOOK☆WALKER」は、角川庫創刊70周年を記念して、11月30日(金)2:00から12月2日(日)23:59までの「70時間全試し読み」フェアを実施する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000952.000001227.html
https://bookwalker.jp/ex/feature/kadobun-70th/?adpcnt=7qM_Mn

◎「ジブリ庫 シネマ・コミック」シリーズの電子版の配信が12月4日(火)より開始される。
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1542861435

◎「BuzzFeed」が「ダイナースクラブの広告記事、『厳しいご指摘を頂いている』早期に掲載終了」を掲載している。「ゲーテウエブ」に掲載されたダイナースクラブの広告記事が削除されてしまったのである。この記事を読むと楽天カードビックカメラSuicaカードを揶揄するような表現があったためだと思われる。
https://www.buzzfeed.com/jp/narumi/diners

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3)【深夜の誌人語録】

涙を怒りに鍛え上げろ!