【文徒】2017年(平成29)12月8日(第5巻231号・通巻1160号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】最近書店閉店事情
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】最近書店閉店事情

村上春樹氏のファンが集う「聖地」として千駄ケ谷の書店「ゆう」が12月3日に閉店した。
https://mainichi.jp/articles/20171204/k00/00e/040/183000c
村上春樹を読むヒント」(ロングセラーズ)の土居豊のツイート。
村上春樹がジャズバーを経営していた千駄ヶ谷の『ブックハウスゆう』、店主の斎藤さんとは拙著を置いてくださったご縁で知り合い、ノーベル文学賞イベントでも西宮との同時中継を試みたり、とお付き合いいただいています。閉店は残念ですが、今後も応援しています」
https://twitter.com/urazumi/status/937630514978045952
日本初の子ども絵本専門店である「メルヘンハウス」が、来年3月31日(土)をもって閉店することになった。
「日本初の子どもの本専門店として知られる『メルヘンハウス』(名古屋市千種区今池)が、来年3月末で45年間の歴史に幕を下ろす。良質な児童書をそろえて子どもにも親にも親しまれてきたが、近年はネット通販の普及で経営が悪化。利用客ら関係者に『迷惑がかからないうちに』と閉店を決断した」(11月17日付中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017111702000070.html
三輪哲代表はホームページで閉店を告げた。
「ただ、ここにきて諸般の事情による経営的な苦しさが目立ち始め、閉店する事が避けられなくなりました。皆様とメルヘンハウスでお会いし、楽しい時間を持つことができなくなります。残念至極です。皆様の心の中にいい思い出としてメルヘンハウスがあって欲しいと願っています」
http://www.meruhenhouse.co.jp/8873.html
出版社で働いている「moto」のツイート。
「名古屋『メルヘンハウス』閉店へ。中日新聞(11月7日付朝刊)の記事。子供たちにとって夢のような場所ではなかったかと思う。とっても残念。本当に残していかなければならない商売とは何か、大切な価値は何か、どこで買い物をすればいいのか、よくよく考えて買い物をしたい」
https://twitter.com/mocchan24/status/934206951784775680
利用者にとっては衝撃的なニュースであったようだ。
「メルヘンハウスさんが来年春にお店を閉めてしまうという衝撃的事実が発覚… 17?20年ぐらい前の子供の頃 よく親に連れて行ってもらった記憶があります。
名古屋で育った子なら一度は行ったことが有るんじゃないかと」
https://twitter.com/MkHTszk/status/934049661165346817
「メルヘンハウスがなくなるという新聞記事にいまだ動揺がおさまらない。
わが身の存在価値と(レベルが違いすぎるのは十二分以上に承知のことながら…)重ねてしまっているのかしら。この地に来て30余年、数少ない少ない少ないー息ができる空間だったから」
https://twitter.com/suzuno3/status/932942629834067976
安城市図書情報館の公式アカウントのツイートも痛切。
「11月17日(金)の日めくり展示は『メルヘンハウス閉店』です。名古屋市にある子どもの本専門店、メルヘンハウスが来年3月に閉店することとなりました。日本初の子どもの本の専門店で良質な品揃えが魅力でした。ここで運命の一冊に出会った子どもたちも多いはず。閉店が惜しまれます」
https://twitter.com/Anjo_Library/status/931358425367248896
神戸新聞によれば神戸市東灘区の岡本で40年以上愛された小さな児童書専門店「ひつじ書房」が12月3日に閉店した。
ひつじ書房は平松さんが図書館の司書として勤務していた42年前、夫とともに開いた。ポリシーは、目に付きやすい派手な本や売れ筋の本ではなく、言葉にこだわって選んだ本だけを置くこと。『ここに来たらほしい本が見つかる』と信頼されるようになった」
https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/201712/0010778821.shtml
閉店前日には大行列ができた。この写真を見よ!
https://twitter.com/MomOsacana/status/936866909059821568
ひつじ書房閉店のご挨拶【ご親族よりの伝言】」は次のように書いている。
「思えば、形ある書店という物はなくなりましたが、店主平松二三代が、夫である故平松泰とともにささやかに蒔いてまいりました、『本好きの子ども達を増やしたい』という種は、多くの方々の心の中や生活で芽吹き、根をはり、花を咲かせ、更に次に受け継がれる種が落ちていくだろうと確信している日々でございます」
http://www.kobe-okamoto.or.jp/index/detail/139/?platform=hootsuite
小石川のこどもの本屋「てんしん書房」はこうツイートしている。「精神のリレー」はつづく。
「てんしん書房はひつじ書房で蒔かれた幾多もの種のひとつです。私の下の名前は智幹といいます。
いただいた種を立派な幹に育て、同じように次へと受け渡していきます。本当にありがとうございました!」
https://twitter.com/kodomo_honya/status/937311252556128256
こういう読者がひつじ書房を支えて来た。
「さよなら、ひつじ書房
うちにあった1000冊ちかい児童書のほとんどは母ガエルさんがここで求めた本だ。当時刊行されてた『岩波少年文庫』は、ほぼ全部。子どもの頃に読んだもの、それが、知識や考え方の土台になっているとするならばそれはおおむね『ひつじ書房』という港から入ってきたものなんだ」
https://twitter.com/kasumyon/status/937304635441758210
六畳書房店番の武藤拓也は次のように書いている。
「2017年11月末をもって六畳書房は休店しました。
今までご来店、また遠方より応援いただきまして誠にありがとうございました。
特に一口店長とお呼びした寄付者のみなさまには多大なる感謝を申し上げます。
三年間ボランティアで運営してきましたが、現在のあり方で存続することは限界と判断させていただきました。これはひとえに私の力不足です。
今後は無店舗でやれることをやれる範囲で模索してまいりますので、引き続きご理解と応援の程どうぞよろしくお願い致します」
http://kazete-urakawa.tumblr.com/
北海道新聞によれば「六畳書房の閉店により、浦河、様似、えりもの日高東部3町に再び書店がなくなった」わけである。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/147572
月の売上が3万円では、いくら何でも継続は無理なのだろう。
https://uhb.jp/news/?id=3234
しかし、ツイッターには未だ閉店を惜しむ声が投稿されていないようだ。
https://twitter.com/search?q=%E5%85%AD%E7%95%B3%E6%9B%B8%E6%88%BF&src=typd
大阪市北区天満橋の西日本書店OAP店が11月30日(木)をもって閉店。
「この度、西日本書店OAP店は諸般の事情により11月30日をもちまして閉店させていただくこととなりました。
平成11年9月より18年に渡り、皆様にご愛顧いただきましたことに心より御礼申し上げます。
従業員一同、本が好きという一念で書店員という仕事を続けてまいりました。私たち以上に本がお好きなお客様に教えていただくことも多く、OAP店では充実した年月を過ごすことができました。重ねて御礼申し上げます。
今後は、天神橋二丁目・南森町の本店を引き続きご愛顧いただければ幸いです。お客様にはこれからも良書との出会いと、御多幸あることを従業員一同お祈りしております」
http://www.books-nishinihon.com/archives/5565
文教堂書店カレッタ汐留店が12月29日をもって閉店。電通の地下にあった書店である。電通の地下でも本は売れない!
https://twitter.com/ukiyocchi/status/936397378839392256
クロニクルブックス 代官山が12月27日(水)をもって閉店。サンフランシスコに本拠地を置く出版社クロニクルブックスの直営店である。
http://chroniclebooks.co.jp/daikanyama-2
広島県三原市TSUTAYAフジグラン三原店が2018年1月14日(日)をもって閉店。CD・DVDのみレンタル棟にて今後も販売を継続するそうだ。
http://store-tsutaya.tsite.jp/storelocator/detail/6715.html

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2)【本日の一行情報】

◎「月刊アクション」(双葉社)で連載され、第19回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門優秀賞を受賞した田亀源五郎「弟の夫」のNHK BSプレミアムでドラマ化され、2018年3月に、3回にわたって放送される。主人公である兄役を佐藤隆太、弟の夫役を元大関でタレントの把瑠都が演じる!同性婚がテーマだ。
https://natalie.mu/comic/news/259588

◎来年2月スタートの東海テレビ・フジテレビ系連続ドラマ「家族の旅路 家族を殺された男と殺した男」(毎週土曜 後11:40)の原作は小杉健治の小説「父と子の旅路」(双葉社)だ。
https://www.oricon.co.jp/news/2101844/full/
東海テレビが昼から深夜に場所を移したわけだけど、コテッとしたドラマが得意なだけに当たる可能性があるな。

朝日新聞によれば、「望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28)が元TBS記者の男性ジャーナリスト(51)に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が5日、東京地裁鈴木尚久裁判長)であった。男性側は争う姿勢を示した」。
http://www.asahi.com/articles/ASKD546XSKD5UTIL027.html
産経新聞によれば、「元TBS記者の男性に乱暴され精神的苦痛を負ったとして、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28)が男性に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が5日、東京地裁鈴木尚久裁判長)であった。男性側は出廷せず、請求棄却を求める内容の答弁書を提出した」。
http://www.sankei.com/affairs/news/171205/afr1712050047-n1.html
朝日は訴えられた男性が「請求棄却を求める内容の答弁書を提出した」とは書かずに「男性側は争う姿勢を示した」と書いた。

◎「Yahoo!検索大賞2017」はブルゾンちえみ。私はブルゾンちえみを検索したことがない。俳優部門賞は高橋一生。女優部門賞は吉岡里帆。アスリート部門賞がアン・シネ。モデル部門賞が泉里香、などなど。おっと作家部門賞ってのもあるの!これはカズオ・イシグロ。アニメ部門賞が「けものフレンズ」、小説部門賞が「夫のちんぽが入らない」(扶桑社)などなど。
https://searchaward.yahoo.co.jp/

原寿雄が亡くなった。92歳。元共同通信編集主幹。ツイッターから原の死を惜しむ声を拾った。
原寿雄さんが亡くなった。報道やジャーナリズムに関する様々なことを、その書籍から、直接のお話の中からも、何度も教わった。大変お世話になりました。合掌」(綿井健陽)
https://twitter.com/wataitakeharu/status/938304070821048324
「『デスク日記』は、何度もその名を聞きながら未読。いまの時代に可能だろうか?ご冥福を」(朝日新聞・谷津憲郎)
https://twitter.com/yatsu_n/status/938580252426584064
原寿雄さん、亡くなったのかあ」(安田浩一)
https://twitter.com/yasudakoichi/status/938586145335623680
「おお……合掌」(西岡研介)
https://twitter.com/biriksk/status/938365425049509888
「学生の頃、原さんの本を読みながらジャーナリズムを志しました。ご冥福をお祈りします」(朝日新聞・渡辺志帆)
https://twitter.com/shiho_watanabe/status/938309310832173061
私は小和田次郎名義の「ジャーナリストへの条件」を学生時代に読んだことを記憶している。しかし、あまり影響を受けなかった。

◎週刊誌の仕事において何よりも優先させるべきはエライ人を斬ることである。もうひとつ言わせてもらうならば週刊誌にとっての公共性とは読者とともに喜怒哀楽を共有することである。
http://www.sankei.com/politics/news/171206/plt1712060017-n1.html
私などからすれば倉持麟太郎弁護士もエライ人である。

エイ出版社の月刊誌「Discover Japan」のオリジナルアプリが一般公開された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000058.000022918.html

◎hontoのフリーペーパーから生まれた人気コンテンツ「クリエイターズ・ファイル」を用いた展覧会を全国の商業施設で実施している。この「クリエイターズ・ファイル祭」では、キャラクターの作品や映像、衣装などを展示し、来場者に交換チラシを配布し、指定のhonto連携書店にチラシを持参するとオリジナルしおりをプレゼントしたところ、大阪会場においては、イベント参加者の約半数が来店に至ったそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000186.000009424.html

博報堂DYメディアパートナーズは、コンデナスト・ジャパンと共同で、西暦2000年以降に成人を迎える(1980年〜2000年代初頭生まれ)女性の「ミレニアル世代」のファッション、ラグジュアリーブランドに対する意識や関心、購買行動や購買意欲に関する調査を実施した。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/12/HDYMPnews20171207.pdf

岩手日報の記者が岩手県岩泉町の伊達勝身町長からわいせつ行為を受けていたようだ。産経は次のように書いている。
岩手日報によると、伊達町長は10月中旬の早朝、取材目的で泊まっていた町内の記者の宿泊先を訪ね、何度も部屋のドアをノックした。記者が開けると部屋に入り、抱きついて複数回キスをしたという。町長は自宅から向かったとみられる」
「被害を訴えている女性記者は精神的ショックで休職しており、刑事告訴を含めて検討している」
http://www.sankei.com/affairs/news/171206/afr1712060011-n1.html

◎私は日本語を使う日本人として、こういう書き方が好きになれない。
「事あるごとに『言論の自由』を真っ先に叫び続けてきた貴社の立場から言えば、このような重大な文言を発出する以上、『言論の自由』を逸脱するfactに関する明白で著しい誤謬か、logicに関する明白で著しい嘘の事実構成が緻密に指摘されているべきですが、貴社申入項目は、殆どが私の『表現』か『意見言明』への苦情に過ぎません。これで賠償の要求とは、一般社会の通念に照らしても常軌を逸しています」
ここで使われている「fact」やら「logic」は、どうしても日本語に置き換えられない表現なのだろうか。日本語にカナ表現があることすら忘れてしまっているのだろうか。どこの国の「文芸評論家」なのだろうか。アメリカ人ってか!
http://psij.or.jp/2017/12/06/20171206_02-2/
飛鳥新社も〈小川榮太郎著「徹底検証『森友・加計事件』」に対する朝日新聞社申入書への回答〉。さすがに「fact」やら「logic」といった表現は使っていなかった。まだ日本の出版社なんだね。安心した。
http://www.asukashinsha.co.jp/news/n22653.html
「愛国」を偽装した「売国」ほどタチの悪いものはない。これが私の「表現」であり、「意見言明」である。

青春出版社の「BIG tomorrow」も惜しまれて休刊する雑誌の一つである。この「社長」の発言が「BIG tomorrow」の本質を捉えている。
「あのころ、編集部と読者のあいだに『ホットライン』という仕組みがあって、困ったときにはいつでも電話すれば部員が直接相談に乗ってくれた。弁護士や心理士が指導してくれたりもした。お世話になった人、結構いると思いますよ」
https://style.nikkei.com/article/DGXZZO24094840Q7A131C1000000?channel=DF180320167076

サカナクションボッテガ・ヴェネタ、マガジンハウスの「GINZA」、集英社の「MEN'S NON-NO」のコラボレーション動画が12月9日に公開される。
https://www.cinra.net/news/20171207-midnightdaydream

ピースオブケイクは、12月6日に「スマート新書」を創刊し、「noteのノート」「cakesの手帳」「自分への取材手帳」を発売開始した。
「スマート新書」は、「手のひらにおさまる教養」をコンセプトにした、横82mm×縦148mmのスマホサイズの新書のシリーズ。ページ数は100ページ前後で、30分程度で読むことができる内容となっている。創刊ラインナップは竹川美奈子「お金に困らない人生を送るための マネープラン入門」、古賀史健「みんなが書き手になる時代の あたらしい文章入門」、清水亮「知識ゼロからの 人工知能入門」、はあちゅう「自分への取材が人生を変える」。
https://www.pieceofcake.co.jp/n/n2b51fc563561

◎ともに10周年を迎えた集英社の「ジャンプSQ」と寝具ブランド「エアウィーヴ」がコラボ企画を実施。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000027726.html

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3)【深夜の誌人語録】

配慮も忖度も政治である。