【文徒】2018年(平成30)2月6日(第6巻22号・通巻1196号)

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1)【記事】ソフトバンク吉野家の牛丼無料」で大行列、大渋滞&炎上騒ぎ
2)【本日の一行情報】

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1)【【記事】ソフトバンク吉野家の牛丼無料」で大行列、大渋滞&炎上騒ぎ(岩本太郎)

ソフトバンクが携帯サービスの10周年を記念して一昨年秋から行っている「SUPER FRIDAY」をめぐり、先週末にネットとリアルの双方で騒ぎが発生した。2日はソフトバンクスマホユーザーを対象に牛丼チェーンの吉野家で牛丼が無料でもらえる(特に学生は2倍)クーポン券を配布したのだが、これにより各地の吉野家店頭にタダで牛丼をもらいに来たユーザーが一斉・大量に来店。そのため店頭に大行列が発生したばかりか、ロードサイド店では入店待ちの車が原因で渋滞が発生する騒ぎまで起こってしまったというのだ。
https://www.softbank.jp/mobile/special/super-friday/#/boards/superfriday
『JCASTニュース』は「ディズニーなみ」の大混雑で「本当に迷惑」との声も上がったと伝えている。駅構内にある店も多いことから、JRの駅員が整理にあたったケースなどもあったらしい。
https://www.j-cast.com/2018/02/03320370.html
Twitter上でもさっそく、各地のユーザーが現場からの写真も添えながら各地の模様をレポートする祭りが始まった。さっそく以下のまとめサイトがこんな声を紹介している。
《行列になってたから何事かと思ったらソフトバンクユーザーが吉野家1杯無料らしい、なんという貧困ビジネスやねん》
《わざわざ500メートルも渋滞して寒い中行列作ってなんでそんなに吉野家に行きたいのよw立川とか行けばあるやろwww 》
新潟バイパス、竹尾IC過ぎたあたりから混み初めて桜木ICで完全にストップするくらい酷かったので何で渋滞してるのかと思ったら、渋滞の先頭は女池IC降りた先の吉野家の入店待ち渋滞だったw 主要道路を7.5kmも渋滞させるって尋常でない》
ソフトバンクユーザーは、牛丼のために並ぶ前に格安スマホへの乗り換えを検討したほうが幸せになれると思う。ソフトバンクも、吉野家とそのご近所に迷惑かけるぐらいなら基本料金下げればいいのにと思う》
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65912045.html
https://matome.naver.jp/odai/2151757028660139301
ソフトバンクが同キャンペーンで吉野家の無料クーポン券を配布したのは一昨年10月以来これが二度目だという。そこから「交通誘導や人員整理などの対応がもっとしっかりできなかったのか」といった批判も上がっているようだ。
もっとも、今のところこの件に関して吉野家に対して直接見解を取材したネットメディアは私のほうで確認した限り見つからなかった。唯一、上記のネットユーザーたちとはまったく別の観点からこの件を問題視し、ソフトバンクまで直接抗議したというのが、ニュースメディア『MyNewsJapan』のオーナー兼編集長の渡邉正裕だった。渡邉は元日経新聞記者だが、在職中に社内の様子に疑問を感じるようになったことから自らのウェブサイトで内部告発を行い、それを見とがめた会社側から出勤停止・資材部への配転などの処分を食らったあげくに退職。処分の無効と未払い賃金の請求で日経を相手に裁判に訴え(敗訴が確定)、外資系企業勤務を経て『MyNewsJapan』を独自に設立した人物である。今回は抗議した内容を自らのTwitterアカウントで以下のように報告している。
《昨日ソフトバンクに猛抗議した。「広告配信拒否設定してるユーザにまで全員無差別にショートメッセで無料クーポン送りつけるってどういうことだよ、それ違法行為だろ、吉野家から貰ってる広告費をちゃんとおれに還元するんだろうな」と。「すみません止めるのに3週間かかります」だと。今すぐ止めろ》
https://twitter.com/masa_mynews/status/959439654838665216
《これ明らかに、個人情報の目的外使用だから。顧客名簿を吉野家に売ってカネ儲けしてる。個人情報保護法違反。しかも確信犯で、組織的に全ユーザに対してやってる。ソフトバンクはそういう犯罪を平気でやるカネ儲け第1主義の汚い会社です》
https://twitter.com/masa_mynews/status/959466711240998912

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎安倍首相の国会答弁をきっかけに話題になった「エンゲル係数」について、手法答弁のあった翌日の1日にWikipedia上での説明が何者かによって「重要度が下がっている」「以前ほど重要視されてはいない」「必ずしも役だたなくなった」などと、安倍首相の「独自解釈」を応援(?)するかのような文意に書き換えられていたことがTwitterユーザーの指摘により発覚。もっとも、そうした説の根拠として小説の記述を持ってきていることなどから一蹴され、現在はほぼ元の記述に修正されている。ネットメディア『BUZZAP』が指摘したユーザーによる当該ツイートや、一時「改ざん」されたWikipedia画面のスクリーンショットなども挙げながら経過をレポートしている。
http://buzzap.jp/news/20180202-engels-law-wikipedia/

◎ネットを通じてクリエイターなどに100円から“投げ銭”できるサービスとして2月1日14時頃にオープンした「Osushi」に対し、しょっぱなから「二重決済された」「同意なしにクレジットカード情報が記憶される」などの批判が殺到。同日の21時頃には「いったんメンテナンスモードに入る」として早くもサービス休止。運営元のウォンタ(新宿区)はユーザー情報や決済情報を全て削除し、全ユーザーへ返金した旨を発表した。5日夕刻時点でもサービスは止まったままだ。
https://osushi.love/
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1802/02/news090.html

◎新聞の「押し紙」問題を追い続けている黒藪哲哉のレポート。「押し紙」をめぐって千葉県内の元新聞販売店主が毎日新聞社を相手に約5800万円の損害賠償を求めて東京地裁に起こしていた民事訴訟が今春に結審する見込みだという。大量の「押し紙」により経営難に陥った店主が怒って配達拒否を通告し、これに対して毎日が取引契約を解除。他紙の配達もしていた関係から以後も毎日の店舗を使用していたところ、毎日側が店舗の明け渡しなどを求めて提訴し、これに対して店主も反訴の形で損害賠償訴訟に踏み切っていた。
http://biz-journal.jp/2018/02/post_22200.html
押し紙」訴訟はこれまでも朝日・読売・産経などの各紙を相手に起こされており、佐賀新聞でのケースは現在も進行中。黒藪はこちらも継続取材している。
http://www.kokusyo.jp/oshigami/11159/

◎東京都北区にある朝日新聞販売の従業員が、集金担当先だった自動車修理会社に侵入して小切手4枚を盗み、現金30万円を騙し取ったなどとして警視庁に逮捕された。
http://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye3283174.htm

日刊工業新聞が「大手印刷2社はこれから何の会社になるの?」と題し、大日本印刷の北島義俊、凸版印刷の金子眞吾の両社長にインタビュー。
《紙の印刷が減少しており、出版も厳しい状況だ。今後は印刷とテクノロジーをどのように活用していくかが求められる。当社としては、業務受託(BPO)やエレクトロニクスなどの事業をさらに成長させていきたい(略)通販関連企業向けの業務支援システムでは、アクセス履歴や購買履歴などを基にした商品紹介機能などにAIを活用している。また電気通信大学と共同で、人間のジェスチャーを学習するAIの研究も始めた。コミュニケーション機能が進化したロボットや、デジタルサイネージ電子看板)などに活用できる。店舗運営の効率化をはじめ、新商品開発、新規事業発掘などにつなげていく》(北島)
《「IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)が普及し、ビッグデータ(大量データ)が取得しやすくなっている。今後は取得したデータを生産や販促にどのように生かすかが重要になる。印刷産業にとって、情報を伝達するメーンの媒体は紙だ。それがデジタルに変わっていく中で、印刷産業もデジタル化に対応してきた。18年は、顧客の変化に印刷産業がどのように対応していくかという転換点になる》(金子)
http://newswitch.jp/p/11921

オリコン社長の小池恒は朝日新聞の取材に応え、CDの売り上げやダウンロード購入数などを合算して一つの指標にまとめた複合ランキングを今秋までに新設する方針を表明。アップルミュージックやスポティファイなどネットでの聴き放題サービスでの曲の再生回数も加味する方向という。
https://www.asahi.com/articles/ASL1T7HQJL1TUCVL02L.html
朝日新聞AERA』記者などを経てフリーランスとなり、後に『サイゾー』掲載の記事にオリコンランキングへの疑問を呈示するコメントを寄せたことでオリコンから5000万円の損害賠償訴訟を起こされた(後に和解)ジャーナリストの烏賀陽弘道がさっそくこれに応えてツイート
《気に入らないことを書くジャーナリストをSLAPP訴訟でいじめたりしてないで、10年前に経営改革してればよかったのにねぇ》
https://twitter.com/hirougaya/status/958332142932525057

宮内庁が「毎日放送放送法に基づく訂正放送への対応について」1月30日付で公式サイトにて苦言。同月9日にTBS系で全国放送された番組『教えてもらう前と後』の中における「ありえない解説」などを指摘したうえで次のように表明。
《以上の点については,視聴者からの指摘に基づき,会社として,放送法に定める訂正放送を行うとして宮内庁に謝罪の申し入れがあり,その後の番組終了後に,前回の放送で写真説明に間違いがあったとして訂正のテロップが流されました。しかし,テレビで一度放映されたものに訂正を加えることは,その時々の視聴者も変わることでもあり,したがって宮内庁としては,改めて以後このような間違いを繰り返さぬよう番組制作者に求めると共に,せめて制作責任者より当日の司会者,番組解説者である皇室コメンテータの高清水氏及び当日のゲストコメンテータの諸氏に,このことにつき責任ある説明を行うよう要望しました》
http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/koho/taio/taio-h30-0131.html

和歌山県太地町でのイルカ漁を題材として2009年に発表され、日本でも翌年の劇場公開の際には「反捕鯨映画」と呼ばれるなど物議を醸したドキュメンタリー映画ザ・コーヴ』の続編の制作が、同じ制作団体によって計画されているらしい。
http://www.sankei.com/west/news/180204/wst1802040010-n1.html

◎昨年秋に浮上した和歌山市での「ツタヤ図書館」問題(現行の市立図書館を和歌山市駅ビルに移転するに際し、事業者候補にCCCを和歌山市が選定)をめぐり、市民団体が関連資料の情報公開請求を同市に対して行ったところ大半が「非公開」とされ、黒塗り文書で開示されたそうだ。
http://kyouikublog.wpblog.jp/post-12028.html
http://www.yomiuri.co.jp/local/wakayama/news/20180202-OYTNT50266.html

堀江貴文が都内で3日に主催した分散型都市フェス「ホリエモン万博」のイベント「怒涛の講演会」に乙武洋匡が登場。当然ながら『週刊文春』などでの不倫報道(に対する批判)が大きな話題となる中で、乙武がこんなことを語っていたそうだ。
クラウドファンディングで『週刊誌、嫌だよね。懲らしめたいよね』と思っている人たちから出資してもらって、そのお金で探偵を雇って、文春か新潮かターゲットを決めて、ずっとひとりの編集員を尾行するんです》
https://www.oricon.co.jp/news/2105109/full/

ユニクロ潜入取材が大反響を呼んだ横田増生が『文春オンライン』で佐々木俊尚と前後編2回の対談。増田によると実はユニクロは「SNSの空白地帯」なのだそうだ。
SNSといえば、ユニクロでは、SNSでの発信は一切禁止されているんです》《最初に誓約書を書かされるので、ユニクロの業務内容については発信できません。例えば、休憩室で撮った写真もアップしちゃダメだと》《(業務時間外の発信も)守秘義務違反で、人事処分の対象となってしまう。だから、確かに3.11にしても、何か大きな事件があっても、誰かしら発信していますが、実はユニクロSNSの空白地帯になっているんです》
http://bunshun.jp/articles/-/6077
http://bunshun.jp/articles/-/6084

◎米国のファクトチェックサイト『ポリティファクト』副編集長のケイティ・サンダースが来日し、4日に日本のNPO「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」が主催した講演セミナーにゲストスピーカーとして登壇。ファクトチェックの評価基準や判断プロセスなどについて、実例を交えながら説明した。詳しい内容はおそらくFIJより近いうちに公表されることだろう。
https://www.asahi.com/articles/ASL24761KL24UTFK00C.html
http://fij.info/

◎『WEDGE Infinity』が『VoCE』3月号の次号予告に掲載された「『イエベ族』を救うワザ101」との1行をめぐってTwitter上で起こったという「炎上」を紹介している。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11825

◎故・井上靖が京大在学中内田吐夢が監督した映画『白銀の王座』(1935年公開)の脚本に関与していたことを、井上靖文学館(静岡県長泉町)と東京国立近代美術館フィルムセンターが1日に記者会見を開いて発表。都内中野区のNPO「古き良き文化を継承する会」代表理事の根本隆一郎が、雑誌『映画の友』1959年12月号に「内田さんと一緒にシナリオを書いた」という井上の発言を発見したことが発端。井上が脚本に関わった映画作品が特定されたのは初めてだという。
http://www.at-s.com/sp/news/article/culture/shizuoka/453117.html

石ノ森章太郎が高校時代に赤塚不二夫など仲間たちに呼び掛けて創刊した回覧用の同人誌『墨汁一滴』(全10号)のうちの第4号と思しき1冊が、和歌山県在住の石ノ森の元アシスタントの実家から見つかった。同誌は石森プロに全10号のうち6冊が保管されているが、第4号を含めた4冊はこれまで現物の行方が分かっておらず、本物だとすれば半世紀ぶりの発見だそうだ。
https://mainichi.jp/articles/20180203/k00/00e/040/219000c

◎2009年に亡くなった栗本薫の「ぼくらシリーズ」の中では未発表だった第2作『ぼくらの事情』の自筆原稿が発見されたと小学館が発表。『栗本薫中島梓 傑作電子全集』の第3巻「ぼくらの時代」に収録のうえ9日から配信されるという。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw3263121

◎出版梓会が中小出版社を顕彰する第33回梓会出版文化賞は石風社(福岡市)に、同特別賞は無明舎出版秋田市)に、第14回出版梓会新聞社学芸文化賞には左右社(渋谷区)がそれぞれ選ばれ、先月18日に日本出版クラブで贈呈式が行われた。産経新聞「手帖」が贈呈式の模様を紹介している。
http://www.sankei.com/life/news/180204/lif1802040026-n1.html

大宅壮一文庫は人物索引集を20年ぶりに紙でも発行(日外アソシエーツ)することを決定。ただし注文を受けてから印刷・製本するオンデマンド方式を採るとのこと。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018013002000124.html

◎1月26日にテレビ朝日系で放送された『タモリ倶楽部』にフリーランス校正者の境田稔信が出演。本業の傍ら「辞書コレクター」としても活躍し、自宅に国会図書館を超えるほどの蔵書を収集。現在も2日に1冊ずつ蔵書が増えているというその自宅内の様子が番組で公開され、ネット上でも話題になっているようだ。
http://halohalo-online.blog.jp/archives/1069806144.html
https://togetter.com/li/1193703

柳美里が参加していることでも知られる福島県臨時災害放送局南相馬ひばりFM」が3月25日限りで放送を終了することをTwitter公式アカウントで表明。東日本大震災発生翌月の2011年4月16日に放送を始めて以来、7年間に渡り被災地情報を中心に発信し続けてきた。
https://twitter.com/msfm795/status/958855003740848128
柳が同市内の自宅を改装のうえ準備中の書店(ブックカフェ)は翌4月にオープンするらしい。
https://motion-gallery.net/projects/fullhouse-odaka
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201711/20171123_63015.html

東京都府中市で今年8月の開局を目指して準備中のコミュニティ局「府中FM」の開局準備室が、2月10日からの毎週土曜日、連続5回の「ラジオ・フォーラム」を同市内の市民活動支援センターで開催する。第1回目となる10日は昨秋に『永六輔 時代を愛した言葉の職人』を平凡社新書から上梓した隈元信一が講演。隈元は元朝日新聞論説委員で、ラジオやテレビなどのメディア動向のほか原発問題もルポ、むつ支局長を経て2017年に退任した。
http://fuchu-fm.tokyo
ちなみに上記の案内チラシにもある通り、3月10日開催の第3回「市民メディアって何だ?」では私(岩本)が講師を仰せつかる予定。