【文徒】2018年(平成30)4月6日(第6巻63号・通巻1237号)

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1)【記事】シンクレアの既存メディア批判にトランプ大統領が助っ人
2)【本日の一行情報】【記事】アカヒが先陣を切り3Kが追従の醜い構図
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.4.6 Shuppanjin

1)【記事】シンクレアの既存メディア批判にトランプ大統領が助っ人

朝日新聞によれば3月、全米の地方テレビ局のキャスターが一斉に、同じ文言の「フェイクニュース」批判のメッセージを読み上げ始めたそうだ。
https://www.asahi.com/articles/ASL435H1CL43UHBI01T.html
全米の地方テレビ局はシンクレア傘下の地方テレビ局であった。朝日新聞が掲載した「米巨大メディア、193局を統制 シンクレア『一言一句変えてはならない』」は次のように書いている
「米国の地方テレビ193局を保有する巨大メディア企業『シンクレア』が、傘下局に対する統制を強めている。内容そのもの以上に、各局のアナウンサーが統一したメディア批判を読み上げさせられる姿に『民主主義の危機』との懸念が広がっている」
https://www.asahi.com/articles/DA3S13435286.html
時事通信のJIJI.COMが掲載した「『偽ニュース』批判、地方局一様に=米政権寄りの保守系メディア指示」はこう書く。
「ニュースサイト『デッドスピン』は3月末、各局のキャスターの発言を重ね合わせた動画を掲載。一言一句変わらぬ言葉を語り掛ける姿が異様に映る」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018040400902&g=use
これがそう。
https://twitter.com/Deadspin/status/980175772206993409
もっともブルームバーグによれば、トランプ米大統領は、朝日新聞のように「民主主義の危機」だとは微塵にも思っておらず、こうした地方局はCNNやNBCよりも「はるかに優れている」とツイッターで称賛しているそうだ。
トランプ大統領はツイートで、『これまで私が対応した中で最も不誠実な集団に数えられる偽ニュースネットワークがシンクレアを偏向していると批判するのを見るのは非常に傑作だ。シンクレアはCNNや、もっと偽物のNBCよりもはるかに優れている。全くおかしな話だ』と指摘した」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-04-03/P6LCIQ6JTSER01
これがホンモノのツイート。
https://twitter.com/realDonaldTrump/status/980799183425802240
https://twitter.com/i/web/status/980967925858226176
「これに対してシアトルにあるシンクレア傘下の有力局、KOMOでアンカーを務めるメアリー・ナム氏は『笑いごとではない』とツイートし、トランプ氏に真っ向から反発。『シンクレアは地方局が築いてきた信頼を利用して、政治的な主張を展開している』との新聞論評をシェアした」
と書くのはCNN.co.jpだ。
https://www.cnn.co.jp/business/35117149-2.html

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2)【本日の一行情報】【記事】アカヒが先陣を切り3Kが追従の醜い構図

だからダメなんだよ!新聞は!!朝日も産経も東京も毎日も同じ主張だ。アカヒが先導し、3Kが追従する。そもそも厚労省東京労働局の勝田智明局長の「なんなら、皆さんのところいって是正勧告してあげてもいいんだけど」という発言のどこが問題なのだろうか。痛いところを突いていると私などは思う。新聞社が裁量労働制をどのように適用しているか私は知りたい。
裁量労働制を違法適用していた野村不動産の宮嶋誠一社長を昨年末に呼んで特別指導をした厚生労働省東京労働局の勝田智明局長が30日の定例記者会見で、出席した新聞・テレビ各社の記者団に対し、『なんなら、皆さんのところ行って是正勧告してあげてもいいんだけど』と述べた。企業を取り締まる労働行政の責任者が監督指導の権限をちらつかせて報道機関を牽制したととられかねない発言だ」(3月30日付朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASL3Z54QVL3ZULFA017.html
「東京労働局の勝田智明局長は30日の定例記者会見で、マスコミ各社の記者に『何なら皆さんの会社に行って、是正勧告してもいいんだけど』と脅しとも取れる発言をした。局長は直後に発言について謝罪した」(3月31日付産経)
https://www.sankei.com/affairs/news/180331/afr1803310005-n1.html
昨日の放送法4条撤廃問題と同じ構図である。これについては花田紀凱も触れている。
「31日朝刊で、このことを報じたのは朝日だけ。他紙の記者は冗談とわかっているから、報じなかったに違いない。
30日午後8時半過ぎに東京労働局が『不適切だった』と会見に出席した記者にメールしたというのも朝日が取材をかけたからだろう。
ところが4月1日になると、毎日、産経が報じた。両紙とも『脅しとも取れる発言』と書いている。朝日が書いたから書かざるを得なかったのだろう」
https://news.yahoo.co.jp/byline/hanadakazuyoshi/20180404-00083528/
新聞記者(=ジャーナリスト)にとって新聞は不自由なメディアなのである。新聞にもっと自由を!デービッド・ケイはそう言いたかったんじゃないのかなあ。

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3)【本日の一行情報】

◎「平和の棚の会フェア『君たちはどう生きるか吉野源三郎の時代/抵抗者の系譜」「アジアの本の会フェア『共に生きるアジア』」の合同フェアが三省堂書店神保町本店で開催されている。
https://twitter.com/kadensha/status/981332468308459520
https://twitter.com/gendaishokan/status/981388769722032128
https://twitter.com/kadensha/status/981332468308459520
https://twitter.com/shinsensha/status/978840526794375168

◎「首くくり栲象」が亡くなったそうだ。「独居老人スタイル」(筑摩書房)に収録された「首くくり栲象」の章「早く壁にぶち当たりたいんです」を都築響一が公開している。
「『独居老人スタイル』に収録した首くくり栲象の章『早く壁にぶち当たりたいんです』は、単行本をお持ちでないかたでも読んでいただけるよう、メルマガのサイト内に特設ページを設けることにした。単行本には未収録の写真、それに動画も加えてある。パスワード等不要なので、気に入っていただけたらURLを拡散していただけるとうれしい」
http://www.roadsiders.com/special/
都築響一はマガジンハウスの黄金時代を築き上げた天才の一人である。「ブルータス」の都築響一である。

◎トゥ・ディファクトが運営するハイブリッド型総合書店「honto」は、4月2日(月)より、ブックレビューコミュニティサイト「ブクログ」とのサービス連携を開始した。
http://www.2dfacto.co.jp/pdf/180402_1.pdf

◎学研プラスは、JTB、TOKYO GLOBAL GATEWAYと提携し、JTBの教育旅行企画として、全国の学校向けにグローバル人材の育成に寄与する「東京都英語村でのナイトプログラム」を開発、販売することについての協定を締結した。
東京都英語村は東京都教育委員会と、学研ホールディングス市進ホールディングス、エデューレエルシーエー、英語教育協議会、博報堂の5社コンソーシアムが構成する「TOKYO GLOBAL GATEWAY」(TGG)が運営し、今年の9月に江東区青海で開業される予定だ。
https://gakken-plus.co.jp/news/201804/20180404.html

クラウド型・組織戦略システム HRオートメーションシステム「サイレコ」を提供するアクティブ アンド カンパニーは、ダイヤモンド社とHRテック分野における業務提携に関する基本合意書を締結した。HRはHuman Resourcesの略称。
今回の業務提携によって、「サイレコ」とダイヤモンド社の適性検査をシステム連携させ、採用時や既存社員に受験させた適性検査結果と人事情報を一元管理できるようにし、「サイレコ」に蓄積する他の人事情報と適性検査結果を連動させ分析を行うことで、人事異動や評価、研修育成、またタレントマネジメントに活用させることができるようになる。
http://www.aand.co.jp/newsrelease/pdf/20180404_01.pdf

花田紀凱が怒るのは理解できる。「賠償金額5000万円+新聞各紙へ謝罪広告掲載」を求める裁判は「月刊Hanada」の版元たる飛鳥新社からすれば「スラップ訴訟」以外の何ものでもあるまい。損害賠償額の高額化は花田の主張する通り「雑誌ジャーナリズムの根幹を揺るがしかねない」ものである。
https://news.yahoo.co.jp/byline/hanadakazuyoshi/20180404-00083529/

◎大阪・梅田の商業施設「ルクア イーレ」9階の「梅田 蔦屋書店」。広さは1200坪超。平均して約1万人が平日に訪れ、約20万冊が揃うという。しかし、そうした数字に相応しい出版物の売上を記録できているのだろうか。本質は飲食業ではないのだろうか。
https://news.walkerplus.com/article/142412/
出版物が「飾り」の書店が増えているが、そのことが取次の経営を圧迫することにならなければ良いのだが。取次の経営を圧迫したツケは出版社に回って来るということは忘れないでおきたい。

◎フジテレビ系列28局で構成するフジニュースネットワーク(FNN)は、新たなオンラインメディア「FNN.jpプライムオンライン」を4月2日よりスタートさせた。
これまでFNNでは「FNN-News.com」、フジテレビではコンテンツビュー数(オリジナルサイトおよび配信先メディアでの閲覧総計)が月間約1億のオンラインメディア「ホウドウキョク」を運営してきたが、「FNN.jp」として統合展開することになったわけである。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000759.000000084.html

◎宝島社が昨年12月19日(火)に発売した「大人のおしゃれ手帖特別編集 素敵なあの人の大人服」は発売から3日で重版が決定し、現在累計5万部を突破しているという。このファッションムックは60代向けだが、4月20日(金)に第2弾「大人のおしゃれ手帖特別編集 素敵なあの人の大人服 春夏 Vol.1」を発売することになった。雑誌は高齢者のメディアであるという現実を踏まえるのであれば、月刊化ということもあり得るのではあるまいか。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000662.000005069.html

博報堂DYメディアパートナーズは、野球デジタルプラットフォーム「BASEBALL GATE」から新サービス「BG野球速報」をプロ野球開幕日の3月30日にリリースした。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/03/HDYmpnews20180330-1500.pdf

◎今度はサッカーに参入するのか!RIZAPグループはJ1湘南の筆頭株主である三栄建築設計と共同で新会社を設立し、株式の過半数保有する見込みだという。
http://www.hochi.co.jp/soccer/national/20180404-OHT1T50010.html
日本文芸社の「週刊漫画ゴラク」は高橋陽一の泣けるサッカー漫画「誇り〜プライド〜」を連載したことがある。
https://www.nihonbungeisha.co.jp/book/b328359.html

◎アマゾンは通常送料を50円〜180円値上げした。Amazonプライム会員とPrimeStudent会員は、従来通り、送料無料を堅持した。
アマゾンの通常送料(税込)は、これまで購入金額が2000円(税込)以上で送料が無料となり、2000円(税込)未満の場合350円だった。これが今回の変更により、購入金額が2000円未満の場合、本州・四国への送料が400円、北海道・九州・沖縄・離島の場合は440円となる。
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html/ref=footer_shiprates?ie=UTF8&nodeId=642982

◎神奈川県の綾瀬市立図書館は、スマホなどで電子書籍一万二千冊を借りられるサービスを導入した。この図書館の指定管理者「有隣堂」が、電子書籍取り次ぎ大手「メディアドゥ」などのシステムを活用して実現した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201804/CK2018040502000156.html

倉敷市日本遺産推進協議会は学研プラスとタイアップして学習漫画「日本遺産 倉敷市のひみつ」を作ったそうだ。
http://www.sanyonews.jp/article/693708/1/?rct=kurashiki_sojya

世界文化社の「家庭画報」は、昨年に引き続き5月の希望日に届くアーティフィシャルフラワー(造花)の花束と「家庭画報プレミアムライト」の年間購読をセットにした特別ギフト「母の日プレミアムギフトセット」を限定200セット販売する。販売価格は1万5000円(税込)。
https://www.kateigaho.com/magazine/18192/

◎スマートニュースのチャンネルプラスで、世界文化社男性誌MEN’S EX」のチャンネルがオープンした。
http://about.smartnews.com/ja/2018/04/05/20180405/

◎ロフトの平野悠が岩本太郎の「炎上!100円ライター始末記」を紹介してくれている。
「滑稽な、それは痛い、辛い…マスコミ裏街道渡世を生き抜く貧乏ライターの饒舌本。これは筆者・岩本太郎の物悲しい青春ドキュメントなのだと思う」
「若いライター志望の皆さん、読んでみて現実を感じてください」
http://rooftop.cc/review/music/180402164848.php

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4)【深夜の誌人語録】

情熱の続く限り失敗に耐えられるものである。