【文徒】2018年(平成30)7月5日(第6巻124号・通巻1298号)

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1)【記事】ソーシャルメディア全調査!北条裕子「美しい顔」問題をこう考える
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】ソーシャルメディア全調査!北条裕子「美しい顔」問題をこう考える

新潮社の「第17回 女による女のためのR-18文学賞」の一次選考通過作品に北条裕子「あなたが合コンへ行く件について」とあるが、この北条裕子は「美しい顔」で群像新人文学賞を獲得した北条裕子と同姓同名の別人なのか、それとも本人なのだろうか。
http://www.shinchosha.co.jp/r18/first.html
いずれにしても、ソーシャルメディアでは有名無名は問わず、北条裕子の「美しい顔」をめぐる投稿が数多くなされている。主だったものを紹介しておこう。
芥川賞候補者の『剽窃』問題。文系研究者間の『剽窃』は著作権法上違法でなくても厳しい制裁を受ける。リファレンスのルールが厳格だからだ。他方、その基準が甘いノンフィクションや評論等のジャンルの作家が、研究者の長年の調査成果を上手に『剽窃』する事例を何度もみてきた。ええかげんにしとけよ」
https://twitter.com/ishihara_shun/status/1014141531421151232
「実にセコいやり方で研究者の地を這うような調査成果をお上手に『奪って』いく『剽窃』まがいに手を染めてきたノンフィクションライターや評論家は、Twitter上を含め、そこらへんに何人もいますよ。『左派』『リベラル』『良識派』とみられている人物も含めてですね」
https://twitter.com/ishihara_shun/status/1014143027189669888
群像新人賞剽窃問題で 著作権侵害を問うのは不適切だろう https://abematimes.com/posts/4479857  一番手っ取り早いのは 賞の撤回だろう こういう丸写しを平気でする人を「作家キャラ」で売り出そうというキャンペーンそのものに疑問を感じる」
https://twitter.com/itokenstein/status/1014366332584800256
「全文公開とは踏み込むな。だが評価できる判断」
https://twitter.com/fukuikensaku/status/1014298772740833281
「うーん。何と戦っているのかよく分からない。盗用、剽窃著作権侵害に限定されない広い意味を持つ言葉なのに。抗議の対象者も不明確。他出版社への抗議も意図が見えない」
https://twitter.com/nasakawa/status/1014251734397358080
「改ざんは意図的にやらないと起こらない。一方盗用は、『このくらいならいいや』という著者側の甘さに起因し、それを放置すると、もっと派手な盗用が次から次へと起こることがあるという。
これは学問の世界の話だけど、小説はどうなんだろう」
https://twitter.com/mahoisono/status/1014135228502118400
「例の芥川賞候補の剽窃騒動は、結局のところオッサンどもが『この娘は完全無欠のピュアな存在か』どうかでお互い争っているだけだろ。本気で小説やりたいならも少しおばさんになって、人間味は深まったが顔は劣化した、ぐらいの時期にまた再デビューすればいい」
https://twitter.com/Lingualina/status/1013562225892601856
「文学の言葉って、『遅れて』来ざるを得ないんだよなぁ…。この問題、アウトの部分と、文学の創作につきまとう部分と、剽窃や参考文献表記についての歴史的な感覚の変化と、いろいろ絡まり合ってる」
https://twitter.com/yshibi/status/1013949191255613440
「北条裕子『美しい顔』の参考文献をめぐって講談社が声明発表。その内容が『文学は偉いんだからお前らごちゃごちゃ言うなようるせーな。全文公開してやるからお前らの得意な検索であら捜ししてみろよ。負けねぇから』と完全なマッチョ。平成最後の年はいろいろあるな」
https://twitter.com/miumisuzu/status/1014127173727240196
石井光太『遺体―震災、津波の果てに』(2011年/新潮社)を読みました。芥川賞候補の北条裕子『美しい顔』が、引用・参照した・・・とされている本のひとつ。ただ、自分の読んだ限り、この2つは全く別もので、よくも悪くも、似ても似つかない。『パクリ』というのはちょっと大げさかな・・・と」
https://twitter.com/neophilistines/status/1013412190307651587
「そもそも小説って、参考文献を表示すれば他人の作品の文章を模写できる分野だったのだろうか?科学の分野だけでなく小説の分野にもコピペで評価を得られると思っていること自体が資質も含めて大きな問題ではないですか?今更謝罪して済む話なんだろうか」
https://twitter.com/mahirom02/status/1013967112417652737
「今回わかったことは作者が問題だということだけでなく、講談社がそれ以上に独善的で傲慢主義に満ちあふれた時代錯誤出版社であったということだ。その世間とのズレが結局文学の衰退に繋がり、大きく孤立していく危機感の欠如になっていることさえ理解出来ないようだ」
https://twitter.com/mahirom02/status/1014179356057333760
「作品『美しい顔』と講談社のプレスリリースを読んだ後の感想ですが、どうしても今日時点の群像編集部・講談社の表明はスッキリしません。北条裕子さんご自身が表明・説明されていないので、憶測や批判は増えて当然だろうと思います。出版社、編集部、担当者、は尊重しますが、北条さん本人の見解をぜひ」
https://twitter.com/twinklingetoile/status/1014199181747970048
荻上チキ 芥川賞候補作 北条裕子『美しい顔』問題を語る」は読んでおくべきだろう。
「でも、今回のひとつの騒動というのも、ある種それをむしろ物語を現実の方が追いかけたような形で模倣してるような状況になっていたりするわけですね。だから、そういうような「炎上騒動」みたいなことでくくられて語られて、たとえばこの作品が読めないとなると、文学的にはあまりにもったいなさすぎるぐらいの作品力であるということは前提にしてください。その上で、法律上は法的な当事者同士の対応というのあるでしょう。個人的には編集者がいろいろと付記をしたほうがいい。付け加えた方がいいという風には思いました。「参考文献はこうだ」とか。あるいは、インタビューの別立てのところで何かしら触れるっていうことはあってもいいでしょう。それは仁義の問題ですね」
「・・・そのどちらサイド云々の前に、まずそれぞれの本を読む。今回参考文献として挙げられている個別の作品、僕はどれも読んでますけども、どれもやっぱりルポルタージュや研究として他に無い、類を見ない著作であることはこれもまた間違いないわけですよね。だから結論として、全部読んでその上でいろいろ考えてみてください。おそらくそうすれば、「パクり/パクられ」という風な単純な言葉だけでは語れない、いまのような何かを喋りたくなるような情念みたいなものがふつふつと湧いてくると思うんですね。そうしたような体験というものを是非ともしてほしいなという風には思いました。少なくとも単純化だけはしてほしくないという風に思います」
https://miyearnzzlabo.com/archives/51122
講談社は7月4日、北条裕子の「美しい顔」を全文公開した。
http://book-sp.kodansha.co.jp/pdf/20180704_utsukushiikao.pdf

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2)【本日の一行情報】

小学館の「週刊少年サンデー」とサイバードは、漫画やスタンプ、アニメなど、「名探偵コナン」の全ての情報が詰まった「名探偵コナン公式アプリ」において、「変声機そこで使用して大丈夫?」特集を7月2日(月)から7月18日(水)までの期間限定で実施している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001367.000001661.html

日本マクドナルドは、ハッピーセットを進化させ、絵本と図鑑も選択肢に加わる新プログラム「ほんのハッピーセット」を7月20日(金)より全国のマクドナルド店舗において開始する。これにより、「ハッピーセット」はおもちゃか絵本か図鑑のいずれかを選べるようになる。第1弾は、おもちゃのほか、新井洋行によるオリジナル描き下ろし絵本「きもちのかたち」と、小学館協力による図鑑「小学館の図鑑NEO」をハッピーセットに向けて特別編集した「ネコのなかま」に関するミニ図鑑の三つから一つを選べる。
http://www.mcdonalds.co.jp/company/news/2018/0702a/
http://www.mcdonalds.co.jp/family/happyset/next_book/
出版のチカラをまた一つ発見!

花王は、7月8日(日)に花王が社員食堂で実践している食事のメソッド「スマート和食」のレシピ本「主菜1品、副菜2品を選ぶだけ!おなか痩せの黄金『比』レシピ」を文藝春秋から刊行するのを記念して、内臓脂肪測定イベントを実施する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000744.000009276.html
一昔前の文藝春秋であれば考えられなかったような企画だ!ここでも出版のチカラを再認識!

サイバーエージェントは5月28日、アカデミーヒルズタワーホールを会場にして「AbemaTV Conference 2018」を広告代理店向けに開催した。「マーケジン」は「テレビCMを超えるポテンシャル?AbemaTVの広告が持つ力とは」を掲載している。
「ある旅行会社では、サイト流入の増加を目的に1ヵ月で3,000万円分AbemaTVへの広告配信を実施。同社のサービスが若年層向けでAbemaTVとの親和性も高く、テレビCMを下回るコストで、大きな成果を出すことに成功した」
https://markezine.jp/article/detail/28715
ターゲティングであれば雑誌をはじめ既存メディアでもできよう。ネットメディアに比べて遜色ないのである。しかし、ターゲットキリングにおいてインターネットという「場」は既存メディアに比べて圧倒的に優れているのである。だからこそ既存メディアにはデジタルシフトが問われているのだ。

◎ハイブリッド型総合書店「honto(https://honto.jp/)」は、「LINE Pay 10%バックキャンペーン」を7月2日(月)から7月31日(火)の期間、honto電子書籍ストア(https://honto.jp/ebook)で実施している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000217.000009424.html

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)はマンガの「冒頭部分だけ」を募集する「ジャンプスタートダッシュ漫画賞」を創設し、2日から第1回の募集を開始している。審査員は「暗殺教室」の松井優征
https://mainichi.jp/articles/20180702/dyo/00m/200/005000c

◎「GQ JAPAN」の鈴木正文編集長から「津田はよくネットで炎上しているようなので、反論の場を提供したい」と提案された津田大介は7月1日に「なぜ津田大介は炎上するのか?」を発表した。
「・・・日常的にネット上で『炎上』を演出する勢力は主に①権力による世論工作を『仕事』として請け負う業者、②情報を歪めて発信することでアクセスと広告費を稼ぐ業者・個人、③それらの誤情報や炎上を真に受けて信じた善意の拡散者─これら3つに分けられることがわかる」
「ネットは確かに不特定多数の多様な人たちとコミュニケーションが取れる素晴らしいツールだ。しかし、現在のネットは世論への影響力が増大した結果、世論工作と金目当てで炎上させる業者の草刈り場となってしまっている」
「雑誌こそが多様な意見を世の中に送り出す存在の中心になり、ネット世論を真に受けない読者を育ててほしい─筆者自身が雑誌ライター出身であるがゆえに、強くそう思うのである」
https://gqjapan.jp/life/news/20180701/what-links-macedonia-to-japan/

朝日新聞社において「メディアラボ」の立ち上げメンバーに加わり、個人の人生を書籍化する事業「朝日自分史」や、朝日新聞社クラウドファンディング事業「A-port」、新聞社内のノウハウを体系化して記者教育や社会人教育にいかす「朝日新聞ジャーナリスト学校」などを手がけ、同社を2017年6月に退社してからは「ハフポスト日本版」の広告事業を統括するPartner Studio チーフ・クリエイティブ・ディレクターに就任していた林亜季がアトミックスメディアで「Forbes JAPAN」 ブランドボイススタジオ室長 兼 WEB編集部 副編集長に就任することになった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000017289.html

◎日販は、「本と遊ぼうこどもワールド2018 第40回優良児童図書展示会」を青森、名古屋の2会場で開催する。
https://www.nippan.co.jp/news/jidousho_2018/
https://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2018/07/jidousho_aomori_2018.pdf
https://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2018/07/jidousho_nagoya_2018.pdf

◎スマートニュースのチャンネルプラスで、マガジンハウスの「Hanako.tokyo」と「クロワッサンオンライン」がスタートする。
http://about.smartnews.com/ja/2018/07/03/20180703/

◎「宮城教育大副学長・教授だった故菅野仁さんが2008年に刊行した『友だち幻想』(ちくまプリマー新書)が10年後の今、異例の売れ行きを記録している」(河北新報オンライン)という。
「版元の筑摩書房によると6月中旬現在で27刷25万部を突破。うち20万部以上が最近1年間に発行された。新書は通常、初版のみで重版がかかることは少なく、特異なケースといえる」
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201807/20180703_13036.html
大きな波が来そうな予感がする。

◎産経によればテレビ朝日の「角南源五社長は3日の会見で、隠し録りしたセクハラ音声データを週刊誌に提供した女性社員と、セクハラの報告を受けながら社内で情報を共有しなかった直属の上司について『就業規則に基づく処分は行わない』と発表した」
https://www.sankei.com/entertainments/news/180703/ent1807030010-n1.html

◎アマゾンはプライム会員向けの特売セール「プライム・デー」を、今年は一日半に延長する。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32587940U8A700C1000000/

TOKYO FMのグループ会社であるTOKYO SMARTCAST(TS)は、日清医療食品DNPと提携し、日清医療食品が運営するアンテナショップをリニューアル。「美と健康とエンターテインメント・カルチャー」の発信拠点として銀座にスタジオ機能とライブステージを併設した新たなロケーションメディアとして「nu dish Deli & Cafe」(ニューディッシュ デリアンドカフェ)を開設する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000024633.html

◎光文社の「光文社古典新訳文庫」の創刊編集長である駒井稔の講演会が7月18日に芳林堂書店高田馬場店8Fで開催される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000678.000016756.html

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3)【深夜の誌人語録】

他人から理解を得られないのは言いたいことの総てを言い尽くすからだと思ったほうが良いだろう。