【文徒】2018年(平成30)12月20日(第6巻239号・通巻1413号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】東浩紀「ゲンロン」の苦境を吐露
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2018.12.19 Shuppanjin

1)【記事】東浩紀「ゲンロン」の苦境を吐露

東浩紀が大変なようである。12月15日の次のような呟きから始まり、徐々に全貌が明らかになって来る。
「ひさしぶりに呟いてしまった。いまは社員が仕事全部放り出して逃げ出したので、ほんとうはそれどころではないのだ」
https://twitter.com/hazuma/status/1074141724165922818
更に、こうも呟く。
「ちなみに、誤解されたくないのでいっておくと、仕事がきつくて逃げ出したとかではないよ。どっちかというと、いろいろごまかしてて、バレるのが怖くなって逃げ出した的なやつですね」
https://twitter.com/hazuma/status/1074174688308342784
東浩紀が社長をつとめるゲンロンで何かが起こっているようだ。
翌12月17日の呟き。
「経営者の人権を守るデモをしたいよ」
https://twitter.com/hazuma/status/1074639732557017088
東はやがて思いの丈をツイッターで吐露するに至る。
「精神的にほんとうに限界がきたので、ゲンロンは大幅に縮小することにしました。詳しくは後日報告します」
「うちは、ゲンロン続けてください、この会社楽しいです、って社員のだれにも言われない会社で、とても孤独でした。ぼくひとりが空回りしていて、すべて砂に吸い込まれていくような感じで、とても辛かったです。物書きに戻ろうと思います」
「今年は最後の総会になるかもしれないので、みなさんぜひお越しください。精神的には絶不調ですが、総会には出ます」
「まあ、こういうことはありますよ。しかたない。粛々と残務処理ですね」
「総会、当日券出せないか、今日社員に相談してみますね」
https://twitter.com/hazuma/status/1074857734355378176
https://twitter.com/hazuma/status/1074858299164487680
https://twitter.com/hazuma/status/1074858725012168704
https://twitter.com/hazuma/status/1074858925642510341
https://twitter.com/hazuma/status/1074860543758856195
本来、経営者とは孤独なものなのだ。経営者が孤独であることによって、会社という組織は公平性が保たられると私などは理解している。
「短く要約するのはむずかしいんですが、ひとことで言えば、社員には裏切られ、裏切られたのはおまえに落ち度があると責められ、弱音を吐くと吐くなと言われ、そのくせ収益の大方はぼくの章や登壇に依っている、そういう会社だったんですよね。で、耐えられなくなってしまった」
https://twitter.com/hazuma/status/1074861054792876032
東によれば「ゲンロンはぼくが始めた会社だったのに、いつのまにかぼくはゲンロンへの奉仕ばかり要求されるようになっていたんですよね」ということである。
https://twitter.com/hazuma/status/1074861467734687744
更にツイートはつづく。
「基本的には大幅縮小ということで、社員やアルバイトにやめてもらいつつ、ゲンロンの核だけなにか残そうと思っています。これから考えます」
「ぼくはこの2ヶ月ほど、投げ出した社員の書類整理や税理士との連絡や社内会議ばかり延々とやっていて、ほとんど本も読めないし原稿も書けなかった。それ自体はいいんだけど、うちはいつのまにか東浩紀がそんな雑用をやり続けていることをなにも不思議に思わない会社になってて、これはおかしいなあと」
「まあ、社員教育に失敗したんでしょうな。ぼくのことを友達だかお父さんだかなんだかと勘違いしてる。でもしょせんは他人だからなあ」
「変なことになっちゃいましたよ。ぼくは、いちおう、出るところに出ればそれなりにえらいはずなのに、会社だと20も年下のひとから友達扱いで、いつもお願いする側だもんなあ。それが経営者ということかもしれないけど、ちょっと程度がね」
https://twitter.com/hazuma/status/1074861683124756481
https://twitter.com/hazuma/status/1074863507047235585
https://twitter.com/hazuma/status/1074863687851159554
https://twitter.com/hazuma/status/1074864331068628992
東をしても社長は偉いという認識なのか…。
「いろいろ応援のメッセージをくれた方々、感謝します。個別にお返事を返す気力が湧かない、というかどういう返事を返してよいのかわからないのですが、とにかく感謝しています。ただ、ゲンロンを続けられるかどうかは、わかりません」
https://twitter.com/hazuma/status/1075092655573364736
「ゲンロンはそもそも起業時よりトラブル続きでした。ぼくは執筆者で登壇者だから、経営はやるにしても、総務や庶務はだれかに任せるしかありませんでした。ところがそこで任せた人物には裏切られ続けてきました。会社の金を引き出されたこともありました」
https://twitter.com/hazuma/status/1075093117072625664
「会社の金を引き出されたこと」ことは実際に7年前にあった事実であるようだ。ただ、引き出された金は返金されたそうだ。
「今回もまた同じことが起こりました。経理担当が逃げ出し、机を確認したところ社内の書類保存がめちゃめちゃになっていることがわかりました。けれども今回それ以上にキツかったのは、そんな逃げ出した社員が(バレるまえは)それなりに人望を集め、彼に同調し退社する社員も複数いたことです」
https://twitter.com/hazuma/status/1075093634557534208
東浩紀は経営者としての資質に欠けていたと言えなくもあるまい。その点、東も自覚しているようだ。
「むろん、最終的な責任は、そんな社員を雇っていたぼくにあります。けれども同時に、こんなことが繰り返されるということは、ぼくには経営能力がないということなのだと現実を悟りました。ぼくにはひとを見る目がないし、人望がないようです」
https://twitter.com/hazuma/status/1075093970915516416
東は言論人としては、それなりに立派ではあっても、経営者としては、あまりにも柔弱であったのであろう。何しろ社員に食い物にされてしまう社長なんだもの。
「ぼくは問題の社員に食い物にされていました。そしてそれに同調する社員も複数いました。今後それを防ごうと思えば、ぼく自身が経理や総務を直接管理するしかない。この2週間ほど書類整理をしながら、その可能性を考え続けていました。そして結論として、これではぼくの人生は潰れると思いました」
https://twitter.com/hazuma/status/1075094410323320832
信頼できないひとに頼らざるをえないなんて社長が絶対に言ってはならないことだ。
「ゲンロンの試みや構想はよかったと思います。カフェもスクールも新しいことをしたと思います。けれども、ぼくは、それを支えてくれる信頼できるスタッフを十分に探すことができず、信頼できないひとに頼らざるをえませんでした。それはぼくの能力不足です。ぼくはダメだったなあと深く反省しています」
https://twitter.com/hazuma/status/1075094977212964864
ここまで読んで来ると、東の意気地のなさに辟易させられてしまう
「現在の社員の名誉のためにいっておけば、これは全員がダメということではありません。それに上田さんと徳久くんは、ほんとうによくついてきてくれたと思います。けれども、ぼくはひとを見る目がない。会社の腐敗を見抜く能力がない。これはしかたない。ぼくには会社経営は向いていないんでしょう」
https://twitter.com/hazuma/status/1075095337528811520
読者に対する謝罪は最後となった。
「ゲンロンを応援し続けてくれたみなさんに、深く感謝します。そして、みなさんの期待に十分に答えられなかったことを、申し訳なく思います」
https://twitter.com/hazuma/status/1075095588138508288
東は今こそ自らの発言を噛みしめるべきである。
「『郵便的』であるってことは『間違う』ということなんです。『間違う』ということが、どういうものかというと『本当に重要なものは事後的にしか発見できない』ということです」
https://hon.booklog.jp/interview/azuma-hiroki-20170920?utm_content=bufferdbd3c&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer&fbclid=IwAR1MOxthAXAQzntv5s4_Izotov2-mq-MA1xSbuCj0jGOEcm51GL3oitDpOo

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2)【本日の一行情報】

◎「SFマガジン」2019年2月号(12/25発売)が百合特集。合計114ページ、2018年最大ボリュームの全力特集と豪語している。
https://www.hayakawabooks.com/n/n92ff741b5e97
「予約在庫全滅という異例中の異例に対応するため、緊急の発売前重版」を決定したそうだ。
https://twitter.com/Hayakawashobo/status/1074831693507227648

◎インスタフォロワー15万人を超えるイラストレーターであるスティーヴン★スピルハンバーグ(@steven_spielhamburg )のコミック「パンダと犬 II」(ぴあ)の発売を記念して、12月18日(火)より、次の全国26の書店にて、「パンダと犬 II」キャンペーンが開催されている。
三省堂書店札幌店、紀伊國屋書店札幌本店、コーチャンフォー新川通り店(北海道)、さわや書店ラビナ店(青森)、紀伊國屋書店仙台店、くまざわ書店エスパル仙台店、未来屋書店取店(宮城)、みどり書房桑野店(福島)、TSUTAYA三軒茶屋店、 紀伊國屋書店新宿本店コミック館、book express ecute上野店、くまざわ書店ルミネ池袋店(東京)、紀伊國屋書店みなとみらい店(神奈川)、戸田書店静岡本店(静岡)、三省堂書店岐阜店(岐阜)、三省堂書店名古屋本店、未来屋書店高店、精館書店新豊田店(愛知)、大垣書店京都ヨドバシ店(京都)、未来屋書店大日店、紀伊國屋書店グランフロント店(大阪)、廣館アリオ倉敷店(岡山)、ジュンク堂広島駅前店(広島)、丸善博多店、ジュンク堂福岡店(福岡)、蔦屋書店熊本三年坂(熊本)。
対象書店にパンダと梅吉のスタンプを1つずつ設置。パンダと犬のスタンプはそれぞれ全部で5種類あり、各書店にランダムに設置されている。また各書店にて「パンダと犬II」を購入すると先着でポストカードがプレゼントされる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001064.000011710.html

電通は、AIでビッグデータを解析することにより流行キーワードを予測するシステム「TREND SENSOR(β版)」を開発した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2018133-1217.pdf

電通は、海外本社「電通イージス・ネットワーク」を通じて、ドイツでテレビ広告やオ
ンライン動画広告の媒体プランニング・制作・効果測定などのサービスをワンストップで提供しているマーケティング会社「Videobeat Networks GmbH」(ビデオビート社)の株式 70%を取得すること、および今後完全子会社化するオプションを有することにつき、同社株主と合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2018134-1217.pdf

乃木坂46白石麻衣の写真集「パスポート」(講談社)が、 23度目の重版で1万部を増刷し、 累計発行部数が34万部を突破した。この写真集が発売されたのは昨年2月のこと。初版10万部でスタートしたが、ここまでのロングヒットになるとは!
https://mdpr.jp/news/detail/1810865

朝日新聞デジタルの12月18日付「週刊春の女性版が創刊 表紙は香取慎吾さんが描く」は、こう書く。
芸春秋は18日、看板誌『週刊春』の女性版『週刊春WOMAN』を29日に創刊すると発表した。2016年に発売したパイロット版が10万部を完売した好調を受けたもので、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆の年3回で定期刊行する」
https://www.asahi.com/articles/ASLDL5GJYLDLUCVL01T.html

◎「WEB Voice」に公開された「千葉雅也&三浦瑠麗 『愛』と『性愛』は切り離せるか?『新潮45LGBT騒動を振り返る」は「Voice」2019年1月号に掲載された千葉雅也と三浦瑠麗の対談「欲望と排除の構造」を一部抜粋、編集したものである。
https://shuchi.php.co.jp/voice/detail/5830?

◎「しらべぇ」が掲載している「『CLASSY』着回し設定がヤバすぎると話題 『Xmasまでに結婚できなかったら…』」によれば、光社の女性ファッション誌「CLASSY.」で季節ごとの着回しテクニックを紹介する「着回しDiary」が、インターネット上でまたしても話題になっている。
https://sirabee.com/2018/12/18/20161927847/

集英社は、さくらももこの「ちびまる子ちゃん」の最新にして、完結となる17巻を25日に発売する。
https://www.sankei.com/entertainments/news/181218/ent1812180013-n1.html

◎80年代を代表するアイドル・河合奈保子を特集し、1982年に発売された「別冊近代映画 河合奈保子スペシャルパート3」が、36年の時を経て一冊丸ごとデジタル写真集(電子書籍)になって小学館よりリリースされた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000208.000013640.html

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3)【深夜の誌人語録】

精神のリレーとは灯りを灯しつづけることである。