【文徒】2018年(平成30)12月21日(第6巻240号・通巻1414号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】南青山児相問題で住民から報道批判、反対運動の「裏」を指摘
2)【本日の一行情報】
----------------------------------------2018.12.21 Shuppanjin

1)【記事】南青山児相問題で住民から報道批判、反対運動の「裏」を指摘(岩本太郎)

東京都港区が同区南青山の国有地に建設を計画している児童相談所などの複合施設をめぐる問題は、今月14・15日に同区内で開かれた住民説明会以降、マスメディアでも盛んに取り上げられるようになった。
https://www.asahi.com/articles/ASLDH4W9FLDHUTIL00K.html
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201812160000199.html
https://www.fnn.jp/posts/00401660HDK
説明会で建設に反対する住民から上がったという「青山のブランドイメージをしっかり守って欲しい」「児童相談所とかいう触法少年の施設はいらない」「この街のランチの単価知ってる? 1600円だしネギ1つ買うのも紀ノ国屋に行くんだぞ!」といった発言がテレビでも大きく取り上げられたほか、児童の問題に詳し有識者や芸能人なども相次いでこの件に言及したことからネットでも旬の話題となっている。
https://sakamobi.com/news/minamiaoyama-lunch-tanka
https://news.yahoo.co.jp/byline/sakuraiyukio/20181219-00108061/
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181220-OYT1T50016.html?from=tw
https://sirabee.com/2018/12/19/20161929578/ 
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/1225159/
全体にやはり上記のように建設反対住民の声に反発を示す書き込みが多い。しかしそうした中、作家で人権活動家としても知られる川奈まり子が「私も南青山の住民ですが、賛成派です。」との立場から17日以降、この問題についてのツイートを連弾で行っている。問題を報じるメディアに対する批判もある。
《反対派は会を結成して動員をかけており、集会は共働き世帯の多いこの地域の住民の大半が参加不可能な平日の昼間に開かれました
https://twitter.com/MarikoKawana/status/1074633134677917696
《この件については裏があると思います。報道を真に受けず(港区には米軍ヘリ発着場があり、南青山には都営住宅団地や公設霊園・火葬場があり問題の土地の近くに最近まで母子保護施設もあって寛容な土地柄であること、反対派の会が存在すること等をニュースを見る人に知らせていません)、検索して下さい》
https://twitter.com/MarikoKawana/status/1075205301622558720
《反対派の会について検索するといろいろ出てきますよ。
住民は反対も何も、建設計画そのものをよく知らない人が多そう》
https://twitter.com/MarikoKawana/status/1075302118368538625
《賛成も何も、この計画自体を知らなかった(寝耳に水だった)という住民が多そう。この件について、港区は南青山地区の住民に周知する努力を怠っています。手遅れ感が若干ありますが、今からでも全戸にメールやポスティングする等してほしいものです。報道はどれも「僕の集会観察日記」のレベルで草w》
https://twitter.com/MarikoKawana/status/1074960169430208512
この「裏」にさっそく触れたネットメディアもある。まとめブログの『市況かぶ全力2階建』『凸凹チャンネル』では、計画撤回を呼びかける「青山の街を守る会」の公式サイトが、南青山に本社を置く不動産業グリーンシード社の公式サイトに置かれていた(既に削除された模様)ことを指摘。ネットユーザーが投稿した、建設予定地脇の電柱に貼られた同社の広告を撮った写真なども併せて紹介している。
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65928461.html
http://hattatu-matome.ldblog.jp/archives/54604196.html
私(岩本)も18日の夕刻、仕事帰りに足を延ばして現場を訪れてみた。上記の電柱広告のほか、建設予定地から1軒を挟んだ北側の区画で進む商業施設の建設現場にも、パネルにグリーンシードのステッカーが貼られているのを確認できた。
https://twitter.com/iwamototaro/status/1074955462171275264
https://twitter.com/iwamototaro/status/1074955722088079362
こうした中でアクセスが集中したのか、グリーンシードの公式サイトは一時的につながりにくくなった。ネット上での盛り上がりを受けて取材に乗り出したらしい『東スポ』もこれを報じていた。
https://www.greenseed.jp/
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/1225027/
反対運動のサイトにはもう一つ「青山の未来を考える会」という団体によるものがある。上記の『凸凹チャンネル』はTwitterで、グリーンシードの公式サイトにあった旧「青山の街を守る会」がサイト上で述べていた「反対の理由」との違いを、双方の画面を並べつつ比較していた。
https://twitter.com/hattatu_matome/status/1074915202829701120
『ロケットニュース24』はグリーンシードへの電話取材を敢行。同社から「丁重に案内されてしまった」という「青山の未来を考える会」事務局とのやり取りを紹介している。
https://rocketnews24.com/2018/12/19/1153289/ 
社会起業家駒崎弘樹Twitter上でグリーンシード代表の岡本真治への対話を呼びかけていた。
《コソコソやってないで、岡本真治社長は公開の場で討論すべきだ。相手になりますので》
https://twitter.com/Hiroki_Komazaki/status/1075035616230817792

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

KADOKAWA『小説 野性時代』の新年号は「新創刊15周年記念号」。第1特集の「逆風に立つ――ノンフィクションの新しい『物語』」では沢木耕太郎によるエッセイなどを掲載。集英社から出た『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で昨年の開高健ノンフィクション賞を受賞した畠山理仁の「公職選挙法VS.無頼系独立候補」は『カドブン』にも一部が掲載された。
https://kadobun.jp/readings/563/d551f895

◎同じくKADOKAWAから11月16日に発売され、これまで3刷13万5000部のヒットになったというビジネス書『新世界』の内容を著者の西野亮廣が『新R25』で19日から「全無料公開」。KADOKAWAも「全面的に応援させていただくことにいたしました」とネット上で公表。
https://r25.jp/article/621586962847256237
https://ameblo.jp/nishino-akihiro/entry-12426906125.html
https://www.kadokawa.co.jp/topics/2731

NHK大阪放送局記者から大阪日日新聞論説委員に転じた相沢冬樹が13日に藝春秋から上梓した『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』に対し、NHKの山内昌彦・編成局計画管理部長は19日の定例会見で「虚偽の記述が随所に見られる上、未放送原稿を規則に反して持ち出し、加工した上で公表もしており、極めて遺憾だ」などと述べ、「必要に応じて」対応を検討する旨を明らかにした。「虚偽の記述」が何を指すのかについては「お答えできない」とのこと。
https://www.asahi.com/articles/ASLDM5F85LDMUCLV00T.html
18日の夜に新宿の紀伊国屋書店を訪ねたところ、1階玄関を入ってすぐの場所に百田尚樹の『日本国記』と仲良く(?)並んで平積みされていた。
https://twitter.com/iwamototaro/status/1075665226383540224

◎創業以来106年の歴史を持つ老舗・栄堂書店(福岡市八幡西区・熊手銀天街)が今年度末で閉店。 
https://mainichi.jp/articles/20181217/ddl/k40/020/309000c

◎東京都練馬区が区内にある2つの区立図書館(練馬・石神井)の運営を5年後までに民間委託(指定管理者制度を導入)する方針を示したことに対し「図書館専門員」と呼ばれる非常勤の司書57人で作る労働組合が反対。区側との交渉がまとまらない場合に19・26日に上記2館でそれぞれ2時間のストライキを予定していたが、18日に行われた最終交渉の結果、「一定の合意」が両者間で成立したことからストライキは回避されることとなった。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181217/k10011750251000.html
https://www.asahi.com/articles/ASLDL55P8LDLUTIL032.html
https://www.asahi.com/articles/ASLDM33HLLDMUTIL002.html
http://www.labornetjp.org/news/2018/1219shasin

◎愛知県の清須市立図書館が発行している広報紙「図書館だより」の12月号に、地元出身の鳥山明へのインタビューが掲載されて話題に。同館公式サイトからも閲覧できる。
http://opi-rina.chunichi.co.jp/topic/20181217-6.html
http://www.library-kiyosu.jp/kiyosu-lib/wp-content/uploads/2017/06/dayori_2018_12.pdf

◎来年の元旦号から25年ぶりの購読料値上げに踏み切る読売新聞が、その元旦号紙面で「大スクープ」をやるのではないかとの説が他紙の関係者の間で流れていると『週刊新潮』が報じている。
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/12181658/ 

◎その読売新聞が今年5月19日付で、「政府は、国内の美術館や博物館の一部をアート市場活性化に先進的な役割を果たす『リーディング・ミュージアム』として指定する制度を創設する検討に入った」と報じたことをめぐって美術界から「市場を活性化させる前に、実際に展覧会を作る場や学芸員及び作家、評論の場を活性化させないと。化より経済優先は発展途上国する政策」(奈良美智)といった批判が続出して炎上騒動に。『サイゾーpremium』によると、この読売の報道は「誤報だったらしい。
https://www.premiumcyzo.com/modules/member/2018/12/post_8939/ 

元木昌彦が『PRESIDENT Online』で「"拗ね者"本田靖春を読まずに戦後を語るな」と題し、没後14年となった本田との数々の思い出を振り返っている。
《私は入社2年目に本田さんと出会い、中堅編集者時代を経て、「フライデー」「週刊現代」編集長をやり、その後、子会社に放逐され、本田さんの亡くなった2年後の06年に退職する。本田さんを思い出すということは、自分のサラリーマン人生を振り返ることにもなるのである》
https://president.jp/articles/-/27057 
末尾では友人である晶社の故・中川六平より「本田さんを書け」と言われたものの、2013年の中川の死により「催促する人間がいなくなったため、そのままになってしまった」とのエピソードも紹介されている。後藤正治から「本田さんのことを聞きたい」と連絡があり、会って話しているうちに「失礼を承知でいえば、本田さんのことを書くのに最良の人を得たと思った」という。後藤の『拗ね者たらん 本田靖春 人と作品』は講談社より11月に刊行された。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000318393

ドワンゴKADOKAWA、カラー、インクストゥエンター、アソビシステムホールディングスの5社が、VTuberの開発やマネジメント、プロデュースなどの事業を展開する合弁会社 「リド」を14日付で設立した。
https://lide.co.jp/
https://japan.cnet.com/article/35130379/ 

radikoは参加している民放ラジオ局の番組情報や、radiko自身で発信するニュースを紹介する記事ポータルサイトradiko news』を開設したことを18日に発表した。
https://news.radiko.jp/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39129120Z11C18A2000000/

ADK日本IBMとの間で、企業の顧客サービス支援事業における協業に向けての基本合意を締結したそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39132100Z11C18A2X30000/
https://markezine.jp/article/detail/30010