【文徒】2019年(令和元)8月15日(第7巻146号・通巻1566号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】「百の夜は跳ねて」の古市憲寿を「天空の絵描きたち」の木村友祐が擁護
2)【記事】祝!最近書店開店情報
3)【記事】東浩紀が「あいちトリエンナーレ」の企画アドバイザーを辞任
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】「百の夜は跳ねて」の古市憲寿を「天空の絵描きたち」の木村友祐が擁護

社会学者として知られている古市憲寿が小説を書き始め、「平成くん、さようなら」につづき、「百の夜は跳ねて」が芥川賞の候補作となったことは周知のとおり。「百の夜は跳ねて」は受賞を逃し、今村夏子の「むらさきのスカートの女」が受賞した。
SNSで話題になっているのは古市憲寿の「百の夜は跳ねて」が複数の選考委員から酷評されていることだ。古市が木村友祐の「天空の絵描きたち」を参考献として記載していることに起因してのことなのだ。
山田詠美は「木村友祐作『天空の絵描きたち』を読んでみた。そして、びっくり! 極めてシンプルで、奇をてらわない正攻法。候補作よりはるかにおもしろい」「候補作が真似や剽窃に当たる訳ではない。もちろん、オマージュでもない。ここにあるのは、もっとずっと巧妙な、何か。それについて考えると哀しくなって来る」と評価している。
川上弘美は「結論からいいます。わたしは悲しかった。木村友祐さんの声がそのまま『百の夜は跳ねて』の中に、消化されず、ひどく生のまま、響いていると、強く感じてしまったからです」「古市さんのおこなったことは、ものを創り出そうとする者としての矜持にかける行為であると、わたしは思います」。
吉田修一は「本作に対して、盗作とはまた別種のいやらしさを感じた」「あいにく『天空の…』の方は書籍化さえされておらず入手困難であり、まさにこの辺りに本作が持ついやらしさがあるように思う」。
堀江敏幸「他者の小説の、最も重要な部分をかっぱいでも、ガラスは濁るだけではないか」。
こうした選評を読んだ人たちが「有名」な古市が「無名」の木村友祐の作品を利用したのではないかという「憶測」がブログやツイッターで飛び交い始めたのである。匿名ブログ「古市憲寿さんが芥川賞選考委員にいろいろ言われちゃってる件」などは代表的なものであろう。
https://anond.hatelabo.jp/20190812012815
ツイッターでは、こういうツイートが拡散している。
《これ古市氏の短編小説の最後に「参考献」として他の無名作家の小説が公然と挙げられているという異常な事態に、選考委員たちが書籍にもなっていないその小説を読んでみたら出来が良く…これ…学業界これ…パク…ゴー…お前これ…とみなさん絶句しているというエグい状態です。芥川賞史に残る批評。》
https://twitter.com/C4Dbeginner/status/1160833993853394944
木村友祐はブログ「古市憲寿さんが芥川賞選考委員にいろいろ言われちゃってる件」をリプライして、ツイートの投稿を始めた。
《違いますよう。古市さんが窓拭きに興味をもち、取材依頼があり、応じました。窓拭きの達人を紹介しました。古市さんはその取材をもとに書いてます。》
https://twitter.com/kimuneill/status/1160846661469405186
更に、こうもツイートする。
《窓拭きの細部以外は、ぼくの作品と古市さんの作品は別のものです。そしてぼくは、〝知名度がないゆえに作品を利用されたかわいそうな小説家〟ではありません。知名度はないけど。》
https://twitter.com/kimuneill/status/1160847618987008000
批評家の若松英輔は次のようなツイートを投稿している。
《今回の芥川賞は大変意味深かった。木村友祐という「無名」の作家の言葉が評価されたのだ。この喜びに比べたら、私たちの周辺では、随分前から現代日本学を代表する力量の持ち主であるとの共通の認識があったことなど小さな問題なのだろう。壇がほとんど社会と隔絶していることがよく分かった。》
https://twitter.com/yomutokaku/status/1161205134220640256
木村を評価していたのは何も若松の周辺に限ったことではあるまい。例えば私にとって「無名」なのは、むしろ古市憲寿であって、木村友祐ではない。『イサの氾濫』(未来社)は私にとって中上健次の『枯木灘』に比肩しうる傑作である。むろん、若松も、こうツイートすることを忘れない。
《木村友祐さんはもともと「有名」「無名」の埒外で仕事をしている人ですからね。(ほんとうはめちゃくちゃ腹が立っています。)
https://twitter.com/yomutokaku/status/1161229524756910080
木村のツイートはつづく。
《窓拭きが落ちて死ぬ、というエピソードなどの細部が似るのは、同じその達人から取材したからだし、実際に死ぬ人がいるから、仕方ないのです。選考委員の方々の批判は、それとは別角度のものかもしれませんが、窓拭きの描写に関しては、違和感はありませんでした。》
https://twitter.com/kimuneill/status/1160850663250649090
木村は古市を擁護しているのである!『野良ビトたちの燃え上がる肖像』(新潮社)の作者らしいではないか!次のツイートこそ木村の真骨頂である。
《この件に関しては、「無名」のぼくのことを心配して下さるより、また小説云々より、街を歩いていて見かける、ガラスの反射熱を浴びながらビルに張り付いて窓を拭く人たちに想いを寄せてくれた方が、うれしいのです。こんなに機械化が進んでも、窓拭きは人力で、今も時には人が亡くなります。》
https://twitter.com/kimuneill/status/1160936325639335936
温又柔のツイート。言わんとしていることは分かるよね。
《私は該当作も選評も未読ですが、この"機会"に「街を歩いていて見かける、ガラスの反射熱を浴びながらビルに張り付いて窓を拭く人たちに想いを寄せてくれた方がうれしい」と明言する木村友祐さんを心から敬愛しています。そして、その木村さんが書く小説にいつも勇気づけられています》
https://twitter.com/WenYuju/status/1161107432354881536
「反ヘイト・反新自由主義の批評精神」の岡和田晃のツイート。
《木村友祐「天空の絵描きたち」、やや残念な流れではあるが、この勢いで単行本化するなら、もう帯でも解説でも書評でも何でも書いて応援しますよ。単体では本として薄いだって? 東京もの繋がりで、東京湾の漁師を描いた「おかもんめら」(「すばる」2011年2月号)とセットにすればいいじゃないか!》
https://twitter.com/orionaveugle/status/1161066029268660224

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2)【記事】祝!最近書店開店情報

堺市南区光明池駅から歩いてすぐのサンビア1階にアバンティックセンター 光明池店が7月12日にオープンした。
https://sakai-news.jp/newface/20190712_a011_avanti
もともとは天牛堺書店光明池店が入っていた。
天牛堺書店が消滅した後、空き店舗だった光明池店の跡地に書店が入るというお知らせが以前からあったが、アバンティブックセンターが7月12日にオープンするという立て看板が出ていた。e-honを運営するトーハンのグループ会社らしい。それでバス停側の壁の枠にe-honの広告がずっと出ていたのかな。》
https://twitter.com/Amarchykun/status/1146735408052494337
書店の開店は街の人々にとっても嬉しいものだ。
光明池に再び、書店が戻って来たので、散髪前に寄ってみた。アクロスモール等に入店してる物件と同じ取り揃えですな。つまり、アニメヲタやキッズ向けには強いが、スタートアップを含むIT系には薄い、と言う。》
https://twitter.com/stein2nd/status/1150673944250343425
札幌市中央区大垣書店 東光ストア行啓通店が7月19日にオープンした。もともとは「なにわ書房」であった。大垣書店東光ストア円山店も同日オープン。ここも「なにわ書房」だった。大垣書店のFC(フランチャイズ店舗)として運営していた店舗である。
《 大垣書店は、6月21日に「マルヤマクラス店」と同店に隣接するカフェ「LINER NOTESマルヤマクラス店」を直営店として再開させていたが、今回、「東光ストア円山店」と「東光ストア行啓通店」も直営店として再開した。》
https://hre-net.com/keizai/keizaisougou/39072/
宮脇書店 イトーヨーカドー久喜店(埼玉県久喜市)が7月18日(木)にオープン。
イトーヨーカドー久喜店の4階、キャンドゥは7月18日にオープン、宮脇書店は7月下旬にオープンか。本屋が復活するのは嬉しいが店舗面積が書店より100円ショップの方がはるかに広いのが時代を物語っている。》
https://twitter.com/sekkei_komaichi/status/1148906401156087808
品ぞろえも豊富なようだ。
イトーヨーカドー久喜店の宮脇書店、品揃えも思った以上、少ないけどまさか建築の専門書が置かれるとは予想外。》
https://twitter.com/sekkei_komaichi/status/1152051273174142976
宮脇書店イトーヨーカドー久喜店さんが7/18オープン!
おめでとうございます !
広い店内で在庫もたくさん! これはいいですねー!
午前中から地元のお客さんを中心に賑わっていました。
ぜひお立ち寄りくださいませ》
https://twitter.com/flierinc/status/1158592920372404225
くまざわ書店福岡西新店が7月26日(金)にオープン。
https://twitter.com/fiblio2011/status/1140459055208697856
https://www.kumabook.com/shop/praliva-nishijin/
教堂イオンスタイル河辺店(青梅市)が8月9日にオープン。
https://twitter.com/higasiku1/status/1160113732640358405
《イオンスタイル河辺には東急ストア時代からの専門店として、東急百貨店のベーカリー部門として創業した「サンジェルマン」、イオングループの靴量販店「ASBee fam.」、100円ショップ「ダイソー」、書店「教堂」、手芸用品店「クラフトハートトーカイ」など20店舗が引続き出店するほか、8月23日には新たな専門店として雑貨店「HIDE&SEEK」、眼鏡店「メガネフラワー」、とんかつ「かつ良」、釜揚げ讃岐うどん「きぬさ屋」の4店舗が新規出店する。》
https://toshoken.com/news/16261

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3)【記事】東浩紀が「あいちトリエンナーレ」の企画アドバイザーを辞任

東浩紀ツイッターに8月13日付で次のように投稿した。
《あいちトリエンナーレのアドバイザーですが、これ以上ひとりでも作家が展示辞退したら、アドバイザーを辞任するつもりです。まず県民に申し訳ない。表現の自由とかの話ではない。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161254933464637440
「ウェブ版美術手帖」が8月14日付で「ウーゴ・ロンディノーネら新たに9作家が展示中止を要求。あいちトリエンナーレ2019で混乱続く」を発表した。
《『ARTNEWS』によると、すでに展示辞退を正式に表明し、展示が中止されている韓国のアーティスト、イム・ミヌクとパク・チャンキョンの2名に加え、ウーゴ・ロンディノーネ、タニア・ブルゲラ、ピア・カミル、クラウディア・マルティネス・ガライ、レジーナ・ホセ・ガリンド、ハビエル・テジェス、モニカ・メイヤー、レニエール・レイバ・ノボ、ドラ・ガルシアの9作家がキュレーターのペドロ・レイエスとともに12日付で『ARTNEWS』宛のオープン・レターを公開。》
《ウーゴ・ロンディノーネの《孤独のボキャブラリー》はメインビジュアルにその作品が使用されており、ペドロ・レイエスとモニカ・メイヤーは「男女平等」を掲げる今回のトリエンナーレのキーパーソンでもある。どのアーティストが欠けても本来のあいちトリエンナーレ2019の姿は維持できない。これほど多くのアーティストが展示中止を表明したことで、状態が一層混迷することは明らかだ。》
https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/20344
東浩紀が連続ツイート。有言実行である。
《こちらなのですが、すでに報道されているとおり、海外作家7人より展示中止の申し出が出たようです(ぼくも報道でしか知りません)。
津田監督には、この1週間、いろいろ善後策を提案していたのですが採用されず、アドバイザーとして職務を果たすのが困難な状況になりました。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161366953451118592
《そこでさきほど、アドバイザーを辞任する旨のメールを津田監督と事務局に出させていただきました。今後は、公的な立場を外れ、一個人としてトリエンナーレを応援していければと思います。あらためまして、このたびは、ぼくの力が及ばず、県民のみなさま、出店者のみなさま、申し訳ありませんでした。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161367350337101825
次の指摘は重要だ。
《辞任となりましたのでぼくの考えを整理しますと、ぼくは今回の問題について、「表現の自由」vs「検閲とテロ」という構図は、津田さんと大村知事が作り出した偽の問題だと考えています。ぼくはこの1週間、津田さんにはそれを訴えてきました。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161369067359354880
あいちトリエンナーレは一般市民を巻き込めなかったのだ。一般市民から孤立してしまうのだ。その一方でチープな「政治」に巻き込まれてしまう。
《ではなにが本質だったのか。それは「外交問題に巻き込まれたこと」と「市民への説明不足」だというのが、ぼくの考えです。慰安婦像については、政治家やメディア(海外含む)に政治的に利用されてしまいました。天皇作品については、過激な表現が多くの市民にショックを与えました。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161370029994020864
芸術監督として津田大介はあまりに幼かったのではないだろうか。
《それゆえ、ぼくは津田さんに、論点をこの2点に絞り、外交問題に安易に巻き込まれる展示を行ったこと、市民に十分な説明をしないまま過激な作品を展示しショックを与えたことについて、まず誠実な謝罪をし、そのうえで対策について市民や出展者を巻き込んで議論をすべきだ、と提案しました。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161370849871400960
私も津田は早い段階で芸術監督を辞任すべきだと思った。
《そして、市民や出展者の信頼を回復し、「議論の場の再設定」を実現可能なものにするために、まずは混乱の責任をとって監督を辞任し、ほかのキュレイターと協力関係を築くべきだと提案しました。けれども、残念ながら、津田さんを動かすことはできませんでした。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161371820395655168
これから先はじっくり読みたい。
《ぼくの観察するかぎり、今回「表現の不自由展」が展示中止に追い込まれた中心的な理由は、政治家による圧力や一部テロリストによる脅迫にあるのではなく(それもたしかに存在しましたが)、天皇作品に向けられた一般市民の広範な抗議の声にあります。津田さんはここに真摯に向かい合っていません。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161372458676449281
《それら抗議は検閲とはとりあえずべつの問題です。日本人は天皇を用いた表現にセンシティブすぎる、それはダメだと「議論」することはできますが、トリエンナーレはその日本人の税金で運営され、彼らを主要な対象としたお祭りでもあります。芸術監督として顧客の感情に配慮するのは当然の義務です。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161373985520545792
《この問題を「表現の自由」vs「検閲とテロ」の構図でとらえているかぎり、そこには出口がありません。表現の自由を守らない美術展を支持するアーティストはいません。その意味では海外作家の離脱は当然です。津田監督は、早急に、表現の自由は守る、「だからこそ」の展示中止であり再設定なのだという論理をつくり、作家を説得しなければなりません。ぼくはそれは、むずかしいけれど不可能ではないと考えます。前述のように、ぼくはこの1週間、その「新たな問題設定」に進むように提案をしてきました。けれども、理解を得られないまま、新たな作家が離脱する局面を迎えてしまいました。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161374862494978048
https://twitter.com/hazuma/status/1161375724772577281
《この状況はたいへん心が痛むものです。海外のアーティストは表現の自由を訴えている。けれどもそれは日本の市民には特定のイデオロギーやプロパガンダに賛同する党派性のように見える。このようなねじれを作り上げた責任は津田さんにあり、彼はそれを早急に解きほぐさねばなりません。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161376436520800256
《ぼくは今回アドバイザーを辞任しましたが、ぼくが辞任したのは、このようなことを自由に言うためでもあります。今後、「海外の現代美術作家」vs「日本の市民」という不毛な対立構図が作られないよう、微力ながら情報を発信できたらと考えています。よろしくお願いします。》
https://twitter.com/hazuma/status/1161376750317654016

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4)【本日の一行情報】

朝日新聞デジタルは8月12日付で「NHKに民放不満 『仕方なくTVerに参加した感じ』」を掲載している。
《NHKは8月下旬にも民放のインターネットの番組配信サービス「TVer(ティーバー)」に8番組程度を提供する。複数の関係者への取材でわかった。NHKと民放の番組が一堂に会する動画配信プラットフォームが誕生するが、人気番組は配信しない。NHKを取り込み、動画配信市場で存在感を高めたい民放側と、限定的な参加にとどめたいNHK側との間ですれ違いが起きている。
https://www.asahi.com/articles/ASM884HRTM88UCVL00G.html
「亡国記」(現代書館)の北野慶がツイートしている。
《参加するな!テレビを捨てた私にとって、TVerは見たい民放番組を選択して見たい時に見れるツール。電波を押し売りするNHKなんかいらん!》
https://twitter.com/keikitano/status/1160837033209675776

スポーツニッポンが8月13日付で「『ZARD坂井泉水さん、未公開メモ掲載本刊行 07年死去“伝説の歌姫”が記した心の中」を掲載している。
《2007年に亡くなったZARD坂井泉水さん(享年40)の未公開メモを掲載した本が刊行されることになった。ドキュメントブック「永遠 君と僕との間に」(幻冬舎)で、10月24日に発売。初公開のものを含む約90点の写真や、育ての親である長戸大幸プロデューサー(71)の新証言も収録される永久保存版だ。》
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/08/13/kiji/20190812s00041000406000c.html
芸能に強い幻冬舎である。見城徹の本領発揮である。

KADOKAWAは、8月10日にエンタメ電子小説誌「カドブンノベル」(9月号)を創刊した。希望小売価格は300円(税抜)。
https://kadobun.jp/novel/new-magazine.html
https://www.work-master.net/2019164296

京都アニメーションの放火殺人事件から、まもなく一カ月となるが、今井書店グループセンター店スタジオワンダー(松江市)は火災を免れたアニメ原画を今月末まで展示しているという。
https://www.fnn.jp/posts/00422297CX/201908121725_TSK_CX
https://www.asahi.com/articles/ASM8C6GQMM8CPTIB00B.html

毎日新聞は8月12日付「メディア万華鏡」で山田道子(毎日新聞紙面審査委員)が「芸術かヘイトか?『表現の不自由展』もメディアの分断」を発表している。
《映画「新聞記者」評同様、“分断”が気になっていた。国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、元従軍慰安婦を題材とする「平和の少女像」などを展示した企画展「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれた問題。
毎日、朝日、東京新聞は「表現の自由の問題だ」と大きく多角的に伝えた。日経新聞は「公的な資金が入った芸術祭でも、国や行政の意見を表明するために存在するわけではない」などとする識者談話を加えた記事「表現の自由巡り波紋」を8月6日朝刊に載せた。一方、読売、産経新聞は事実関係を淡々と報じた。》
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20190808/biz/00m/020/005000c

朝日新聞角幡唯介のツイートだ。角幡は早大探検部のOBであり、「極夜行」(藝春秋)では大佛次郎賞を受賞している。
《ちなみに新聞社には馬鹿枠という採用枠があり、吹き溜まりの方々はそっちを目指す手もある。実際に私は朝日の馬鹿枠で採用されたらしく、退社後に出会った私の面接官だった記者が教えてくれた。「僕は君を推したんだけど経済部の記者が反対して、最終的に責任者が馬鹿枠で採ること決めたんだよ」って。》
《今はあるかどうか知りませんが…
新聞社にそんな余裕はもうないか。もう18年も前だもんなぁ。》
《私以外にも馬鹿枠で採用されたっぽいのが、あと一名いたが…
でも彼は本物の馬鹿で、それが原因で入社せず、今は売れっ子の作家である。》
https://twitter.com/kakuhatayusuke/status/1160895058251407360
https://twitter.com/kakuhatayusuke/status/1160895365215686656
https://twitter.com/kakuhatayusuke/status/1160896195746643968

◎「HARBOR BUSINESS Online」が8月13日付で「ご飯論法」の発見者である上西充子による毎日新聞統合デジタル取材センターのセンター長・齊藤信宏のインタビュー「メディア不信と新聞離れの時代に、鋭い記事目立つ毎日新聞の『挑戦』」を公開している。斎藤の次のような発言をしている。
《新聞業界というのは、実はすごく硬直した組織になっていたんです。霞が関の官僚の人と話していると、よく言われるのは「霞が関のこと批判してくれるのはいいと思う。古いとか旧態依然としてるとかって。でも少なくとも霞が関は省庁再編もしてるし、なくなった官庁もあるし、大蔵省は二つに割れて財務省金融庁になったりしてるんですよ。でも、新聞社はなんですか」と。確かにその通りで、明治時代からほぼ政治部・経済部・社会部・外信部・運動部って縦割りの組織は変わっていないらしいんです。
https://hbol.jp/199193

◎「PRESIDENT Online」は元木昌彦の「なぜ日本は韓国より『言論の自由』が低いのか」を公開している。
《安倍政権になってからズルズルと下がっているが、私は安倍の強権政治のためだとは思っていない。われわれ一人一人に、言論・表現の自由を守ろうという強い気持ちがないからである。これは日本憲法と同じで、命を懸けてわれわれが勝ち取ったものではないからだ。
日韓関係が最悪の今、慰安婦像を展示すればどうなるかぐらいは、津田をはじめとする、これを手掛けた連中にもわかっていたはずだ。それをあえてやるからには、それ相応の覚悟があったはずだったと思いたい。なかったらバカの集まりである。》
https://president.jp/articles/-/29621
元木昌彦の後輩にあたる講談社の渡瀬昌彦常務は元木同様に講談社ジャーナリズムにかかわり続けて来た人物だが、昨年、私に送って来た手紙では「クライアントである出版社に対する敵対的言動となると、我々としては御社との関係を見直さざるを得ない」という章を堂々と書いていた。いずれ、この手紙は公開するつもりでいるが、私は渡瀬に送った返信で次のように書いた。この返信も近いうちに全を公開するつもりだ。
《「クライアントである出版社に対する敵対的言動となると、我々としては御社との関係を見直さざるを得ない」とは、どういう意図で書かれたのでしょうか。「クライアントである出版社に対する敵対的言動」とは、どういうことでしょうか。私には「恫喝」としか受け取れない言です。それとも「恫喝」と受け取るのは私だけなのでしょうか。疑問に思い私の友人何人かにこの手紙を見せたところ、私が「恫喝」だと受け取るのも不思議ではないと申します。》
乾智之広報室長を増長させたのは渡瀬昌彦常務にほかなるまい。

◎P・W・シンガー +エマーソン・T・ブルッキングの「『いいね!』戦争 兵器化するソーシャルメディア」(NHK出版)を読む。P・W・シンガーはCIAの顧問なんだそうだ。
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817792019.html

◎「美と、美と、美。-資生堂のスタイル-」展が日本橋高島屋S.C. 本館8階ホールにおいて9月18日(水)から9月29日(日)まで開催される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001480.000005794.html
https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002733
資生堂と言えば山名夫だよね。わが国の雑誌化とも深く関わったデザイナーである。雑誌編集者は足を運ぶ必要が100%あるはずだ。

◎「ダイヤモンド・オンライン」が「毎日新聞リストラ第1弾は幹部67人の削減、禁じ手の最終版繰り上げにも着手」を公開している。
毎日新聞は50歳代の早期退職を実施しており、今回はその第1弾に当たる。早期退職に応じた幹部は9月末に退職する。毎日新聞は第2弾として今後非幹部の早期退職の募集を始め、2019年度内に幹部・非幹部合わせて200人規模の人員削減を行う。
67人も幹部が辞めれば新聞制作に支障が出そうなものだが、毎日新聞にとってその退職者数は決して多すぎることはない。何せ、50歳代の社員の半数が部長職以上に就いており、その数は全社員数の2割に相当する418人に上っていたのだ。》
https://diamond.jp/articles/-/211687
キャリア研究サイト「type就活」の宮本智史が次のようにツイートしている。
《リストラされても、業務に支障がない上位役職者がいる、ということ自体が、ビジネスとしておかしくなってる証拠。》
https://twitter.com/38mo10/status/1161190713586884613

◎「ITmedia エグゼクティブ」が「出版不況の中でヒットを連発――秘密は「編集思考」による新たな価値の創出」を公開している。アスコム取締役編集局長の柿内尚ITmedia エグゼクティブ勉強会で「“編集思考”で課題解決!」をテーマに講演したそうだ。
《編集思考とは、(1)新しい価値を生み出す、(2)その価値を届ける、そのための考え方とメソッドである。編集思考には8つのポイントがある。
・「かけ合わせ」でオンリーワンの価値を生み出す。
・商品、サービスの「優れているところ」を「全方位」で考えつくす。弱点も魅力に変える。
・「自分ゴト、あなたゴト、社会ゴト」を考える。
・たくさんの人の中にある無意識を見つける。
・価値の「再定義、変換」をする。
・「残念な伝え方」で価値を殺さない。
・「逆算」で考える。
・「認知→興味→信用」の流れを作る。》
https://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1908/14/news033.html

朝日新聞デジタルが8月13日付で「NHK『怖さある』 勢いづくN国、視聴者の不満一手に」を掲載している。
《今回の事態について、別のNHK幹部は不安を隠さない。「視聴者が抱くNHKへの潜在的な不平不満が今回の動きを機に、一気に噴出する怖さがある」》
https://www.asahi.com/articles/ASM8C6WNYM8CUCLV002.html
N国党の党首である立花孝志はメディアの使い方がうまい。立花はマスメディアを手玉に取り、ソーシャルメディアを縦横無尽に使いこなしているのだ。「ハフポスト日本版」が8月13日付で「N国代表・立花孝志氏『マツコ・デラックスをぶっ壊す』と激怒。TOKYO MXの前で動画生配信」を発表している。
NHKから国民を守る党の立花孝志代表が8月12日午後5時ごろ、東京メトロポリタンテレビジョンTOKYO MX)を訪れ、タレントのマツコ・デラックスさんを痛烈に批判する抗議を行った。
同時刻、同局では『5時に夢中!』の生放送が行われており、マツコ・デラックスさんが月曜レギュラーとして出演していた。
立花氏は抗議の様子を同局のスタジオ前からYouTubeで生配信した。》
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d52091de4b0cfeed1a1fde9

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5)【深夜の誌人語録】

たまには休めよ!