【文徒】2019年(令和元)8月29日(第7巻156号・通巻1576号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】黒岩祐治・神奈川県知事が「表現の不自由展・その後」に自説を披露
2)【記事】京アニ犠牲者の実名が公表された
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.8.29 Shuppanjin

1)【記事】黒岩祐治・神奈川県知事が「表現の不自由展・その後」に自説を披露

カナロコ」(神奈川新聞)が「『表現の自由逸脱。開催認めない』愛知の芸術祭で黒岩知事」を掲載している。
《会見で黒岩知事は「私もメディア出身。表現の自由は非常に大事だが、何でも許されるわけではない」と指摘。「あれは表現の自由ではなく、極めて明確な政治的メッセージ。県の税金を使って後押しすることになり、県民の理解は得られない。絶対に(開催を)認めない」と強調した。》
https://www.kanaloco.jp/article/entry-191196.html
神奈川新聞記者の田崎基がツイートしている。
《うわー最悪だ!
神奈川県の黒岩知事 不自由展「県内で開催認めない」 https://kanaloco.jp/article/entry-191196.html 黒岩知事「もし同じことが神奈川県であったとしたら、私は開催を認めない」
一体なんなんだ!表現の自由がこんなにも軽視していいはずがない。これは黙っていちゃいけない。》
https://twitter.com/tasaki_kanagawa/status/1166357065587208192
東京新聞も8月28日付で「黒岩・神奈川知事が持論 あいちトリエンナーレ企画展『表現の自由逸脱』『開催は認めない』」を掲載している。
《黒岩知事の発言に対し、表現の自由をめぐる問題に詳しい小内克浩弁護士は「政治的主張や思想、意見が入った表現は、表現の自由の核心部分。政治的メッセージがあるからといって『逸脱している』という考えは見当外れ」と批判。知事が公金の支出を問題視した点は「いろんな考え方や意見があるからこそ、取り上げて議論が湧き起こる価値がある。税の投入は、おかしなことではない」と話した。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019082802000149.html
東京新聞記者の佐藤圭が呆れている。
《カジノはOK、平和の少女像はNG。すべてが明後日の方向である。神奈川県で生まれ育った身としては、この程度の人物が知事とは心底恥ずかしい。長洲さんが懐かしい。》
https://twitter.com/tokyo_satokei/status/1166361085957611523
スマートニュースの編集者・山口亮も呟く。
《仮に政治的メッセージだとして、そうであれば表現の自由から逸脱しているというのはどういう理屈なんだろう。》
https://twitter.com/d_tettu/status/1166370161302966273
「ヘッドフォン・ガール」の高橋健太郎は、こう指摘している。
《「表現の自由」からの「逸脱」って訳ワカランよね。日本語の「表現の自由」とは「表現規制」だってこと? 来年の横浜トリエンナーレのディレクターは日本人じゃなくて、インドのラクス・メディア・コレクティヴ。そんなの通じるかよ。》
https://twitter.com/kentarotakahash/status/1166479848430137346
ちなみに男性2人・女性1人からなるインドのグループ「ラクス・メディア・コレクティヴ」は逢坂恵理子、蔵屋美香椹木野衣鷲田清一浅田彰という5名の選考委員に選ばれ、浅田によれば「ラクス・メディア・コレクティヴ」の提案は、ドゥルーズガタリの思想を語る横浜の日雇い労働者に密着したイギリス人人類学者のルポルタージュなどをソースとし、そこから参加者が次々に連想の網を広げていくという方法だそうである。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000504.000013670.html
https://yokohama-sozokaiwai.jp/eventreport/18764.html
2017年に開催された横浜トリエンナーレについて織部佳積はツイッターで次のように述べている。
《2017年の横浜トリエンナーレのテーマは、「島と星座とガラパゴス」。で、その内容はと言うと、原発、戦争、難民など、政治的なテーマの作品が幾つもあった。この手のお役人は、取り敢えず表面だけ波風立ってなければ、内容には大して関心が無いのが良く分かる。》
https://twitter.com/oribesgarden/status/1166355989517524993
仲俣暁生との往復書簡で藤谷治は次のように書いている。「マガジン航」に公開された「突き破るべき地面はどこに」である。
《それよりさらに頻繁に行われているのが、美術の問題であることは無視して、これを社会的問題、政治的問題、あるいは「金を出しているのは誰だ」といった問題にしている言説です。美術とは何かなんてどうでもいい、日本の公共施設で日本国を批判する物体を陳列するのは国家への反逆であり、不忠である……と言わんばかりの主張もあるようです。言わんばかりではなく、そのように明言している「呟き」も、探せばあるかもしれません。
なぜこんなことになったのか。僕はそれは、「文化行政」というものが、本来的にそういう側面を持っているからだと考えています。》
藤谷は新作「綾峰音楽堂殺人事件」(ポプラ社)で主人公に次のように語らせているそうだ。
《「どこもかしこもトリエンナーレビエンナーレ。現代美術で町おこし。よその猿真似で観光客に金を落とさせようって魂胆だ。文化芸術が聞いて呆れますよ」》
https://magazine-k.jp/2019/08/28/fujitani-to-nakamata-18/
ウェブ版「美術手帖」が8月28日付で「CIMAM(国際美術館会議)が『表現の不自由展・その後』について声明文を発表。『表現の自由が完全に損なわれている』」を発表している。
《CIMAMは1962年に創設、世界85ヶ国の近現代美術館に関わる専門家560名以上によって構成されている団体。声明文のなかでCIMAMは展示中止を「非常に懸念している」としており、河村たかし名古屋市長からの要請によって展示が中止されたことは「芸術家の表現の自由を侵害する行為だ」と強く非難している。》
https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/20437

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2)【記事】京アニ犠牲者の実名が公表された

京都新聞が8月28日付で「京アニ放火事件で残る25人の犠牲者氏名、京都府警が明らかに」を公開した。
京都市伏見区アニメ製作会社京都アニメーション」第1スタジオが放火され、男女35人が死亡した事件で、京都府警捜査本部は27日、亡くなった人のうち、未公表だった25人(男性8人、女性17人)の氏名を明らかにした。犠牲者には人気アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」でキャラクターデザインを担当した寺脇(池田)晶子さん(44)も含まれていた。》
https://kyoto-np.jp/top/article/20190827000069
「山本五十子の決断」の如月真弘によるツイート。
《私が今一番知りたいのは京アニ犠牲者の氏名ではなく、遺族の反対を踏みにじって実名報道したマスコミ関係者の氏名です。住所です。経歴や家族の個人情報等マスコミが普段晒しているものと同じもの全てです。
同じ苦しみをマスコミ関係者一人一人に与えたい。
この恨みと憎しみは生涯忘れません。》
https://twitter.com/mahirokisaragi/status/1166395996181426176
田中芳樹事務所代表の安達裕章によるツイート。
《マスコミの皆さんの要求通り、犠牲者の名前が公表されたわけです。
あとは、この情報をマスコミがどう使うか、それをみんな見てると思いますよ。ここでメディアスクラムが発生したら、マスコミの評価はますます低下するでしょうね。》
https://twitter.com/adachi_hiro/status/1166241433134624768
共同通信記者の澤康臣が連続ツイート。
京アニ事件1カ月、読売大阪社会部の実名海外事情の記事(ネット未掲載、東京紙面は大幅短縮)によると
・海外は英米を中心に死者の実名公表・実名報道が浸透。情報公開による社会の透明性、公益性重視
・米で8月続いたテキサス、オハイオの乱射でも警察が犠牲者全員の氏名を当日~2日後にweb発表》
《・報道倫理に詳しい米ポインター研究所のマクブライド氏:米で実名公表は司法の信頼確保に決定的に重要、被害者側の意向は影響しないとし「実名公表が社会のためになるとの考えは遺族にも理解されている」》
《・英でも遺族に伝達後、公表。元高級紙記者の大学教員ジェイソンネット氏「遺族の意向で非公表は聞いたことがない」》
《・カナダも公表。公共放送CBCジョンストン記者「警察は遺族と話し合うが、意向の確認ではなくメディアに注目される時の心構えを促す」。同国のバンクーバー警察「誰が殺されたか分からないような社会に暮らしたいだろうか」》
https://twitter.com/yasuomisawa/status/1166278774343659521
https://twitter.com/yasuomisawa/status/1166278780609937408
https://twitter.com/yasuomisawa/status/1166278781536915458
https://twitter.com/yasuomisawa/status/1166278782484795392
2018年2月1日付毎日新聞によれば「米国や英国が被害者の氏名を公的記録と捉えて報道しているのに対し、ドイツでは報道しないことが多い」そうだ。
https://mainichi.jp/articles/20180201/ddm/004/040/038000c
「アニメ屋」佐藤順一の連続ツイート。
《在洛だけでなく報道全体として、実名報道の意義をきちんと説明して、二次被害の対策もたてて公表するなど本気で報道のあり方を考えないと、報道が被害者の敵になってしまうのは報道の生命線に関わる危機だと思うのですが…。せめて事後の対応は遺族の身になってしっかりとお願いしたい。》
実名報道の意義は、私見ですがたとえば今回の事を端緒に先々、権力者側の人間が加害者だった場合に、同じように〝親族の意向に配慮して実名報道しない〟が是となってしまう事が起こるかもしれない。そういった事を避けるためには実名報道に徹する意義はあると思いますが、しかし》
《そのためにはやはり報道は民衆の信用を失っては理解が得られないし、信用を失えば力も失っていくと思う。だから、すくなくとも被害者報道については、繰り返しになりますが、スクープ合戦をやめて誠実に向き合うように報道全体で考えなくてはならない時期にきていると思うのです。》
https://twitter.com/satojumichi/status/1166450903135608832
https://twitter.com/satojumichi/status/1166451478048886784
https://twitter.com/satojumichi/status/1166451771218092032
京都アニメーション代理人弁護士・桶田大介のツイート。
《弊社の度重なる要請及び一部ご遺族の意向に関わらず、本日被害者の実名が公表、一部報道されたことは大変遺憾です。弊社は、京都府警及び関連報道機関に対し、改めて故人及びご家族のプライバシーとご意向の尊重につき、お願い申し上げます。》
https://twitter.com/DaisukeP/status/1166247361527418881

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3)【本日の一行情報】

集英社の「週刊少年ジャンプ」で連載されている「僕のヒーローアカデミア」のTVアニメ第4期シリーズが、10月12日(土)より毎週土曜夕方5時30分、読売テレビ日本テレビ系全国29局ネットで放送が開始される。コミックスシリーズは累計発行部数2300万部を突破している。
https://animageplus.jp/articles/detail/27883

◎宝島社は9月23日まで銀座ロフト6階バラエティー雑貨特設会場において「THE POPUP SHOP by TAKARAJIMASHA」をオープンしている。シリーズ累計46万部突破のメガベストセラーの「天使の深睡眠マクラBOOK」をはじめ、人気ブランドバッグBOOK「moz」「MILKFED.」「Lee」や、「リラックマ」や「ムーミン」などキャラクターグッズ付BOOK等約100種類が取り扱われている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000583.000018324.html

◎世界のスマートスピーカーの市場でトップを占めるのはアマゾン。第2位はグーグルではなく中国のバイドゥとなった。グーグルは第3位。
https://jp.techcrunch.com/2019/08/27/2019-08-26-google-falls-to-third-place-in-worldwide-smart-speaker-market/

◎コミックス累計1100万部を突破している西岸良平の「鎌倉ものがたり」(双葉社)は誕生35年を迎え、8月8日にコミックスの第35巻が発売された。主人公のミステリー作家の一色正和が9月20日(金)に、鎌倉警察署の一日署長に就任するそうだ。また「葉山警察署安全安心サポーター」には化け狸の狸山ポン吉巡査が就任する。更に「『鎌倉ものがたり』誕生35周年記念ツアー」が実施されるそうだ。
https://hon-hikidashi.jp/enjoy/92315/
https://apli.lawson.jp/fm/pub/travel/kamakura35

元木昌彦の「平成挽歌―いち編集者の懺悔録」(16)。毎回、読むのを楽しみにしている。1000万円払っても、儲けの出た時代があったということである。
オウム真理教事件で)《週現が放ったスクープは2本ある。1本は坂本堤弁護士一家誘拐殺人事件の実行犯の一人、岡崎一明の告白である。》
《記憶が定かではないが、たしか要求額は1,000万円だったと思う。カネを払うことに躊躇いはなかった。そこにスクープがあれば、殺人者であろうとヤクザであろうと、カネは払う。》
https://www.data-max.co.jp/article/31139

博報堂など博報堂DYグループ4社横断の、動画を使ったマーケティング効果の最大化を目指すプロジェクト「hakuhodo.movie」(ハクホウドウ・ドット・ムービー)は、「動画生活者統合調査2019」を実施した。
これによれば、テレビ視聴に掛ける時間は1日あたり「2時間半~3時間」がボリュームゾーン、一方ネット視聴では「1時間~1時間半」がボリュームゾーンであることがわかった。また、ネット視聴のピークタイムは「21~23時」。一方、テレビ視聴のピークタイムは「19~21時」で、続く「21~23時」においても視聴時間はネットより長い。「23時~翌5時」、ネット視聴とテレビ視聴は拮抗している。更にネット動画視聴後に「コメントを書いた」や「動画内の商品について調べた」など、何らかの視聴後行動をした「ネット視聴メイン層」「テレビもネットも層」は共に6割超であった。
https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2019/08/20190827.pdf

◎日経は8月26日付で「リクナビ問題で社長が謝罪、『事業存続の危機』」を掲載している。
《就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京・千代田)が就活生の同意を得ずに「内定辞退率」の予測を企業に販売していた問題で、小林大三社長と浅野和之執行役員は26日、都内で記者会見を開いた。小林社長は「学生や企業など多くの方々にご迷惑をお掛けし、申し訳ない」と謝罪。リクナビなどの新卒事業が「事業存続の危機にある」と話した。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49031140W9A820C1000000/

◎伊藤昌亮の「ネット右派の歴史社会学 アンダーグラウンド平成史1990-2000年代」(青弓社)は総514ページに及ぶ大著。伊藤は現在、成蹊大学文学部教授だが、「1997年から2009年までソフトバンクのメディアコンテンツ部門に在籍。主にIT、ネットサブカルチャー、ネットビジネスなどに関連する書籍の編集部で編集長を務めていた」という。
https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787234582/
https://www.j-cast.com/bookwatch/2019/08/28009640.html

◎「週刊文春」の林真理子のエッセイ連載が、9月5日号(8月29日発売)をもって、1615回を数える。これは山口瞳の「週刊新潮」における「男性自身」のギネス記録を抜き、週刊誌エッセイ世界一の記録となるそうだ。
http://shukan.bunshun.jp/

紀伊國屋書店は10月18日、「mozo ワンダーシティ店」(愛知県名古屋市西区)を新規オープンする。店舗面積422.29坪。
https://kyodonewsprwire.jp/release/201908260012

◎「月刊!スピリッツ」(小学館)が、8月27日に発売された10月号で10周年を迎えたが、これを記念し、全連載作のロゴステッカーが付録。
https://natalie.mu/comic/news/345208

小学館の女性ファッション誌「Domani」のWeb版で人気の「コンサ婆さん」が、LINEスタンプとして発売された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000374.000013640.html

◎8,000冊以上のマンガが読める「ジャンプBOOKストア!」(集英社)のアプリはプレイドが提供するネイティブアプリ向け・CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE for App」を導入した。作品提案のパーソナライズを進める。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000103.000010620.html

◎ピコハウスが運営する定額制音声聴き放題サービス「LisBo」(リスボ)は、「新潮文庫nex」のオーディオブック配信を開始した。第一弾は声優・井上 麻里奈の朗読で、シリーズ累計100万部の青春ミステリー小説「いなくなれ、群青」を9月2日より配信する。
https://www.atpress.ne.jp/news/191710

電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」による「次のヒット作はこれだ!新作ラノベ総選挙2019」が発表された。文庫部門で第1位となったのは「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました」、新文芸・ブックス部門で第1位は「陰の実力者になりたくて!」。ともに版元はKADOKAWAだった。
https://bookwalker.jp/lvote2019/result/bunko/?adpcnt=7qM_N3
https://bookwalker.jp/lvote2019/result/novel/?adpcnt=7qM_N3

◎「小説 天気の子」(角川文庫)が62万部に到達した。アニメ映画「天気の子」は公開から約1か月で興行収入100億円を突破した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000006194.000007006.html

THE YELLOW MONKEYを総力特集した「ぴあMUSIC COMPLEX Vol.14」の重版が決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001320.000011710.html

松井玲奈が4月に発売した短編小説集「カモフラージュ」(集英社)が、愛知・岐阜・三重の書店員・図書館員が「読者に本当に届けたい本」を選定する「第3回日本ど真ん中書店大賞<小説部門>大賞」に決まった。
https://www.oricon.co.jp/news/2143176/full/

◎ロイターは8月28日付で「仏検察が電通のパートナー企業に焦点、スポーツビジネス汚職捜査」を掲載している。
《国際スポーツビジネスを巡る汚職疑惑を捜査しているフランス検察当局は、摘発したスポンサー料の横領事件で、日本の大手広告代理店、電通(4324.T)のパートナーであるアスレティックス・マネジメント・アンド・サービシズ(AMS、本社スイス)が横領に利用された取引で「中心的かつ不可欠な役割」を果たしていたと判断、スイス当局にAMS本社の捜索と証拠の押収を要請した。》
https://jp.reuters.com/article/exclusive-sports-france-investigators-idJPKCN1VI0DS


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4)【深夜の誌人語録】

努力とは行きがけの駄賃をどれだけ稼げるかである。