【文徒】2019年(令和元)10月15日(第7巻186号・通巻1606号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】吉野彰がノーベル化学賞に選ばれた!
2)【記事】ノーベル学賞はオルガ・トカルチュクとペーター・ハントケに決定
3)【記事】和田誠 追悼ツイート一覧
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】吉野彰がノーベル化学賞に選ばれた!

産経新聞が10月10日付で「ノーベル化学賞発表で誤掲載 毎日新聞京都新聞」を掲載した。
毎日新聞社は、受賞決定者として旭化成の吉野彰名誉フェローのほかに、受賞していない別の人物名を含む記事を自社のニュースサイトに載せた。社内の指摘で削除した。掲載は午後7時49分から約4分間という。
京都新聞社もヤフーニュースに、同様に誤った氏名を載せた記事を配信。数分間、掲載されたとみられる。》
https://www.sankei.com/affairs/news/191010/afr1910100001-n1.html
産経も2013年に村上春樹を受賞させてしまった前科がある。いずれにしても10月9日付時事通信によれば、毎日新聞は「同社のニュースサイトに一時、『ノーベル化学賞 吉野彰、水島公一両氏に』とする誤った記事を掲載した。水島氏は受賞が決まっておらず、同社は約4分後に記事を削除した」そうだ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019100901257&g=soc
毎日新聞誤報も何のその10月9日 21時17分付で「ノーベル化学賞 水島公一さんは受賞ならず 共同研究者のグッドイナフさんたたえる」を掲載している。
https://mainichi.jp/articles/20191009/k00/00m/040/303000c
東芝研究開発センターのエグゼクティブフェロー水島公一は受賞が決まった米テキサス大のジョン・グッドイナフ教授(97)の共同研究者だったという。
「全裸監督」村西とおるの祝福ツイートは泣ける。
ノーベル賞吉野彰さまは同じ齢。「無駄なことをしないと新しいことは生まれてこない」。奥方も家族も笑顔で「誇りに思う」。手前どもも、駅弁、顔射にハメ撮りとAVのノーベル賞級発明はあれど、奥方や家族の評価は「恥しい、いっそ死んで欲しい」。一生懸命にやることになんの違いもないと思うけれども》
https://twitter.com/Muranishi_Toru/status/1182573273252388864
共同通信は10月10日付で「吉野彰さん少年時の愛読書を増刷」を公開している。
岩波書店(東京都千代田区)とKADOKAWA(同)は10日ノーベル化学賞に決まった吉野彰旭化成名誉フェロー(71)が少年時、科学への興味を持つきっかけになった本として挙げた英国の科学者ファラデーの著書「ロウソクの科学」の増刷を決めた。
https://this.kiji.is/554866925505479777
角川庫は「ロウソクの科学」の緊急重版2万部を決定したそうだ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000006364.000007006.html
「死者の民主主義」(トランスビュー)の畑中章宏がこんなツイートを投稿している。
ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんが刺激を受けたマイケル・ファラデーの『ロウソクの科学』を手にしたひとは、"ロウソクの民俗学"ともいうべき柳田国男の『火の昔』もぜひ読んでみてくださいね。》
https://twitter.com/akirevolution/status/1182130464837914624
ついでにガストン・バシュラールの「火の精神分析」(せりか書房)もお読みください…絶版なのか!では「火の詩学」を。
http://www.serica.co.jp/search/book3.htm
時事通信が10月10日付で「吉野さん著書に注殺到=在庫払底、早々に増刷」を公開している。
《産業技術向けの専門書を扱う出版社「シーエムシー出版」(東京)には、書店からの注の問い合わせが相次ぐ。リチウムイオン電池について、吉野さんが一般向けに開発秘話などを書いた書籍の増刷を早々に決めたといい、担当者は「科学系の読み物はなかなか売れないのでうれしい」と声を弾ませる。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019101000914&g=soc
シーエムシー出版のホームページは盛り上がっている。「一般向けに開発秘話などを書いた書籍」とは、「リチウムイオン電池が未来を拓く 発明者・吉野 彰が語る開発秘話」のことである。
https://www.cmcbooks.co.jp/user_data/nobelchemi2019
NHK出版からもテキストとして「NHKカルチャーラジオ 科学と人間 電池が起こすエネルギー革命」が刊行されている。
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000069109732017.html

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2)【記事】ノーベル学賞はオルガ・トカルチュクとペーター・ハントケに決定

2018年と19年のノーベル学賞はポーランド人のオルガ・トカルチュクとオーストリア人のペーター・ハントケの2氏に決まった。
https://www.sankei.com/world/news/191010/wor1910100016-n1.html
AFPは次のように書いている。
《トカルチュク氏は、ポーランドにおいて今世代で最も優れた作家とみなされている。同アカデミーは同氏の受賞理由として、「広範に及ぶ情熱により、生というものの形の境界の超越を表現する物語の想像力」を挙げた。》
《一方ハントケ氏について同アカデミーは、「言語上の創意工夫により、人間の経験の周縁や特異性を探求した影響力のある作品」が受賞理由になったと明かし、「戦後の欧州において最大の影響力を誇る作家の一人という地位を確立した」と評価した。》
https://www.afpbb.com/articles/-/3248920?pid=21731071
翻訳家の芝田乃がオルガ・トカルチュクについて次のようにツイートしている。
《オルガ・トカルチュクのノーベル学賞受賞を記念し、クラクフ市はノヴァ・フタ地区に25000本の木を植えて〈太古の森〉をつくることを決定。市民の皆さん、10月29日午前10時から植樹にご参加ください。》
《トカルチュクは先ほどの記者会見でもこの植樹に触れ、学で社会を変えることはできる、と述べていた。学が社会に影響力を持ち続けるには、その形を変えていかないと。真実と虚偽が混ざったこんな世の中だからこそ、リアリズム以外の要素が小説世界を拡げてくれる。SFと歴史小説は有効なジャンル。》
https://twitter.com/ayanos_pl/status/1182656259494940677
https://twitter.com/ayanos_pl/status/1182662480465747970
白水社はオルガ・トカルチュクの代表作である「逃亡派」と「昼の家、夜の家」を刊行している。
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b206378.html
石田英敬ハントケについて次のようにツイートしている。
《「外国人」のノーベル賞作家には興味がない国とちがい、ハントケとユーゴスラビア紛争との関係を問題にする反応が、英・仏では一気に吹き出した。》
https://twitter.com/nulptyx/status/1182472691808292866
毎日新聞が10月11日付で「ハントケさんのノーベル学賞受賞 旧ユーゴのイスラムが反発」を掲載している。
《今年のノーベル学賞にオーストリア人作家のペーター・ハントケさん(76)を選んだスウェーデン・アカデミーに対し、旧ユーゴスラビアのイスラムらから強い非難の声が上がっている。ハントケさんが1990年代に旧ユーゴで起こった紛争で一貫してセルビアを支持し、セルビア人によるイスラムの虐殺を否定した過去があるからだ。》
https://mainichi.jp/articles/20191011/k00/00m/030/153000c
ペーター・ハントケの「こどもの物語」、「幸せではないが、もういい」、「空爆下のユーゴスラビアで」、「左ききの女」は同学社から刊行されており、「アランフエスの麗しき日々」は論創社から刊行されている。「アランフエスの麗しき日々」はヴィム・ヴェンダースによって映画化されている。
http://www.dogakusha.co.jp/2atarasiidoitunobungaku.html
http://ronso.co.jp/book/%e3%82%a2%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%95%e3%82%a8%e3%82%b9%e3%81%ae%e9%ba%97%e3%81%97%e3%81%8d%e6%97%a5%e3%80%85/
私はペーター・ハントケの名前をロビー・ミューラーがそうであるようにヴィム・ヴェンダースの名前とともに記憶している。「ゴールキーパーの不安」の撮影監督は、むろんロビー・ミューラーだが、原作はペーター・ハントケの同名小説であった。またロードムービー三部作であり、ゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」を下敷きにした「まわり道」では脚本を担当している。更にヴェンダースにとって最大のヒット作となったものの出来は凡庸であった「ベルリン・天使の詩」でも脚本を担当している。ちなみに「ベルリン・天使の詩」の撮影はロビー・ミューラーではない。「左ききの女」はハントケ自身が監督をつとめ映画化しているが、プロデューサーはヴェンダースである。
NHK NEWS WEB」が10月10日付で「ノーベル学賞受賞者2人の著書が書店に並ぶ 東京 新宿」を掲載している。
《ノーベル学賞の受賞者にポーランドのオルガ・トカルチュク氏オーストリアのペーター・ハントケ氏が選ばれたことを受けて、東京都内の大手書店では早速2人の著書が並べられ、訪れた人たちが本を手に取ったり買い求めたりしていました。
東京・新宿の紀伊國屋書店新宿本店ではノーベル学賞の発表の様子を伝えるモニターが店内に設置され、その周囲に客が集まって午後8時の発表を待ちました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191010/k10012122081000.html
カフカゲーテの翻訳で知られている頭木弘樹が次のようにツイートしていた。
《ノーベル学賞の発表があったときに、その作家の翻訳本がちゃんと日本ですでに出版されているということは、本当に素晴らしいと思う。決してあたり前のことではないし、今後どうかなるかは心配なところ。ぜひ、こういう翻訳出版が続いてほしい》
https://twitter.com/kafka_kashiragi/status/1182489798516174849
吉野彰の著書にしても、トカルチュク、ハントケの著書にしても刊行している版元は「大手」ではない。こうした日本の出版化の「深さ」を大切にしなければなるまい。
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3)【記事】和田誠 追悼ツイート一覧

朝日新聞デジタルが10月11日付で「和田誠さん、83歳で死去 イラストレーター・映画監督」を掲載した。
《妻は料理愛好家の平野レミさん。長男はロックバンド「TRICERATOPS」のボーカル兼ギターの和田唱さんで、妻は俳優の上野樹里さん。食育インストラクターの和田明日香さんは次男の妻。》
https://www.asahi.com/articles/ASMBC4GVKMBCUCLV00C.html
和田誠さんがお亡くなりになりました。和田さんには新芸坐がオープンする際に、多大なご尽力をいただきました。ロビーのガラスに刻まれた、映画への愛が溢れる素晴らしいイラストは当館の永遠の宝物です。これからもお客様やスタッフを見守ってください。ご冥福をお祈りいたします。(スタッフ一同)》(芸坐)
https://twitter.com/shin_bungeiza/status/1182551418114203648
和田誠さんからプレゼントしていただいたイラスト画。毎日新聞の書評企画に僕が呼ばれた際、イラストが和田さんで。後日、「郷太くんに」と送ってきていただき感激しました。部屋に額装して、飾ってあります。先程斜めの画像だったんで、まっすぐ撮り直しました。宝物です。》(ミュージシャン 西寺郷太
https://twitter.com/Gota_NonaReeves/status/1182653838991314945
和田誠さんは、人権問題にアートの面から切り込むという新しい発想を果敢に提案され、日本のアートシーンに人権や表現の自由いった思想を根付かせてくださいました。
人権のために、アムネスティに絵を描いてくださったこともあります。
和田誠さんのご逝去の報に接し、心から哀悼の意を表します。》(アムネスティ日本)
https://twitter.com/amnesty_or_jp/status/1182587697589678081
和田誠さん、残念ながらお目にかかる機会はありませんでしたが、2010年に、毎日新聞三島由紀夫の小説を紹介する章を書いた際、三島と並べて描いて戴きました。ご冥福をお祈りします。》(平野啓一郎
https://twitter.com/hiranok/status/1182627301529280513
和田誠さん、いちばんつきあったのはハイライトのパッケージのデザインですが、彼の描いた佐藤泰志とぼく、ありました。函館の番場早苗さんのおかげで思い出しました。》(詩人・映画監督 福間健二
https://twitter.com/acasaazul/status/1182835613822701568
《小学校に入学するときに買ってもらって、愛読書となった「ドリトル先生航海記」の挿絵が和田誠さんだった。
いまだに、井伏訳版より愛着があってしまう。
もう、53年くらいになるのかなあ。》(「この世界の片隅に」監督 片渕須直
https://twitter.com/katabuchi_sunao/status/1182654956039479296
和田誠が描いた無数の絵の中で、マイ・フェイバリット・ワンはこの武満徹の肖像だ。若いころに見て衝撃を受け、影響され、自分が映画雑誌や音楽雑誌に似顔絵を描くようになって、さらにこの絵のすごさに気づかされた。》(絵本作家 長谷川集平)
https://twitter.com/shuhei1955/status/1182565342586925056
和田誠さんとは生前「おれたちは、おたがいが死んだときとかにコメント出したりするのやめような。」と何度も話したので、これをもってコメントとします。》(糸井重里
https://twitter.com/itoi_shigesato/status/1182546274999947264
《初めて個展したときに和田誠さんが来て下さって、なんで私みたいなペーペーの展示なんかに…?と聞いた時、「俺はさあ、絵が好きだし普段はアクリルしか使ってないけど若い人は色んな画材や手法で絵を作るから、こうやって勉強しに来てるんだ」って言ってて、なんて事だろう…って当時は驚いたんだ。》(イラストレーター 藤原詩織)
https://twitter.com/fujioka00/status/1182535661326176256
和田誠さんはかつて雑誌『ジャズ批評』の表紙に数々のジャズ・ミュージシャンのイラストをご寄稿くださいました。謹んでご冥福をお祈りいたします。》(DTPデザイナー 神村達也)
https://twitter.com/baseonshape/status/1182554367963979776
イラストレーターの和田誠さんが逝去されました。筑摩書房では谷川俊太郎さんのショートエッセイ『ナンセンス・カタログ』(ちくま庫・谷川俊太郎和田誠 著)でイラストをご担当いただきました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。》(筑摩書房
https://twitter.com/chikumashobo/status/1182539173011394560
《本屋の至るところでこれからもあなたの仕事を目に、そして手にすることができる幸せをなんていったらいいの。店内にある和田誠の仕事の一部を集めました。ご来店の際はお見逃しなく。》(ふたば書房 御池ゼスト店)
https://twitter.com/futabaoike/status/1182564054872641536
和田誠さん、亡りましたか…去年亡くなった父親と大学が同じで、地元ですれ違うとよく挨拶していました。最後にお会いしたときは銀座線の中で。「あんたも本出してる人だってな」と、誰から聞いたんだか、そんなことを言われて嬉しかったです。合掌。》(中原昌也
https://twitter.com/sexybboy_re/status/1182549419859693569
《今年の和田さんのお誕生日(4月10日)日経新聞に「和田誠んのジーパン」というエッセイを書きました。平野レミさんから頂いたお手紙によると、その記事をレミさんが朗読すると、和田さんはすごくうれしそうに聴いていたそうです。和田さんの偉大さが少しでも伝るようにと全力で書いた章。》
和田誠さんご逝去。今朝、事務所からお知らせのお電話を頂き、まだ気が動転しています。和田さんは、師であり、父のような存在でした。2冊の共著を出せたり、公私ともに大変お世話になりました。まだ何も恩返しできていなかったのが悔しいです……。和田さん、本当にありがとうございました。》(歌人 笹公人
https://twitter.com/sasashihan/status/1182537292121923584
https://twitter.com/sasashihan/status/1182529965960511489
和田誠さん、高校生の私はイラストレーターに成りたくて、そうした世界の綺羅星のひとつだった。独特のシンプルな線を真似したり、ベン・シャーンの存在を教えてくれた。麻雀放浪記の映画も凄かった。ご冥福、御祈りいたします。》(マンガ家 ますむらひろし
https://twitter.com/masumurahiroshi/status/1182536656118669312
《とても残念です。容体は聞いておりました。わたしの『歌屋  都はるみ』の単行本(講談社)、庫版(藝春秋)。それぞれに異なる都はるみさんを描いてくれました。はるみさんのコンサートにも顔を見せていた和田誠さん。心からお悔やみ申し上げます。》(政治家 有田芳生
https://twitter.com/aritayoshifu/status/1182531071730012160
和田誠『倫敦巴里』は名著。》(町山智浩
https://twitter.com/TomoMachi/status/1182529854916321281
「週刊春」は加藤晃彦編集長名でコメントを発表。そのなかで次のように書いている。
《マスコミ各社より、今後の「週刊春」の表紙について、問い合わせをいただいております。表紙については、和田さんの表紙2000回到達を機に、2017年7月27日号より過去の傑作選によるアンコール企画を続けてきました。和田誠事務所のご了解をいただき、今後もこの企画を続け、読者の皆様と共に、和田さんを偲びたいと思います。》
https://bunshun.jp/articles/-/14689
私にとって和田誠と言えば「話の特集」であるし、山田宏一の書籍に欠かせない存在であったということだ。

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4)【本日の一行情報】

◎監修/自衛隊体育学校、協力/陸上自衛隊による「DVD付き たった5分で凄い効果!自衛隊体操 公式ガイド」が講談社から刊行された。第二弾も印税が発生しないのだろうか。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002369.000001719.html
この一冊で「愛国心」までをも鍛えようという、講談社ならではの意欲漲る企画である。
自衛隊防災BOOK 2」がマガジンハウスから刊行される。第一弾が30万部のベストセラーとなっているだけに期待大である。
https://magazineworld.jp/books/digital/?83873074AAA000000000
講談社やマガジンハウスに限らず「メイドイン自衛隊」本は今後、増えていくのではないだろうか。そういう時代を迎えているわけだ

◎声優・夏川椎菜は、2月に発売した写真集「ぬけがら」の世界観を、小説という形で再構築した同名の小説をソニー・ミュージックエンタテインメントからリリースした。
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1570426781

橋本梨菜が光FLASHレーベルからDVD&Blu-Ray「脱ぎたリナいっ!」を11月1日にリリースするそうだ。
https://news.mynavi.jp/article/20191010-907705/

泉鏡花学賞は田中慎弥の「ひよこ太陽」(新潮社)に決まった
https://www.asahi.com/articles/ASMB93FNRMB9PJLB005.html

◎LINEは、ジェイアール東日本企画と共同で、LINEおよび関連サービス向け運用型広告配信プラットフォーム「LINE Ads Platform」における電車内広告の連携に関する実証実験を開始すると発表した。
「LINE Ads Platform」では、「LINE」および「LINE」関連サービスを対象として、2016年から「LINE」のタイムラインや「LINE NEWS」に加え、「LINE BLOG」「LINEマンガ」「LINEポイント」「LINEショッピング」、トークリスト最上部の「スマートチャンネル」上で広告配信を行っている。
この実証実験では、山手線内に設置した「LINE Beacon」を活用し、車内に表示される動画広告と、乗客の「LINE」を連携させ、利用中の乗客の「LINE」上に表示されるバナー通知から近くにある車内広告に関連したキャンペーン情報やクーポンを配信したり、各施策の効果測定を行い、以降のマーケティングに役立てることが可能になる。
さらに2020年1月以降、バナーからLINE公式アカウントの友だち追加を促すほか、ユーザーを外部のWebページに遷移させて商品購入や来店予約などを促すことも可能になる予定だ。また、LINE公式アカウントやLINE Ads Platformと共に活用することで、電車内でのバナー通知の開封有無をもとに、興味を持ったユーザーに対する降車後の「LINE」を通じた継続的な情報配信にも対応する。
https://media-innovation.jp/2019/10/09/line-jr-east-in-train-ad-trial/

◎「週刊春」10月17日号に掲載された「『週刊朝日』独白は“捏造”なのか 北村滋氏“今年中に日朝首脳会談”発言の波紋」を「春オンライン」が10月10日に公開している。
《北村氏の言う通りなら、「週刊朝日」がでっち上げた捏造インタビューなのか。だが、更に取材を進めると、どうもそうとも言い切れない。というのも、記事の署名が「今井良」だからだ。
発売4カ月で3万8000部を売り上げるヒットとなっている『内閣情報調査室』(幻冬舎新書)の著者でもある今井氏。同書の帯に「これは内調について真摯に向き合い綴られた唯一のレポートだ」と絶賛コメントを寄せ、取材にも協力しているのが北村氏だからだ。》
https://bunshun.jp/articles/-/14604
「週刊春」が「週刊朝日」に助け舟を出している?

◎「PRESIDENT」 10月4日号に掲載された新谷学週刊春編集局長、森下香枝週刊朝日編集長、松井清人藝春秋前社長の鼎談「"中の人"がすべてバラす『春砲』の弾の込め方」が「PRESIDENT Online」で10月10日に公開された。
松井は三人の関係をこう説明している。
《われわれ3人の接点は、1997(平成9)年。私が週刊春の編集長になったときで、2人と一緒に週刊春をつくることになりました。》
新谷の次のような発言は重要だ。週刊誌ならずとも編集長に問われるべきは「我慢力」である。
《大きなスクープを狙うポイントとして、編集長がどこまで我慢できるかってあると思う。記事になるかわからない中で、記者をどれだけ粘り強くひとつの現場に張り付けられるか、常に悩むところ。
森下は「AERA dot.」月間ページビューを3000万から1億2000万まで伸ばし、今年の4月に「週刊朝日」編集長に就任した。
《19年4月まで2年間AERA dot.をやった経験でいうと、ネットといえど、多くのコンテンツは雑誌の編集部で作っています。なぜかというと、雑誌は毎週出すので、多くの部員を抱え、稼働させています。そのため、誌面の都合上、使われなかった記事やデータもたくさん持っています。
ネットに出す記事のすべてを新たに作ろうとすると、それだけコストもかかりますので、週刊朝日AERA、ムック、書籍など大所帯の紙の編集部の力をうまく頼ったりしながら、記事を量産していきました。AERA dot.は朝日新聞出版のコンテンツを集約して配信し、その利益を出稿部に還元するハブ的な組織にしようとやっていました。》
新谷のデジタルシフトに対する認識には同感だ。
《デジタルシフトの当初は流通革命だったから、読者に届けるルートが変わっただけでした。でもデジタルで読む以上は動画や音声がなければ面白くないから、当然コンテンツそのものも変わってきます。今後はさらにライブに向かうと思うんです。「いまから当事者を直撃します」と、ライブ配信で見せられるところまで持っていけるかどうか。》
https://president.jp/articles/-/30143

◎「藝春秋」(11月号)が話題だ。「日韓相克 終わりなき“歴史戦”の正体」よりも、「新天皇・雅子皇后『65人の証言』」よりも話題になっているのが「社中日記」である。面白いじゃないか!正確じゃないか!と社内では話題騒然なんだろうなと社外で話題になっている。それにしても、これ誰が書いているのだろうか。
https://bunshun.jp/articles/-/14487
それにしても藝春秋は風通しの良い会社である。

◎「BLOGOS」が10月10日付で「ネットメディアは社会的責任を果たせるか 西田亮介氏に聞く、政治とメディアの現在」を掲載している。講談社の女性ファッション誌「ViVi」などと組んでおこなった「#自民党2019」キャンペーンについて次のように語っている。
《「#自民党2019」は政党による広告やキャンペーンのひとつの到達点といえると思います。本キャンペーンではTシャツプレゼントが注目を集めて炎上する結果になりましたが、SNSインフルエンサーの活用など、さまざまな手法を組み合わせておこなわれた総合的なキャンペーンでした。クリエイティブも新しく、政党のSNS活用事例としては類を見ないものでした。結果として「自民党」という名前を広く周知するという観点からいえば、十分効果的だったと思います。
もっとも、こういったことは自民党だけがやっているわけではなく、現在では各野党もだいたいなんらかの広告代理店とつながっています。その他、れいわやN国といった小規模な政党も、コストは小さくてもやり方を工夫することで、効果的なキャンペーンをおこなっています。》
西田の次のような発言を読むと、旧来のジャーナリズムの「古さ」が政治の「新しさ」についていけなくなってしまっているのだと思わざるを得ない。
《政治の情報発信というのは戦略化と大規模化を遂げてきたけども、ジャーナリズムのアジェンダセッティングや権力の監視機能、ユーザーに対してコンテンツをデリバリーする能力の改善というのは、それに比べて著しく遅れているように見えます。
現状、そのことによって本来ならあるべき政治とメディアの緊張関係というのが政治優位な形で失われているといえるかもしれません。テレビでいえばNHK以外の民間事業者のジャーナリズムというのはある種の理念と建前みたいなところがあるともいえますし、ここをどう現代風に改善していくかというのはよく考えていく必要があると思います。》
https://blogos.com/article/409640/

毎日新聞は千葉版でJR松戸駅前の「堀江良堂」が主催している読み聞かせの会「おはなしかい」を取り上げている。
《…松戸市のJR松戸駅前に店を構える「堀江良堂」3代目、堀江利央社長(51)は地域の本屋の存在感を示そうと、2015年から子どもたちを集めた読み聞かせの会を続けている。》
https://mainichi.jp/articles/20191010/ddl/k12/020/075000c

◎「SUPER CEO」(ブランジスタ)に幻冬舎見城徹代表取締役社長が登場している。見城は「圧倒的な努力」という言い方をしている。
《――松本清張さんと最初にお会いしたときは、百数十冊ある作品を全部読んでから臨んだそうですね?
見城 もともとある程度は読んでいた上に、あらためて読みました。お会いしたときにどの作品の話が出ても、ちゃんと感想を言えるようにするためです。結局、作品の話など出なかったけどね。でもそこまでやらないと、相手の心の中に自分の手跡をつけることなんてできないよね。
圧倒的な努力というのはそういうものですよ。僕は、その場しのぎ、小手先、帳尻合わせ、上っ面というのが大嫌い。パーティに出たり、年賀状を出したりすることを圧倒的な努力とは言いません。》
https://superceo.jp/tokusyu/manga/100684

朝日新聞デジタルが10月10日付で「『エログロ』漫画広告、野放しの謎 露骨で不快…対策は」を掲載している。
スマートフォンでアプリやサイトを見ていると、電子コミックの広告が不意に飛び込んでくる。露骨な性描写や残虐な内容でサイトへと誘う。子どもへの悪影響を心配する投稿が、身近な困りごとや疑問を募って取材する「#ニュース4U」に寄せられた。取材班が「エログロ」漫画広告のなぞに迫った。》
https://www.asahi.com/articles/ASM9C6699M9CPTIL02K.html
三崎尚人ツイッターで次のように指摘している。
《それは大変だと記事を読み始めたら、「芸能ニュースのまとめサイトをスマホで見ていると」とあり、それは自業自得では?、という感想しか出てこない。後、18禁じゃないものをエログロの一言でくくるのやめれ。》
https://twitter.com/nmisaki/status/1182295872593248256
朝日新聞記者の伊丹和弘は、こうツイートしている。
《これなぁ。
以前、産経のサイトに際どい画像の広告が載ったとき「広告は少し選んでほしい」と書いたら、「お前がエロを閲覧しているからだろ」ってたくさんリプが来た。あれはゲームの広告だったんだよね。エロゲではないけど、宣伝のためにそういう画像を使った。》
《あれから、産経さんのサイトではああいう画像の広告は出てこなくなったから、広告審査を厳しくしたんだろうなぁ。。。
ちなみにエロ記者とか、助平記者という指摘には反論はしなかった。まぁ、そこは間違ってはいないからなw》
https://twitter.com/itami_k/status/1182294450472546307
https://twitter.com/itami_k/status/1182294451512758272

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5)【深夜の誌人語録】

準備に問われるのは創造性である。