【文徒】2020年(令和2)1月14日(第8巻6号・通巻1663号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】ダウンロード違法化はマンガの問題だけにはとどまらない
2)【記事】首相と「しゃぶしゃぶ会食」する朝日の曽我、毎日の山田をどう評価するか
3)【記事】百田尚樹ツイッターで今年もお騒がせ
4)【記事】「報ステ」契約スタッフ打ち切りに日本マスコミ情報労組会議が声明発表
5)【本日の一行情報】
6)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.1.14 Shuppanjin

1)【記事】ダウンロード違法化はマンガの問題だけにはとどまらない

1月7日に第三回「侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会」が開かれた。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/shingaikontentsu/03/
この日、検討会に出席した赤松健がこんなツイートをしている。
《いずれ議事録が出ますが、会議では「権利者団体側としては、化庁追加の3要件でまあ充分なのかなと思っておりますが、細かい点については専門外なので、皆さんのご意見を伺いたい」と発言しました。
私は漫画家の権利を守る立場で参加しています。誰か漫画家さんが異論を言っていたら教えて下さい。》
https://twitter.com/KenAkamatsu/status/1214568320516517888
「『侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会』における議論のまとめ(案)」には、「化庁提案の3点の措置について」として、こう書かれている。
《(1)改正案の附則に、普及啓発・教育等や刑事罰に関する運用上の配慮、施行状況のフォローアップについての規定を追加するこ
(2)写り込みに関する権利制限規定(第 30 条の2)を拡充することで、スクリーンショットを行う際に違法画像等が入り込むことを違法化しないこと
(3)数十ページで構成される漫画の1コマなど、「軽微なもの」のダウンロードを違法化しないこと(判断基準・具体例は、別紙3(21 ページ)を参照)》
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/shingaikontentsu/03/pdf/91979301_01.pdf
第三回「侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会」を傍聴したセキュリティ研究者の高木浩光が検討会の内容をツイッターで、こんな具合にまとめてくれている。長いが是非じっくりとお読みいただきたい。
《昨年の当初案に対する批判で強かったのが、朝日新聞がキャンペーン的に展開した「スクショが違法に」だったため、スクショは違法にしないという分かりやすい策として、写り込み権利制限(30条の2)を拡充することで、写り込みによる複製を問題にしないとした。これで朝日新聞は黙ることになる。》
《(3)の「軽微なもの」は「原作のまま」に替わる案であろうか、まあまあ悪くない話のようであり、問題とされた剽窃の場合で言えば、丸ごと他人の論剽窃した論は依然としてダウンロードが違法となるが、そういう剽窃はレアで、小保方事案のような剽窃は「軽微なもの」で抜けることになる。》
《これに対し以下の批判
https://sankei.com/entertainments/news/191230/ent1912300007-n1.html
「小島立准教授…「化庁は軽微な例について、物理的な量と質だけで判断している。しかし…であっても、著作物が置かれた市場の状況やユーザーが著作物をどう利用しているかという背景事情などを考慮すると、権利者の利益を不当に害さないケースも…」》
《例には、剽窃の場合で言えば、他人の論を全部剽窃したものがそれに当たるだろう。この案ではそのダウンロードが違法化されることになるが、剽窃された元論の著作者にとって剽窃剽窃行為の検証のためにどんどんダウンロードされることは苦しゅうないことだろう。そこが捻れているわけだ。》
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20190309.html
この時に列挙した(1)~(5)の例で言えば、
「いらすとやのイラストを30点も使った商用利用のスライド資料
も、作品の丸ごと利用である以上は「軽微な」では除かれず、ダウンロード行為が違法化されてしまうのでは。
量や質で絞るのは軸がズレているのだからおかしくなる。》
《そこで以前から指摘されていたのが「著作権者の利益を不当に害する」に絞る案だったが拒絶されていた。そこに、第2回で有力な代替案が出てきていたようで、議事録によれば以下のもの。
「「不当に害しない場合を除く」という形で,裏側から書くということもあり得るという御提案もございました。」》
《さらにこれに要件を加える折衷案を提案したのが前田弁護士で、議事録によれば以下。
「あくまで例外的で,特別な場合だと思いますので…「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く」という形で規定をすることが,いわば折衷的な案としていいのではないかと思います。」》
《これに対して前回の時点でCODA後藤がこう言っていたようだ
「権利行使する立場から言いますと…「知りながら」,「軽微」という要件があるわけで…「…不当に害することとなる場合」…になると…我々はそれを立証して,訴訟なりしなきゃいけない…実効性が失われる可能性というのが大だと思う…」》
《そこに福井弁護士がこう言及。
「前田構成員もおっしゃった…立証責任を権利者に負わせるのは…過酷だ…そうすると…ここは逆に,不当に権利者の利益を害さない場合は除く,という書き方でよろしいんじゃないかなと思うところ…後藤…実効性に関する懸念は…アナウンス効果大丈夫じゃないか」》
《CODA後藤の発言は「裏側から書く」案ではなく元案について述べていたので田村構成員から確認の質問があって以下のやり取りとなっていた。
田村:…前田先生や福井先生から出た,除く型でも反対ということになりますか。
後藤:いや,検討する余地がある。
田村:…うれしい…大方の意見のような気が…》
《それに対する大渕の言い分。
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214596201862983681/photo/1 》
《このとき座長はこう言っていた。何が限界事例とされてるか全くわかってなかったようだ。
「これがあると,おそらくやっぱりこのぐらいだったらいいじゃないかと,絶対出てくるような気はする…安全弁…「知りながら」というのもあるわけだし,「軽微」というのを除く…もちゃんとあって…必要なのか」》
《この議論が第3回に持ち越され、条が2つ用意されていた。
(1)「当該著作物の種類及び用途(特定侵害複製以外の方法による利用の困難性の程度を含む。)並びに当該特定侵害複製の目的及び態様に照らし著作者の利益を不当に害しない場合を除く。」
(2)「…害しないと認められる特別な事情がある場合…」》
《そして今日、これを入れないと問題となる具体例は何かの問いから始まり、4つの例が列挙された。
田村「権利者の所在が不明になっているもの」
萩野「(1)著作物を使って別の脈で議論する場合。新聞記事を使って皆で議論する場合。正規のものを全員が買わないとこの用を足さない。(2)議論を封じる…》
《…(2)議論を封じるためのSLAPP訴訟に使われる問題がある。批判される社内書の拡散を止めるために著作権を振りかざす輩がいる。」
福井「学生が海賊版サイトの生態系を研究しようとしている場合。
これらがどう救われるのか、一切の議論がなかった。座長がそこに何ら言及しようとしなかった。》
《座長は「学者としては、美意識として、必要と思えない」と発言、そもそも要件の意味がわからないと言い、大渕は「わけのわからないものはやめていただきたい」と発言。
座長は「要らない立場の方は「読みにくい」「わからない規定だ」という。ない方が利用者にとっても良いことだ」とトンデモ発言
《今回冒頭で合意したと整理されようとしたのが、「原作のまま」など他の要件を不要とする点だったが、福井弁護士は「他の要件を入れないのを了承したと整理されているが「利益を不当に」の要件を入れるのを前提にそれらを入れないことに了承したものだ。独立に検討してはいけない。」と釘を刺していた。》
《今日の議論を見て残念に思ったこと。要件を入れるべき派は、指摘していた不都合が生じる具体例についてどう解決されるのか、執拗に座長なりに見解を答えさせるまで食い下がればよかったと思う。さらっと流れてしまっている。第2回もそんな感じ。議論の腰が据わってない。》
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214584287426535424
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214586189883133954
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214586888654184448
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214588255963734016
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214589337825755136
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214592248341417984
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214592758616211456
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214593308523020289
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214594549240123392
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214595329980370949
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214596201862983681
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214597580388089857
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214597581583482880
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214600131812589569
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214600133117038593
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214602355649302528
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214604294873178112
https://twitter.com/HiromitsuTakagi/status/1214629093766877184
讀賣新聞オンラインが1月7日付で「海賊版漫画のダウンロード違法化、パロディーは対象から除外…化庁案」を掲載している。
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20200107-OYT1T50268/
弁護士の福井健策がツイートしている。
《報道の通り「軽微なもの」と「翻案作品」を違法化対象から除くのは合意に至りました。他方「著作権者の利益を不当に害する場合」への限定は賛否が割れています。何らかの形で入るか、五分五分の情勢。》
https://twitter.com/fukuikensaku/status/1214699269644357632
「日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか」(人書院)、「東京ブギウギと鈴木大拙」(人書院)、「〈海賊版〉の思想」(みすず書房)などの著書で知られる山田奨治高木浩光のツイートを踏まえて、次のように指摘している。
《全著作物対象なのに漫画家の声しか届かず、ステークホルダーもないCODAが大声出してることがそもそもおかしな検討会。》
https://twitter.com/yamadashoji/status/1214681974368956416
山田の指摘する通り、週刊誌ジャーナリズムや学術書芸の関係者の声は届いていまい。私など、出版界にかかわって40年近くになるが、CODAなどという団体の存在すら知らなかった。三崎尚人の次のようなツイートが正鵠を射ているのではないか。
《ダウンロード違法化がここまで揉める話に「また」なっているのは、どうみても、著作権課の進め方が雑過ぎるせいなんじゃ…。漫画家協会と出版広報センターと事前に手打ちしてあるから、強行突破できると踏んでいるんだろうけど、さすがにこんなにgdgdゃあ、主査一任とか言われてもねぇ。》
https://twitter.com/nmisaki/status/1214550980856967169

-----------------------------------------------------

2)【記事】首相と「しゃぶしゃぶ会食」する朝日の曽我、毎日の山田をどう評価するか

時事通信が発表した1月10日の「首相動静」。
《午後6時45分、東京・京橋の日本料理店「京都つゆしゃぶCHIRIRI 銀座京橋店」着。曽我豪朝日新聞編集委員山田孝男毎日新聞政治部特別編集委員、小田尚読売新聞東京本社調査研究本部客員研究員島田敏男NHK名古屋放送局長、粕谷賢之日本テレビ報道局解説委員長、石川一郎テレビ東京ホールディングス専務、政治ジャーナリストの田崎史郎氏と会食。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020011000282&g=pol
平野啓一郎が呟いている。
《相も変わらず、アホか。……》
https://twitter.com/hiranok/status/1215825407804502016
朝日新聞の曽我豪や毎日新聞山田孝男も首相と仲良く「つゆしゃぶ」を食べている。毎日新聞は昨年11月20日に中国料理店で行われた首相と内閣記者会加盟の報道各社キャップとの懇談会は欠席していただけに次のような疑問は誰もが抱くだろう。
《昨夜、貴社の山田孝男政治部特別編集委員が報道各社のメンバーと一緒に首相と会食されたのは何かご事情があってのことでしょうか?》
https://twitter.com/ukigumo1975/status/1215787425995210752
毎日新聞統合デジタル取材センター長の齊藤信宏が応じる。
《私も今朝、新聞を見て初めて知りました。事情は分かりませんが、個人的には非常に残念です。》
https://twitter.com/nobusaitoh/status/1215841045553930241
毎日の山田孝男については山崎雅弘がこうツイッターで指摘している。
毎日新聞幹部の山田孝男氏は行ったのか。首相の不正疑惑を本気で追及する毎日新聞の記者も、お金を払って毎日新聞を購読している読者も、その他の国民も裏切る行為。この常連メンバーの会食が、国民の知る権利に寄与する効果をもたらした事実は皆無。あるなら説明してほしい。》
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1215878716024209408
山崎雅弘は朝日の曽我豪についても、こうツイートしている。
《首相との会食に参加する常連メンバーは、報道人ではなく「大手メディア各社が権力の標的になることを避けるための保険」としてそこに行く。朝日新聞の曽我豪は、ほんこんらが反中反韓の偏見を煽る大阪ローカルのテレビ番組に出て、番組の流れに同調する人物。報道人ではない。》
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1215880428520755200
こんなツイートもあった。
《そういえば、毎日の記者よりTwitterやっているのが多い朝日新聞の記者が、曽我豪について語るのを見たことがないなあ。
https://twitter.com/capt_yappie/status/1215990119796101120
毎日新聞記者でYouTuberの宮原健太は首相と会食する記者を理解できるという立場である。
《近く「風知草(弊社のコラム)」に会食内容が生かされるのであれば、(このタイミングでも)理解できる…かな。
個人的には総理と近い記者、距離をとっている記者、両方いて良いと思う(それは主語を与党、野党、警察、企業etc…に置き換えても同じ)。そうじゃなきゃ、多面的に物事を見れない。》
《ちなみに、会社の偉い方々が総理と会食をすることによって、現場の記者が萎縮するなんてことは弊社では絶対にありません。
もしあれば、会社辞めます。》
https://twitter.com/bunyakenta/status/1215981000649392128
https://twitter.com/bunyakenta/status/1215987771464015878
調査報道とファクトチェックを専門とする「インファクト」編集長の立岩陽一郎は1年間アメリカに留学した経験を持っている。立岩は、こうツイッターに投稿している。
アメリカのジャーナリズム・スクールで基本中の基本として教わるのが、記者の倫理。その中で、取材先との会食は避けなければならないと教わります。これは癒着だからです。
勿論、必要に応じて例外は有るとなっています。しかしあくまで、例外です。日本は違う。会食が当然となっている。》
https://twitter.com/YoiTateiwa/status/1216110423696527360
1月13日付毎日新聞の「風知草」は「お気に入りのドラマ」で、その内容は宮原にとっても期待外れなものではなかったか。山田孝男は、こう書き出す。とほほ。
安倍晋三首相がネット配信の海外ドラマにハマッている――という。
一つは女性のCIA(米中央情報局)作戦担当官を主人公に米国の中東作戦と人間模様を描いた「ホームランド」。もう一つが、イギリス王室現代史の裏面を赤裸々に描いた「ザ・クラウン」だという。》
https://mainichi.jp/articles/20200113/ddm/002/070/111000c
香山リカが呆れている。
《このリンク先のコラムが山田孝男氏と総理の会食の"成果"ですか。「最近、総理はネットドラマにハマってる」。いやはや。》
https://twitter.com/rkayama/status/1216534005354336256
毎日新聞統合デジタル取材センター長の齊藤信宏が香山に応じる。
《私も非常に残念に思いました。変えていかなければいけないことが山積しています。》
https://twitter.com/nobusaitoh/status/1216537849203347458
朝日新聞よりも毎日新聞のほうが開かれているのは間違いなさそうである。

-----------------------------------------------------

3)【記事】百田尚樹ツイッターで今年もお騒がせ

百田尚樹ツイッターアカウントが一時停止となった。百田自身がツイッターで明かした。
《母子をはねて死なせた暴走老人をボロクソに書いた私のツイートが通報されたようで、一時アカウント停止を食らった。
仕方ないので、当該ツイートを削除した。
世の中には、車で母子を死なせた暴走老人を擁護したい人がいるんやなあ。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1214878382543867910
百田は三宅雪子の自殺に際しては、こう呟いて炎上している。
三宅雪子って、国会で誰にも押されてないのに、派手にダイビングして、翌日から車椅子に乗って当院した人やね。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1214050542344753152
「死者に鞭打つな」というリプライが多かったことについて百田は、こうツイートしている。
《私のツィートに対して、死者に鞭打つな、というリプライが多数来ているが、鞭打つほどのツィートかね。別に非難も中傷もしていない。ただ事実を書いただけ。
それと私は国会議員に対しては厳しいよ。国会内で行なったくだらないパフォーマンスは忘れない。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1214119979429195776
玉川奈々福も出演している新国立劇場の「阿呆浪士」の演出が評判ラサール石井は、百田のツイートに怒りを露わにしている。
《これが訃報に接して呟くことか。人間として最低のレベル。》
《重ねて言う。意見が異なる人間、反目する人間でも、何を言ってもいいというものではない。いかなる死であっても、死には尊厳を持て。それでも小説家か。》
https://twitter.com/lasar141/status/1214158703332483073
https://twitter.com/lasar141/status/1214391082990985217
https://enterstage.jp/news/2020/01/013865.html
百田尚樹がリプライしている。
《ほな、私が死んだときは、褒め上げてくれや。》
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1214489035713871874
百田尚樹はタレントの稲垣吾郎にも絡んでいるが、そのツイートは削除してしまったようである。それは次のような呟きであった。まとめサイトには残っているのだ。
《頭の悪いタレントが、リベラル的なこと言えば受けるかもと考えて発言したんだろうね。
マジレスすると、「大きなもの」とは何かも定義せず、「自信がないとそれに頼る」という仮説の前提の上に、抽象的な結論を導き出したバカ発言。》
https://togetter.com/li/1454294
稲垣は1月1日にNHKで放映された100分de名著スペシャル 「100分deナショナリズム」で司会をつとめたが、稲垣の次のような発言に百田は絡んでいた…。
《自信がないとなると、大きなものがあるとなんか頼りたくなるというか。ネット右翼の人たちもそうかもしれませんし》

-----------------------------------------------------

4)【記事】「報ステ」契約スタッフ打ち切りに日本マスコミ情報労組会議が声明発表

日本マスコミ化情報労組会議(MIC)は「テレビ朝日『報道ステーション』 スタッフ契約打ち切りによる『番組解体』を許さない」を1月10日付で発表した。
《今回、契約終了を一方的に通告されたスタッフは、ニュース担当のディレクターを務めていました。中東情勢や沖縄の基地問題原発、災害、事件報道などに精通したメンバーです。番組の中核スタッフとして、時に政治権力などからの圧力を受けながらも、政治や社会の問題点に斬り込む日本有数の報道番組を支え、日本のジャーナリズムを体現してきました。テレビ朝日は「新たな雇用先を確保する」と説明していますが、今回の強引な労務政策は、番組スタッフ以外にも不安を広げています。》
この声明は「テレビ朝日社員であるチーフプロデューサーだった桐永洋氏らによるセクシュアルハラスメントの問題」にも触れている。
《『報道ステーション』において昨秋、テレビ朝日社員であるチーフプロデューサーだった桐永洋氏らによるセクシュアルハラスメントの問題が発覚しました。雇用契約上、立場の弱い社外スタッフに対するハラスメントもありました。そうした問題が起きた後に、テレビ朝日が取るべき対応は、加害者を厳罰に処したうえで、スタッフたちをしっかり守ることです。
「人心一新」といって、社外スタッフの入れ替えが強行されれば、「声を上げると不利益を被る」という誤ったメッセージとなりかねません。》
http://www.union-net.or.jp/mic/seimei/2020_01_10-MICseimei.pdf
朝日新聞デジタルは1月10日付で「報ステスタッフ契約終了撤回を マスコミ労組が声明発表」を掲載している。
《MICの声明を受けテレ朝は同日コメントを発表。契約終了を通知したことを認め「番組で契約更新しない方々のほとんどについて、それぞれの派遣元の会社に4月以降も当社の別の報道情報番組などの制作に携わっていただけないか提案をしている。あくまでも番組のリニューアルに伴う措置で、派遣切り、雇い止めなどの指摘は当たらない」などとしている。》
https://www.asahi.com/articles/ASN1B6DVJN1BUCVL01Z.html
新聞労連委員長の南彰がツイートしている。
《#テレビ朝日 は「あくまでも番組のリニューアルに伴う措置」と繰り返しているが、中東情勢や沖縄の基地問題原発、災害、事件報道に精通したスタッフを約10人も差し替えてどんな #報道ステーション になるのか。何ら説明せず。事実上の番組解体を強行しようとしている。》
https://twitter.com/MINAMIAKIRA55/status/1215666691834646528
東京新聞の望月衣塑子は南彰と集英社新書「安倍政治 100のファクトチェック」を出しているだけに望月も黙ってはいない。こうツイートしている。
《#報道ステーション は #官邸 と親しい #早河洋会長 や #見城徹 番組審議会委員長 らの下、かつてと比べ批判精神に欠け、酷いものになっている。そんな中での大量のベテランスタッフの派遣切り。酷い。》
https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1214435938979344385
東京新聞は1月11日付で「社外スタッフ契約終了の撤回を 報ステ問題でマスコミ労組」を掲載している。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202001/CK2020011102100027.html
上智大学国際教養学部教授の中野晃一は一言呟いている。
《テレ朝、ひどい。》
https://twitter.com/knakano1970/status/1215944460539813888

-----------------------------------------------------

5)【本日の一行情報】

坪内祐三が亡くなった。デビュー作は「ストリートワイズ」(晶社)だった。福田恆存論がステキだった。担当編集者は中川六平。中川も既に鬼籍に入っている。三途の川の向こう岸で酒精を酌み交わすことになったわけである。合掌。

木村拓哉主演の正月ドラマ「教場」(フジテレビ)の評判が良く小学館庫から発売されている長岡弘樹の原作小説の売行も急上昇している。テレビを殆ど見ないオレも見ちゃったくらいだからね。
https://hon-hikidashi.jp/more/100727/

佐伯泰英庫書き下ろしシリーズ最新作「新・居眠り磐音 初午祝言」が売れている。版元は藝春秋!
https://hon-hikidashi.jp/more/100727/
佐伯は2019年の作家別ランキングでも堂々の第1位だった。
https://hon-hikidashi.jp/more/100374/

三島由紀夫、格好良いなあ。
https://www.youtube.com/watch?v=5wLaND09VF8
豊島圭介監督のドキュメンタリー映画三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」が公開される。マガジンハウスの元編集者・椎根和も出演している。椎根は「平凡パンチ」の編集者時代に10.21の新宿を三島とともに取材している。三島は当時、六本木にあった「アンアン」編集部も訪ねている。
https://www.cinematoday.jp/news/N0113337
https://gaga.ne.jp/mishimatodai/index.html
原作、脚本、監督、主演をすべて三島由紀夫がつとめた映画「憂國」を私はDVDで50回は見ている。
https://www.youtube.com/watch?v=S8ACN-NBhxs
https://www.shinchosha.co.jp/book/642584/
三島由紀夫増村保造の「からっ風野郎」では、やくざを演じている。もちろん主演だ。共演は若尾子である。エスカレーターで倒れる三島が印象的だ。
https://blog.goo.ne.jp/wangchai/e/47279bc82a94a1bfd5c1fca1ff09a7bb

電通は、テレビ番組やテレビCMの情報に接触したと推定される人々に対して、視聴後最速30分で手元のスマートフォンに、視聴した情報に関連したデジタル広告を配信させる技術を開発し、ソリューション「Celer STADIA」(セラ・スタジア)」として提供を開始した。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2020001-0107.pdf

博報堂DYホールディングス 代表取締役社長兼博報堂 代表取締役社長 水島正幸が年頭所感を発表しているが、そのなかで次のように語っている。
2020年代の幕が開けました。「オールデジタル化」による大変革時代の到来です。5G、IoTなどの技術革新が生活者の周りにあるあらゆるものをデジタル化・ネットワーク化し、生活者の暮らしは大きく変化しようとしています。企業の環境も同様で、技術の進化は業種の垣根を融解させ、産業構造が大きく転換し、企業活動は海外も含めてますますボーダレス化していくでしょう。
オールデジタル化によって、生活者とモノは“常時・双方向”につながり始めます。その接点でのやりとりを介して、モノは一人ひとりのニーズを深く把握し、個々に最適化されたサービスが生活のさまざまな場面で提供されていくようになります。そうして生活者とモノの関係性が変わっていくとき、その接点には必ず新たなサービスや価値が生まれていきます。当社グループの博報堂では、そこに出現する新しい市場を「生活者インターフェース市場」と名付け、具体的なビジネスの創出に取り組み始めています。》
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/76480/
メーカーがプラットフォーマーに従属する時代が本格的に始まるのかもしれない。当たり前のことだが、出版社もまたメーカーである

博報堂は、製品・サービスの創造や改良のアイデア・スキルを持つ先進的な生活者(=生活者イノベーター)との共創によって企業の新たな価値創出を行うプログラム「博報堂ユーザー・イノベーション・プログラム」 の提供を開始した。
https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2020/01/0110_newsrelease.pdf

◎「春オンライン」が「辛坊治郎が日テレ女性社員に『壁ドン』パワハラ」を公開している。「深層NEWS」の女性プロデューサーに対するパワハラ疑惑である。
https://bunshun.jp/articles/-/24647

直木賞作家で、現在、手塚治虫が残した構想原稿をもとに「小説 火の鳥 大地編」を朝日新聞に連載中の桜庭一樹は、創作絵本「すきなひと」(嶽まいこ:絵)を2019年5月に、翻訳絵本『おやすみ、ミユキ』(ロクサンヌ=マリ・ガリエズ:ぶん セング・ソウン・ラタナヴァン:え)を同年11月に、岩崎書店ら刊行した。これを記念して1月23日(木)、神保町のブックハウスカフェ 2Fでトークイベント「わたしのすきな絵本~創作、翻訳を手がけて」を開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000175.000035751.html

凸版印刷サイバー・コミュニケーションズCCI)、電通、前回よりも規模を大幅に拡大して第二回「eSPORTS TRINITY」を1月20日(月)に開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000073.000031644.html

◎学研プラスは、1月9日(木)に月刊ムー公式サイト「ムーPLUS」をリニューアルし、会員限定有料ウェブマガジン「ムーCLUB」の配信を開始した。月額900円。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002576.000002535.html

◎宝島社の女性ファッション誌「sweet」2月号の付録は、書店売りがJILLSTUART
おしゃれBIGトート&ふわふわポーチで980円。セブンイレブン売り2月号増刊がジルスチュアート ロゴストラップつきマルチWAYバッグで1200円。
https://matome.naver.jp/odai/2157858949060483001

小学館集英社プロダクションは、「ドラえもん&メリット」限定デザインボトルの発売を発表した。販売は2020年1月18日(土)からで、「メリット シャンプー&コンディショナー ポンプペア」「メリット リンスのいらないシャンプー ポンプ+詰替え」「メリット 泡で出てくるシャンプーキッズ ポンプ+詰替え」「メリット シャンプーブラシ」の4種が限定デザインで登場する。
https://www.mdn.co.jp/di/newstopics/70088/
https://www.kao.co.jp/merit/doraemon/

アルバルク東京では、「週刊少年サンデー」連載中のバスケ漫画「switch」のコミックス7巻が1月17日(金)に発売されることを記念し、1月25日(土)、26日(日) アルバルク東京 vs.富山グラウジーズ戦で、昨シーズンに続き「アルバルク東京×switch」のコラボが決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000035222.html

◎米アップルは、英語圏向けのニュースアプリの月間ユーザーが1億人を突破したと明らかにした。月額9.99ドルのニュース購読サービス「アップルニュース+」の購読数は発表していない。
https://jp.reuters.com/article/apple-servivces-idJPL4N29D3Z0

◎トマ・ピケティ「21世紀の資本」(みすず書房)を映画化した社会派ドキュメンタリー「21世紀の資本」が公開される。
http://eiganavi.entermeitele.net/news/2020/01/21-5df3.html

徳間書店の「アニメージュ」が1月10日発売2月号をもって創刊500号を迎えた。創刊は1978年5月26日。スタジオジブリの鈴木敏夫もそうだが、編集者は「アサヒ芸能」出身者が多かった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000229.000016935.html
宮崎駿の「風の谷のナウシカ」を生んだ雑誌である。1981年8月号で宮崎の特集を組み、1982年2月号から漫画「風の谷のナウシカ」の連載が始まる。

◎「東洋経済オンライン」は1月10日付で「サイバー藤田社長『あわや解任』の想定外事態」を公開している。
アメリカの議決権行使助言大手、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は2019年2月に基準を改定し、サイバーエージェントのような監査等委員会設置会社に対して求めていた取締役会に占める社外取締役の割合を、それまでの「2名以上」から「3分の1以上」に変更。これを満たさなければ、経営トップである取締役に反対を推奨するとしている。もう1つの大手、アメリカのグラスルイスも同様の基準だ。》
https://toyokeizai.net/articles/-/323723

◎漫画「鼻紙写楽」(小学館)の一ノ関圭が「絵」を担当する。福音館書店から刊行される「琉球という国があった」は「上里 隆史  / 富山 義則 写真 / 一ノ関 圭 絵」という組み合わせだ。2012年に雑誌として発売したものを書籍化したようだ。
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=6559
上里は琉球史の専門家であり、「琉日戦争一六〇九 島津氏の琉球侵攻」(ボーダーインク)で知られている。富山は「沖縄ビーチ大全 505」(マガジンハウス)で知られるカメラマンだが、上里とは琉球古道---歴史と神話の島・沖縄」(河出書房新社で組んでいる。児童書として、凄く贅沢な一冊である。

◎光社、今度は「FNASH(フニャッシュ) 」である。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000251.000021468.html
わが家にも、いつのまにか二匹。

円谷プロダクションは1月2日に亡くなった脚本家・上原正三功績を偲び、「帰ってきたウルトラマン」第33話「怪獣使いと少年」を「TSUBURAYA・GALAXY」で無料公開に踏み切った。「日本人は美しい花を作る手を持ちながら、一旦その手に刃を握るとどんな残忍きわまりない行為をすることか・・・」って台詞が出て来るやつだ。
https://galaxy.m-78.jp/tv_9-6.html?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=200110_uehara
廃墟写真集「棄景」の丸田祥三がツイートしている。
東映に勤めていた頃、本当にお世話になりました。「イナズマンF」最終回の第一稿「イナズマン最期の日」を拝読した折の衝撃は忘れられません》
https://twitter.com/malta_shozo/status/1215078043074457600
粕川裕康の公式ブログは2018年2月24日に「イナズマンFの最終回には2つのラストがある?Fとイナズマンの違いやopの魅力を徹底考察!」をエントリしているのだが、そこにはこう書かれている。
イナズマンFの最終回には、テレビ版と初期稿版の2テイクが存在し、両者のラストは全然違う。
初期稿版の段階で作られた最終回では、イナズマンこと渡五郎がガイゼルを倒すことと引き換えに超能力を失ってしまう。
イナズマンF最終回の初期稿では、守るべき仲間も敵組織の新人類とともに滅亡する。
イナズマンFが救おうとした仲間たちが、最終回で滅ぶのが初期稿の物語なのだ。
最終回で超能力を失った渡五郎は「東映まんが祭り」の看板を見かけたとき、無感動に通りすぎ、人ごみの街中に歩き去っていくラストシーン。
最終回初期稿はいかにも暗い内容で、子供番組でこんな思い切った展開があるなら観たいくらいである。》
http://arthiro.net/%E3%80%8C/inazumanf
現代書館は「上原正三シナリオ選集」を刊行している。言うまでもなく現代書館は上原が坪田譲二学賞を受賞した「キジムナーkids」の版元である。
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-7667-3.htm
「復興化論――日本的創造の系譜」や「ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景」の福嶋亮大は「上原正三シナリオ選集」について次のように評価している。
《何にせよ、日本のサブカルチャーの持ついわば「浮遊したパトリオティズム」を考える上で、上原正三の存在は避けて通れない。上原正三や金城哲夫という沖縄人を介して、日本の特撮とサブカルャーの歴史は大きく変動した。本書のアーカイヴは、そのような歴史をたどる上で必須の資料だと言えるだろう。》
https://booklog.kinokuniya.co.jp/fukushima/archives/2010/06/post_6.html

-----------------------------------------------------

6)【深夜の誌人語録】

何から何まで時代のせいにしてはなるまい。