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1)【記事】「週刊文春」に敗れた記者クラブ報道
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
4)【お知らせ】
----------------------------------------2021.2.19 Shuppanjin
1)【記事】「週刊文春」に敗れた記者クラブ報道
毎日新聞は2月17日付で掲載している「首相長男と会食の総務省局長『放送業界の話題ない』 衆院予算委」は17日に開かれた衆院予算委員会で立憲民主党の後藤祐一の質問に総務省の情報流通行政局長・秋本芳徳が答えたことを報じている。
《後藤氏 秋本情報流通行政局長は、12月10日に菅正剛氏らと会食されたということですが、スターチャンネルに限らず東北新社様の事業について、その会食の中で話題に上った記憶はございませんという答弁をされておられますが。
秋本局長 東北新社様、そしてスターチャンネルの事業が話題に上ったことはないというふうに考えております。》
https://mainichi.jp/articles/20210217/k00/00m/010/221000c
しかし、この発言が嘘であることが発覚してしまう。何と「週刊文春」は首相の長男・菅正剛と秋本の会話を録音していたのである。「週刊文春」は予算委員会での質問が終わった後に「文春オンライン」に「菅首相長男“違法接待” 総務省局長『国会虚偽答弁』の証拠音声」を発表したのである。音声そのものを公開したうえで「文春オンライン」は、こう書く。
《音声からは、接待の場で、東北新社が展開する衛星放送ビジネスについて話し合われていることが確認できる。また、東北新社と秋本局長が、BS放送の新規参入に積極的だった小林・元総務政務官に対して警戒を強めていることもうかがえる。》
https://bunshun.jp/articles/-/43512
「週刊文春」は森喜朗発言問題の暴風を避けるようにして、音声記録や東北新社子会社の元取締役の告白を大切にとっておいたのである。早速、こんなツイートが投稿されている。
《文春の恐ろしさは、第1報で総務省や東北新社がすっとぼけることを織り込んだ上で特大二の矢を放ったことだよな》
https://twitter.com/edonowest/status/1361950242745196546
朝日新聞デジタルは2月17日付で「総務省幹部が否定の衛星事業、接待で話題に 文春報道」を掲載している。
《立憲、共産、国民民主の野党3党は17日夕、報じられた事実関係を明らかにしなければ、予算委や総務委の審議に応じない考えで一致し、自民党に伝えた。立憲の安住淳国会対策委員長は記者団に「音声の話を聞く限り、これまでの説明はウソだと明らかになった」と批判した。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP2K63LYP2KULFA029.html
毎日新聞は2月17日付で「首相長男の接待、放送事業が話題か 総務省幹部に虚偽答弁の疑い」を掲載している。
《インターネット上で公開された会話の音声データでは、首相長男が、子会社の衛星放送「スターチャンネル」を巡り、「BS、BSの。スター(チャンネル)がスロット(を)返して」などと発言。政府がBS放送への新規参入を進めるため、既存業者のスロット(帯域)が縮減されたことを指しているとみられる。
会話では規制改革に熱心な自民党衆院議員への恨み節も漏れ、秋本氏とみられる男性は「(自民議員は)どっかで一敗地にまみれないと、全然勘違いのままいっちゃいますよねえ」などと語っていた。》
https://mainichi.jp/articles/20210217/k00/00m/010/257000c
白井聡が呟く。
《すごいの出てきた。》
https://twitter.com/shirai_satoshi/status/1361948244884922369
日共の宮本徹がツイートしている。
《文春が音源!「衛星放送やスターチャンネル(東北新社の子会社が運営)について、話題になった記憶はございません」という官僚の答弁は虚偽答弁ということ。隠す裏にはやましいことがあるのではと疑念が生じます。行政が歪められてないか、真相を明らかにすべきです。》
https://twitter.com/miyamototooru/status/1361956352457809920
ひろゆきこと西村博之が驚いている。
《国会答弁で嘘ついた官僚は刑事罰とかにした方がいいと思う。
録音まで持ってて、虚偽答弁の後に出してくる文春凄すぎる。》
https://twitter.com/hirox246/status/1361948205655744512
新聞、雑誌、テレビを経験している清水潔ですら舌を巻いていてる。
《本来なら地検特捜部や新聞社の調査報道がやるべき仕事を週刊文春がやっている。これは脅威だ。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1361951279472201728
島契嗣もNHKでも、讀賣新聞でも記者をつとめてきたというキャリアを持つが、島をして、これは公安の手法だと言わしめる。
《違法接待の店内に潜入し、カウンターに席を並べて録音する。公安の手法。国会の場で当事者に否定させておいて、その音声をオンラインで公開する。これが文春というメディア。感動するわ。この接待は個室ではなくカウンターだった。録音できる場所に陣取った。情報入手と入念な準備の賜物。偶然ではない》
https://twitter.com/shima_keishi/status/1361962166446919681
島はツイートをつづける。「週刊文春」の術中に完全にはまったようだ。
《明日も週刊文春を買う。ヤフーでしか文春を読んでない人は、記事の分量と詳細な記述を通して文春の本当の怖さを知ると思う(今は長い記事を読み通せる若い人が減ってる)。このレベルのネタをあの人数でコンスタントに放ち続けられることに驚く。同じ週に同時に2, 3本の文春砲を放てることにもっと驚く》
https://twitter.com/shima_keishi/status/1361970201340747776
決して島を揶揄しているわけではない。何故なら、私も朝イチでコンビニに走るのだから。これも島。
《接待や会食は個室でやりましょう。料亭でなくてもいいので。文春の隠し撮り音声を聞くと、話しぶりや言葉の使い方から、いま自分たちは小料理屋のカウンターで話してるんだという当事者たちの意識は垣間見えるけどね。録音されていたね。録音を関係者から入手ではなく文春記者みずから録ったのもおもろ》
https://twitter.com/shima_keishi/status/1361971902739148801
「異邦人」のツイート。その通りだ。
《総務省幹部接待問題について、菅義偉首相の長男は「私人」という理由で参考人招致を拒んでいる自民党ですが、一体どの口が言っているのでしょうか。籠池氏も「私人」でしたが、あの時は「首相への侮辱」という独裁国家ばりの恐ろしい理由で証人喚問が行われました。忘れたと思っているのでしょうか。》
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1361885693450940419
東京新聞は2月17日付で「菅首相、長男勤務先から個人献金500万円 総務省幹部の会食相手から『選挙のお見舞い』<接待問題>」を掲載している。
《首相は、同社元社長の故・植村伴次郎氏と、その長男で前社長の故・植村徹氏から、6回にわたって50万~100万円の個人献金を受けた。「12、14、17年は衆院解散の時で、選挙のお見舞いということだ」と説明した。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/86579
毎日新聞が2月18日付で掲載した社説「菅首相長男と総務省 特別扱いの疑い強まった」は《総務省幹部が菅義偉首相の長男から接待を受けていた問題で、同省幹部が長男を特別扱いしていた構図が浮かび上がってきた》と書き出しているが、同省幹部が長男を特別扱いしていた構図を浮かび上がらせたのは「週刊文春」のスクープであったことを書き忘れている。よほど口惜しかったのだろう。新聞の記者クラブ報道は週刊誌に負けた事実をもっともっと直視すべきだ。
https://mainichi.jp/articles/20210218/ddm/005/070/107000c
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2)【本日の一行情報】
◎「ダイヤモンド・オンライン」は2月18日付で田中康夫の緊急寄稿「『電通』はなぜ迷走し続けるのか? 畏友・山本敏博CEOへの“最後の諫言”」を発表している。
《『サンデー毎日』発売直後の昨年7月21日、山本敏博(株)電通グループ代表取締役兼CEOから求められて2人で面談した際、僕は4項目のメモ書き『(1)「殖民地化」の阻止(2)「電通」労働環境のプロトタイプ化(3)電通イージス・ネットワークの可視化(4)HP JP上でガバナンスを明確化』を手渡しました。》
この4項目は傾聴に値する内容だと私は思っている。(3)と(4)に関しては田中は次のように説明している。
《純粋持株会社の電通グループ、国内事業会社の電通、海外事業会社の電通イージス・ネットワーク、更に電通グループの社内カンパニーとして電通を中核に日本国内の約130社で構成される電通ジャパンネットワーク。4つの異なるURLのホームページは、ユーザー・オリエンテッドな「ワンストップサーヴィス」とは凡そ真逆な「縦割り行政」に陥ったグローバル・カンパニーDENTSUの病巣を体現していませんかと。》
圧巻なのは、この後である。田中は電通グループのホームページで「About us 企業情報」と大書きされたサイトをスクロールしはじめるのだが、そこで明らかになったのは・・・。
田中によればカレッタ汐留のアドミュージアム東京には、大政翼賛会が広告主のポスター「進め一億火の玉だ 大政翼贊會」が所蔵されているそうだ。その解説には「このポスターを製作したのは『報道技術研究会』。民間の広告技術者によるボランティアのような組織から、戦争が進むにつれて、国家宣伝を担う専門集団に発展していった」という。
田中は次のように書いて筆を置いている。
《「良心」の持ち主をも、いとも無慈悲に併呑(へいどん)し、消費していく社会は、昔も今も変わらないのだと。であればこそ、何時の時代に於いても「自分の五感で捉え、自分の言葉で語り、自分の意思で動く」しなやかな心意気を私たち一人ひとりが持ち合わせることが、如何なる業種、職種に於いても肝要なのではなかろうかと。》
私は田中康夫の「朝日ジャーナル」における連載「ファディッシュ考現学」から些事こそ大事であることを学んだひとりである。
https://diamond.jp/articles/-/263134
田中が「サンデー毎日」2020年7月26日号に発表した「電通の迷走は 日本の産業構造の空洞化、労働環境の劣悪化の縮図」は、ここで読める。
https://tanakayasuo.me/dentsu
田中康夫の愛情が電通に届くことを願うばかりである。蛇足ながら書き留めておくが、「ファディッシュ考現学」を担当したのは宮本貢。晶文社は1997年9月に宮本貢の「なくなったもの」を刊行しているが、この担当編集者は中川六平だ。
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%82%E3%81%AE-%E5%AE%AE%E6%9C%AC-%E8%B2%A2/dp/4794963270/ref=sr_1_6?dchild=1&qid=1613623262&s=books&sr=1-6
◎これも「週刊文春」だ。東京新聞が2月18日付で社説「夜の酒場通い 議員を辞職すべきだ」を掲載し、次のように書いている。
《緊急事態宣言下の夜にまたも、自民党議員の高級酒場通いが発覚した。同様の行為で与党議員が議員辞職や離党した直後で、より悪質だ。国民代表という意識を欠く。即刻、議員辞職すべきだ。
週刊文春の報道によると、自民党の白須賀貴樹衆院議員(45)=千葉13区=が二月十日午後八時半すぎ、東京都内の会員制高級ラウンジに入店し、一時間半近く滞在していた、という。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/86671?rct=editorial
記者クラブという首輪を外さない限り、新聞は「自民党議員の高級酒場通い」を報じることはできまい。
◎千葉雅也が呟いている。
《コロナ禍になる前の世界を忘れてしまわないかと心配になる。》
https://twitter.com/masayachiba/status/1361963418840834052
◎Hey! Say! JUMPの伊野尾慧と八乙女光が表紙&巻頭グラビアを飾る2月26日発売の「Hanako」(マガジンハウス)4月号の特集は、「安心できる毎日の過ごしかた。 ハナコの防災ガイドブック」。これは売れるんじゃないの。
https://realsound.jp/book/2021/02/post-708037.html
イベントは企画しないのだろうか。
◎「ドラえもん×GUCCI」が付録の小学館の女性誌が売れている。良いことではないか。私は米澤泉と違って悲しくならないけれど。
《…『Precious』3月号の特集「おしゃれを一歩進める、美しき『掟破り』」をきちんと読んだ読者はどれぐらいいるのだろうか。大多数が「付録」目当てで誌面内容にはほぼ目を通さない結果になっていたとしたら、雑誌を愛する筆者としては悲しい限りである。》
「YAHOO!ニュース」は2月17日付で甲南女子大学教授・米澤泉の「完売続出、豪華付録が雑誌を滅ぼす? ―ドラえもん×GUCCIコラボ付録が浮き彫りにしたもの」を公開しているのだが、ことごとくと言って良いほど私は米澤と見解を相違している。米澤は《紙の雑誌の魅力は、「モノ」の魅力ではない》というのだが、私からすると紙の雑誌の魅力は「モノ」の魅力であってもよいのである。「モノ」の魅力こそわが国の雑誌文化の伝統のひとつにほかなるまい。この米澤は、それほど雑誌が好きではなかったのではないだろうか。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yonezawaizumi/20210217-00222716/
◎紀伊國屋書店は、ネットアドバンスが今年4月にサービスを開始する中高生向け総合学習支援ツール「ジャパンナレッジSchool」の販売代理店だが、東京都三鷹市にある創立124年の私立高校である大成高等学校が導入第一号となった。
https://kyodonewsprwire.jp/release/202102161079
◎文藝春秋から「週刊文春 新型コロナ 完璧サバイバルガイド 2021最新版」が発売された。定価は499円(税込み)。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000043732.html
◎世界文化社は、復刊第2弾特別号として「からだにいいこと」 4月号を発売した(発行:株式会社からだにいいこと)。表紙は香取慎吾。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001044.000009728.html
◎集英社メンズマガジン会員の「スポルティーバ」会員に登録すると、「webスポルティーバ」の無料会員限定のコンテンツを閲覧・視聴ができるようになる。会員限定の記事や動画、イベントやキャンペーンなどを予定している。
「集英社メンズマガジン会員」とは、集英社の男性誌のインターネットを通したサービスを受けるための会員システム。
https://sportiva.shueisha.co.jp/about_members/
◎ベネッセコーポレーションが提供する、小学生の学習・生活を支援する通信教育講座「進研ゼミ小学講座」は、全国の小学生を対象に、「鬼滅の刃」とコラボした漢字計算ドリルの無償提供について、60 万冊へ拡大することを決めた。
当初は、2月1日から申し込み受け付けを開始し、先着 12 万名に届けるへの予定だったが、わずか 14 時間で 12 万名から申し込まれ、急遽、先着 30 万名まで拡大して提供する
ことにしたが、その後2月2日には、30 万名に到達し、受け付けを終了した。しかし、申し込み受け付け終了後も、保護者から要望を受けて、さらに30 万冊増刷し、合計 60 万冊まで提供することを決めた。
https://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/20210216_release2.pdf
◎CCCメディアハウスが発行する「Pen」は、4月15日発売号をもって月2回の刊行を終え、5月28日発売の7月号からは、月刊誌となる。
https://www.wwdjapan.com/articles/1178030
◎丸善ジュンク堂が5月1日より帳合を変更することになった。楽天ブックスネットワークからトーハンに変更するのが63店舗、楽天ブックスネットワークから日販に変更するのが16店舗だ。
◎中日新聞は2月17日付で「早稲田ジャーナリズム大賞奨励賞に本紙記者」を掲載している。
《「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」の受賞作が十六日発表され、公共奉仕部門の奨励賞に本紙の片山夏子・福島特別支局長の著書「ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録」が選ばれた。》
https://www.chunichi.co.jp/article/203370
◎「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」の大賞に大阪府の月刊紙「新聞うずみ火」が選ばれた。
https://www.sakigake.jp/news/article/20210218AK0013/
◎サントリーウイスキー蒸溜所は、オンラインで楽しめるリモート蒸溜所ツアーをスタートさせている。「OZmall」が2月17日付で「ウイスキーを味わいながらおうちで工場見学!『サントリーウイスキー リモート蒸溜所ツアー』」を公開している。有料で予約制だけれど「オンライン・ライブ」がオススメだ。
https://www.ozmall.co.jp/gourmet/osake/26860/
◎朝日新聞デジタルは2月17日付で「まちの本屋さん、巣ごもり支える 売り上げ増、参考書や投資・片付け本人気」を掲載している。
《トーハンが全国の約1500書店について、2019年11月~20年11月の売り上げデータを調べた。
新型コロナウイルスが感染拡大した2月以降、住宅街や郊外、商店街の書店では前年に比べて売り上げが増加傾向にある。特に、緊急事態宣言下にあった4~5月は10~30%ほど売り上げが伸びたという。一方で、ビジネス街や駅周辺では売り上げが落ちた。》
具体的には、こういうことが起きていた。
《住宅街に続く商店街にある東京都足立区のスーパーブックス竹ノ塚駅前店では、営業時間を短縮しているものの、10~15%売り上げが増加したという。西本修二店長によると、一斉休校によって需要が増えた学習参考書のほか、投資や自己啓発などのビジネス書、片付けの本などが売れている。客の流れも、これまで多かった夕方以降の客が減り、午前中に客が集まる傾向にある。》
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14803456.html
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3)【深夜の誌人語録】
いつかは永遠にやって来ない。信用できるのは「いつまで」だ。
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4)【お知らせ】
「文徒」2000号まで、あと71号。