【文徒】2020年(令和2)8月11日(第8巻146号・通巻1803号)つづき

◎「双葉庫ルーキー大賞」の第1回受賞作品が大橋崇行「遥かに届くきみの聲」に決まり、8月7日から全国発売が始まった。朗読を扱っている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000192.000014531.html
声を失った元天才子役・透を斉藤壮馬、透を支える天真爛漫な少女・遥を高橋李依が熱演するPVが公開されている。
https://www.youtube.com/watch?v=ftf6HWHFYTE&feature=youtu.be
大橋崇行東海学園大学部教授である。中日新聞は8月8日付で「青春小説で庫賞 作家・学研究者の大橋崇行東海学園大准教授」を掲載している。
《主人公は、かつて朗読の天才と言われた子役だった、男子高校生。ある朗読コンクールがきっかけで子役を辞め、経歴を隠して地元から離れた高校に入学する。静かに学校生活を送るつもりでいたが、同級生から朗読部に引きずり込まれ、避けていた朗読に再び向き合う。
 作中には、朗読の題材として、梶井基次郎の小説「檸檬」など、近現代の名作学が次々に登場する。大橋さんが膨大なリストを作り、よりすぐってちりばめた。》
https://www.chunichi.co.jp/article/101527
マルキスト梶井基次郎の「檸檬」が登場すると聞いて、ちょっと期待してしまう。

◎ハリエット・A・ジェイコブズの「ある奴隷少女に起こった出来事」(新潮庫)が双葉社の漫画サイト「webアクション」で、あらい・まりこによってコミカライズされ、その第一巻が緊急出版された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000193.000014531.html
ときわ書房志津ステーションビル店がツイートしている。
《19世紀米南部、1人の少女の自立と尊厳を求める旅が始まる。堀越ゆきさんの訳でベストセラーとなった、H・A・ジェイコブズの同名小説を完全漫画化。この時代に蘇ったことが必然であるかのように、命を吹き込まれた作品を今こそ!》
https://twitter.com/tokiwashizu/status/1291693226915532800

◎道端アンジェリカのヌード写真集「Angelica」(双葉社)が発売となった。
https://www.rbbtoday.com/article/2020/08/07/181105.html
双葉社が攻めている!

◎YouTuberなどインフルエンサーのエージェント事業を行うアナライズログは、TVアニメコンテンツの権利を保有する企業が複数社参加するアニメチャンネル「AnimeLog」(アニメログ)を8月7日(金)午前0時に開設した。今後は同社への出資並びに出資関連企業の東映アニメーション小学館集英社ロダクション、シンエイ動画ほか、講談社、他大手アニメスタジオ作品の国内の著名なファミリー向けの作品を配信する予定だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000042106.html
アナライズログは小学館と資本業務提携している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000042106.html
これが日経にかかると8月7日付「東映アニメ・講談社、YouTubeでアニメ共同配信」という記事になってしまう。
東映アニメーション講談社などが動画投稿サイト「ユーチューブ」でアニメの共同配信を始めた。2022年には30社で300のタイトルをそろえ、再生回数で月3億回のチャンネルに育てる。新型コロナウイルスに伴う外出自粛でネットの動画視聴が増えるなか、世界で人気の高い日本アニメの配信を拡大する。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62394910W0A800C2EAF000/

◎日本芸社は、「基礎からわかる 数秘術の完全独習」(水谷奏音)を発売した。生年月日と氏名から算出する数字をもとに、その人の性質や運命、運気を見るのが数秘術だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000041489.html

◎蔦屋書店は、店舗レンタルとネット配信を融合した月額定額サービスTSUTAYAプレミアム(を使って、新潮社の女子小学生向けファッション誌「ニコ☆プチ」とコラボした小学生のための人気番組「モっと!ニコ☆プチTV」のシーズン2最終回「#6ニコプチダンスをみんなで踊ろう♪」の配信を8月7日(金)より開始する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001074.000018760.html

◎「J-WAVE NEWS」は8月5日付で「RHYMESTER宇多丸が語る、Black Lives Matterと映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』」を公開している。宇多丸パブリック・エナミーの「Fight the Power」について次のように語っている。
《これね、スパイク・リーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』という89年の映画作品の主題歌なわけですよ。当時は『ドゥ・ザ・ライト・シング』の公開に先駆けて、同作のサントラに入っているいろいろな曲が、同じジャケットで12インチで出まくっていた。ガイのアーロンホールの曲とかさ。当時はニュー・ジャック・スウィングがめちゃめちゃ盛り上がり始めていたので、「ゴリゴリのヒップホップでニュー・ジャック・スウィング」という感じで、俺たちの好きな音楽がパッケージングされた、最新コンテンツとしての『ドゥ・ザ・ライト・シング』だった。》
https://news.j-wave.co.jp/2020/08/post-6483.html
図書新聞」に化コラム「カルチャー・ オン・ザ・ウェッジ」を20年以上にわたって連載中の伊達正保のデビュー作は「ドゥ・ザ・レフト・シング」。編集は向井徹だ。批評社の内容紹介が凄い。
《エラソーなことをぬかす奴ァいくらでもいるけど、腹を切ったの三島由紀夫と伊達政保だけだ。ジャズ・ロック・歌謡曲から映画・演劇・学まで、抜群の“カン”で表現の現在に迫る、ユニークな論攷。》
http://www.hihyosya.co.jp/ISBN978-4-8265-0125-5.html
朝倉喬司新宿区役所の関係者と名刺交換していたため伊達は出刃包丁の向きを縦に変えられず、切腹を完遂できずに生き残った。結果的に朝倉が伊達の命を救ったわけである。

学研ホールディングスは、「家庭学習応援プロジェクト」サイトにおいて、家庭から参加できるオンラインイベント「学研キッズフェス2020」を8月22日(土)に開催する。参加するには専用サイトより事前エントリーが必要となる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002905.000002535.html
学研プラスは、8月22日(土)にオンラインで開催される「学研キッズフェス」のプログラムの一つとして、学研の図鑑50周年記念「ものしりクイズ大会」を開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002908.000002535.html

◎「ITmedia NEWS」は8月6日付で「Yahoo! JAPAN IDで個人情報漏えい 氏名や勤務先など他人のIDに上書き 最大約39万件」を公開している。
《ヤフーは8月6日、「Yahoo! JAPAN ID」のシステムに不具合が発生し、一部ユーザーのIDに登録された氏名や住所などの個人情報が、最大約39万件の他のIDに上書きされたと発表した。誤って反映された情報は既に削除したという。》
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2008/06/news157.html

博報堂DYホールディングスの2020年4~6月期の連結決算は、最終損益が30億円の赤字(前年同期は25億円の黒字)。売上高は前年同期比21.6%減の2610億円、経常利益は前年同期比80.4%減の15億円、営業利益は前年同期比94.3%減の3億9800万円。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2433/tdnet/1870641/00.pdf

ボイジャーは、ボルテージの新サービス「ぼるコミ」へ、ブラウザで動作する電子書籍リーダー「BinB」(ビーインビー)を提供した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000049823.html

コンデナスト・ジャパンの「VOGUE JAPAN」は、グローバルなファッション・イベント「VOGUE FASHION’S NIGHT OUT」を、本年は「VOGUE FASHION'S NIGHT IN」と名称を変更し、オンラインにて10月23日から11月8日の17日間に渡って開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000715.000000930.html

◎「幻冬舎ゴールドオンライン」は8月8日付で「芥川賞直木賞を凌駕…『本屋大賞』が絶大に支持される理由」を発表している。
《過去5年間の本屋大賞の5作品は、すべて年間ベストセラー(日販調べ)の総合ランキング20位以内に入っていた。2015年の『鹿の王』(上橋菜穂子著)は12位、2016年の『羊と鋼の森』(宮下奈都著)は7位、2017年『蜜蜂と遠雷』(恩田陸著)3位、2018年『かがみの孤城』(辻村深月著)・13位、2019年『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ著)10位だ。
この間の芥川賞直木賞は計24作品。しかし、年間20位以内にランクインしたのは3作品に留まる。2015年上期に総合1位となった芥川賞の『火花』(又吉直樹著)、2016年上期芥川賞コンビニ人間』(村田沙耶香著)の8位、そして本屋大賞とダブル受賞となった2016年下期直木賞の『蜜蜂と遠雷』(恩田陸著)の3位である。》
https://gentosha-go.com/articles/-/28218

◎ヤフーと合弁会社を設立し、サイバーエージェントからも出資を受け、日本のメッセンジャーアプリ市場でシェア争いを展開していた韓国カカオが、2020年4~6月期決算を発表したが、売上高、営業利益ともに過去最高を更新。マンガアプリ「ピッコマ」が前年同期比65%増と急成長しているのだ。
https://www.businessinsider.jp/post-218102

小学館の美容誌「美的」が愛媛県宇和島市吉田町にある「山内ファーム」と共同製造したブラッドオレンジジュースは1本3435円と高価だが美味しいんだよねぇ。オレも一度、飲んだことがある逸品だ。
https://straightpress.jp/20200807/404518
ジンとの相性が抜群なんだよね。

毎日新聞は8月8日付で「中学生の胸を触った疑い ジャンプ連載『アクタージュ』自称原作者を逮捕 警視庁」(黒川晋史)を掲載している。
《路上で女性にわいせつな行為をしたとして、警視庁中野署は8日、東京都中野区野方1、自称漫画原作者松木達哉容疑者(29)を強制わいせつ容疑で逮捕した。容疑を認めているという。》
https://mainichi.jp/articles/20200808/k00/00m/040/170000c
朝日新聞デジタルは8月8日付で「ジャンプ漫画の自称原作者、中学生の胸触った疑いで逮捕」を掲載している。
《中野署によると、松木容疑者は6月18日午後8時ごろ、中野区の路上で、歩いて帰宅していた女子中学生に自転車で後方から近づき、追い抜きざまに胸を触った疑いがある。そのまま逃走したという。
同区内では同9時ごろにも、帰宅中の別の女子中学生が同様に胸を触られる事件があった。防犯カメラなどの捜査から警視庁は、松木容疑者が関与したとみて調べている。》
https://www.asahi.com/articles/ASN88647RN88UTIL01Y.html
NHK NEWS WEB」は8月8日付で「少年ジャンプ漫画の原作者逮捕 女子中学生にわいせつ行為疑い」を発表している。
《容疑者は、「マツキタツヤ」というペンネームで活動し、週刊少年ジャンプで連載中の人気漫画「アクタージュ act-age」の原作を担当していました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200808/k10012558471000.html
週刊少年ジャンプ編集部は8月8日付で「編集部よりお知らせ」を発表している。
《この度、週刊少年ジャンプにて連載中の「アクタージュ act-age」原作者のマツキタツヤ先生に関する報道がなされましたが、この件につきまして編集部としましては重く受け止めております。
事実関係を確認した上で、適切に対処して参ります。
読者の皆様ならびに関係者の皆様にご迷惑とご心配をおかけいたしますことを、心よりお詫び申し上げます。》
https://www.shonenjump.com/j/2020/08/08/200808_oshirase001.html
「ORICON NEWS」は8月8 日午後9時4分に「ジャンプ編集部、漫画『アクタージュ』原作者の逮捕報道に謝罪『重く受け止めております』」を発表している。「アクタージュ」について次のように書いている。
《2018年1月より同誌で連載がスタートした同作は、大手芸能事務所が主催する俳優オーディションの中で、異彩を放つ少女の主人公・夜凪景と鬼才の映画監督・黒山墨字の出会いから始まり、夜凪が役者として成長する姿を描いた物語。コミックスは300万部を突破しており、ホリプロの公演事業部が制作を手掛ける舞台化も決まっている注目作品。
また、夜凪を実在の女優であるかの様に扱い、企業とのキャンペーンをする「女優化プロジェクト」も実施されており、消防庁の火災予防啓発用ポスターのイメージガール、TSUTAYAの『SHIBUYA TSUTAYA 店長』、『週刊プレイボーイ』で初グラビアを披露していた。》
https://www.oricon.co.jp/news/2169081/full/

◎「ゆめある舎」の谷川恵。
荻窪・Titleさんに、多和田葉子詩集『まだ未来』追加納品に行ってきました。もちろん自転車で。汗だくだくです。納品ダイエットです。》
https://twitter.com/tmegumisan/status/1292340557163847680

◎まさに怪演であった。「半沢直樹」における香川照之市川猿助のいとこ漫才に私もシビレた。香川のツイート。
《皆さま、第4話はご覧いただけましたか?従兄弟漫才はどうでしたかwww?それにしても…今週も汚い言葉を連発してしまい、本当に申し訳ございませんでした。つきましては、再びアイコンを変更し、画像の中からも深くお詫びを申し上げます。来週からの更なる怒涛の展開、どうぞお楽しみに!》
https://twitter.com/_teruyukikagawa/status/1292447516655411202
いけね、ナベツネを見損なったdeath!

◎神保町にはモダンの歴史が刻まれたビルがまだ残っている。
《神保町のビル「旧相互無尽会社」(昭和5年頃竣工) が9月7日からの工期で解体されてしまうという。これは本当になんとかならないのかなと思う。外壁を覆うスクラッチタイルやアーチ窓など見どころの多い素敵ビルなのですが…》
《2011年10月発行の「千代田図書館情報誌 vol.9」によると「昭和4年」竣工。もともと「相互無尽会社」のビルとして建てられ、後に (財)日本タイ協会が入り、中にある図書室ではタイ関係の書籍約1500冊の閲覧や貸出を行っている、とあります。現在日本タイ協会は同じ神保町の別の場所に移転した模様。》
《このような歴史的建造物、とくに神保町のこのビルなどはせめて外観は残したうえで資料館など公共の場として後世に残ってほしいというのが個人的な希望です。ですが現実的な問題があり、国や都の力を借りず個人や民間での保存は難しい。リノベーションを期待したいところですが限界もあります。》
https://twitter.com/aof1080/status/1292009485683142656
https://twitter.com/aof1080/status/1292219873817370625
https://twitter.com/aof1080/status/1292306513751445510

◎英学研究者・秦邦生のツイートでカズオ・イシグロが長崎原爆75周年メッセージを発表したことを知った。
カズオ・イシグロの長崎原爆75周年メッセージが長崎市ウェブサイトで公開されていますね。あれから75年同じ規模の苦しみが繰り返されなかったことに希望を見出しつつ、「私たちの脆い明社会」を脅かし続ける危険を想起させる。とても彼らしいメッセージ。》
《イシグロと長崎というと、誰もがまず1982年のデヴュー作『遠い山なみの光』を思い出すはず。後年イギリスに渡った主人公エツコが、戦後復興期の長崎で過ごした日々を回想する物語。ただし彼女は原爆体験を決して正面から語らず、その「不在」がイシグロ小説の大きな特徴になっている。》
《イシグロには『遠い山なみの光』の異本とも称すべき「不思議に、時には悲しく」(1980年に雑誌掲載)という短編小説もある。こちらの主人公ミチコは原爆で親友ヤスコを亡くしており、原爆の扱いはもう少しだけ直接的。イシグロのEarly Japanese Storiesというレア本に収録されています。》
《ただ、実はイシグロは1980年代中頃にFlight from Nagasakiという題の40枚ほどの草稿を書いており、そこでは母親から聞き取った長崎原爆投下の惨状や被曝経験がさらに生々しく描かれている(テキサスのハリー・ランサム・センターに所蔵されています)。未発表なのでほとんど知られていないはず。》
《この草稿「長崎から逃れて」については以前に広島日英協会の会報に短い紹介を書いたことがありますが、それよりはるかに充実したべつの人の論考が準備中の「イシグロと日本」論集で活字化予定です。この企画が広島・長崎原爆75周年の今年と重なったのは、意義深いものがあると思います。》
https://twitter.com/KunioShin/status/1292331748869566464

https://twitter.com/KunioShin/status/1292342195534458880
これが「カズオ・イシグロ氏からのメッセージ」だ。
https://www.city.nagasaki.lg.jp/heiwa/3020000/3020300/p035001_d/fil/1.pdf

◎「新潮ドキュメント賞」候補作品が決まった。
「ケーキの切れない非行少年たち」(宮口幸治/新潮社)
「潜入ルポ amazon帝国」(横田増生小学館
「ぼけますから、よろしくお願いします。」(信友直子/新潮社)
「聖なるズー」(濱野ちひろ集英社
「エンド・オブ・ライフ」(佐々涼子集英社インターナショナル
https://twitter.com/Shincho_N/status/1291601685635166210
https://twitter.com/Shincho_N/status/1291602437128646656
講談社藝春秋からは候補作はなかった。講談社に至っては大宅壮一ノンフィクション賞でも、自社の講談社ノンフィクション賞も、今回の新潮ドキュメント賞でも候補作を出すことはできなかった。「講談社」と「ノンフィクション賞」の間に本田靖春という名前を拉致してしまったバチが当たったのかもしれない。

藝春秋は「まきめ」を「まんじょうめ」としてしまった!万城目学がツイートしている。
《十年以上、仕事しているのに、これは春、ひどいエラーやで・・・。》
https://twitter.com/maqime/status/1292285116975157248
つづけて、こうも。
《阪急福本並みの速さで、春オンライン編集長からお詫び電話いただきました!》
https://twitter.com/maqime/status/1292292682333605889
春オンライン」はリプライもしている。
《大変申しわけございませんでした。先ほど修正いたしました。失礼いたしました。》
https://twitter.com/bunshun_online/status/1292291948976304128

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7)【深夜の誌人語録】

人としての真価が問われるのは失敗してからだ。