【文徒】2020年(令和2)9月1日(第8巻161号・通巻1818号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】娘に窘められた「底抜けおしゃべり機械」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.9.1 Shuppanjin

1)【記事】娘に窘められた「底抜けおしゃべり機械」

J-CASTニュース」は8月27日付で「安倍首相『辞意表明の確率が高い』 予定稿の依頼『暴露』の内田樹氏が物議」を公開している。
《内田氏は、ネット上の疑問についてどう考えるのか、J-CASTニュースでは8月27日に取材を申し込んだ。内田氏は、対談の仕事などで忙しいらしく、同日19時現在では、取材依頼への連絡は来ていない。》
https://www.j-cast.com/2020/08/27393024.html?p=all
ここは取材に応じるべきではないのか。自分に都合が悪くなるとダンマリを決め込むのでは、どこぞの国の首相と五十歩百歩だとは思わないのだろうか。「底抜けおしゃべり機械」の異名が泣くというものだ。
周知のように8月28日付に「1)【記事】内田樹が首相退陣の『予定稿』依頼で舞い上がる無惨」を掲載したところ、私は知人から次のようなメールをもらった。
「内田がわかっていないのは、予定稿依頼をばらしたら、実際に安倍が今夕に辞任表明しても、新聞社はもう使えないということに気付いていないことだね。」
ところがどっこい、東京新聞内田樹が予定稿として書いたと思し章を堂々と掲載している。東京新聞は8月29日付で「『公権力への絶望が広がった』 辞意表明の安倍首相に識者らから厳しい評価も」を掲載しているが、そこに田原総一朗戒能民江とともに内田樹の名前があるではないか。
神戸女学院大名誉教授・思想家内田樹さん 安倍政権の7年8カ月で国力が落ち、日本の国際社会における多くのランキングで「先進国中最下位」が定位置になった。首相が数々の疑惑を免責されたことが常態化し公権力への絶望が広がった。コロナ禍では失態を重ね、緊急事態に首相に権限を集中しても意味がないということを露呈してしまい、改憲大義名分が消えた。同じ顔触れでの政権のたらい回しは許されない。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/51812
娘にして詩人の内田るんによれば父親の内田樹は「底抜けおしゃべり機械」にほかならない。こんなツイートを投稿していた。
《お父さんの口の軽さのせいで安倍が辞めるの撤回してたら、さすがにお父さんを恨むとこだったぜ。あーよかった。
お父さんは「これ!絶対に、絶対に秘密だよ!」って念を押さない限りはすべての見聞きしたことをネットに書く底抜けおしゃべり機械なので、私はプライベートは何も教えてない。》
https://twitter.com/lovelove_kikaku/status/1299262698220212224
内田樹リツイートしている。
《すんません。》
https://twitter.com/levinassien/status/1299267463620644869
婦人公論」によれば内田るんは、小学1年生のときに両親が離婚することになり、父・内田樹さんについて行くことを決心し、高校を卒業するまで、父子家庭で育ったという。当時を振り返りやり取りした往復書簡が「街場の親子論 父と娘の困難なものがたり」として中公新書ラクレから刊行されている。
https://www.chuko.co.jp/laclef/2020/06/150690.html
これも内田るんのツイート。
《フォロワーが急に増えた!
どうせすぐ減るので、いまのうち宣伝だ!
底なしおしゃべり機械こと父親の内田樹氏と往復書簡で本を出してます!
何も噛み合ってないけど泣けると評判です!
(ジャケと中表紙のイラストのグッズもsuzuriで販売してます。)》
https://twitter.com/lovelove_kikaku/status/1299361556568793088
内田樹リツイートしている。
《「底なしおしゃべり機械」を僕の枕詞にしないでくださいよ。》
https://twitter.com/levinassien/status/1299475466718343168
内田樹ツイッターで首相退陣について、その方面の投稿をリツイートしているが、自らの投稿では直接、言及していない。それらしい投稿はあるけれど、アベのアの字も書かれていない。こういう連ツイだ。
《『赤旗』からコメント依頼。指導者たちの道徳的integrity(廉直、高潔、誠実)の欠如はあらゆる領域での国民的パフォーマンスを低下させます。ヘーゲルの言う通り、人間は「他者からの承認」なしには生きられない生き物ですが、人間が他者に最も求めているのは「おのれの人格への真卒な敬意」です。》
《権力者は一般人が守るべき道徳規範を逸脱しても処罰されないということが「権力者であることの特権」であると信じた権力者は、他人から畏怖され阿諛されることはあっても、誰からも「人格への真卒な敬意」を向けられることがありません。》
《誰からもほんとうには敬意を持たれていないが敬意を持っているふりをさせるだけの権力だけはある人間が「成功者のロールモデル」だった時代が長く続けば、国民はそれにあわせて自己形成するようになります。それが今の日本の姿です。》
https://twitter.com/levinassien/status/1299625725822005248
https://twitter.com/levinassien/status/1299627499563802624
https://twitter.com/levinassien/status/1299628540766289920
相次いで「安倍政権の総括」原稿を依頼された新聞社二社とは東京新聞と赤旗ということになるのだろうか。

-----------------------------------------------------

2)【本日の一行情報】

◎「藝」編集長・坂上陽子のツイート。
《前も書いたけど会社の隣は頭山満が岸内閣の官僚松任健太郎結婚した孫娘のために建てた松任谷ビルで、地下は寺山修司や石原裕次郎・慎太郎や三島由紀夫が集ってたという会員制クラブ「易俗化」(エキゾッカ)。極秘のSMショーもあったとか。そのビルの今もこんな感じ。(看板はいまも日の丸)》
https://twitter.com/amehanako/status/1299891896475553793
松任谷という三字に注目したい。「現代ビジネス」は2017年3月29日付で「ユーミンと大物右翼『頭山家』の知られざる血脈と交流」を公開している。そこには、こう書かれている。
《頭山尋子が嫁いだ松任健太郎の腹違いの弟、功三郎。彼の息子ユーミンこと松任谷由実の夫・松任谷正隆である。
孫娘・尋子の結婚のはなむけに、頭山満神宮外苑の一角に新居を用意したという。二人が居をかまえた「松任谷ビル」の地下には会員制クラブ『易俗化』があり、力道山寺山修司、三島由紀夫が夜な夜な集った。》
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/51254?imp=0
サンケイスポーツは8月29日付で「芸能界にもアベノショック…松任谷由実、会見見て『泣いちゃった。切なくて』」を掲載している。
《安倍夫妻と親交が深いシンガー・ソングライター松任谷由実66)はニッポン放送松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD」で、「テレビでちょうど(会見を)見ていて泣いちゃった。切なくて」と思いを吐露。安倍氏とは「私の中ではプライベートでは同じ価値観を共有できる、同い年だし、ロマンの在り方が同じ」と明かし、「辞任されたから言えるけど、ご夫妻は仲良しです。もっと自由にご飯に行ったりできるかな」などとねぎらった。》
https://www.sanspo.com/geino/news/20200829/geo20082905030016-n1.html
ユーミンと大物右翼『頭山家』の知られざる血脈と交流」は、こうも書いている。
《2020年に再び巡ってくるオリンピックのため、取り壊されるスタジアムで行われた最後の早明ラグビー。試合終了後、夫・正隆の伴奏と共に、ユーミンの『ノーサイド』が響き渡った。》

◎安倍首相の記者会見はFacebookYouTube、Instagramで配信された。
https://twitter.com/kantei/status/1299203845986238465

◎武田砂鉄のツイート。
《それにしても、「私は、政権を私物化したというつもりは全くありません」と述べたのには驚いた。
赤信号を渡る様子がカメラに映っているのに、「私は赤信号を渡っていません」と言う。思えばこんなことばかりの7年8ヶ月だった。》
https://twitter.com/takedasatetsu/status/1299885594042982400

毎日新聞は8月28日付で「『首相が辞任!?』初めて官邸に行った記者 遭遇した安倍政権の幕切れ」を掲載している。
《すると午後2時過ぎ、テレビから速報を知らせるチャイム音が鳴った。官邸記者クラブの記者が一斉にテレビ前に集まり、NHK映す画面にくぎ付けになる。私も一緒にその視線の先に目をやると、テロップが飛び込んできた。
「安倍首相 辞任の意向固める」
午後2時過ぎは、新聞各社が夕刊の締め切りを終え、一息ついている時間帯。ランチに行ったり、夕方からの記者会見に備えて出稿計画を相談したり……そんなのどかな空気が一変した。
速報は、NHKのいわゆる「スクープ」だった。さすがに同僚記者にあれやこれや尋ねるのははばかられた。というか、その場にいた多くの記者は、スマートフォンを片手に記者室を飛び出した。「うわーっ、やばいなあ」。そんな声がどこかの社のブースから漏れ聞こえてきた。》
https://mainichi.jp/articles/20200828/k00/00m/010/149000c
ほんの少し早いかどうかに労力を割くよりも、他にやることがあるだろうよ。平野啓一郎がこうツイートしている。安倍政権下、NHKのジャーナリズムが劣化に劣化を重ねたことは間違いあるまい。
負の遺産は山ほどあるが、NHKの7時のニュースの信頼を完全に失ってしまったことは、とても寂しい。子供の頃、祖父からNHKの7時のニュースは必ず見て、世の中のことを知らないといけないと諭されて以来、習慣化していたのだが。このあと変わるんだろうか?》
https://twitter.com/hiranok/status/1299894102259949568
鈴木耕がリプライ。
《私はとりあえず、午後7時にはCSで「TBSニュースバードを見ることにしました。夕食時にNHKニュースは消化によくありません。》
https://twitter.com/kou_1970/status/1299895210902605824

幻冬舎は、秋の電子書籍キャンペーンとして「電本フェス 2020 AUTUMN ~幻冬舎電子書籍ほぼ全作品割引 最大70%OFFキャンペーン~」を8月28日(金)から2020年10月1日(木)までの計5週間、ほぼ1か月に亘り実施する。今回は実施期間を「前夜祭」「本祭」「後夜祭」に分けて実施し、総計4,000冊を超えるタイトルを最大70%割引で配信する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000533.000007254.html

毎日新聞は8月29日付で「勝木書店本店、あす終業 岩波3万冊、新二の宮店へ 福井 /福井」を掲載している。
《JR福井駅西口の通称「三角地帯」の再開発に伴い、60年以上市民に親しまれてきた勝木書店福井駅前本店(福井市中央1)が30日、閉店する。本店機能はSuperKaBoS新二の宮店(同市二の宮5)に移す。閉店を前に本店ビル5階の倉庫に保管されていた約3万冊の岩波書店の書籍も移され、特設コーナーに陳列されている。本店によると、これほどの数を店頭に並べているのは全国でもめずらしいという。》
https://mainichi.jp/articles/20200829/ddl/k18/020/238000c
岩波書店は原則的に返品を受け取らないということを踏まえれば3万冊は「不良在庫」とも言えるわけだ。

◎「YAHOO!ニュース」は8月29日付で田中良紹の「安倍総理はコロナに敗れた世界初のリーダーと記録されるかもしれない」を公開している。
《…自らが主導した東京五輪の1年延期が実現する前に退陣することは、「コロナに打ち勝った証として」と発言した以上、コロナに敗れての退陣と受け取られることはあり得る。後世の歴史にはそう記録される可能性があると私は思う。》
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakayoshitsugu/20200829-00195615/
東京五輪の運命は安倍と共に去りぬとなる可能性が大きいのではないだろうか。

◎ブックリスタが運営をサポートし、ソニー・ミュージックエンタテインメントが運営する電子書籍ストア「Reader Store」は、「Reader Store」公式アプリにおいて、電子書籍を読みながら動画を再生できる新機能をリリースした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000336.000006388.html

◎世界化社グループで通販事業を運営する世界化リテイリングと大和が「家庭画報グルメギフトカタログ」を発売した(既報)が、大丸松坂屋百貨店は全国11店舗とオンラインショッピングで9月1日から販売開始する。来年2月までの売り上げ目標は3千万円。
https://www.tsuhannews.jp/shopblogs/detail/65396

◎「MORE」10月号の付録はMERCURYDUOのミラーつきリップケース。
https://more.hpplus.jp/influencers/blg/rikako74/f-news/60160/3/

◎1980~90年代に「週刊少年ジャンプ」にて連載されていた不良マンガ「ろくでなしBLUES」の「東京四天王」をモチーフにした腕時計4種がバンコレ!より発売される。価格は各40,150円(税込)、「プレミアムバンダイで予約受付中。
https://news.yahoo.co.jp/articles/baf0f68b205736c0436c6ca2bde6e55bc74696f5

◎創立70周年を迎えた芳社で「まんがタイムきらら」系列誌の編集長を務めている小林宏之がインタビューに応じ、70年間事業を続けられた要因として二つのことをあげている。
《当社の長い歴史の中で、私が知っているのは入社してからの20数年ほどですが、要因と呼べそうなものは2つあると思っています
ひとつは、「マンガという万人に親しめるメディアを活用し、世の中を風刺し啓発し、日本中を明るくする」という当社の出版理念。私が入社してまんがタイム編集部に配属されたときも、当時の編集長だった古島(當夫)から、「雑誌とは社会の公器であることを認識しなければならない」「編集者は社会に貢献する志と使命感を持たなければならない」と何度も言われました。きららの作品は今もそういう思いで作っていますし、おそらく「週刊漫画TIMESや「まんがタイム」も同じはずで。だからこそ70年もの間、社会の人々に当社のマンガを必要としていただけたのではないでしょうか。
もうひとつは……大げさな言い方になりますが、当社のフロンティア精神。「週刊漫画TIMES」は日本初の週刊マンガ誌、「コミックmagazine」(1988年休刊)は日本初の青年マンガ誌、「まんがタイム」は日本初の4コマ誌、そして「まんがタイムきらら」は萌え4コマだけを集めた初めての雑誌と、芳社は常に新しいことにチャレンジしてきた歴史があるんです。現状に満足しない姿勢、挑戦し続けることを良しとする企業風土も、70年間この業界で生き残ってきた要因だと考えています。》
https://news.yahoo.co.jp/articles/b523a44f2d4b2a4a163877383fb37961ba5f5c99

日本経済新聞は8月28日付で「持続化給付金、新事務局で受け付け 9月1日から」を掲載している。
《2次補正分の事務局委託費は427億6千万円で、そのうち198億3千万円を広告大手の博報堂に再委託する。博報堂は支給プロセスの管理や統括業務を担当する。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63185680Y0A820C2EA4000/

-----------------------------------------------------

3)【深夜の誌人語録】

寄り道や回り道が発想を豊かにする。