【文徒】2020年(令和2)11月26日(第8巻219号・通巻1876号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】漫画家・矢口高雄が亡くなった
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.11.26 Shuppanjin

1)【記事】漫画家・矢口高雄が亡くなった

釣りキチ三平」の矢口高雄が亡くなった。
《矢口の次女 かおるです。
父・矢口高雄は11/20に家族が見守るなか、眠るように息を引き取りました。今年5月に膵臓がんが見つかり、約半年病気と闘っていました。すごく辛くて苦しかったはずだけど、涙も見せず頑張りました。最後まで格好良い自慢の父でした。パパ、ありがとう。そして、お疲れ様。》
https://twitter.com/yaguchi_takao/status/1331447586524258306
赤松健のツイート。
矢口高雄先生には(マガジンの後輩なので)可愛がっていただき、逸話も聞かせてもらえました。釣りキチ三平では、砂浜での遠投大会シリーズの人気アンケートが凄く良くて、やっぱバトルTUEEEみたいな。あと「ユリッペがエロいんですよね。あれは興奮します」と本人に言ってしまった思い出とか・・・》
https://twitter.com/KenAkamatsu/status/1331458539089346560
マンガ評論家の伊藤剛矢口高雄を次のように評価している。私はこれには深く同意する。
矢口高雄先生は、後続への影響という観点ではあまり語られていないようにも思っていますが、山野などの「自然」の描写をマンガに取り込んだ功績は、マンガにおけるリアリズムの進展という意味でたいへん大きいと考えています。
謹んで、ご冥福をお祈りいたします。》
https://twitter.com/GoITO/status/1331464994811043840
追悼のツイートを拾ってみよう。
江口寿史矢口高雄先生お疲れ様でした。二度ほどお会いできたこと、お酒の席をご一緒できたこと嬉しかったです。ありがとうございました。》
https://twitter.com/Eguchinn/status/1331467041178415104
森川ジョージ矢口高雄先生からいただいた言葉をここに置いておきます。
僕にとっては宝だし、おそらく誰かにとっても宝物になるでしょう
釣りキチ三平の映画化記念の対談後のことです。
映画のデジタル技術での自然美、魚の躍動感の再現に矢口さんはとても感心されていて、その時聞いてみました》
《「漫画の原稿もデジタル技術は素晴らしいです、アナログでは太刀打ちできなくなる日が来るかもしれません」という僕の問いに、
「いいかい森川君」と前置きを入れ自分の右手の手首から肘の間をポンポンと軽く叩き、ニコニコしながらこう答えてくれました。》
《「日本の四季は日本の絵の具でしか表現できないよ」》
《なんてカッコいい先輩なんだと震えました。
もう会えないのが残念です。
お疲れ様でした。
ありがとうございました。》
https://twitter.com/WANPOWANWAN/status/1331479849446174721

https://twitter.com/WANPOWANWAN/status/1331479863945957376
宮尾岳矢口高雄先生の漫画はね
何というか、漫画で
【背景に憧れる】を強烈に体感させてくれた。
モノクロの漫画で
水、風、空気の匂いまで感じさせてくれる。
そして雪
何よりも雪。
雪が美しい。
すみません
まだ頭がグチャグチャです。
まだお別れの言葉が言えない。》https://twitter.com/GAKUJIRA/status/1331458536933523457
青木健生《矢口高雄先生のご冥福をお祈りいたします。デビューしたてのころ、師匠につれていってもらった、多分漫画家協会のパーティーでサインと共に翌年のカレンダーをいただきました。2001年ですね。封筒は破れてきましたが、カレンダーは大事に保存してあります。》
https://twitter.com/p_kobushi/status/1331457350931075072
田村亮電子書籍にしてかなり本棚を整理したが、何年か前に本棚にあって欲しいと思って庫版を買い足した。
釣りキチ三平をワクワクしながら読んで、実際に釣りに行ってた小学生だった。
ライギョ、イトウ、アカメは釣りキチ三平で知ったはずです。
矢口高雄先生、ご冥福をお祈りします。》
https://twitter.com/ryolondonboots/status/1331497655273365508
切通理作矢口高雄先生のご冥福をお祈りいたします。『幻の怪蛇 バチヘビ』は、私にとって、小林よしのり先生の『ゴーマニズム宣言』と並ぶ<漫画家主人公のノンフィクション漫画>の金字塔です。そして僕の胸の中では永遠に「つちのこ」より「バチヘビ」です!》
https://twitter.com/risaku/status/1331452773880139776
佐藤清矢口高雄先生の『螢雪時代』は面白かった!『七人の侍』を見た時の話などは興味深かった》
https://twitter.com/SavenSatow/status/1331472077757444097
佐藤は日共の宮本徹をリツイートしているのだが、そう「螢雪時代」は「しんぶん赤旗日曜版」に連載された自伝的作品である。矢口高雄といえば「週刊少年マガジン」を代表する作家ということになるのかもしれないが、メジャーデビューは「週刊少年サンデー」なのである。読み切り作品「鮎」が掲載され、梶原一騎原作の「おとこ道」の連載が始まったのが「週刊少年サンデー」なのである。
私にとって矢口高雄と言えば「週刊漫画アクション」に連載されたマタギ」である。白水社から刊行されたエッセー集「ボクの学校は山と川」も傑作である。その後、講談社庫から刊行されているが、アマゾンを見る限り絶版になっている様子。教科書にも採用された「名」が収められているだけ庫で復刊すべきなのではないだろうか。
少年ジャンプ+」編集長・細野修平がツイートしている。
《矢口先生の絵は本当にものすごいなと読み直すたびに思います。少年誌的な人体のダイナミズムと自然描写のリアリズムの融合。ご冥福をお祈りします。》
https://twitter.com/HosonoShuhei/status/1331587329002139649

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2)【本日の一行情報】

◎元記者の紀谷理馬のツイート。
《ヤフー、読売新聞に野球でも圧倒的な勝利》
https://twitter.com/motokisha/status/1331584842790694915
仲俣暁生のツイート。
《事前の予想どおりに4タテ。しかも内容的には去年より悪い。弱いとはかくも無残なことなのか。私も強くなりたい、と思った。》
https://twitter.com/solar1964/status/1331587594572840960
仲俣は巨人ファンである。

TBSラジオのオーディオコンテンツブランド「AudioMovie」が、10月20日から配信している高橋ユキのノンフィクション「つけびの村 噂が5人を殺したのか?」(晶社)を原案とした、書き下ろしのオーディオドラマが話題になっている。日刊スポーツは11月23日付で「話題のノンフィクション『つけびの村』 スリル溢れる“世界観”体験できる」を掲載している。
《「AudioMovie」では、聴いているうちに自身の耳が物語の主人公の耳と同化していき、その人物の感情や思い、理解や誤解などを、まるで自分自身に起きたことのように意識体験ができる。そして、認知科学に基づく緻密なサウンドと「つけびの村 by AudioMovie」のスリル溢れる“世界観”が楽しめる。》
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2020/11/23/kiji/20201123s00041000158000c.html

朝日新聞デジタルは11月24日付で「官邸、TVコメントを詳細記録 コロナ・桜を見る会など」(菅原普 井上昇)を掲載しているが、立教大学名誉教授の門奈直樹(メディア論)がコメントを寄せている。
《英国では政権が「PRマン」を雇い、新聞やテレビなどをチェックさせている。第四階級とされる「メディア」をチェックする権力側の人間は、「広報やマーケティング担当の専門家で、批判的な見方を覆い隠したり帳消しにしたりする術を練る人たち」と説明され、「第五階級」と呼ばれる。》
《日本のメディアは特に第2次安倍政権以降、権力に対峙する力が弱くなったと感じる。さまざまな忖度が放送局の番組制作の側に出てきて、「自主規制」という形で政権のメディア操作が進む。今後、こうした動きが加速していく可能性もある。》
https://digital.asahi.com/articles/ASNCR6V2LNCKUTFK01N.html
このネタも、もともとは政党機関紙「赤旗」のスクープということになろう。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-10-22/2020102201_01_1.html

毎日新聞は11月24日付で「菅首相の声だけ流れる『グループインタビュー』はなぜ行われたのか」(木許はるみ)を掲載し、次のように書いている。
上智大学の音好宏(おと・よしひろ)教授(メディア論)は「質問の機会を確保するために記者会は官邸ときちんと交渉することが大事」と指摘する。「日本の大手メディアの記者は伝統的に、相手に密着して取材することを重視します。会見がなくても別の取材機会があると思っていないでしょうか。しかし、記者会見は政治家の言質を取るための大切な場です。真剣勝負の場と考えてほしい」》
また首相の発言には一貫性がないことも、木許はるみは指摘している。
《記者会見といえば菅首相自身、こんなことをブログに書いている
「記者会見に応じない野田内閣を、国会の場で徹底して追及してまいります」
消費税増税法案に関連し、11年11月6日に記したものだ。
だが、当時の野田佳彦首相は11年9月2日の就任記者会見に続き、国会で首相に指名されて1カ月にあたる9月30日にも記者会見をしており、最終的には在任1年で16回、官邸で記者会見を開いた。菅首相は20年9月16日に就任会見を開いたきりで、外遊先での短時間のものを除けば2度目は2カ月たっても開かれないままだ。野党だった時だけ首相に記者会見を求めるのであれば、ご都合主義とのそしりは免れないだろう。》
https://mainichi.jp/articles/20201121/k00/00m/010/185000c
しかし、これは「ご都合主義」と批判して済まされる問題ではあるまい。恐らく首相に「ご都合主義」という認識はあるまい。首相の志向する「政治」にとって、「言葉」は殆んど重要ではないのである。首相が優先するのは「言葉」ではなく「数」なのである。「数」に寄与しないコミュニケーション(=言葉)を拒否するのは、このためであろう。

ライトハウスメディアの男性誌「OCEANS」と小学館の女性誌「Oggi」が両誌1月号で、「この冬着たいデート服」をテーマに初のコラボページを企画した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000921.000013640.html

◎「このライトノベルがすごい!2021」(宝島社)の最新ランキングが発表されたが、庫部門では小学館の「ガガガ庫」から刊行された「千歳くんはラムネ瓶のなか」(著:裕夢 イラスト:raemz)が第1位だった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000911.000013640.html

人民網日本語版によれば「週刊少年ジャンプ」で連載された「ヒカルの碁」が中国で「棋魂」としてドラマ化され大ヒットしている
http://j.people.com.cn/n3/2020/1124/c206603-9788575.html

◎「NHK NEWS WEB」は11月24日付で「書籍の価格表示 出版社から現状維持求める声相次ぐ」を発表している。
《…日本出版者協議会は、今の表示が消費者に広く受け入れられているとしたうえで、消費税率が変わるたびに出版社への負担が繰り返されることになり、ひいては値上げや絶版など、消費者の不利益につながると訴えています。
日本出版者協議会の水野久会長は「総額表示の義務化による混乱で本が絶版に追い込まれることがあれば、これがいちばんの化的な損失だ。
多様な本が出ていることが出版化の豊かさだと思っているので、化の多様性だけは守っていきたい」と話しています。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201124/k10012727711000.html
朝日新聞デジタルは11月24日付で「本の総額表示義務化、苦慮する出版社 業界団体がアンケ」(滝沢那)を掲載している。
《来年4月から書籍の価格について消費税込みの総額表示が義務化される見通しのなか、日本書籍出版協会(書協)が加盟する出版社にアンケートを行った。回答結果からは、対応に苦慮する出版社の姿が浮かび上がった。これらの声も受けて、書協と日本雑誌協会雑協)は11日、財務省に義務化免除の継続を求める要望書を出した。》
https://digital.asahi.com/articles/ASNCR5K7KNCCUCVL01P.html
「売春島」「ルポ西成」などの著者である草下シンヤがツイートしている。
《書籍の総額表示は、「資源のムダ」「労力のムダ」「経費のムダ」が増えるだけなので本当にやめていただきたい。書籍には少数多品目で長い年月をかけて販売するという商品特性があります》
https://twitter.com/kusakashinya/status/1331041204876705792
フリーの編集者・今村勇輔がツイートしている。
《8→10%のときは不要だった、消費税率変更ごとに発生する現場作業のコストを国が出してほしい。「本体+税」表記でなにが問題なのか。痛税感を緩和する欺瞞のために出版社や書店がコストを支払うのはおかしいよ》
https://twitter.com/yimamura/status/1306198791536533506
痛税感を緩和する欺瞞に手を貸せば、出版物の軽減税率を実現してくれるという「誘惑」なのだろうか。

◎第1回京都学賞の応募総数は537作品。このなかで一般部門最優秀賞は松下隆一の「もう森へは行かない」が3月に受賞したが協力出版社である新潮社は、これを「羅城門に啼く」に改題して11月26日(木)に刊行した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000059523.html

◎「YAHOO!ニュース」は11月24日付で飯田一史の「『ガラガラ』『気持ち悪い』? 『STAND BY ME ドラえもん2』はそんなに悪い作品か?」を公開している。
《2014年8月8日に公開された前作『STAND BY MEドラえもん』は最終興行収入83.8億円と歴代の映画ドラえもん史上、断トツの大ヒット作品となっている。
さて、では『2』の出だしの興行収入はどうか。座席数・上映回数・館数を集計しているサイト「興行収入を見守りたい!」の初日の興行収入は約8000万円、2日目は約1.5億円。
これは前作が公開から2日間で7億6724.8万円を叩き出したこととくらべると10分の1強になってはいるが、コロナ禍(それも感染拡大局面)であること、劇場の座席数が半減されていることを思えば、十分なものだろう。》
https://news.yahoo.co.jp/byline/iidaichishi/20201124-00209091/

帝国データバンクによれば2019年の書店市場(事業者売上高ベース)は1兆2186億円。ネット書店やデジタル書籍の台頭などの影響を受け、3年連続で減少した。ただ、20年は「鬼滅の刃」の販売好調もあり、4年ぶりに市場が拡大する可能性が出てきたとしている。
日販によればコミックの売上(10月)は前年比1.5倍と急増。13カ月連続で前年を超えを果たした。人気作などは「指名買い」「まとめ買い」などでリアル書店に足を運ぶケースが多いとされ、書店経営にとってプラスとなっている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000201.000043465.html

◎デイリースポーツは11月24日付で「本屋さんで部活やゼミ? 異色の体験型書店『天狼院書店』が大阪へ進出」を掲載している。
《「本だけでなく、その先の体験も一緒に提供する」をコンセプトに、2013年に東京で開業し、今回が10店舗目となる「パルコ心斎橋店」(大阪市中央区)。「イベントスペースが重視された他店舗に比べると、ここは流行のコミックや女性向きの実用書など多ジャンルを揃え、本来の本屋らしさも意識しました」と担当者。》
https://www.daily.co.jp/leisure/kansai/2020/11/24/0013888855.shtml

◎「炭酸水」が売れている!「マイナビニュース」が11月24日付で公開している「コロナ禍で『炭酸水』が売れているのはなぜ?」でサントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部 ブランド開発事業部の村上公規が次のように語っている。
《僕らは所謂「非糖化」と呼んでいるんですけど、砂糖の入っていない無糖の炭酸水になるので、「あんまり甘い飲み物は控えよう」とか、「身体の健康に気遣おう」というヘルシー志向のお客さまが飲み始めて、マーケットとしては堅実に成長していったというのが1つあります。その上で、コロナ禍に入ってグッとそこの成長にドライブがかかったという状況です。
コロナ禍に於いてはやはりお客さまがなかなか外出しずらいということもあって、全飲料の前年比が10%ほど落ちているんです。その状況に対して、炭酸水は1.1倍ぐらいに伸びているんですよ。つまり、全体の飲料からすると20%ほど伸びています(2020年1月~8月分)ので、市場として炭酸水は好調です。》
https://news.mynavi.jp/article/20201124-1485049/

時事通信は11月25日付で「時代超え支持される三島学 庫の累計トップは『金閣寺』」を配信している。
《新潮庫の累計発行部数のトップ3は、実際の事件を題材に若者が破滅に至る過程を描いた「金閣寺」(361万8000部)、若い男女の純愛物語「潮騒」(350万4000部)、自伝的作品「仮面の告白」(255万2400部)だった。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020112400935&g=soc

電通電通デジタル、サイバー・コミュニケーションズの国内電通グループ3社は、厳選した質の高い媒体と優良コンテンツを配信対象とするインストリーム運用型広告サービス「Premium Viewインストリーム動画広告」において、Amazonが提供するDSPAmazon DSP」の活用を開始した。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2020106-1119.pdf

電通は、循環型素材を活用したビジネスの支援に向け、複合材料開発を手掛けるTBM社と業務提携契約を締結した。環境に配慮した製品・サービス開発を通じ、SDGs(国連の持続可能な開発目標)領域でのビジネス推進を目指す。なお、TBM社は電通グループと資本提携を行っている。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2020108-1124.pdf

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3)【深夜の誌人語録】

優しい言葉には棘があるものだ。