【文徒】2020年(令和2)6月15日(第8巻108号・通巻1765号)つづき

佐治敬三開高健が作り上げた「サントリーイズム」は現在の社長で、プロ経営者としてスカウトされた新浪剛史にも受け継がれているということだ。「NEWSミント」が新浪にインタビューしている。聞き手の一人が大吉洋平アナウンサー。
《大吉:そしてサントリーと言えば1万人の第九を毎年の恒例行事として楽しみにされてる方、大勢いらっしゃると思うんですね。このコロナ禍の中で、いろいろな芸術であったり化もダメージを受けています。通常通り開催できるのかどうか、色んなものが消えてしまうんじゃないか、そういう心配をどういう風に考えていらっしゃいますか?
新浪:大変危惧はしていますが、一つだけ言えるのは私たちは絶対にやめません。続けてまいります。これが、サントリーイズムです。そして社会のみなさん、来られているお客さん、みなさんがワクワクするそういう化事業を続けていきたい。》
https://www.mbs.jp/mint/news/2020/06/10/077400.shtml

小学館が運営する「HugKum」(はぐくむ)(URL: https://hugkum.sho.jp/)は、5月期に、1114万PV、616万UUを達成した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000701.000013640.html

小学館のWebメディア「和樂web」(https://intojapanwaraku.com/ )は、オトバンクの運営する日本最大のオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」において、音声番組「和樂webの日本化はロックだぜ!ベイベ」の配信を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000699.000013640.html

◎作曲家の服部克久が亡くなった。
https://www.asahi.com/articles/ASN6C5V1YN6CUCLV013.html
ミッキー・カーチスがツイートしている。
服部克久が亡くなったそうだ!昔おれが若い頃服部先生(良一)のコンサートの専属歌手をやっていた頃カッちゃんがパリで勉強が終わってかえって来て!おれのヤマハホールでのリサイタルのアレンジを頼んだ、
彼が日本に帰って来て最初の仕事がおれのリサイタルだった!長い付き合いだったので本当残念》
https://twitter.com/MICKEYCURTIS/status/1271034276918648834

◎「ハーバー・ビジネス・オンライン」は6月12日付で「毎日新聞がツイッター社への抗議活動について意図的誤報。主催者『もう活動したくない』」を掲載している。「ハーバー・ビジネス・オンライン」が問題としている記事は、毎日新聞6月6日付の後藤由耶による「『憎悪や差別の投稿放置は暴力への加担』 ツイッター社前で100人が抗議」だというが、確かに削除されてしまっている。
《6月6日に行われたツイッタージャパン社前での抗議活動につい毎日新聞社が同日夜、抗議活動の趣旨について実際とは異なる内容を報道した。これについて筆者が抗議活動の主催者に事情を確認の上、毎日新聞社に取材を申し入れたところ、同社は翌日に問題の記事と動画を削除。こちらの質問に対して具体的な回答を一切せず、「取材の過程で行き違いがあることが判明しました。このため、該当記事はウェブサイトから削除しました」とだけ回答した。
実際の抗議活動は、Twitterにおける差別投稿やヘイトスピーチの放置といった「差別投稿問題」と、差別を批判する側のアカウントへのツイッター社による「不当凍結問題」に抗議する趣旨だった。しかし毎日新聞の記事は、先月亡くなったプロレスラー・木村花さんをめぐって現在問題されているネット上での誹謗中傷についての抗議であったかのような内容になっている。》
https://hbol.jp/220805
神奈川新聞社川崎総局編集委員の石橋学が「ハーバー・ビジネス・オンライン」に反論、毎日新聞記者の後藤由耶を擁護している。
《私も現場で取材していたが後藤由耶記者の記事に違和感はなかった。木村花さんへの攻撃は単なる誹謗中傷ではなく女性と民族的マイノリティーへの複合差別だったと思う。差別の被害者に寄り添い記事を書いてきた後藤記者もそうした問題意識があったはずだ。》
《活動の趣旨を違えて報じたと批判しているが、趣旨については書き出しの一で記されている。差別投稿の問題に触れており、直接の言及ではないが「安心して使えるよう運営してほしい」の下りにアカウント凍結問題も含意されていると読めた。少なくとも趣旨と外れたことは書かれていない。》
《なので、同じ現場で取材していたらしいこの記者の問題の認識の仕方に違和感を覚えた。取材に来ないメディアの問題意識の低さを問題にするならいざしらず、現場で取材した記者の報じ方を問題にするのも、全く悪いとは言わないが、不思議に思えた。そもそも問題の立て方がおかしいと感じる。》
《「趣旨とは異なる内容を報道した」結果、つまり木村さんの件で主催者に質問し、談話を記事に盛り込んだことで「抗議活動を愚かな活動と捉える人々を生み出した」というが、後藤記者は木村さんの件が活動趣旨だとは書いていない。その記事を読んで「愚かな活動と捉える」のは誤読というほかない。》
《記事は「決して多くはないものの(中略)毎日新聞の報道をもとに抗議活動を疑問視する投稿が見られた」と二つのツイートも紹介するが、誤読に基づくのだから、その疑問視は筋違いというべきものだ。筋違いな疑問視を前提に取材が進められれば、そこから導かれる批判は批判として成り立たない。》
《そもそもデモや集会の取材で主催者や参加者に関連したテーマを質問し、どのような見方をしているのかを記事に盛り込むことは普通のことだ。眺めたまま聞いたままを書くのが取材ではない。記者の問題意識に基づく記事を「意図的誤報」とみなされては主観的記事、つまり全ての記事が書けなくなる。》
《この記者は「敢えて無関係な木村さんのケースを持ち出し」「主催者を油断させようとしていた」「無関係であることを承知の上で」「『誘導尋問』を行い」などと後藤記者の意図について主観を記しているが、私の主観では、後藤記者の現場での質問の仕方や記事の内容は全くそうは映っていない。》
《なので私は「『取材対象者を騙して協力させたヤラセ報道』あるいは『捏造』と言っても過言ではない」との批判は全く当たらないと断言する。私の目には、まともに取り上げる必要のない筋違いな反応を記事の書き方の問題に無理やり置き換え、後藤記者を不当におとしめるものと捉えられている》
《私がこの記事で最も違和感を覚えたのは抗議活動を疑問視する声として以下のツイートを真っ先に紹介している点だった。「他人の死を利用する反ヘイトの方々。安易に人をレイシスト呼ばわりする名誉毀損になりかねないのを自覚しているのかな…」。この物言いは最も唾棄すべきものだと思う。》
《「何でもかんでもヘイトと言うのはおかしい」「レッテル貼りすべきではない」などともっともらしく言い、差別に反対する人たちの口をふさごうとする。差別をし続けたい者たちから私にも大量に向けられる決まり句だ。何でもかんでもではないし、レッテル貼りでもない。やはり前提を違えている。》
《現実に差別は人を殺すからやめろと言っている。差別をしているからレイシストと断じている。差別に対する当然の非難を「他人の死の利用」などとおとしめる発言こそ批判すべきなのに、得々と紹介し反差別の記事を書く記者の攻撃材料にする。ここにこそ記事の本質が表れていると私は考えている。》
https://twitter.com/ishibs_kanagawa/status/1271756057967124481

https://twitter.com/ishibs_kanagawa/status/1271758478688702465
では、何故に毎日新聞は後藤の記事を削除してしまったのだろうか。石橋は、その点をどう考えているのだろうか。

徳間書店が運営するモノ情報Webメディア「&GP」(アンドジーピー)は、5月期に、過去最高の月間2394万3563PV、428万6101UUを達成した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000265.000016935.html

万城目学ツイッターで報告している。
《『鴨川ホルモー庫版が増刷され、20刷になりました。化11年目にして、はじめて経験する大台です。実は表紙は3パターンありまして、庫化したときは左、その後、単行本と同じ真ん中に、そして2017年から右の新バージョンで展開中です。末永く、よろしくお願いします。》
https://twitter.com/maqime/status/1271427894078664706
角川庫「鴨川ホルモー」が100万部を達成したということなのだろう。

◎「マグミクス」は6月11日付で「45歳まで何があった…? 『ハッピー・マニア』の新展開に大人女子は目が離せない」を掲載されている。祥伝社の「FEEL YOUNG」で連載されている安野モヨコの「後ハッピー・マニア」が取り上げられている。単行本の発売は8月になるようだが、電子書籍サイト「コミックシーモアでは1話ずつの単話購入ができるそうだ。
https://magmix.jp/post/29424

◎「デイリースポーツ」は6月11日付で「辛坊氏、前代未聞?冠ラジオ番組途中でライバル局へ…橋下氏『許されるの?』」を掲載している。
《キャスターの辛坊治郎氏が11日、ニッポン放送辛坊治郎ズーム そこまで言うか!激論Rock&Go」の放送時間帯に、ライバル局である化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」に出演するという、異例の出演形態を敢行。“代打”橋下徹氏も「辛坊さん、酷いね」とあきれた。》
https://www.daily.co.jp/gossip/2020/06/11/0013415904.shtml
辛坊治郎は「芸人」として失格である。

日本新聞協会編集委員会は6月11日付で「メディアスクラム止のための申し合わせ」を発表した。
《加盟各社は、事件・事故の被害者や遺族等の関係者に多数の記者が殺到し、メディアスクラムが発生することが確実とみられる場合は、現場レベルで協議してメディアスクラムの発生を防ぐよう万全の措置を講じます。
各地の取材で行われている実例としては、新聞・通信社と、テレビ局からそれぞれ代表社を選び、代表社が各社からの質問を取りまとめたうえ、取材対象者に取材の申し込みを行って、記者会見や囲み取材に応じてもらえないか打診し、記者会見や囲み取材は困難という意向が示された場合は、代表取材を申し込む、という方法があります。このような取材方法は、メディアスクラムの回避に一定の効果を上げてきました。
加盟各社は、こうした事例を標準的な対応方法として参照しながら、事件ごとに工夫し、誠意をもって関係者の負担軽減に努めていきます。現場レベルで調整がつかない場合は、日本新聞協会の集団的過熱取材対策小委員会等の横断的組織を協議の場として積極的に活用し対応していきます。》
https://www.pressnet.or.jp/news/20200611.pdf

カルチュア・エンタテインメントは、コンテンツ配信型ウェブメディアの構築・運用・マネタイズを支援するソリューション「CEMP」(センプ)の提供を6月17日より本格的に開始した。現在、「CEMP」を利用しているのは、音楽カルチャー誌「Rolling Stone Japan」、女性ファッション誌「GISELe」、「S Cawaii!」のほか、「アニメージュプラス」、「エンタメNEXT」、「octane.jp」、「クラシックポルシェ」、「Nosweb.jp」である。
「CEMP」では、サイト構築と出版メディアとしての成長のために欠かせない「外部ニュース配信」と「デジタル広告による収益確保」、またそれを支える「CMSコンテンツ管理システム)」をワンパッケージで提供する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000057655.html

東洋経済新報社は2019年10月から、中国を代表する経済メディアである「財新伝媒」(Caixin Media )とコンテンツパートナーシップを結んできたが、そのレベルを一段階引き上げることで合意し、6月12日以降、「財新伝媒」のコンテンツの日本国内での日本語による転載は、東洋経済が独占することになった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000004767.html

渡部建の不倫などが報じられた、6月11日発売の「週刊春」6月18日号が今年に入って三度目の完売を果たした。
https://www.daily.co.jp/gossip/2020/06/12/0013419036.shtml
硬派で二度完売し、今度は軟派で完売した。しかし、史上最強のスクープ路線を突き進む「週刊春」だが、実売部数がグングン伸びているというわけではない。ただ、「春オンライン」にとっては「追い風」である。

毎日新聞は6月12日付で「『キッチン南海』『スヰートポーヅ』も…東京・神保町で相次ぐ老舗飲食店の閉店」を掲載している。
https://mainichi.jp/articles/20200611/k00/00m/040/302000c
「デイリー新潮」は6月9日付で「黒いカレーで60年『神保町 キッチン南海』が閉店 90才社長が語る“我が人生”」を掲載している。
《古書と学生とカレーの街・神田神保町(東京千代田区)で、半世紀以上にわたり、“真っ黒”なカレーを提供してきた「キッチン南海」。昼時は学生やサラリーマンが行列をなす光景は今も変わらないが、6月26日をもって閉店することになった。理由は、店が入るビルが築90年で老朽化したためだ。》
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06091101/?all=1
「本と街の案内所」がツイートしている。
《神保町 すずらん通り沿いの餃子専門店「スヰートポーヅ」さんが閉店されました。新型コロナウイルス拡大防止のために休業中でしたが、本日閉店のお知らせが貼り出されていました。神保町の老舗店がまた一つ閉店、寂しくなります。》
https://twitter.com/jimbou_info/status/1270653875075207168
酔の助に始まり、私の思い出の場所が次々に消えてゆく。「キッチン南海」や「スヰートポーヅ」に初めて足を踏み入れたのは、市ヶ谷の城北予備校に通っていた18歳のときまで遡るんだよね。「美しき誤算」に身を委ねていたころである。岸上大作の片思いの一首。「美しき誤算のひとつわれのみが昂りて逢い重ねしことも」。そうか今日は6月15日である。

◎「デイリーBOOKウォッチ」は6月12日付で「百田尚樹氏の最高傑作は?」を公開している。集英社新書百田尚樹をぜんぶ読む」を取り上げている。
https://books.j-cast.com/2020/06/12011965.html
石戸諭の「ルポ 百田尚樹現象 愛国ポピュリズムの現在地」が小学館から刊行された。石戸は加藤典洋を踏まえながら次のように書いている。宮崎とは宮崎駿のことである。
《百田は宮崎の平和主義に賛同しているのではなく、ただただ「感動」に正直なだけである。作家の背景やイデオロギーは百田にとっては関係がない。彼は自分の考え、受け取り方が何より大事なのであって、それ以上の意味はない。要するに「その時々の自分」、もっと踏み込むならば「その時々の自分の感覚」に正直なのだ。》
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388768
私の百田に対する理解を一口に言ってしまうと、百田の愛国ポピュリズムには絶望的なまでに「攘夷」が足りないのである。それは愛国といったところで「売国」を加速させるだけである。

◎キリスト新聞はダルデンヌ兄弟の映画「その手に触れるまで」を取り上げている。
《例えばクルアーン5章31節はこう謳う。「たとい貴方が私を殺そうとして手を伸ばしても、私の方では貴方を殺すために手を伸ばしはしますまい」。クルアーンといえば異教への厳しさや血の報復ばかりが強調されがちだが、カインとアベルをめぐるこの一節に限らず、キリスト信仰をベースとする西洋社会に親しく通底するものは実際極めて多い。差異でなく、ただ在りもたらされるものとして。さし伸べられた女性教師の手に少年は何を感じ、どう応じたか。そこに込められた温度こそ、半世紀にわたり社会の底部を見つめ続けるダルデンヌ兄弟の現到達点だと言える。》
http://www.kirishin.com/2020/06/13/43518/
カインとアベルだったのか…。

◎「NEWSポストセブン」は6月12日付で「朝日新聞がうっかり シャンシャン記事にシンシン写真誤掲載」を発表している。
《「シャンシャン、3歳になったよ!」──こんな見出しで朝日新聞(6月12日付・朝刊)の東京版に載った、愛らしいパンダの写真。3年前の6月12日に日本で誕生し、上野動物園のアイドルとなったシャンシャンの誕生日を伝える記事だ。が、そこに掲載されたのは、実は母親の「シンシン」(2005年生まれ)だった。朝日新聞社広報部はNEWSポストセブンの取材に対し誤掲載の事実を認め「読者の皆さまにはご迷惑をおかけしました。明日、紙面にて訂正を出します」と回答した。》
https://www.news-postseven.com/archives/20200612_1570406.html?DETAIL

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6)【深夜の誌人語録】

連帯とは痛みを共有することである。