【文徒】2021年(令和3)1月12日(第9巻5号・通巻1902号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】首相記者会見とメディア
①相変わらず「フリー」は差別されている
②同僚記者からも批判がやまない官邸記者の為体
③言葉が重さを失い空転しつづける
④ガースー・ベイダーが「報道ステーション」に出演
2)【記事】ダイヤモンド社「独学大全」(読書猿)が売れている
3)【記事】静岡新聞静岡放送は宣言通り生まれ変われるか?
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】首相記者会見とメディア

①相変わらず「フリー」は差別されている

東京新聞は1月7日付で「緊急事態宣言発令、菅首相の国会説明は見送りへ 昨年は安倍氏出席も今回は自民が拒否」(村上一樹)を掲載している。
新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令を巡り、衆参両院の議院運営委員会は6日の理事会で、7日に議運委開いて政府から報告を受けることを決めた。昨年4月の発令時には、当時の安倍晋三首相が出席して説明した前例があり、野党は菅義偉首相の出席を求めたが、与党が拒否。西村康稔経済再生担当相が質疑に応じる。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/78388
小沢一郎が引用ツイート。
《ここまで国民から逃げ続ける総理とは何なのか。各国の指導者が厳しい顔つきで国民に語りかける中、台本ありのやらせ記者会見でやってるふり。自ら無為無策を認めているようなもの。これだけ皆が苦しんでいる中、やる気がないなら一刻も早く辞めないと危機に対処できない。》
https://twitter.com/ozawa_jimusho/status/1347030994008768513
現政権は「開かれた政権」とは言い難いし、「開かれた社会」を志向しているとも思えない。現政権の本質は透明性から遠く離れた権力なのだろう。結局、私たちは、「戦後民主主義」を成熟させることに失敗してしまったのかもしれない。
畠山理仁は1月7日の首相記者会見には申し込まなかった。
《本日18時から菅義偉首相記者会見。官邸報道室から本日9:29にメールが来て9:33に留守電メッセージ。申し込み締め切りは12:00。私は前回1月4日の会見参加くじに当たったこと(外れた人が次回は優先)、別件で仕事の予定があるため今回は申し込みませんでした。人数制限は緩和される兆しがありません。》
https://twitter.com/hatakezo/status/1347038536113872897
仏紙「リベラシオン」と「ラジオ・フランス」の特派員・カリン西村は苛立っていた。
《朝からイライラ。
今日も総理大臣の記者会見がありますが、私は4日に出席した理由で今日選ばれない可能性が非常に高いです。4日に質問出来ませんでした。
今日の会見も申し込みましたが、4日の会見に出席しなかった記者が優先されるからです。遺憾です。官邸にメールしました。》
https://twitter.com/karyn_nishi/status/1346982677019119619
カリン西村はメールの内容を公開している。
《「私は4日に出席したにもかかわらず、いくら手を上げても質問が出来ませんでした。記者会見に出席しても質問が出来ない場合はあまり意味がありません。ラジオの記者として、書での質問とその回答はラジオのニュース番組で使えません、音声がないからです。」》
《「今回は抽選に参加しても選ばれないだろうと思いますが、それはとても遺憾です。
是非、総理の会見をもっとOPENにしてくれれば助かります。ご理解頂ければ幸いです。
引き続き宜しくお願いいたします。」》
https://twitter.com/karyn_nishi/status/1346988462105272322
https://twitter.com/karyn_nishi/status/1346988464852529152
フランス革命によって民主主義を獲得したフランスとアメリカに戦後民主主義を押し付けられた日本との違いがあるのかもしれない。フランスの国家功労勲章シュヴァリエを受章しているカリン西村は抽選を外れる。
《抽選の結果が出た。ダメだった。》
https://twitter.com/karyn_nishi/status/1347032349100236800
日刊ゲンダイDIGITALが2020年12月29日付で掲載した「仏記者が酷評『菅首相は本当の記者会見をしたことがない』」でフランスの大統領記者会見について次のように語っている。
《大統領は数多く会見をしているわけではありません。一方的に話をすることも時々あります。しかし、大統領の会見は多いときには200人超の記者が参加し、事前の質問通告はなく、メモを読み上げることもない。挙手する記者全員の質問が尽きるまで、自分の言葉で答えます。それは、政治家の仕事の一部なのです。》
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/283278
江川紹子も出席できなかった。
《今夕予定されている首相記者会見は、私は前回出席したということで抽選対象外となった(=参加できない)、との連絡が官邸報道室からありました。》
https://twitter.com/amneris84/status/1347034120241569793
これも畠山理仁のツイート。
《今日の菅義偉首相の記者会見で「国民をどう見ているか」がわかるはず。もし30分で切り上げたら国民を守る気が希薄だと言ってもいい。緊急事態宣言は重大だ。参加記者を29人に絞るなら、質問がなくなるまで答えるべき。全員から質問を受けても2時間はかからない。書での回答は時間がかかって不誠実。》
https://twitter.com/hatakezo/status/1347084780181938177

②同僚記者からも批判がやまない官邸記者の為体

朝日新聞の尾形聡彦はサンフランシスコ支局長だから、アメリカで首相記者会見を見ていることになる。政治部記者たちに失望したそうだ。
菅首相会見。ほぼ台本の朗読会で、会見とは言えぬ内容でした。幹事以外の共同、フジ、ロイター、中国、ドワンゴ、ラジオ日本、テレ朝は質問を事前に伝えているように見え、その場で聞いたのは毎日と京都ぐらいのように見えました。官邸記者は更問いする気もなく、官邸に飼い慣らされた姿に失望しました》
https://twitter.com/ToshihikoOgata/status/1347129339679186944
菅首相会見。本来聞くべきなのは、後手後手のコロナ対策で感染を拡大させた菅氏本人の責任なのに、それを問う質問が全くなく、本当に失望しました。事前通告の質問ばかりだから、世界史に残る米議会占拠事件を聞く記者もいない。更問いや再質問すらしようとしないのは、主要国で日本の官邸記者だけです》
https://twitter.com/ToshihikoOgata/status/1347136189434785794
菅首相会見。菅氏が、総理の判断である“緊急事態宣言”の国会説明からは逃げたのに、会見は行った意味が分かりました。台本の朗読会で、会見場で再質問の声を上げる気概のある記者もいないから、安心してメモを読むだけ..ということなのでしょう。官邸記者たちが責任を果たしていない現状に愕然とします》
https://twitter.com/ToshihikoOgata/status/1347138911584145411
菅首相会見。コロナ禍は急速に悪化しているのに、記者が菅氏を追及する姿勢は、安倍首相会見時よりもずっと緩くなっていると感じます。会見の打ち切りに対し「質問させて」と声を上げる記者も、曖昧な答えを質そうとする記者もいない。菅氏に心酔する各社キャップが多い実態が、垣間見える気がします》
https://twitter.com/ToshihikoOgata/status/1347143936230313984
再質問できないためガースー・ベイダーは記者の質問に答えなくても平気でいられる。畠山理仁は、こう指摘している。
菅義偉首相記者会見。テレビ東京の篠原記者が幹事社質問で「再び特別定額給付金を出す考えはあるか」と聞いたが答えず。最後にテレビ朝日の記者(お名前失念)が「持続化給付金」なども含めて聞いたが答えず。あくまでも協力金、雇用調整助成金融資が基本。単なる給付は考えていないもよう。》
《自営業者に対しては「まずは自分でやってみる」ってことですね。》
https://twitter.com/hatakezo/status/1347123258009608194
https://twitter.com/hatakezo/status/1347125172034158600
写真家の福居伸宏ではないが、私たちは朗読劇を見せられたのだ。
《政府の朗読劇終了。尾身氏も用意された(した)原稿を読んでいるだけなんでしょうけども、ほとんどアップデートされてないボンヤリ感。五輪開催まで何があってものらりくらりやっていくのかもしれませんが。。
サンクコストにこだわって、ずるずると負け続ける「勝負のXXXX間」は、あと何回くらい?》
https://twitter.com/n291/status/1347123219430404097
言葉よりも数を重んじ、数の力に依拠しつづける政治が限界を見せつつあるのだろう。言葉を軽んじる政治に待っているのはパトスの暴風なのではないか。

③言葉が重さを失い空転しつづける

東京新聞中日新聞)社会部 の小川慎一も怒っている。
《会見は次の日程があることを理由に約50分で終了。国民への説明より重要な日程がほかにあるのか???どうかしてる。》東京新聞労働組合
https://twitter.com/ogawashinichi/status/1347121197826203649
東京新聞労働組合も怒っている。
《首相会見。/コロナ対応について/「この1年、政府もかなり学んだ」/と言いつつ、具体性の乏しい答弁。/すぐ「詳細は尾身会長…」と隣に振る。/問いたいのは首相の姿勢、政治の責任だ。/質問は、発した記者だけのものではない。/周りも含め、記者団は「首相の考えを!」と/その場で言うべきだ。》
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1347115962831572994
わが国において官邸記者は基本的に首相の広報マンであるのかもしれない。これも東京新聞労働組合のツイート。
《首相会見。
質疑は、尾身会長の会見になってしまってる。》
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1347117374135169025
ある意味、首相は逃げの姿勢に徹していたともいえるだろう。東京新聞の望月衣塑子がこう指摘している。
《12月14日までGoToに固執したツケがきた。まずは冒頭で感染爆発を招いた謝罪を
支持率回復はワクチン頼み。全てが楽観論に基づく。今も1ヶ月の自粛で収まると思っているのか。五輪はまず無理だろう
50分での会見打ち切りも官房長官時代からお得意の「逃げ」
国民を舐めている》
https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1347169596361428996
若松英輔は記者会見翌日の新聞で尾身の発言を確認したようだ。
朝日新聞の記事から、尾身会長の言葉。《「確かに1カ月未満に、ステージ3に近づけるということは簡単ではありません」と認めた上で、「しっかりと頑張れば、1カ月以内でもステージ3にいくことは可能だと思っています」と述べた。》もはや、科学の面影すらない。》
https://twitter.com/yomutokaku/status/1347161887415275521
尾形聡彦が若松を引用ツイート。
《同感です。尾身氏の説明で気になるのは 「みんながしっかりと頑張れば」、4月にも「何とか持ちこたえてきた」など、科学者らしからぬ情緒的な言葉が多いことです。米国のFauci博士は科学的に可能性の高低やデータで説明します。尾身氏もより科学的に冷徹に、願望よりも現実を説明して欲しいと感じます》
https://twitter.com/ToshihikoOgata/status/1347474209048383490
ジャーナリストの青木美希は言い切る。
《「今回の感染の波は想像をしていたものを超え、厳しいものになっている」(菅首相
懸念の声は上がっていました。首相の想像を超えていたのなら、想像が間違っていたのです。この失策で、国民に大きな痛みと負担をかけることになりました。間違った原因を示してください。》
https://twitter.com/aokiaoki1111/status/1347209587686998017
首相は現時点で大阪、愛知は緊急事態宣言を発令する状況ではないと記者会見で説明していた。清水潔が呟いていた。1月10日付毎日新聞には「ジャーナリズムを、聞きたい 清水潔さん、ブラジルに高飛びした容疑者追跡 『法律や司法が機能しないからこそ』」が掲載されている。
《これが本当の戦争だったら、もう日本は全滅だ。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1347162214424317959
https://mainichi.jp/articles/20210106/k00/00m/070/055000c
周知のように1月9日、大阪、京都、兵庫の知事は政府に緊急事態宣言の発令を政府へ要請した。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/464394
日共・小池晃のツイート。
《感染を爆発させたことに対する反省の言葉が一言もない。「早く時短した県は感染抑えた」と言うが大阪も緊急事態宣言を要請、論拠は破綻。国民に要求するだけで政府の対策は新たなものなし。説得力全くない。最後に「これで挨拶を終わります」?!
これでは感染を抑止できない》
https://twitter.com/koike_akira/status/1347110338177630209
松井計は心配している。
《え? 菅さん〈挨拶〉と言ったの? 宴会にでも出てるような気持ちになっちゃったのかな? さすがにこの言い間違えは尋常ではないように思えますね。なんなんだろう? 集中力の欠落? 混乱状態?》
https://twitter.com/matsuikei/status/1347124283319808000
小柳ルミ子が自らのブログに1月7日付で「【緊急事態宣言】会見とは思えなかった」をエントリしている。
《全て『報告』ではないか。何故その結論に至ったのか。「こうだから こうで こうします」 納得出来る説明がまるでなされない。》https://ameblo.jp/rumiko-koyanagi/entry-12648817867.html
清史弘のツイート。
《総理の会見を見ていてショックだったのは、「今の状況が改善されなければ緊急事態の延長もあり得るか」の質問に対し「仮定の質問には答えられません」と言った、型どおりの返答しかできなかったこと。
ほぼあり得ない設定の質問であればまだしも、十分あり得ることについては、仮定の質問に答えることこそ大切だ。
「明日雪が降って電車が止まればどうしますか?」
と聞かれれば、
「そうなった場合は、どこどこのサイトを見てください。」
などと言うと思う。
なってからでは遅い。
「共通テストの日に大雪が降って、電車が止まったらどうするの?
と聞かれたら
「仮定の質問には答えられません」
というのだろうか?》
https://twitter.com/f_sei/status/1347128506111574018
https://twitter.com/f_sei/status/1347128506958839810
https://twitter.com/f_sei/status/1347129478590316547
神戸大学医学研究科感染症内科教授・岩田健太郎が呟く。
《プロは起こりうるシナリオを全て勘案してそれぞれ最適解を模索せねばならない。仮定の質問に答え続けるのがプロ》
https://twitter.com/georgebest1969/status/1347332295221411840
毛ば部とる子のツイート。
《今日の首相会見の記者質問、全部事前仕込みだったよ。すげえな。やる気あんのかよ。スガも記者も。》
https://twitter.com/kaori_sakai/status/1347200135781085185
首相の言葉は死んでいた。ケラリーノ・サンドロヴィッチもそう感じたようだ。
《「ご両親や御父母」と言った。
「挨拶とさせていただきます」で締めた。
「こうしたことを」の頻出。
こんなことを面白がるしかないよ。菅さんの緊急事態宣言。死んでる。》
https://twitter.com/kerasand/status/1347110720547155969

④ガースー・ベイダーが「報道ステーション」に出演

1月8日、ガースー・ベイダーはテレビ朝日の「報道ステーション」に出演した。生放送ではなく、番組前にスタジオで収録した。首相からすれば、こうすることでアクシデントを避ける狙いがあったのだろう。それにしても聞き役の富川悠太は首相に媚びまくっていた。東スポWebは1月9日付で「菅首相ヨイショの報ステ・富川アナに『媚びすぎ』批判 高田延彦も『太鼓持ちみたい』」を掲載している。
《・・・富川悠太アナウンサー(44)は冒頭、菅首相を前に「総理も年末年始、休み返上でコロナ対応に当たられてました。おせち食べる時間はありましたか?」「本当にお忙しい中、お越しいただいて」と労う場面も。これにはネット上も「富川さん、媚びりすぎ」「違和感がすごいな」などとツッコミが寄せらていた。》
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/2600202/
東スポWebの見出しにもあるように高田延彦は富川をツイートで太鼓持ちみたいだと評した。
《菅さんをフォローしまくる富川くん、太鼓持ちみたいでした。周りのキャストも大人しくて腫れ物に触るかのよう。国民、医療従事者、飲食業を代弁してコロナ対応政策について深掘りしてほしかったテーマが満載なのになー。もったいねーな。》
https://twitter.com/takada_nobuhiko/status/1347542671376617475
かつて「報道ステーション」でレギュラー・コメンテーターをつとめた中島岳志は番組の変わりように驚いている。
菅首相が出演した報道ステーションを見ました。私がレギュラーコメンテーターを務めさせていただいていたのは5年前ですが、その時、古館さん・小川さんと共有していたスタジオの雰囲気とは、かなり異なるものを感じました。権力者に対して、あまりにもヌルいですね。どうなってしまったのでしょうか。》
https://twitter.com/nakajima1975/status/1347562003808747521
東京大学教授(宇宙物理学)の須藤靖は「論座」に1月10日付で報ステ菅首相インタビュー』に見るテレビ朝日の忖度 この政治家にしてこのマスコミあり」を寄稿している。
《なぜこのような絶望的なインタビューを臆面もなく放送したのか、私には理解できない。第一義的には、出演したアナウンサー、テレビ朝日政治部長、コメンテーターたちが無能であった、あるいは報道番組出演者としての責任を自覚しておらず忖度した、のどちらかである。しかしさらに言えば、生放送でない以上、確認したはずでありながら、その内容で良しとしたテレビ朝日側の見識あるいは忖度の問題に帰着するであろう。すべて秘書がやったことにして責任を逃れようとする政治家を批判するのであれば、この放送に対して出演者だけにすべての責任を押し付けることはありえない。》
https://webronza.asahi.com/science/articles/2021010900005.html?page=1
和田アキ子の怒りも止まらない。デイリー・スポーツは1月9日付で「アッコ、『報ステ』出演の菅首相をバッサリ 『言ってること、よう分からんわ』」を掲載している。
《歌手の和田アキ子(70)が9日、ニッポン放送「ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回」に出演。8日にテレビ朝日系「報道ステーション」に出演した菅義偉首相について、「あの人の言ってること、よう分からんわ」とバッサリ斬り捨てた。》
https://www.daily.co.jp/gossip/2021/01/09/0013994147.shtml
東京新聞労働組合」も和田の発言をフォローしている。
和田アキ子さん、今日のラジオ番組で/(昨夜の首相の報ステ演について)
/「あの人の言ってること、よう分からんわ」/「これは炎上覚悟で言います」/「 (世界で) 五輪のことを考えてる国ってありますかね。/世界中でコロナのような気がするんだけど」》
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1347820896589733890
埼玉医科大学総合医療センター 総合診療内科 教授・岡秀昭のツイート。
報道ステーション
総理は変異種が1例でも見つかった場合、ビジネス往来を停止すると。。。
1例でも見つかった時には広くすでに拡大しているのでそれは手遅れです。》
https://twitter.com/DnzV0/status/1347538983727681536
口では先手先手と言いながら、実際は後手後手になってしまうのは何故か。それは政府が呑気にも「ウィズ・コロナ」戦略を基本方針としているからではないのか。本当は大規模検査と徹底した保護隔離を二本柱とした「ゼロ・コロナ」戦略に舵を切るべきではないのか。岩波書店は感染者数が増大する状況に鑑みて「科学」2月号(1月22日出庫予定)に掲載予定の徳田安春「ゼロコロナを目指せ」(巻頭エッセイ)、徳田安春「ゼロコロナを目指すための検査戦略」を1月8日にウェブサイトで無料公開した。
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/Kagaku_202102_Tokuda1-preprint.pdf
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/Kagaku_202102_Tokuda2-preprint.pdf
徳田安春は「現代ビジネス」が1月6日付で発表した「また緊急事態…『ゼロ・コロナ戦略』を取らなかった日本政府の『根本的な大失敗』」で次のように語っている。
《「世界で封じ込めに成功している国々、中国や台湾、東南アジア諸国、西太平洋地域のニュージーランド、オーストラリア、欧州のアイスランドなどの感染対策の基本は、感染源を封じるゼロ・コロナ戦略です。積極的に防疫目的の大規模検査を行って、感染者を早期保護隔離し、追跡を徹底しています。
日本は、クラスター対策で集団感染が起きると後ろ向きに調べて感染者を隔離していますが、根本的な予防対策になっていない。新型コロナウイルスが厄介なのは、発症前の人、無症状の感染者から感染、伝播することです。その人たちを見つけて保護するには大規模検査しかない。成功している国から学ぶべきで、失敗している国の情報に頼っていたらミスリードしてしまいます」》
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/79029?imp=0
日刊スポーツが1月10日付で掲載している「日本は感染3対策に穴『五輪厳しい』元WHO渋谷氏」はWHO(世界保健機関元職員で、公衆衛生学が専門の英キングス・カレッジ・ロンドン教授・渋谷健司へのインタビュー記事だが、渋谷もゼロ・コロナ戦略を主張している。
《-経済とコロナの両立は難しい
「経済のために感染対策をしないとダメです。感染拡大早期に徹底的にコロナを抑え込むのが大事な経済対策です。ウィズ・コロナではなく、ゼロ・コロナにシフトすることが求められていると思います」
-状況的にみて、東京五輪は開催できる
「緊急事態宣言発令自体がコロナを抑え込んでいないということ。そして世界はパンデミックの真っ最中です。このままでは両面からしても非常に厳しい」》
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202101090000535.html

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2)【記事】ダイヤモンド社「独学大全」(読書猿)が売れている

ダイヤモンド社から刊行された「独学大全  絶対に『学ぶこと』をあきらめたくない人のための55の技法」がヒット!刊行から約3カ月で8刷、14万部を突破しているという
まず788頁、定価が2,800円+税というスケールが話題だ。朝日新聞は1月9日付書評面「売れてる本」で在野研究者の荒木優太が「独学大全」を取り上げ次のように書いている。
《本書の分厚さは人間のもつ可変性の幅に相即している。》
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14757126.html
著者の「読書猿」は博覧強記の読書家であり、独学の達人だが、正体を明かしていないことも話題になるだろうから、まだまだ売れるのではないだろうか。発売前から読書猿による選書フェアを企画し、10万部への初速を牽引したという青山ブックセンターの本田翔也が「ダイヤモンド・オンライン」で次のように語っている。
《僕が「流石だなあ」と思ったのは「技法19 検索語みがき」ですね。独学の技法ですから、当然本の読み方とかは載っているだろうと予想していたんですけど、インターネットの使い方までしっかりフォローしてくれている! このきめ細やかさ、網羅性は読書猿さんならではだと思いました。
僕の場合は何か気になったことを調べるとき、いつも「一般的な検索だといい情報が出てこないなあ」と悩んでいたんです。だから、最初に「コトバンク」という辞書で調べてから検索エンジンにかけるというやり方は、とても参考になりました。》
https://diamond.jp/articles/-/258950
「独学大全」はビジネス書に分類されているようだが、一読すればわかるように人書の「深さ」を兼ね備えている。しかし、「読書猿」本人によれば、博覧強記ではないし、自分は「普通の勤め人」であり、本を読むのも、原稿を書くのも通勤電車のなかだそうだ。篠原諄也が「読書猿」にインタビューしているのだ。「好日好書」が1月7日付で公開している「『独学大全』読書猿さんインタビュー 学ぶとは、生い立ちや境遇から自由になる最後の砦」がそうだ。次のような発言に頷く。
《どれだけ学ぶための機会や資源が限られていても、たとえ奪われても、最後に独学という希望が残っている。》
《独学はいろんな人の手を借りていいし、みんなで集まって本を読んでもいいし、誰かに教えを請うたっていいんですよね。自分の学習環境を自由にデザインできるのが独学のいいところなので。独学者とは誰にも頼らない人じゃない。むしろいろんな人に広く薄く依存することこそ、自立していることだと思うんです。そういう意味でも孤学だと思ってしまうと、独学の良いところを見失ってしまうんじゃないかなと思います。》
https://book.asahi.com/article/14080904
荒木優太は朝日新聞で、こうも書いている。
《学習の技法を体系化させることで早くも古典の風格さえまとう『独学大全』は、この無型の自由を脅威としてではなく可能性として受け止めるための新たな型を提供している。》
「読書猿」は1月5日付「ダイヤモンド・オンライン」に「【独学者のための読書案内】『身近な人をほめる』とき、今すぐ使える意外な1冊」を寄稿し、次のように書いている。
《この本は確かにあまり賢くなく、すぐに飽きるしあきらめてしまう人たちのために書かれた。独学の凡人である私には、これが精一杯である。しかし独学の達人が書いた書物よりもきっと、繰り返し挫折し、しかしあきらめきれず、また学ぶことを再開したような、独学の凡人であるあなたの役に立つだろう。》
https://diamond.jp/articles/-/254977
私に言わせれば「独学」こそが「自立」を可能にするのだ。

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3)【記事】静岡新聞静岡放送は宣言通り生まれ変われるか?

静岡新聞社静岡放送はマスコミをやめて、ユーザーファーストな企業に生まれ変わるそうだ。
https://www.at-s.com/userfirst/index.html
シリコンバレー駐在 奈良岡将英が次のような連ツイを発表している。
《1月11日付の静岡新聞朝刊で「静岡新聞SBSはマスコミをやめる。」「決めた。」と宣言しました。今年80周年を迎える静岡新聞社、来年70周年を迎える静岡放送としての覚悟を表すと共に、社員一人一人の決意も表明。年末にはそれがどうなったか検証するつもりです。》
《昨年8月、静岡新聞社イノベーションリポートを社外発表しました。その後、各所からたくさんのフィードバックをいただきました。改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。》
《そのリポートのキーメッセージは「ユーザーファーストなメディア企業になる」ということでした。この言い換えでもある今回の「マスコミをやめる」。マスコミ業界にいない人から見たら、「そんなことに今ごろ気づいたの?」と言われそうなことではあります。
《気づいていなかったわけではありませんが、気づいていたとしても、自身を変えられるかどうかは別問題です。慣れ親しんだ日頃の行動を変えるのは思ったほど簡単ではないというのが、この2年半、なかなか成果が上がらない状態でも企業変革に取り組んできた私の実感でした。》
《「ユーザーファーストで変わり続けるのが当たり前の企業化に変革する」?ここでいう「企業化」は「行動の積み重ね」なのだと、両利きの経営のオライリー教授が先日おっしゃっていました。》
《社員一人一人が行動を変える、そこにつながる社員一人一人の意識が変わるよう、できることはすべてやっているというのが現状です。まだまだいろいろな状態の社員がいますが、そのままを見ていただきたいと思いました。》
《本日の新聞広告には「ただのビッグマウスで終わるか、革命者になるか。どうか厳しい目で見守っていてください。」と記しました。簡単なことではないのは百も承知です。でも成し遂げたい。私たちの挑戦は、まだ始まったばかりです。》
https://twitter.com/InnoShizuoka/status/1348401806796181505

https://twitter.com/InnoShizuoka/status/1348401812919865344
静岡新聞社静岡放送の新入社員は自衛隊研修を行うことで知られている。
https://twitter.com/JGSDF_ITAZUMA/status/1320487802530897920
https://twitter.com/JGSDF_ITAZUMA/status/1320850190492979200
早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした」の小林拓矢は、かつて次のようにツイートしている。
静岡新聞山梨日日新聞は双方とも新聞・テレビ一体となったグループ経営が行なわれており、両グループ企業間での株の持ち合いや、役員の人的交流もある。「富士山新聞」という共同企画も行った。ついでに言えば両社とも新聞労連加盟のしっかりとした労働組合がなく、論調も保守的だ。》
https://twitter.com/kobayashitakuya/status/11419929156788225
「ダイヤモンド・オンライン」が昨年9月23日付で発表してる「地方紙トンデモ列伝、取材先との癒着や前時代的な社風も」は静岡新聞について次のように書いている。
《もちろん静岡新聞の記者となれば、地方を代表するエリートだ。「子どもが入社すれば、親が近所に自慢して回るレベル。当人たちも地元では肩で風を切っています」(同前)。だが、その内実はイメージとは程遠いようだ。
労働組合は存在せず、新卒採用もコネ採用がかなり多い。親の肩書を聞けば、地元大学の学長や老舗旅館の経営者、県の幹部などなど。これでも昔に比べればましになりました」と前出の元静岡新聞記者は言う。
年2回の「拡張運動」では、記者を含めた全社員が1部以上の新規顧客を獲得する義務が課せられる。未達者には、名前の掲示と激しい叱責が待っているという。「取材先に頼み込んで契約してもらったり、自腹で契約して送り付けたり。もちろん、その取材先の批判記事なんて書けなくなります」(同前)。
社風も前時代的だ。毎年1月の休日をつぶして、グループ会社も含めた原則全社員が体育館に集められる会があり、「例年、オーナー一族、大石剛社長の干支にまつわるありがたいお話の後、首脳陣の長話の後、その年の年男年女が壇上に上がって『バンザーイ!』と叫び、他の社員も勝ちどきを上げさせられる」(同前)という。》
https://diamond.jp/articles/-/248907
静岡新聞静岡放送に求められているのは、実は企業そのものの「革命」なのではないだうか。

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4)【本日の一行情報】

◎宝島社の毎年恒例の企業広告。1月6日(水) にはコロナ感染対策をテーマにした「ねちょりんこ、ダメ。」を朝日新聞と日刊ゲンダイに、「君たちは腹が立たないのか。」を読売新聞、「暴力は、失敗する。」を日本経済新聞に掲載した。1月7日(木)には、これもコロナ感染対策をテーマにした「言われなくても、やってます。」を朝日新聞に掲載した。「君たちは腹が立たないのか。」と「暴力は、失敗する。」は電通、「ねちょりんこ、ダメ。」と「言われなくても、やってます。」はADK
https://tkj.jp/company/ad/2021/index.html
https://tkj.jp/company/ad/2021/index2.html
https://tkj.jp/company/ad/2021/index3.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001103.000005069.html
「君たちは腹が立たないのか。」は讀賣新聞に対する強烈な皮肉が込められているのかもしれない。…深読みが過ぎるか。

◎新潮社の「フォーサイト」は1月7日付で「『軍師不在』で『裸の王様』菅首相の機能不全」を掲載している。
《このところ、ちぐはぐな政権運営の原因として指摘されるのが、菅首相の「軍師」となるような調整役の不在だ。外部の危機を首相の耳に入れる側近が少なく、これが政権としてのチームワークの欠如にもつながっている。》
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/01071130/

◎「新潮」2月号は筒井康隆の最新掌篇小説「川のほとり」を掲載している。昨年、最愛の息子を喪った筒井の体験が濃厚に反映された小説だそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000119.000047877.html

◎「ダイヤモンド・オンライン」は1月7日付で小林信也の「箱根駅伝のテレビ中継をつまらなくした『スポンサー配慮』の実態」を発表している。
《例えば厚底シューズ。昨年のレース後は、ナイキの厚底シューズが話題となり、テレビの情報番組でも盛んに取り上げられた。今年もナイキなのか?他社製品は伸びているのか?
ジョガーならずとも気になるテーマだが、私が見ていた限り、この話題に実況アナウンサーはほとんど触れなかった。ネットでは当然、使用率をめぐる情報が飛び交っていた。スポーツ報知によれば、『6区の出場21選手は全員がナイキの厚底シューズを使用した。前回大会に出場した210選手中177人(84.3%)がナイキの厚底シューズ「ズームXヴェイパーフライネクスト%」を使用。今回大会往路では105選手中99人(94.3%)がナイキの厚底シューズを選択。』とあった。
テレビ観戦では、この分析は難しかった。なぜなら、走者のほぼ全身が映っても足下だけは切れていた、正面から映しても横からは全身をなかなか映さない。つまり、シューズのラインがばっちり映らない工夫がされていたように感じられた。》
https://diamond.jp/articles/-/259100
地上波の民放テレビは100%広告収入に依存したコンテンツであり、視聴者に対する配慮よりも、クライアントに対する配慮が優先するのである。例えば、広告収入に依存しないネットフリックスのような映像配信ビジネスは有料ではあるのかもしれないが、視聴者に対する配慮を何よりも優先できるところに特徴がある。とすれば、スポーツのようなコンテンツにおいてもネットがテレビを飲み込む事態は十分にあり得るということだ。サッカーを例外にすればスポーツ中継において広告は視聴者にストレスとして伸しかかってくる傾向を否めまい。この記事は「YAHOO!ニュース」にも公開されていたが、次のようなコメントが投稿されているのは、そのためである。
《後スポンサー配慮なのかCMが異常に多く選手が仕掛けた大事な場面が見れなかった。とても残念だった。》
《とにかく、CMが多くて長すぎる…。
2画面(音声はもちろんcm)とか、字幕だけとか、スポンサー様も譲歩してくれないかな…。
逆にキライになって、キリンビール飲みながらテレビ観戦しちゃう。》
https://news.yahoo.co.jp/articles/86613a889ef83f3c0332ca48a3501b9b31a0b72b/comments
恐らく未来の広告はcode(コード)としての役割を失っていかざるを得ないのではあるまいか。

アシェット婦人画報社のエルグループ編集局長・坂井佳奈子は1月7日付朝日新聞デジタルで「ファッションの先端ではもはやジェンダーは溶けてしまっています」と語っている。ファッションの先端においてはそうなのかもしれないが、「エル」においてジェンダーは溶けているのだろうか。ジェンダーを補完してしまっているということはないだろうか。
https://digital.asahi.com/articles/ASNDW5Q7WNDWUPQJ002.html

◎イギリス版「コスモポリタン」の表紙!凄いな。身体が柔軟な肥満体型の女子を登場させて「Thia is healthy」とやっているわけだけれど。
https://twitter.com/RitaPanahi/status/1345884343395237889/photo/1
もっとも、このツイートは肥満と新型コロナウイルスによる重症化は関係があると主張して、この表紙を批判している。

◎「現代ビジネス」は1月7日付で「麻生太郎のスピーチに『ブチギレ』の河野太郎…何が起きたのか?新潟市の老舗ホテル『イタリア軒』で」を発表している。これは「週刊現代」2020年12月26日・2021年1月2日号に掲載された記事である。
《実はこの日、河野氏は「ドタ参」。前日に急遽、麻生氏に呼ばれたのだ。そのため、来賓を示す胸の花も河野氏の分は用意されていなかった。
「行きたくもないのに呼ばれて行ったら、扱いは悪いわ、盛り上がらないわ……河野さんに同情します」(前出・麻生派関係者)
不機嫌だったのも当然かもしれない。》
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/79006?imp=0
麻生太郎河野太郎の関係が悪くなれば得をする政治勢力によるリークを踏まえた記事であることは間違いあるまい。これに河野太郎ツイッターで反応した。まずは
《酷い出鱈目記事。
これぞフェイク。》
https://twitter.com/konotarogomame/status/1347025558031400967
と引用ツイート。ここからリツイートがつづく。