【文徒】2021年(令和3)1月6日(第9巻2号・通巻1899号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】首相記者会見に批判が殺到している
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2021.1.6 Shuppanjin

1)【記事】首相記者会見に批判が殺到している

東京新聞は1月5日付で「<民主主義のあした>「多数決を捨て、議論をしよう」イタリア学会会長 藤谷道夫さん」を掲載している。日本学術会議任命拒否事件で様々な学会から抗議声明がなされるなか、その格調の高さでは群を抜いていたイタリア学会の藤谷道夫が次のように語っている。
《ローマ法の体系づくりは、地中海の明るい光を当てて闇を除去する作業でした。ローマ人が目指したのは「光の政治」です。一方、安倍政権では隠す、改ざんする、破棄すると、どんどん「闇の政治」の拡充に努めてきました。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/77960
現政権は「闇の政治」の嫡子であろう。「闇の政治」を司るガースー・ベイダーである。ガースー・ベイダーは内閣記者会を「闇の政治」に誘い込むことに成功したのかもしれない。島契嗣のツイート。
《内閣記者会の加盟各社の横の連携のなさもびっくり。連携して戦うことこそ記者クラブのメリット。各社の官邸キャップが10人以上いても戦略的に臨まない。主導してまとめようとする社もキャップもいない。勇気ある記者やフリーランスを嘲笑・冷笑。いつかの教室で見た風景。》
https://twitter.com/shima_keishi/status/1346135448112885761
《「言うのは簡単」と言われるだろうがやるのも簡単。国民注視の生中継の会見本番で、広報官が指示する「更問い・再質問禁止」を踏み倒す。彼らはおののく。つまりお行儀が良すぎるんだな。戦わない記者たち。「やってみろ?」って?やれるよ、余裕で(笑)》
https://twitter.com/shima_keishi/status/1346124645905305600
「はりぼて」の監督をつとめた五百旗頭幸男もこんなツイートを投稿している。
《首相会見で「多くの質問を受けるため一人一問で」「再質問は控えて」と司会が言うのに唖然とします。
記者の向こうに国民がいることを理解していれば「多くの疑問に答えるため質問はなくなるまで受ける」となるはずです。
地方で16年記者をしていて「再質問を控えて」など言われたことがありません。》
https://twitter.com/yukioiokibe/status/1346092826853924865
尾形聡彦のツイート。社外に発信するよりも、社内で異議申し立てをするとともにアクションを起こしてもらいたいものだけれど・・・。
菅首相会見。何よりもひどいのは司会の官僚が再質問を何度も遮ること。再質問がないから、会見は菅氏の言いっ放しです。再質問を妨害する首脳会見をしているのは主要国で日本だけで、あまりに非常識。それを容認している官邸記者たちは、記者の責任を果たしていないと思います》
https://twitter.com/ToshihikoOgata/status/1346011413794283520
望月衣塑子が尾形を引用ツイート。
《民主国家の会見とはおよそ言い難い菅首相の会見。コロナ禍とい国難の中、トップが考えを述べるべき場で「質問は一問」とは。言いっぱなしで質問をさせない山田真貴子広報官。
菅首相は、まともに質問を受ける気も自信もないのだろう。1時間はやるべきだし、記者は声をあげて怒るべきだ。》
https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1346239145010577408
俵才記のツイート。そう、ガースー・ベイダーはBSフジには、ちゃんと時間を割いているのだ。
菅首相、プライムニュースに出る時間があるなら、次の執務があるからと言って、記者会見を30分で終了せず、手を上げてる記者の質問に最後まで答えたらどうですか。フジTVの反町氏のようなお仲間だけでなく、厳しい記者の質問にも答えるのが仕事でしょ。
https://twitter.com/nogutiya/status/1346081777866084352
それでも言い間違えてしまう!朝日新聞デジタルは1月4日付で「解散は秋?緊急事態宣言もう出した?首相言い間違え連発」を掲載している。BSフジの番組に出演した首相は、
《番組の終盤、新型コロナ対応の特措法改正などにこれまで取り組んでこなかった理由を問われると、首相は「そうしたご意見が多いことも承知している。これは結果ですから。やはり結果には責任を持たなければならないと思っています」と力を込めた。そのうえで、こう語った。「ですから今回、特措法も、緊急事態宣言も、悩み悩んだなかで、特に緊急事態宣言というのは発出させて頂いたと」。もちろん、緊急事態宣言はまだ発出されていない。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP1474L1P14UTFK018.html
衆院解散について「秋のどこかで」と語ったにも関わらず、首相はこれを訂正するペーパーを配ったというが、フリーの畠山理仁には届けられなかった。
《〈官邸報道室は会見後、「『秋のどこかでは』を『秋までのどこかでは』に訂正させていただきます」とのペーパーを報道各社に配った。〉
フリーランスには何もきていません。
秋でいいと思うけど。》
https://twitter.com/hatakezo/status/1346085141156823040
東京新聞労働組合のツイート。
《1月3日のニッポン放送に続き
4日夜はフジテレビに出演した首相。
都心~お台場の往復に90分余り。
重要な記者会見はたった30分。
わずかな質疑で打ち切った。
特定の局/番組だけ選別して出演する。
その時間、記者会見に使うべき。
内閣記者会は抗議しなきゃダメだ。》
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1346180071942361088
「異邦人」もツイートしている。
菅義偉首相は昨日の会見で「実効的な対策を取るために通常国会に特措法を提出する」などと述べていたが、何度も言うように維新を除く野党4党は1か月前の12月2日に補償を盛り込んだ特措法改正案を、とっくに提出している。それにも拘わらず、再来週からの通常国会まで放置して何が「実効的」なのか。》
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1346242517977600002
産経新聞は1月4日付付で「政府に不満『小池氏の失政』 首相は『やんなきゃいけない』…宣言発令要請で急転」を掲載している。
《飲食店への時短要請の権限は都道府県にある。東京都は飲食店側の反発で逆効果になりかねないとして「午後8時まで」の要請をせぬまま感染が広がり、政府がその後始末をする形となった。こうした経緯に首相周辺は「飲食店を午後8時で閉じればいいのにやっていなかった。小池氏の失政だ」と不満をあらわにした。
https://www.sankei.com/life/news/210104/lif2101040068-n1.html
「首相周辺」とは、要するに首相だろうよ。ガースー・ベイダーは、その程度の器量しか持ち合わせていないのか。

-----------------------------------------------------

2)【本日の一行情報】

◎これは期待したい。若松英輔遠藤周作の評伝に取り組む。
《先ほどNHKBS1で放映された「遠藤周作~人生を秘めた未発表小説~」、素晴らしかった。NHK長崎の皆さんの渾身の作品だった。昨年発見された遠藤の未発表小説「影に対して」を軸にした構成だが、人間の「生活」と「人生」のあわいがじつによく描かれていた。さて、遠藤周作の評伝を書かねばならない。》
遠藤周作は不思議な作家だ。彼よりも「うまく」小説を書く作家は同時代にもいた。物語の構成も問題が少なくない場合がある。だが、そうした短所を全てのみ込むようなちからが彼の作品にはある。そして、この世界と、自分に与えられたこの生は、やはりいつくしむに値するものであることを教えてくれる。》
《今年は、何を軸に過ごそうかと思っていたが、決めた。評伝『遠藤周作』の連載を本格的に始める。とにかく、これに没頭することにする。そんなに重いおもいをもってみた番組ではなかったが、じつに示唆的だった。気持ちのこもった作品は、見たものの気持ちにも小さな炎を残していく。》
https://twitter.com/yomutokaku/status/1346127459842891776
https://twitter.com/yomutokaku/status/1346131887031427076
https://twitter.com/yomutokaku/status/1346133046223806464

大塚英志のツイート。野党第一党が緊急事態宣言の発出を求めるという構図に私も違和感を抱いた。
《緊急事態宣言に対し、遅すぎる、為政者はぬるいとう大合唱、近衛新体制の経済統制に「遅すぎる」「もっと厳しく」と吉川英治学者たちも新聞も大合唱した。吉川は権力を忖度したのだが、民意が自発的にもっと規制をと自ら合唱するのが翼賛会の理想とした体制で、それが令和に達成されたわけか。》
https://twitter.com/MiraiMangaLabo/status/1346305065821245440

◎ワン・パブリッシングは体験型英語学習施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY」(TGG)のフリーペーパー「TGG Kids」を創刊した。2020年12月中旬から、東京都内の小学校で配布した。
https://resemom.jp/article/2021/01/05/59741.html

毎日新聞は1月5日付の「政治プレミア」で「イメージ先行の政治発信をどう読み解くか]
東京工業大学准教授・西田亮介)を掲載している。
《インスタグラムやティックトックの普及に伴って、ツイッターフェイスブックなどでも静止画や短編動画をつけることが増えている。テキストもテキスト情報ではなくて写真に字を張り付ける。その結果、政治でもふわっとした好印象を訴えるようなキャンペーンが目立つようになった。その典型が自民党が2019年に実施し講談社の女性ファッション誌「ViVi」とコラボレーションしたキャンペーンだ。
なんとなく名前と印象を広めたいというやり方だ。結局は昔の名前連呼と同じだ。しかしこうしたキャンペーンにはあまり権力監視サイドが関心を示せていない印象だ。》
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20210104/pol/00m/010/002000c

都留泰作の「竜女戦記」(平凡社)は「このマンガがすごい!2021」オトコ編の第5位にランクインした。「ほんのひきだし」は1月4日付で「まるで和風の『ゲーム・オブ・スローンズのような壮大なハイ・ファンタジーである本作の試し読みを公開」している。
https://hon-hikidashi.jp/enjoy/121121/
「竜女戦記」は何と主婦が天下を獲る歴史ファンタジーである。しかも、版元が平凡社であり、作者の都留泰作化人類学者である。2020年3月30日付で私たちは次のように「竜女戦記」を紹介している。そこで新海誠都留泰作の大ファンであることも報告している。
《「ナチュン」(全6巻、講談社)、「ムシユヌン」(全6巻、小学館)で知られる漫画家の都留泰作化人類学者でもあり、京都精華大学マンガ学部教授という肩書を持つ。そんな都留泰作が平凡社から「竜女戦記」シリーズの刊行を開始する。平凡社も漫画で勝負する時代がやって来たのである。》
https://teru0702.hatenablog.com/entry/2020/12/29/202635
京都精華大学のホームページに都留泰作は次のように紹介されている。
《1968年、岡山県生まれ。名古屋大学理学部卒業後、京都大学理学研究科動物学専攻に進学し、化人類学者・生態人類学者としカメルーンの狩猟採集民を対象とした伝統的な儀礼宗教に関する調査研究をおこない、2001年に博士号(理学)を取得。03年からは富山大学学部助教授に就任し教鞭をとり始める。その一方で、同年には講談社が主催するアフタヌーン四季賞で佳作を受賞し、マンガ家としてのキャリアもスタート。
大学教員としての仕事を続けながら、06年には『月刊アフタヌーン』(講談社)にて「ナチュン」の連載を開始。活字の視覚化や物語と図像のバランスといったことに関心を持ちながら、人類学とマンガの両方を活かした新しい創作を志している。近年は知的障害者にもやさしく読める「LLマンガ」の企画に携わっている。13年12月より、『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて「ムシヌユン」の連載を開始。15年、マンガの描き手であり、化人類学研究者であるという独特の視点から、マンガやアニメ、映画等を分析した『<面白さの研究> 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』(角川書店)を出版した。》
https://www.kyoto-seika.ac.jp/edu/faculty/tsuru-daisaku.html

共同通信は1月5日付で「テレビ離れに新聞離れ… 番組表が見られなくなっても60年出版し続ける“TVガイド”の今」を配信している。東京ニュース通信社代表取締役社長・奥山卓にインタビューしている記事だ。
《いまや「テレビ」=地上波ではない。『TVガイド』は“テレビモニター”のガイドをやっていきたいと話す。「テレビを観る時間が減ったと言いますが、動画コンテンツ全体で言えば、スマホ等で見ている時間は増えている可能性が高い。また日本は、日本だけで議論してしまう面がある。もしかしたら、北欧や南米にも面白いコンテンツはあるかもしれない。日本の地方に目を向けてもいい。
水曜どうでしょう』のように、ローカルにだって面白い番組はある。全国放送でも『半沢直樹』が数字を取る。これだけ多様化した現代でも、面白ければ誰もが観たい、知りたいと思うのです。そういった諸々を吸い上げ、この過多な情報の海を“ガイド”出来る人や媒体が今こそ必要だと思います」
ネットでは炎上も多いことから、「紙だからこそ書けること、紙だから出来る見せ方も、まだあるはず」と、力強く話す奥山氏。急速に変化し続けるエンタメ界、テレビ情報誌も今、その“変革期”にあるようだ。》
https://www.47news.jp/5681683.html

◎「日刊ゲンダイDIGITAL」が1月5日付で「日テレ生き残りかけ4月開始『ネット同時配信』に局内激震」を掲載している。
《2021年4月。日本テレビが生き残りをかけ大編成戦略に着手する。地上波テレビ番組をインターネットで同時に放送する「ネット同時配信」の本格運用に取り組むというのだ。すでに日テレを巡っては昨年10月から年内いっぱいという期間限定で“日テレ系ライブ配信”と銘打ちプライムタイムの番組を中心に計32番組の同時配信を実施済みだ。》
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/283414

-----------------------------------------------------

3)【深夜の誌人語録】

短気が局面を打開する。