Index------------------------------------------------------
1)【記事】7万円を超える豪華接待で山田真貴子広報官危機一髪!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
4)【お知らせ】
----------------------------------------2021.2.24 Shuppanjin
1)【記事】7万円を超える豪華接待で山田真貴子広報官危機一髪!
「日本書紀」によれば、天照大神が月夜見尊を保食神のもとに遣わした。保食神は口から飯・魚類・食用獣などを出して月夜見尊を饗応した。しかし、月夜見尊は汚らわしいことだと判断し、剣をもって保食神を殺害した。わが国において、饗応の歴史は古く、しかも、饗応は古代より、万死に値していたのである。今風に言えば饗応とは接待のことであろう。
讀賣新聞オンラインは2月22日付で「『菅首相長男らと会食』総務省の12人が計38回、処分へ…山田真貴子内閣広報官も会食」を掲載している。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210222-OYT1T50169/
毎日新聞が2月22日付で「菅首相長男側の接待、山田真貴子広報官に7万円超 総務審議官時」を掲載しているが、飲食の単価として山田が最高であった。
《既に接待が明らかになっている谷脇康彦、吉田真人両総務審議官、秋本芳徳前情報流通行政局長、湯本博信元官房審議官を含む13人は16年以降、東京都内の飲食店で、東北新社の部長を務める菅氏の長男(子会社「囲碁将棋チャンネル」取締役を兼務)、東北新社の社長、取締役執行役員、子会社「東北新社メディアサービス」社長ら東北新社側と「意見交換」「懇親会」「忘年会」「暑気払い」などの名目で会食した。費用の多くは東北新社側が負担したとみられる。飲食の単価は最低が5427円、最高は山田氏の7万4203円。6048円の土産を渡し、7920円のタクシー代を東北新社側が負担したこともあった。》
https://mainichi.jp/articles/20210222/k00/00m/010/104000c
毎日新聞は2月23日付で「一晩7万4000円 総務官僚はなぜ菅首相長男の接待に応じたのか」(古川宗)を掲載している。
《「1人あたり7万円を超える接待は常軌を逸している。高級旅館に泊まってもおつりが出る額で、接待されている側もとんでもない額をおごられているということはわかるだろうに……」
こう仰天するのは、官僚制を長年研究している明治大の西川伸一教授(政治学)である。「1990年代に起きた大蔵省の汚職事件以来のひどい話ですね」と苦笑しつつ、「首相は元々総務相もしていて、総務省の大親分。官僚側も『行っても大丈夫だろう』という慢心があったのでしょう」と推察する。》
https://mainichi.jp/articles/20210223/k00/00m/010/055000c
孫崎享は7万円の背景を次のように推測している。
《山田真貴子氏、総務省から安倍首相秘書官。総務省からは異例。菅人事とみられていた。菅氏総務大臣時代に総務省掌握。そして山田氏は菅首相の記者会見時、“進行役”も。菅首相の子飼い的存在。だから東北新社接待で飲食単価は7万4203円と破格の扱い。》
https://twitter.com/magosaki_ukeru/status/1363994176547741698
山田真貴子は早大法学部出身。1984年に旧郵政省に入省。安倍政権時代の2013年まで、女性初の首相秘書官に起用され、総務省大臣官房長、総務省情報流通行政局長、次官に次ぐポストである総務省総務審議官を歴任し、2020年7月に退職した。菅政権の発足とともに内閣広報官に就任する。まさに官僚として華麗なるキャリアを誇る。
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/kanbu/2020/yamada.html
そんな山田だが、飲み会を絶対に断らないそうだ。断ると二度と誘われない!飲み会は幸運に巡り合える機会なのだと力説する。たがら菅正剛の接待にも喜んで 馳せ参じたのだろうか。この超教育協会による「若い人へのメッセージ」なる山田真貴子の動画を御覧いただきたい。
https://www.youtube.com/watch?v=WcsG_47uryk
作家の盛田隆二がこの動画を引用してツイートしている。
《内閣広報官に新しい逸話が
①NHKに「有馬キャスターが打合せにない質問をした。総理怒ってますよ」と抗議電話
②菅首相の記者会見の司会者として質問制限
③菅正剛から1回7万4203円の飲食接待を受け、唯一ハイビジョン非対応の囲碁将棋チャンネルを認定
④飲み会は絶対断らない←new!》
https://twitter.com/product1954/status/1363774468993126403
これも盛田のツイート。
《山田真貴子氏は、安倍政権下で女性初の首相秘書官に。2017年~放送行政を所管する情報流通行政局長。ハイビジョン非対応の「囲碁将棋チャンネル」を認定したが、菅正剛氏に7万4203円の飲食接待を受けたことが発覚。菅首相記者会見の司会ではなく、本人の記者会見が待たれる》
https://twitter.com/product1954/status/1363862220384313350
日刊スポーツは2月22日付で「渦中の山田内閣広報官、NHK有馬氏へ『抗議』疑惑」を掲載している。
《山田氏には「クレーム電話疑惑」も浮上している。昨年10月26日に菅首相が出演したNHK「ニュースウオッチ9」の放送翌日に、NHK側に「総理怒ってますよ」などと抗議電話を入れた、と一部で報じられている。日本学術会議の任命問題に触れた有馬嘉男キャスターに抗議したものとされている。有馬キャスターは3月で番組を降板することが発表された。》
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202102220000841.html
首相は「クレーム電話」を否定している。朝日新聞デジタルは2月22日付で「NHKに山田広報官が抗議?菅首相『していないのでは』」を掲載している。
《山田氏が総務審議官時代に東北新社側と会食をしたことが明るみに出たことを受け、この問題も取り上げられた。菅首相は、本人から「事実ではないとの報告を受けた」と説明。電話をしたかどうかを問われると「していないんじゃないかなと思う」と語った。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP2Q6QWHP2QUTFK01X.html
もっとも、最近の政権は「ご飯論法」が得意だから、国会でのやり取りをもっと仔細に検討してみる必要はあるだろう。
ところで面白いのは超教育協会。「限界マスコミのアライさん」がこんなツイートを投稿している。
《山田真貴子・内閣広報官が「幸運を引き寄せる力」のために「飲み会を断らないこと」を説くビデオ、掲載団体の概要見たら、某顧問が理事に収まっていたのだ。限界マスコミ某社が会員になってて、理事になるには会費4口以上払う必要あるのだ。そんなカネ、出す余裕あるのだ?》
https://twitter.com/arai3media/status/1363917407929073664
「限界マスコミのアライさん」が何を言いたいのかというと、超教育協会には毎日新聞の小川一が理事として名前を連ねており、毎日新聞が新聞社では唯一、会員になっているのだ。私たちも良く知っている名前が超教育協会のボードには散見されているのだ。
会長は小宮山宏。三菱総合研究所理事長、東京大学第28代総長という肩書を持つ。
幹事には里中満智子(デジタルマンガ協会 会長)、大﨑洋(吉本興業ホールディングス 代表取締役会長)、落合陽一(メディアアーティスト、筑波大学准教授)、陰山英男(一般財団法人基礎力財団 理事長、陰山ラボ代表)、笠原健治(ミクシィ 会長)、角川歴彦(KADOKAWA取締役会長)、川上量生(カドカワ 取締役)、坂村健(東洋大学情報連携学部学部長、東京大学名誉教授)、佐渡島庸平(コルク代表取締役会長)、夏野剛(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特別招聘教授)、南場智子(ディー・エヌ・エー 代表取締役会長)、村井純(慶應義塾大学環境情報学部教授)といった名前が並ぶ。
会員には新聞社は毎日だけだが、出版社は多い。講談社、旺文社、学悠出版、学研ホールディングス、教育開発出版、教育出版、実教出版、新学社、新興出版社啓林館、数研出版、帝国書院、東京書籍、光村図書出版、明治図書出版などの名前が並んでいる。
https://lot.or.jp/about/structure/
話を山田真貴子に戻そう。これは「HOM55」の指摘。
《総理の長男・菅正剛氏による総務省の接待問題。元総務省局長で現在は内閣広報官を務める山田真貴子氏は、接待を受けたか「明確な記憶はない」と言っていたのに、実際には7万円越えの豪華接待を受けていたと判明。これほどの接待を「記憶はない」ってどう見ても嘘でしょう。あまりに酷い嘘の連続。》
https://twitter.com/HON5437/status/1363767987979829250
山田は記者会見を開き、自ら説明すべきではないのか。畠山理仁もこう提言している。
《菅義偉首相記者会見の司会進行を担ってきた山田真貴子内閣広報官。総務審議官時代の一昨年11月、菅首相の長男・菅正剛氏らから単価7万4千円あまりの飲食接待を受けていた。山田広報官は記者会見で質問する記者を指名してきたが、一度も当たっていない記者もいる。官僚が会見を仕切ることの弊害。》
《この先も山田真貴子内閣広報官に記者会見を仕切らせていいのだろうか。会見の主催者である記者側が質問者を指名するべきではないか。》
《内閣記者会が記者会見の運用を見直す機会にしてほしい。今は内閣広報官が恣意的に質問者を選べます。つまり、嫌な質問をしそうな記者に当てないことも可能です。実際には違っても、疑念は払拭できません。「政府が嫌な質問にも答えなければならない普通の記者会見」を目指してほしいと思います。》
https://twitter.com/hatakezo/status/1363764824371388423
https://twitter.com/hatakezo/status/1363768102962352135
https://twitter.com/hatakezo/status/1363775697932546048
それにしても普通でないことが多過ぎはしまいか。清水潔も7万円という金額に驚く。
《少なくとも自分は接待だろうが自費だろうがこんな高い飯は食ったことない。
官僚の感覚自体が異常なのか?税金から給料もらってそのうえ民間企業にたかるとは。辞職しなさいよ。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1363763225435643905
スポーツ報知は2月23日付で「若狭勝弁護士、菅首相長男の接待問題で山田真貴子内閣広報官は『贈収賄という犯罪にもなりうる金額』」を掲載している。若狭は2月23日放送のフジテレビ系「とくダネ!」に出演して語ったそうである。
《リモートで出演した若狭勝弁護士は「金額的なことですが、1回で7万円を超えるということになると、贈収賄という犯罪にもなりうる金額。理屈の上では総務審議官をやっている時に、東北新社の子会社の許認可の更新などが問題になっている時期だとすると、理屈の上では贈収賄、収賄罪となってもおかしくないと思います」と説明した。》
https://hochi.news/articles/20210223-OHT1T50011.html
毎日新聞は2月23日付で「総務省 首相長男側接待、13人39回 内閣広報官に7万円 11人処分へ」(川口峻)を掲載している。
《山田氏は、総務省を退職し、現在「特別職」のため国家公務員倫理法の規制対象ではないが、会食当時は倫理規程に違反していた可能性が高い。加藤勝信官房長官は22日の記者会見で「関係者に対する公務員倫理審査会の結果などを見ながら対応する」と述べた。》
https://mainichi.jp/articles/20210223/ddn/001/010/018000c
「アエラドット」は2月23日付で「菅首相の長男が接待した美人内閣広報官の裏の顔 更迭された総務省幹部の後任は夫」を発表している。
《今回の疑惑で、更迭された秋本芳徳情報流通行政局長の後任となった吉田博史総括審議官は、皮肉にも山田氏の夫だという。》
https://dot.asahi.com/wa/2021022300013.html?page=1
もちろん、妻は別人格だから問題ないのだろう。
朝日新聞デジタルは2月23日付で社説「総務官僚接待 疑念の解消には程遠い」を掲載している。
《谷脇氏(註 康彦 総務審議官)は、菅政権の看板政策である携帯料金やNHK受信料の値下げを担当している。また、首相が内閣広報官に起用した山田真貴子氏が、総務官僚時代に東北新社から高額の接待を受けていたことも別途、明らかになった。
これは一総務省の問題ではない。政権全体の信頼にかかわると、首相は重く受け止める必要がある。野党が求める長男ら東北新社側の国会招致に応じるなど、徹底した実態解明に向け、指導力を発揮すべきだ。》
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14809334.html
東京新聞は2月23日付で社説「総務官僚の接待 許認可への影響究明を」を掲載し、こう結んでいる。
《振り返れば、安倍晋三前政権以降、森友・加計学園や「桜を見る会」を巡る問題など、首相ら政権中枢に近い関係者らへの優遇が次々と問題となってきた。
首相の長男による総務省幹部接待と許認可を巡る問題は、それと同じ構図と疑われても当然だ。
接待した側された側、双方の関係者を国会に証人として喚問し、事実関係や許認可への影響の有無を徹底的に調べ尽くさなければ、国民の不信は解消されまい。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/87648?rct=editorial
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2)【本日の一行情報】
◎ラグビー元日本代表の福岡堅樹が順天堂大学医学部に合格した。凄いよ、凄い!
《『報告』
この度、順天堂大学医学部に無事合格することができました!
この挑戦は、本当に多くの方々の助けがあって成し遂げられたと思います。
この感謝の気持ちを忘れずに、また新たな挑戦の道を歩んでいきたいと思います。
今後とも応援よろしくお願い致します!》
《練習を少し休んでも、快く勉強に送り出してくれたチームの仲間達、限られた時間の中で受験のノウハウを教えてくださった英進館、YMS、メビオの先生方、本当に多くの方々にサポートして頂きました。
本当にありがとうございました!》
https://twitter.com/kenki11/status/1363039063419146241
https://twitter.com/kenki11/status/1363039212358955012
◎讀賣新聞は2月23日付で社説「総務省接待調査 放送行政の公正に疑念深めた」を掲載し、次のように書いている。
《長男は首相が総務相時代に秘書官を務めており、その人脈を利用したのではないか。官僚側も父親である首相を意識して断れなかったとみられても仕方あるまい。
首相は「長男が関係し、結果として公務員が倫理法に違反する行為をしたことを、心からおわびする」と陳謝した。一方で、「長男と会社の話は一切していない」と述べ、関与を否定した。
「長男は別人格だ」という首相の認識自体に問題がある。行政の責任を負う立場にある以上、家族も含め、疑念を持たれないよう行動を慎むのが当然だ。首相は事実関係をつまびらかにすべきだ。》
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210222-OYT1T50284/
一連の報道によると、東北新社につとめる菅正剛の仕事は総務省の官僚を接待することであったことがわかる。それでは新聞の記事では放送関連会社などと書かれている東北新社は、実際は、どんな企業なのだろうか。
公式ホームページを見ると東北新社は自らを「総合映像プロダクション」と位置づけ、CM制作、プロモーション制作、グラフィック・WEB制作、音響・字幕制作、番組・映画制作、ライセンス営業、BS・CS放送関連事業、ネット配信事業などプロダクションの枠内に収まり切らない幅広い事業を展開している。コロナ禍で激減しているが、広告プロダクションとしての売上が最も多く、わけてもCM制作が稼ぎ頭となっている。
https://www.tfc.co.jp/company/info/
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2329/yuho_pdf/S100KSGX/00.pdf
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2329/yuho_pdf/S100JBYN/00.pdf
とはいえ、東北新社はCMの制作会社として設立されたわけではない。1961年に創立された東北新社がCM制作を手がけるようになるのは、新日本映画社を傘下にした1964年になってからのことである。
東北新社は海外のテレビ番組の日本語版吹替事業をもって創立された。古くは「ハイウェイ・パトロール」を手がけたし、何よりも「サンダーバード」をNHKに配給したのは東北新社にほかならないし、「チャーリーズ・エンジェル」や「S.W.A.T.」も東北新社の仕事だ。また1979年には日米合作映画「将軍 SHOGUN」をパラマウント、東宝、テレビ朝日と共同製作している。
東北新社が外国映画を専門に扱う「スターチャンネル」を運営しているのも、少しも不思議ではないのである。「ロスト・イン・トランスレーション」やアニメ映画「千と千尋の神隠し」の製作にも関与しているし、「めぞん一刻」などのテレビドラマも手がけている。
CM制作でいえば、資生堂のテレビCMの黄金時代を築き、1973年に首つり自殺をしてしまう「天才」杉山登志を輩出した日本天然色映画も1987年に傘下に入れてしまう。
変わったところでは広尾のスーパーマーケット「ナショナル麻布」も経営している。
https://www.tfc.co.jp/company/history/
◎KADOKAWAの運営するプロ麻雀チーム「KADOKAWAサクラナイツ」は、総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」とスポンサー契約を締結した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000008168.000007006.html
◎日本出版者協議会は2月22日付で「外税表示へのご理解とご協力のお願い」を発表した。
《書店のみなさまへ
日頃より日本出版者協議会(以下、出版協)会員社の書籍をお取り扱いいただき、誠にありがとうございます。
出版協では、前身の出版流通対策協議会(流対協)の時分より、消費税総額表示に反対の声をあげてまいりました。現行の外税表示方式が広く浸透し、書店での混乱や読者からのクレームもほとんどない状態できているのにもかかわらず、本年4月1日より総額表示の義務化が復活しようとしています。
出版協は、現行の外税表示がもっとも合理的なものと判断し、4月以降の新刊についても、総額表示を会員社に対して推奨いたしません。無駄な労力と経済的負担はかけられないためです。
しかしながら、今回の義務化に罰則規定はないものの、総額表示でないことは「違法行為」にあたります。そこで、総額がわからないとの読者のクレームにも備え、店内での「総額表示一覧換算表」の表示をお願いすることで対応したいと考えております。
この「総額表示一覧換算表」は、出版協ウェブサイトよりダウンロードしていただけるよう準備しております。出版協事務局へお電話、FAXまたはEメールにてご要望いただければ、印刷した「総額表示一覧換算表」をお送りいたします。ご利用をお願い申し上げます。
もとより再販売価格は、出版社の責任において表示するものです。その表示方法についての責任も出版社が負うことは言うまでもありません。
今回、取協(日本出版取次協会)に対しても出版協としての上記方針を伝え、価格表示方法の違いにより流通上で差別を生じさせることはない旨の回答を得ていることを書き添えておきます。
書店においても、出版協の考えと対応にご理解いただき、価格表示方法により取り扱いに差を生じることのないよう、要望いたします。
書店のみなさまにご協力をいただきながら、出版協としても引き続き、読者と世論に理解を求めるため働きかけていく決意です。
ご理解とご協力のほど、心よりお願い申し上げます。》
https://www.shuppankyo.or.jp/post/oshirase20210222
◎「リアルサウンド」は2月22日付で「『2016年の週刊文春』著者・柳澤健が語る、文春ジャーナリズム の真髄「権力に立ち向う数少ない ...」を公開している。柳澤が次のように新谷学を評価している。
《『週刊ポスト』や『週刊現代』は、もはやスクープ戦争からは降りてしまって、「死ぬまでセックス」とか「食べてはいけない」とか、そんな特集ばかりやる定年後の団塊世代向けのクラスマガジンになり果てている。文春がそうなっていないことはOBとしてうれしいですよね。
いまは雑誌が売れない、広告が入らない大変な時代。コンテンツメーカーよりもプラットフォーマーが圧倒的に強い時代に、100年の歴史を持つ出版社がどう対応していくか。スクープという武器を使って、デジタルで勝負していくしかない。その最大の推進者が新谷学です。いま、文春に新谷くんみたいな豪腕のリーダーがいるのは非常にラッキーなことだと思います。》
https://realsound.jp/book/2021/02/post-711148_3.html
新谷の踏んだアクセルを更に踏み続けている現編集長の加藤晃彦も凄いと思うな。新聞にとって「利権」でもある記者クラブ報道の限界をスクープの連打をもってここまで露呈させてしまうとは、田中健五の田中金脈以来の快挙であろう。
◎これは大ヒットの予感がする。2017年7月にTwitterで始まり、小学館がコミックス化に乗り出し、単行本の累計発行部数42万部のヒットとなったニャン子漫画「俺、つしま」(おぷうのきょうだい)が2021年夏にTVアニメ化されることが決まった。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001034.000013640.html
登場する猫たちが本当にリアルだ。実際、こういうこともあるんだよね。
https://twitter.com/tsushimacat/status/1363426324560244738
◎wwwaapは、Twitterフォロワー約25万のキャラクター「しかるねこ」TVミニアニメ化をプロデュースする。「しかるねこ」TVミニアニメは、2021年春より全国各放送局にて、30秒のミニアニメ形式で放映予定だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000031241.html
朝日新聞出版からは「ニャレンダー」が特別付録の「ニャエラ」が特別発売された。
https://netatopi.jp/article/1307996.html
出版界の猫ブームはつづいている。
◎コロプラは、スマホ向けアクションRPG「白猫プロジェクト」と、TVアニメ「呪術廻戦」によるコラボイベントの開催を決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000936.000004473.html
ローソンは3月2日から、TVアニメ「呪術廻戦」とのタイアップキャンペーンを全国の「ローソン」で実施する。
https://www.ssnp.co.jp/news/distribution/2021/02/2021-0222-1133-14.html
「呪術廻戦」は今秋以降にピークを持っていくつもりなのだろう。
◎毎日新聞は2月22日付で「巨人球団代表解任後、ノンフィクション作家へ 勝ったり負けたりが人生 清武英利さん」(徳丸威一郎)を掲載している。記事は、こう書き出されているが、確かにその通りである。
《プロ野球・巨人の専務取締役球団代表兼ゼネラルマネジャーを解任されて10年、いまや書いた本が片端から連続ドラマになるという売れっ子ノンフィクション作家である。》
もし読売グループにとどまっていたら、サラリーマンをヒーローとして描く清武節を私たちは堪能できなかったに違いない。次のような発言には頷くしかあるまい。
《「ノンフィクションは常に制約のある中で書いていくものです。コロナ禍の時代でなければ自由にネタをつかめたのかといえば、そんなことはないよね。結局は、自分を信頼してくれて、自分が知りたいことをすべて話してくれる人を探すという仕事の中身は、コロナ前と何も変わらない。愚直に諦めずにネタを追うことが大事。執拗(しつよう)に追っていくことです」》
https://mainichi.jp/articles/20210222/dde/012/040/012000c
朝日新聞の三浦英之は、この記事を読んで清武にゾッコンの様子だ。こうツイートしている。
《好きなインタビュー。清武作品は背後に濃密な取材の蓄積があることが伝わる。事件記者のにおいが漂う。僕には本田靖春の血筋を感じる→「あの時、自分に残されたものはペンだけでした。書いて身を立てるしかないなと思ったんです。これで三つ目の人生を生きるんやなと」》
https://twitter.com/miura_hideyuki/status/1363756631717076993
◎クラウドゲートは、「『創る』を支援する」という経営理念のもと小説家のデビュー支援として、「小説家になろう」タイアップ企画の小説コンテスト「ネット小説大賞」を企画開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000049917.html
投稿サイトをチェックして、これはという作品を出版社に紹介する仕事を大手の広告会社が手がける時代である。出版をめぐるビジネスのあり方が地殻変動を起こしているのである。
◎「有吉弘行365日くらやみカレンダー」(双葉社)が売れている。「しらべぇ」が2月22日付に公開した「有吉弘行、セクハラが許されない時代に持論 『最後の砦は雑誌』」は次のように書いている。
《有吉は、自身直筆の金言を365日分綴った日めくりカレンダー『有吉弘行365日くらやみカレンダー』(双葉社)を19日に発売。しかし予約開始日に想像以上に注文が殺到し品切れが続出、出版した株式会社双葉社への不満を爆発させてきた。》
https://sirabee.com/2021/02/22/20162516476/
発売日重版していても、品切れが続出しているのだ。
https://www.oricon.co.jp/news/2184998/full/
◎日販調べによる2020年の年間店頭売上前年比調査(対象店舗:日販取引書店におけるPOS 調査店)の結果が発表された。これによれば、2020年の年間店頭売上前年比は全体で104.3%(前年98.3%)。年間で前年超えとなるのは2000年の集計開始以来初めて。ジャンル別では、雑誌91.3%(前年96.1%)、書籍99.0%(前年95.8%)、コミック131.5%(前年106.2%)、開発品100.7%(前年104.3%)。
https://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2021/02/pos_annual_2020.pdf
紙でもデジタルでも出版を支えているのはマンガにほかならないことは一目瞭然だろう。これほどまでに大きく伸びたのは「鬼滅の刃」効果である。
◎讀賣新聞オンラインは2月22日付で「吉村昭が生前、公表しなかった『別名』…少年雑誌に子供向け冒険小説を連載」を掲載している。「吉村昭研究会」会長の桑原文明は吉村が「速水敬吾」という別名を使って《講談社が刊行していた「たのしい六年生」などに計8作品が掲載されていたことを確認した》という。
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20210221-OYT1T50159/
単行本化すれば良いのに。
◎一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(理事長:船橋洋一)は、インターネット上に掲載された報道記事・コラム等のうち、優れたものを表彰する「PEPジャーナリズム大賞」を創設した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000074949.html
◎世界文化社は、テレビ東京の赤ちゃん向け番組「シナぷしゅ」を基にした初のシールブック「シナぷしゅ わくわくシールブック」を4月10日(土)に発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001046.000009728.html
◎中公新書が相変わらず好調だ。小島庸平の「サラ金の歴史 消費者金融と日本社会」が面白い。
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2021/02/102634.html
この投稿を読むと、買いたくなるはずだ。「urbansea」だ。
《中公新書の小島庸平『サラ金の歴史』を読み始めたのだが、いきなり賀川豊彦が出てきて、貧民窟における「義侠心の圧制」による素人高利貸の話が始まり、山本次郎が小口金融が一番と言っていたことや、溝口敦がいう「神戸の近代史に見られる正負両面のパイオニア性」が金融においてもあること等を想起略》
《小島庸平『サラ金の歴史』、これは面白い。
素人高利貸から団地金融、そしてサラ金への発展と衰退を軸に、各々の時代の借り手の姿、労働、企業ガバナンスなどを論じつつ、テッシュ配りはいつから始まったのか、プロミスの財務部の特性、サウナに行けなくなった債権回収者の話などの逸話が盛り込まれる。》
https://twitter.com/urbansea/status/1363503529881608193
https://twitter.com/urbansea/status/1363538266041946112
共同通信は2月22日付で「中公新書が累計1億部に 1962年創刊」を配信している。
《中央公論新社は22日、同社発行の「中公新書」が24日発売の新刊で累計1億部を突破すると発表した。1962年11月に創刊。「理科系の作文技術」など2冊は100万部を超えている。》
https://this.kiji.is/736508173120536576?c=39546741839462401
もう一冊のミリオンは野口悠紀雄の「『超』整理法」だ。ミリオンはたった2冊だというのが意外であった。いや、だからラインナップが荒れていないのだともいえる。
◎「サカナとヤクザ」の鈴木智彦がツイートしている。
《出版でもSNSでの影響力が大事だというなら、編集者は裏方だなんていってないで、あんたらもやってくれよ。必要に応じて堅気とヤクザを使い分ける半グレのごとく、都合のいいときだけ「我々は表にでない仕事なんで」と逃げずに。》
https://twitter.com/yonakiishi/status/1363358381575073793
半グレが多いんだよね。鈴木は最近、「オレンジページ」を絶賛している。こんな具合に。
《説明させてくれ!
痩せよう→オレンジページ『わたしが太らない理由』で藤井恵さんの料理が簡単おいしい→ヘビロテ→タンドリチキン作った→美しい!→もっと美しく!
なので俺はバルコニーにチキンを運び、ふりふりパンジーの前で撮影したってわけ。もち美味かったDeath!》
《確信した。幸せになりたいなら、自己啓発を捨ててオレンジページだ。なぜってすぐ手の届く場所から生活を整備するのはとても簡単で、毎日の幸せに直結する。安いし合理的だし歩留まりがいい。精神的安寧は衣食住の満足した先にあるんだ。いいか、決して間違えるなよ!青い菜っ葉のほうじゃな(銃声)。》
https://twitter.com/yonakiishi/status/1363669552115064834
https://twitter.com/yonakiishi/status/1363671842825719810
鈴木は「オレンジページCooking特別編集 わたしが『太らない』理由。」を推しているのだ。鈴木のフォロワーが次々に購入している!こんなツイートを発表している。オレンジページはお礼のリプぐらい飛ばせよ。
《〇色の編集部になりかわりお礼申し上げます!でもど初心者むけの解説は省かれているので、ある程度、料理経験あるかたにオススメです。鶏肉の火の通し方など、知ってるつもりでも、他にこんなに方法があったのかと目からウロコでした。そしてうまい。オリジナリティ高いです。》
https://twitter.com/yonakiishi/status/1363796231198105601
「urbansea」の指摘が鋭い。
《佐野眞一『カリスマ』に中内功の「戦後、神戸から出て大きくなったのは山口組とダイエーだけ」との言葉があるが、その山口組と、ダイエーの出版部門が始めた『オレンジページ』に鈴木智彦さんがたどり着いたという戦後史。》
https://twitter.com/urbansea/status/1363696024385056771
中内功(功は正しくは工+刀)の「わが安売り哲学」を読めばわかるが、それは毛沢東主義の経営であったように思われる。
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3)【深夜の誌人語録】
仕事には祈りを込めることが大切である。
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4)【お知らせ】
「文徒」2000号まで、あと69号。