【文徒】2021年(令和3)4月21日(第9巻74号・通巻1971号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】講談社はフィルムパックがお好き?!
2)【記事】「一杯のモヒンガー」の監督でもあるジャーナリストミャンマーで拘束された
3)【記事】今日の東京オリンピック たらい回し体質の組織委に「中止」の声集中
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
6)【お知らせ】
----------------------------------------2021.4.21 Shuppanjin

1)【記事】講談社はフィルムパックがお好き?!

朝日新聞デジタルは4月19日付で「講談社庫本をフィルム包装 もう立ち読みできない?」(貞国聖子、赤田康和)を掲載している
《同社広報室や公式ツイッターによると、今月15日発売分の「講談社庫」とエンターテインメント小説の「講談社タイガ」の2レーベルで包装を始めた。
当面、新刊を対象とする。3月末で消費税額を含んだ支払総額の表示義務の免除期間が終わったことに対応するもので、フィルムの上にシールで税込みの値段を貼っている。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP4M678TP4MUTIL049.html
講談社 第五事業販売部」は4月15日に次のようにツイートしている。
《本日は講談社庫4月刊の発売日です。
今月からフィルムパックに入れてお届けしてまいります!
開封のコツは本の裏側に貼られているシールを押さえながら、
指を横にスライドさせることです。
それでは早速、動画で確認していきましょう!!》
https://twitter.com/kodansha_sale_5/status/1382584130429276161
これは「講談社庫」のツイート。
《【お知らせ①】講談社庫&講談社タイガは、4月刊からフィルムパックをしてお届けします!
総額表示義務化の対応するため、フィルムパックに総額を表示したシールを貼ります。当面は新刊のみが対象です。ご不便おかけしますがよろしくお願いします。》
https://twitter.com/kodanshabunko/status/1382471299956502528
Pebbles Booksの久禮亮太が「講談社 第五事業販売部」をリツイートしている。
《これ、「新刊配本で入荷が一冊だけど、積めば売れるんじゃないか?ちょっと読んでみて決めよう」という書店員の売り伸ばしの機会を大きく損なう愚策じゃないでしょうか。返品改装のコスト削減にはなるかもしれないけど、根本的な問題解決から逸れる愚策ではないかと思います。》
《バーコードはシールじゃなく表4に刷り込まれているわけで、返品はできるわけですし、配本1冊でもどんどん開封していきましょうよ。ちゃんと中身に目を通して、売り伸ばしていきましょ》
https://twitter.com/ryotakure/status/1383759473462833153
https://twitter.com/ryotakure/status/1383761618786349064
更に久禮亮太のツイートはつづく。
《既存のコミック製本ラインをそのまま流用できるからというのもあるかもしれませんが、それは出版社と製本会社の「ご都合」というやつであって、書店の庫棚を前にしたお客様の体験は大きくスポイルされるに決まってますよね。本質的に書店の価値や読者拡大に資する取り組みを期待してます。》
《とはいえ、これは僕の個人的な意見です。書店は規模も環境も客層も様々です。お客様に対して庫のフィルムパックが多くのメリットをもたらす現場はそれを活かせば良いし、デメリットを問題視する書店は引っ剥がしてしまえばいい。書店は主体的にお客様のために判断すればいいと思います。》
https://twitter.com/ryotakure/status/1383781971810164739
https://twitter.com/ryotakure/status/1383785460846055428
久禮は書店の「主体性」に言及している。
講談社庫フィルムパックの件、あらためて……。
書店は規模も客層も様々。パックが多くのメリットをお客様にもたらす現場はそれを活かせば良いし、デメリットを問題視する書店は引っ剥がしてしまえばいい。版元の施策がどうあれ書店が主体的にお客様のために判断することが何より大切だと思います。》
《開けやすいかどうかなんて、道具と手技でどのようにもなります。問題は、いち版元の施策に流されて、ますます「考えない売場作り」を繰り返してしまうこと。
パックされた庫の新刊配本がたとえ一冊でも、フィルムを剥ぎ取って中に目を通して売り伸ばすヒントを掴むのが僕たちの仕事だと思います。》
https://twitter.com/ryotakure/status/1384098835971002372
https://twitter.com/ryotakure/status/1384100097701466118
三輪舎の中岡祐介はひとこと呟く。
《なんと時代に逆行した施策だろうか。》
https://twitter.com/yusukenakaoka/status/1384025517058256897
これは「破く派」のツイート。
講談社庫のシュリンクパック問題は今後も続きそう。私も破くの苦労してます。
だけど、シュリンクでよかったことがある。
湿気の時期の表紙ペロンペロン問題がなくなることだ!!》
https://twitter.com/mmmichy/status/1383656290061225984
編集者・磯部祥行は連ツイを発表している。
《これ、傷み防止のためかな、黙って実行すればいいのに、わざわSNSに書くから、いろんな人が口を挟みたくなる。実際に書店でこうなっていたら気にもとめない人もコメントしてしまう。コミックスは90年代からシュリンク多いのに。》
《そもそもシュリンクは「わざと破りづらく」作るものだからねえ。CDの包装みたいに。あれ、家で独りで開けるから怨嗟の声は上がらないけれど、メーカーが「CDシュリンクしまーす、破り方は…」ってツイートしたら「やめろ!」「開けやすいものにしろ」の声で埋まるでしょう。》
講談社庫のやつ、シュリンクに気を取られて気づかなかったけれど「総額表示」のステッカーを貼るためでもあったか。でもそれならカバーに直接ステッカーを貼ればいいのに。というか既にあるものは再出荷時でも直す必要はないのでは。》
シュリンクを破る動画に「総額表示のステッカーを貼るためです」、ついでに「いやですねえ」とか書いておけば、矛先は政府に行ったのでは…。》
https://twitter.com/tenereisobe/status/1384005094039908354

https://twitter.com/tenereisobe/status/1384036041653297158
賛成派と反対派のツイートをそれぞれ紹介しておこう。
講談社庫のシュリンク、コミックに続いてなので衝撃は薄く、また、こうやって粛々と読書は「万人には開かれない趣味嗜好品」になっていくのかもなあというふうに思った。本はもはや日本人にとって普遍的なモノではなくなった。歪ではあるけど次に定価を上げる方向に進むなら消極的に賛成です。》
https://twitter.com/tegit/status/1383608529026650114
講談社庫のビニールパッケージは困るなあ。小説は体確認とともに、ざざっと全体をめくって好きそうな話かを確認しないと買わないので、これは厳しい。今のところKindleを使う気はないし。》
https://twitter.com/unase_k/status/1383776626257760265
講談社庫の新刊、フィルムパックされていたの買ってみた。これは…カッサカサの手の持ち主にははがしにくい。普通のシュリンク?だととっかかりがあるからべりべり行けるんだけど、これは難しい。確かに書店員さんレジで大変かも。》
https://twitter.com/2031sushi/status/1382926357156405249
《普通なら反対されそうだし根本的解決ではないのに、機能としては充分だし、最終的には何の問題もなさそうなのがすごい。
講談社庫のシュリンクの話だけど、私はきれいな本が好きなので、大歓迎です。
でも積ん読するとかなり追い詰められるやつだ。包ん読の亜種だ。
https://twitter.com/0120/status/1383301280945238018
予想通り賛成派は少ないようだ。
ときわ書房志津ステーションビル店の日野剛広が連ツイを発表している。
講談社庫パッケージ化に批判が殺到しているが、私はもう少し様子を見てみたい。
確かに試し読みが出来なくなる、カバー要請がコミックに比べて多いなどの問題点は分かるが、こういう問題こそ現場の意見を幅広く掬い上げてまとめ、法人としてきちんと対峙すべきではないか。》
《オレは別に講談社の肩を持ちたい訳でも優等生でいたい訳でもない。
だが今回のパッケージ化に肯定的な意見も拾うべきだし、法人同士の意見の擦り合わせで建設的に問題を解消すべきではないか。》
《ただ、考えているのは、コミックがパッケージ化された時に何故他社は追随しなかったのか?
その疑問か頭をもたげている。
スリップレス化があっという間に業界に広がったことを考えると、単にコストの問題なのか?》
https://twitter.com/Nanoruhino/status/1383782821207048197
https://twitter.com/Nanoruhino/status/1383782932519682055
https://twitter.com/Nanoruhino/status/1383783075054690316

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2)【記事】「一杯のモヒンガー」の監督でもあるジャーナリストミャンマーで拘束された

日本経済新聞は4月19日付で「ミャンマーで邦人記者拘束 軍政批判、自宅から連行」を掲載している。共同通信の配信記事である。
《国軍がクーデターで全権を握ったミャンマーで18日夜、同国在住のフリージャーナリスト北角裕樹さん(45)が最大都市ヤンゴンの自宅で治安当局に拘束された。在ミャンマー日本大使館が19日確認した。北角さんは連行後、刑務所に移送された。2月26日にもデモ取材中に拘束されたが、その日のうちに解放されていた。》
《北角さんは元日本経済新聞記者。ミャンマーに移り住み、日本語情報誌の編集長を経て、フリーで活動していた。》
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB183P80Y1A410C2000000/
北角裕樹は日経時代に天安門事件当時の学生リーダーで、投獄後、米国に亡命した民主活動家の王丹をインタビューしている。2012年7月14日付で掲載された「『ネット情報が中国を変える』民主活動家・王丹氏 天安門事件の学生リーダー」がそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1207A_T10C12A7000000/
NHK NEWS WEB」は4月19日付で「ミャンマー ジャーナリストの北角裕樹さんが治安部隊に連行か」を公開している。
《北角さんのフェイスブックには、連行されたとみられる時刻の数時間前に投稿された動画とコメントが残っています。
動画は、日本で撮影されたクーデター以降の犠牲者の法要の様子を収めたもので、北角さんは動画を引用したうえで、日本とミャンマーの僧侶らによるものであることなどを紹介しています。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210419/k10012982731000.html
北角がフェイスブックに投稿した記事は、これだ。
《クーデター以降の犠牲者の鎮魂の法要が、増上寺で行われています。日本とミャンマーの僧侶らが執り行います。
Myanmar and Japanese monks praying for martyr after Feb. in Zojoji temple in Tokyo.》
https://www.facebook.com/yuki.kitazumi.92/posts/4233897213358803
毎日新聞グループホールディングス顧問の小川一がツイートしている。
《心配です。ミャンマーで報道を続けるジャーナリストの北角裕樹さんが治安部隊に自宅から連行された模様です。邦人保護、報道の自由のためにも日本政府は毅然とした姿勢を示すべきです。》
https://twitter.com/pinpinkiri/status/1383875515606470659
日本経済新聞は4月20日付で「ミャンマー邦人記者再び拘束、偽ニュース拡散疑い」(新田裕一)を掲載している。
《在ミャンマー日本大使館は19日、18日に治安当局に拘束されたフリージャーナリスト、北角裕樹さん(45)が虚偽ニュースの拡散などの疑いで取り調べを受けていると明らかにした。大使館は北角さんの解放を求めている。》
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71164980Z10C21A4CC1000/?unlock=1
「Choose Life Project」で北角がミャンマーの現状について語っている。耳を傾けたい。
ミャンマーでは市民の犠牲が700人超に。国軍の弾圧は残虐さを増す一方ですが、ミャンマーの人々は抵抗を続けることでお互いを励ましあっているといいます。ヤンゴン在住のジャーナリスト北角裕樹さんに市民から託された声を聞きました。》
https://twitter.com/ChooselifePj/status/1383049940415356932
朝日新聞記者・南彰がツイートしている。
ミャンマーで拘束されたジャーナリストの北角裕樹さん。軍事政権側は日本大使館に対し「虚偽ニュースを拡散させた疑いで取り調べている」と主張していますが、北角さんが伝えてきたのはミャンマーで起きている弾圧の真実と、ミャンマー市民の切なる願いです
一刻も早い解放を求めます。》
https://twitter.com/MINAMIAKIRA55/status/1384131275854729228
日本経済新聞のアジア総局長の高橋徹がツイートしている。
ヤンゴンでフリージャーナリストの北角裕樹さんが拘束されました。自宅から連行され、現在は政治犯を収容するインセイン刑務所に留置されているようです。安否が心配です。》
https://twitter.com/ToruTakaNIKKEI/status/1384090098396921860
ニューズウィーク」日本版のツイート。
《本誌にも寄稿いただいたジャーナリストの北角裕樹さんがミャンマーで拘束されました。即時解放を望みます。》
https://twitter.com/Newsweek_JAPAN/status/1383986875900170248
安田純平のツイート。
《前回は恐らく捕まえてみたら日本人だったという話で、拘束中も携帯から外に連絡をしていたから連絡先を抜き取られはしなかったのではないかと思うが、今回は狙われての拘束なので、ミャンマーでの交友関係や取材先などが全て把握されて一網打尽にされてしまう恐れが。》
https://twitter.com/YASUDAjumpei/status/1383924595116232707
映画のスタッフも心配である。北角裕樹は映画「一杯のモヒンガー」(2017)をミャンマーで監督している。28分の短編だが、ドキュメンタリーでも社会派でもなくエンタメだ。
《この作品は、ヤンゴン在住の日本人とミャンマー人の若手クリエイターによって生み出されました。ミャンマーでは例のない「料理コメディ」という新しい分野に挑戦。ミャンマーの伝統料理のなまずそば「モヒンガー」を軸に展開する復讐劇です。機械化による大量生産でミャンマーヒンガー界を牛耳る悪の組織を相手に、若い職人が父の仇を取るため、手作りモヒンガーを武器に闘いを挑むストーリーです。
2017年9月にはミャンマーで最も伝統のあるワッタン映画祭に出品。ミャンマーの映画関係者から、そのユニークな着眼点や、漫画のようなストーリー展開で高い評価を受けています》
https://filmarks.com/movies/78517
料理バトルムービー!
https://www.youtube.com/watch?v=B1CIZHtaNrY
キンドルでこの映画の脚本を読むことができる。ペーパーバック版も購入できる。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E8%AA%9E%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E-%E5%AF%BE%E8%A8%B3%EF%BC%81-%E4%B8%80%E6%9D%AF%E3%81%AE%E3%83%A2%E3%83%92%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC-%E3%81%8A%E5%BE%97%E3%81%AA%E8%A6%96%E8%81%B4%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%A4%E3%81%8D-%E5%B9%B3%E7%94%B0%E6%82%A0%E5%AD%90-ebook/dp/B07YW5GZFT
「グローバルニュースアジア」は2017年10月1日付で「【ミャンマー】日緬合作映画『一杯のモヒンガー』、ミャンマー各地で上映会 韓流人気の中で存在感示す」を公開している。
《2017年9月30日、ミャンマーで最も伝統のある映画コンペ「ワッタン映画祭」にノミネートされた料理コメディ「一杯のモヒンガー」(ネイウーライン主演、北角裕樹監督)の上映会がヤンゴンで開かれ、多数のミャンマー人や在緬日本人らが詰めかけた。今後はヤンゴンのほか、首都ネピドーなどで上映会を開く予定という。
同日の上映会には、およそ100人の観客が参加した。同時にDVDやポスターなどの販売され「日本への土産に」と、10枚ものDVDを爆買いする日本人ビジネスマンも出現。映画のテーマとなったモヒンガーの屋台が用意され、参加者らがヤンゴンの庶民の味に舌鼓を打った。》
https://globalnewsasia.com/article.php?id=4659&&country=4&&p=1
産経新聞は2018年3月21日付で「【マーライオンの目】日本人記者の再挑戦」(吉村英輝)を掲載している。
《北角氏は、「ミャンマーで唯一」という日本人フリージャーナリスト。同じくヤンゴン在住の脚本家、平田悠子さん(35)と酒を飲み思いついた構想が実現し、初監督を務めた。
日本経済新聞記者時代、大阪府橋下徹知事(当時)らを取材し、2013年4月に37歳の若さで大阪市の公募校長に。だが、教師や保護者と対立して、翌14年7月に退任。海外取材活動の夢を実現しようと、ミャンマーに渡り、現地の日本語メディアで1年間働き、独立した。
ヤンゴンの下町にある彼の住居兼事務所を訪ねると、若いミャンマー人スタッフと、隔月刊で発行しているフリーマガジン「Mango!」の編集作業中だった。貧しい女性らに少額を貸し付けるマイクロファイナンス機関を通じ、農村部などの住民に4万5千部を配布しており、4月に創刊1年を迎える。》
https://www.sankei.com/column/news/180321/clm1803210006-n1.html
日本ペンクラブは4月19日付で会長・吉岡忍名義の声明 「ミャンマー国軍による北角裕樹氏拘束に抗議し、即時釈放を求める」を発表している。
《昨夕、ミャンマーで取材活動中の北角裕樹氏が治安当局に拘束されたと伝えられた。同氏は、今年2月の国軍クーデター以後のミャンマー情勢を現地で取材・報道しつづけ、国際的にも高く評価されてきたジャーナリストである。
 国軍クーデターは、近年、ようやく軌道に乗り始めたミャンマー民主化プロセスを暴力的に逆行させている。報道機関は次々閉鎖され、市民の自由な言論表現活動も禁圧された。国軍の発砲によってすでに800名もの市民が犠牲となり、数千人の市民が拘束された。多様性と合意形成を重視する民主主義原則からすれば、いずれも信じがたいことばかりである。
 私たちはミャンマー国軍に対し、北角氏拘束に強く抗議するとともに、同氏の即時釈放を求める。
 私たちは日本政府に対し、北角氏の安全確保のためにただちに最大限の行動をするよう求める。》
http://japanpen.or.jp/statement20210419/

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3)【記事】今日の東京オリンピック たらい回し体質の組織委に「中止」の声集中

毎日新聞は4月19日付で「事件現場で聖火リレー採火に批判相次ぐ 『これでも共生社会?』」(上東麻子)を掲載している。
《これが「共生社会」なのか。遺族や家族が驚くのも無理はない。東京パラリンピックの聖火の採火を、2016年に入所者ら45人が殺傷される事件が起きた相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で行うとした相模原市の決定だ。相模原市は「共生社会の実現」を願って発案し、神奈川県や東京オリンピックパラリンピック組織委員会も「了承」していたという。しかし、遺族や家族に知らされたのは市の決定から約5カ月後だった。》
組織委員会聖火リレー担当者は「県の聖火リレー実行委員会からご提案いただいたものを了承した」としつつ、反対意見が寄せられていることについては「コメントできません。神奈川県の実行委員会の判断をお待ちしている」と話した。
園を運営するかながわ共同会の草光純二理事長は、「法人としては、神奈川県から指定を受けて津久井やまゆり園を管理運営する立場として、相模原市の決定に協力してまいりたいと考えております」とコメントした。
神奈川県も組織委員会も「了承」しておきながら、責任の所在を尋ねると県は「市の判断」と言い、組織委員会は「県の実行委員会の判断」だという。園の運営法人もどこか人ごとである。
県も市も組織委も「共生社会」を掲げているのに、縦割り行政そのもので責任はたらい回しである。》
https://mainichi.jp/articles/20210419/k00/00m/040/100000c
たらい回しは日本の化なのかもしれないが、次のような事態も起こり得よう。
《もし五輪で来日した外国人選手や関係者がコロナで重症化したが日本人も重症者がたくさんいて人工呼吸器に余裕がない、なんて事態になったら誰を優先するのかな。トリアージの原則に従うのだろうが、色々とややこしいことが発生しそうな悪寒。》
https://twitter.com/sanchatogo/status/1384114157264334849
朝日新聞デジタルは4月19日付で「二階氏発言『きわめて常識的』 山梨知事、五輪巡り言及」(吉沢龍彦)を掲載している。
自民党二階俊博幹事長が東京五輪パラリンピックについて、新型コロナウイルスの感染状況次第では「スパッとやめなきゃいけない」と発言したことをめぐり、山梨県長崎幸太郎知事は19日、「きわめて常識的な発言ではないかと思う」と述べた。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP4M5RHFP4MUZOB008.html
朝日は「穏やか」だ。毎日新聞は4月19日付で「山梨知事、コロナ深刻なら『五輪なんかやっているところではない』」(梅田啓祐)を掲載している。
山梨県長崎幸太郎知事は19日、記者会見で「オリンピックの方が県民の命より大切だなんていうことはあり得ない。健康状態に極めて大きな深刻な影響を及ぼすような感染状況であれば、オリンピックなんかやっているところではない」と述べた。》
https://mainichi.jp/articles/20210419/k00/00m/040/115000c
朝日は4月20日付で「聖火リレー配信、音消えた30秒 沿道で『五輪反対』の活動、NHK流さず」を掲載している。これは4月1日のハナシ、正直、今頃になって、だ。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14876996.html
朝日新聞の4月20日付「天声人語」は「中止」の二字を書いた
《もしも五輪がさらなる感染拡大の契機になれば、命や暮らしの損失は計り知れない。開催の中止を検討すべきときではないか▼「東京五輪の誤り」。将来、そんな言葉が生まれないことを切に願う。》
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14877133.html
4月17日、18日に実施された産経の世論調査でも「中止もやむを得ない」との回答は56.8%で、前々回2月調査の49.1%から2カ月連続で増加した。
https://www.sankei.com/politics/news/210419/plt2104190013-n1.html
東京新聞は4月20日付で「東京五輪中止なら前払い金は返金? 不安募るホテル、組織委『仮定の話の答え控える』」(梅野光春)を掲載している。
新型コロナウイルスの感染者増は、変異株の広がりもあって歯止めがかからない。自民党幹部からは、感染状況次第で東京五輪・パラリンピックの中止も選択肢になるとの発言もあった。コロナ禍で長引く宿泊客減に苦しみながら、今夏の五輪で大会関係者の宿泊を見込む東京都内のホテル経営者は「大会が感染拡大につながっては元も子もない。果たして開催できるのか」と不安を隠さない。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/99168

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4)【本日の一行情報】

◎宝島社の場合、雑誌が付録なのである。付録を買うと雑誌がオマケでついて来るということだ。「MonoMax」5月号は「Marmot(マーモット)特大保冷・保温トートバッグ」が980円(税込)で買えるわけである。
https://ima.goo.ne.jp/column/article/9666.html

◎ぺルソナシート合同会社は、 YouTube配信番組「康芳夫 × 虚霧回路」を企画制作し、第一回を5月中に無料で配信するそうだ
https://www.value-press.com/pressrelease/269273
康芳夫は5月で84歳!

◎「春オンライン」は4月17日付で「《電通マンが“掛け持ち不倫”で同時多発訴訟》女性4人に囁いた『子供ができたら結婚しよう』の悲惨な末路 婚活アプリで次々と…」を発表している。
《取材班の前には、A子さんを含む4名の女性が一堂に会している。彼女たちが口を揃えて怒りを露わにしている人物「X氏」とは、大手広告代理店・電通に勤める48歳のある男性のことだ。4人は全員、かつてX氏と恋人関係にあったが、驚くことに、4人の中の2人は現在、X氏に対する損害賠償を求める民事訴訟の真っ最中であり、もう1人も名古屋で訴訟の準備を始めているという。》
春オンライン」は電通パーソン「X氏」を直撃している。
《――こうして訴訟になっていることについてはいかがですか?
X氏「謝罪の意思も伝えているのですが、それでは納得いかないということだったので、それならば公の場で話をする必要があるんじゃないかなと思っています。これはよくある話で、僕は情報商材売ったわけでも金品を要求したりしたわけでもなく、家庭が不仲だった既婚者がマッチングサイトで複数の方とお付き合いしてそれがばれたので訴えられている、ということ。自分とはうまくいかなかったけれど、女性たちにはその情熱や金銭を別の出会いに使ってほしいと思っています」》
https://bunshun.jp/articles/-/44825
https://bunshun.jp/articles/-/44829
「X氏」が使っていた婚活アプリは「ゼクシィ縁結び」である。それにしても、こいつ最低にもほどがあるな。

小学館も遂に参入。小学館は4月19日、WEBで漫画の持ち込みができるサイト「ミタイ!」をローンチした。1人につき週1本の講評が返ってくるほか、1度の応募で小学館全漫画編集者に届けられるそうだ。クローズドサイトで、投稿作品は第三者には公開されない。賞ではないため、自身が描いた作品であれば、他社受賞作・商業発表作・同人誌・二次創作・成年向け、なんでもOKだという。
https://www.oricon.co.jp/news/2190911/full/
クローズドであることが吉と出るか、凶と出るか。

◎千葉暁の「聖刻1092神樹 壱」が朝日新聞出版から刊行されたのが、2010年4月、それから10年経って「聖刻1092神樹 弐」が昨年6月に同じく朝日新聞出版から刊行されたが、「聖刻1092 神樹 参」は朝日新聞出版ではなく、伸童舎からの刊行を目指すことになったそうだ。これにともない伸童舎は、「聖刻1092 神樹 参」続刊制作プロジェクトを、CCCグループのワンモアが運営すクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」で開始した。目標金額は50万円。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000077670.html

◎第52回「大宅壮一ノンフィクション賞」の最終候補作品が次のように発表された。
石井妙子「女帝 小池百合子藝春秋
片山夏子「ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録」朝日新聞出版
佐々涼子「エンド・オブ・ライフ」集英社インターナショナル
春名幹男「ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス」KADOKAWA
山本草介「一八〇秒の熱量」双葉社
https://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/ohya/index.html
「一八〇秒の熱量」のみ未読だったのだが、これ、読みだしたら止まらなくなる。面白い。双葉社芸出版部に属する森広太が担当編集者だが、産経新聞の2020年8月29日付「編集者のおすすめ」で、こう語っている。
《著者から原稿を受け取ったとき、「今時、ボクシングのノンフィクションなんて」と期待はしていませんでした。ところが原稿を読むと、ページをめくる手が止まらない。全然興味のない分野なのに、私は熱狂していました。》
《凡庸なB級ボクサーの米澤重隆が年齢制限による引退を避けるために日本チャンピオンを目指す。しかも、たった9カ月以内に。あらすじはそれだけです。36歳の無謀な挑戦。どう考えても不可能なのに、なぜかみんな米澤のクレージーな闘いに引きこまれてしまう。ジムの会長も、コーチも、恋人も、その奮闘を取材する著者も、気がつけばみんな熱狂しています。》
https://www.sankei.com/life/news/200829/lif2008290009-n1.html
こんな箇所がある。
《「人生は一回きり。好きなことをしなければダメだよ」
これがみな子さんの口癖だ。みな子さんは訥々ともう戻ってこない故郷の話をしながら、その日も変わらぬ笑顔だった。僕は話の重さに衝撃を受けながらも、決して負けない不屈の魂はみな子さんの中にこそあるのかもしれないと思った。》
みな子は凡庸なB級ボクサーの米澤重隆の恋人なのだが、みな子は福島県双葉郡楢葉町で生まれ育ったものの原発事故で故郷に住めなくなってしまったのだ。
https://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-31549-3.html
本の雑誌」の杉江由次は絶賛している。
《『一八〇秒の熱量』山本草介双葉社)はもう読み出したらやめられません!すっかり自分もリングに上がっているかのような興奮に包まれ最後は真っ白な灰に。ボクシングのノンフィクションといえば沢木耕太郎の『一瞬の夏』という金字塔的作品があるけれど、勝るとも劣らぬ作品ですね。いやーすげえや。》
https://twitter.com/pride_of_urawa9/status/1305838299286650882
山本草介は映画「もんしぇん」の監督である。
http://www.cine.co.jp/monshen/official/04kantoku/index.html#alpha
山本は映画の世界では佐藤真、東陽一ペドロ・コスタの演出助手をつとめている。
http://www.cine.co.jp/list/yamamoto.html
私は「一八〇秒の熱量」が大宅壮一ノンフィクション賞にノミネートされるまで知らなかった自分の不勉強をただ恥じるのみである。今回のノミネート作品を総て読んだ私の本命は「一八〇秒の熱量」である。まさか「一瞬の夏」を超える作品に出会えるとは私は夢にも思っていなかった。とんでもない作家が現れたものである。

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5)【深夜の誌人語録】

先輩に学び、同僚に学び、後輩に学ぶ。そう誰からも学ぶのだ。

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6)【お知らせ】 

」2000号まで、あと30号。