【文徒】2019年(令和元)12月9日(第7巻223号・通巻1643号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】U2中村哲と「花と竜」
2)【記事】山本音也の小説「高野山」(小学館)が描く中世被差別民
3)【記事】電通・ウーバー・楽天に見る新・労働問題
4)【記事】故・中曽根の周りを固めた転向左翼たち
5)【本日の一行情報】
6)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.12.9 Shuppanjin

1)【記事】U2中村哲と「花と竜」

U2が〈ヨシュア・トゥリー・ツアー2019〉で来日、12月4日と12月5日にさいたまスーパーアリーナで13年ぶりの日本公演を行った。お忍びでブラッド・ピットとバスケットボール選手のトニー・パーカーさいたまスーパーアリーナにやって来たそうだ
U2のライブにトニーパーカーとブラピ来てたなんて…やばいだろ。
よく気付かれないよな~。
トニーパーカーは8日くらいまでイベントなどに参加で、ブラピは仕事とプライベートで来てるらしい!》
https://twitter.com/RyouheiKaneko/status/1202216704257843202
真っ赤なスクリーンに白字で日本と描かれ、これが日の丸に収斂していくのだが、U2にとって、日本を代表するのは誰かといえば櫻井よしこや有本香ではなかった。
「ウルトラ・ヴァイオレット」が始まると、貧困救助のための非営利団体[ONE キャンペーン]の活動の“Poverty Is Sexist Campaign”の一環として、世界の最前線で活躍する女性を写真と共に紹介した。グレタ・トゥーンベリ、エマ・ゴンザレスら若い活動家に加えて、オノ・ヨーコ草間彌生紫式部川久保玲市川房枝緒方貞子田部井淳子、伊藤詩織、大江千束、小川葉子、石川優実らが紹介された。
U2のライブ、女性芸術家や権利獲得の為に戦ってきた女性活動家たちへのオマージュであるUltravioletのパートは日本仕様になっていて、紫式部市川房枝緒方貞子川久保玲、草間彌生に伊藤詩織、レズビアンカップルの大江千束と小川葉子までいろいろ出てくる。よく調べたな。》
https://twitter.com/zigzagbangbang/status/1202215803686289408
緒方貞子さん、川久保玲さん、田部井淳子さん、草間彌生さんのようなレジェンドから伊藤詩織さん、石川優実さんのような最近の方、原爆の子の像のモデルの佐々木貞子さんとか幅広かった。写真の言葉はその通りでグッときた。》
https://twitter.com/bokkai12/status/1202219647354822656
《昨日のU2ライブ、スクリーンに日本の著名活動家が次々と映し出されたとのこと。
その中に、東京中野でレズビアンバイセクシュアル女性のためのコミュニティスペースを20年以上運営する、大江千束さん小川葉子さんも出てきたと!!
お2人は、同性婚を求める裁判を、国を相手にいまも闘っています。》
https://twitter.com/tanilapf/status/1202536902819074048
U2のライブで伊藤詩織さん、石川優実さんや他の著名人女性の映像をchange the worldに合わせて流して「人は全員が平等になるまで誰も平等ではない。」って言ってくれて泣いた。嬉しい》
https://twitter.com/amrrswater/status/1202213084724523009
湯川れい子もツイートしている。
《昨夜のU2のコンサート。30年前の「ヨシュア・トゥリー」で歌われた、アメリカの資金援助による武力闘争で命を失って行く民衆や子供達を悼んだ「ブレット・ザ・ブルースカイ」の、”窓の外アメリカ!アメリカ!”と言う歌詞に心が震え、今朝はアフガンの人々に尽くされた中村哲医師の襲撃に心が凍った。》
https://twitter.com/yukawareiko/status/1202466948300197888
翌日のさいたまスーパーアリーナU2は「プライド」を中村哲捧げた。
《12月5日ボーカルのボノが「偉大なる中村哲さんの追悼で、ライトを付けて」と観客に頼み、その流れで名曲プライドに。。。ボノ泣かせる。。。》
https://twitter.com/soccerugfilez/status/1202547553205571584
U2 THE JOSHUA TREE TOUR 2019
ボノが、アフガニスタンで殺害された中村哲医師について追悼のメッセージを捧げました。
追悼キャンドルならぬ、スマホのイルミネーションと一緒に、歌声が天国に届けられました。》
https://twitter.com/Benir3/status/1202617807365525504
U2 "Pride (In The Name Of Love)"
アフガニスタンで銃撃を受けて命を落とした中村哲医師に捧げるとこの曲を披露した 元々はキング牧師に捧げられた曲 感無量…》
https://twitter.com/MUSICLIFE_0105/status/1202595748082118656
雑誌「SWITCH」元編集長の内田正樹も次のように投稿していた。
U2さいたま。圧倒的なクオリティの演出と様々な示唆によってバンドの今昔、アメリカの現在、変革と平等を描き出したロックショウ。何か以前観た時より演奏が数段上手くなった気が。途中、ボノが中村哲さんの追悼を呼びかけて「プライド」へ入るくだりにグッときた。これは本当に観られてよかった。》
https://twitter.com/uchdmski/status/1202599928226205696
筑摩書房は「アフガニスタンの診療所から」の復刊を発表した。
《【追悼復刊決定】中村哲アフガニスタンの診療所から」(ちく庫)
12/4、現地で医療支援などの活動を続けられていた医師の中村哲さんがアフガニスタン東部で銃撃され、お亡くなりになりました。心から御冥福をお祈りし、その志を、続く人々に残すためにも、心をこめて復刊させていただきます。》
https://twitter.com/chikumashobo/status/1202466398112403456
敢えて言うが、これまで「重版未定」としていたことの責任は重いはずだ。岩波書店火野葦平の「花と竜」を復刊すべきだ。「花と竜」の主人公である竜の刺青を背負い、港湾労働者を仕切る玉井組の組長・玉井金五郎は火野葦平の父親であり、中村哲の母方の祖父なのである。
https://bunshun.jp/articles/-/16860
玉井金五郎は石原裕次郎も演じているし、マキノ雅弘の「日本侠客伝 花と龍」では高倉健が演じている。
https://www.toei-video.co.jp/catalog/dutd02582/

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2)【記事】山本音也の小説「高野山」(小学館)が描く中世被差別民

山本音也小学館から「高野山」を上梓した。
http://shogakukan.tameshiyo.me/9784093865609
https://www.shogakukan.co.jp/books/09386560
山本音也の小説は明治の世に生き残ってしまった新選組の隊士を主人公にした前作の「本懐に候」にしてもそうだし、池田章一名義で発表し、中央公論新人賞を受賞した「宴会」をもとにしている「あたしの夜」などもそうなのだが、歴史の片隅に追いやられた人物や世界の隅っこで生きざるを得ない人物を描きつづけて来たと言って良いだろう。小説をもって中心から弾かれた人々を抱きしめようとしているのだ。
この「高野山」も本能寺の変を題材にしているのだが、山本にとっ織田信長明智光秀は、どうでも良いようなのだ。信長をノブナガ、光秀をミツヒデと書くのは、そのためなのだろう。木食応其について山本は昔から知っていたのではないか。何しろ山本は高野山で生まれ、高校を卒業するまで高野山で育ったのだから。
巻末に参考図書が記載されているが、そこに仏教美術の大家である山本智教の名前がある。この山本智教は実は山本音也の父親である山本音也が参考献として掲げている山本智教の「高野山」の版元も小学館にほかならない。私たちは、この小説「高野山」に埋め込まれている次のような一を見逃してはなるまい。
「貴賤、化外、男女みんな〈衆生〉である。
生きとし生ける一切と平等に接する、これを〈慈悲〉という。貧しきものに頒かち与え、おごらぬ者は美しい。慈悲なくばすべては無である、と説く」
音也にしても、智教にとっても仏教とは、そのようなものなのだろう。
しかし、山本音也は父親とは違う道を歩く。山本音也小学館の編集者だった人物だ。編集者としての名前は山本章。「女性セブン」では編集長として黄金期を築き上げたし、その後「週刊ポスト」の編集長もつとめたし、小学館庫の創刊編集長でもある。偶然の一致かどうか、私は調べたことはないのだが、小学館を代表するミリオンセラーに「世界の中心で愛を叫ぶ」という小説があったが、山本の小説に「世界の中心で」があったことを私は知らないわけではないし、朝日新聞の書評で杉田かおるの「すれっからし」が絶賛されたことがあるが、山本は「すれっからし」にも深くかかわったものと推測される。
木食応其の存在が「本能寺の変」に関する新説を想像するに際して引き金になったのは間違いはないのだろうが、山本にとって木食応其は「化外の民」を主人公に据えるにあたっての触媒にしか過ぎない。山本が抱きしめたかったのは、自らの想像力によって創造した中世被差別民の「化外の民」、しかも女性なのである。信長に放たれた刺客の女首領ナビキであり、火扇であるのだ。応其がナビキに言い聞かせる。
「よいか。革命だ。いや、そうだ、雷神だ。高野の雷神となれ。空海師も祈りと思念をいかに言葉にするか格闘された。私も到底まだ会得できぬが、密教のおしえとは、おのれの生きる智慧をどう実現するか、ということに尽きる。おぬしはノブナガ公を仆して世を革めよ。…」
山本音也は参考献として服部英雄の「河原ノ者・非人・秀吉」(山川出版社)や網野善彦の「無縁・公界・楽」(平凡社)、「中世の非人と遊女」(明石書店)も掲げている。こうした書物を読み込みながらナビキをはじめとした「化外の民」を造形し、そこに人間としての魂を吹き込んでいったのだ。それは「騙る」ことを本業にする作家にしかできない芸当である。大衆学にとって「騙る」こととは、民衆に寄り添うことにほかならない。
ちなみに私が網野善彦の名前を知ったのは、小学館から刊行されていた「日本の歴史」第10巻の「蒙古襲来」によってである。網野が「蒙古襲来」で「飛礫」を描いたくだりを私は忘れることができない。網野によれば、中世前期の民衆は「なお原始の野生につながる強靭な生命力をもって」いたというのである。ナビキたち「化外の民」は網野の言葉を借りるのであれば、「原始の野生につながる強靭な生命力」の継承者として活写しているのである。私にとって山本音也は次作が楽しみな作家のひとりである。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09405071
蛇足ながら網野や服部もそうだが、井上鋭夫の「山の民・川の民」(ちくま庫)もオススメしたい。
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480090577/
最後になるが私も何度か高野山を訪ねたことがある。その時の記録がこれである。
https://teru0702.hatenablog.com/entry/20120819/1345372970

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3)【記事】電通・ウーバー・楽天に見る新・労働問題

朝日新聞デジタルは12月5日付で「電通、有罪後も違法残業 ずさんな労務管理に是正勧告」を掲載した。
《広告大手、電通の東京本社(東京都港区)が、労働基準法と労働安全衛生法に違反したとして三田労働基準監督署(東京)から今年9月に是正勧告を受けていたことが分かった。社員の違法残業や、残業時間の上限を定める労使協定(36〈サブロク〉協定)の違法な延長などを指摘された。》
https://www.asahi.com/articles/ASMD44GM6MD4OIPE00G.html
「弁護士ドットコムニュース」は12月5日付で「ウーバーイーツ労組、報酬引き下げに抗議 『企業秘密』と説明拒まれる」を公開している。
《ウーバーイーツユニオンは10月8日、配達員の補償や距離計算の誤りなどについてウーバージャパン株式会社に団体交渉を申し入れた。しかし、ウーバージャパンは10月18日、「配達員はオランダに所在するウーバーポルティエBV社と提携している」、「配達員は労働組合法上の『労働者』に該当しない」として、団体交渉を拒否した。
その後、ウーバーは10月29日、ウーバーポルティエジャパン合同会社を設立。ユニオンは11月25日、同社に対して団体交渉を申し入れたが、「配達員は、労働組合法上『雇用する労働者』に該当しない」として、団体交渉を拒否した。》
https://www.bengo4.com/c_5/n_10493/
東京新聞は12月6日付で「<働き方改革の死角>巨大ITに『個』苦戦 ウーバーイーツ配達員 団交門前払い」を掲載した。
《「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業で個人事業主どの立場で働く人たちが、報酬引き下げなどに対抗するため組合を結成する動きが広がってきた。しかし、「雇用関係がない」との理由で交渉をはねつけられるケースが大半。政府の個人の働き手保護への腰も重く、圧倒的な力を持つ「巨人」の前に苦戦している。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201912/CK2019120602000124.html
ウーバーイーツユニオンのホームページがこれである。
https://www.ubereatsunion.org/
東京新聞は12月6日付で「楽天の上司から暴行で労災認定 首負傷、うつ病発症」も掲載している。
《川人弁護士によると、男性は楽天ウェブ広告の企画や営業を担当。二〇一六年六月、会議中の発言に上司が激高し、男性の首付近をつかむなどの暴行があった。男性は頸髄不全損傷となり、うつ病も発症。社内のパワハラ相談部署に掛け合ったが調査されず、配置転換の希望も通らなかったため退社している。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201912/CK2019120602000160.html
朝日新聞デジタルは12月5日付で「楽天社員が上司の暴行で後遺症、うつ病に 労災認定」を掲載している。
《男性は15年5月に楽天に入社し、広告会社などに対するウェブ広告の提案や営業活動をしていた。16年6月14日、社内の定例会議で男性が部下に業務上の指示を出したところ、同席していた男性の上司が意見を言い、2人の間で口論に発展。上司が激高し、男性の首元をつかんだという。男性が上司を挑発したり、手を出したりといった行為はなかったとしている。》
https://www.asahi.com/articles/ASMD55228MD5ULFA01F.html
「弁護士ドットコムニュース」が12月5日付で公開した「『楽天』で上司が暴行 会議中に首つかみ後遺症、うつ病に…労災認定」は、こう書いている。
《川人弁護士によると、楽天側は従業員間のけんかにすぎないとして、自らの責任を否定しているという。
これについて、川人弁護士は「(上司が)暴行したことについて争いがなく、労災認定まで認められているにもかかわらず、信じられない対応だ」と批判した。
会社の責任を明確にするため、近日中に調停を申し立てる予定であり、調停が不調に終わった場合、訴訟を提起することも考えているという。》
https://www.bengo4.com/c_5/n_10492/
こんな投稿がツイッターにあったが事実なのだろうか。
《私の身内にも楽天に勤めていて月200時間超の残業とパワハラが原因でうつになって「辞めさせられた」人間がいる。
楽天は業務由来の鬱発症して半年で回復しないと解雇されるルールだ。冷酷な会社だな。》
https://twitter.com/SergeantYukimal/status/1202528505277243393
楽天ユニオンが次のようなメッセージを発表した。
楽天ユニオン一同、暴行被害に遭われた元楽天社員の方のご回復を心よりお祈り申し上げます。
私たちとしましても、楽天に対し被害に遭われた方に対する誠心誠意の謝罪、再発防止及び職場改善を求めます。》
https://rakuten-union.com/archives/4440

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4)【記事】故・中曽根の周りを固めた転向左翼たち

元首相中曽根康弘が11月29日に101歳で亡くなったが、中曽根の懐刀と言われた秘書の小林克己をご存じだろうか。小林は2012年1月4日に亡くなっているのだが、その年の4月に開催された偲ぶ会について、ユーラシア21研究所理事長の吹浦忠正がブログに書いているが、こんなくだりがある。
《次にあいさつした、「ナベツネ」こと渡辺恒雄読売新聞会長が、故人が学生時代に渡辺家に住んでいたという古い関係から小林さんの若いころのことを中心に、思い出を諄々と語っていました。》
ナベツネさん、小林さんをはじめ、60年安保の前後まで、結構、「左」のリーダーとして学生運動をしていた人たちがその後、方向を変えて中曽根氏の周辺にいたことも、あらためて知りました。
https://blog.canpan.info/fukiura/archive/9013
小林は東大学部国史科の出身だが、東大では、渡辺恒雄らととも日本共産党東大細胞のメンバーとして活動した。両名とも「転向」するわけだが、小林は卒業すると参院事務局に勤めていたが、読売新聞政治部記者だった渡辺が中曽根と親交が深かった縁で中曽根の秘書となったのだ。
小林克己は亡くなるに際して自らの筆による「死亡通知」を関係者に送ったそうだ。
衆議院議員の渡部あつしは、こう書いている。
《関係者によると、この死亡通知は小林氏がかなり以前から、いずれ迎えるこの日に向けて用意し、「灰」となってから数日後に発送するよう知人に託していたようだ。計200~300人に送られたという。》
渡部あつしは、小林克己が出した「死亡通知」の全を紹介している。
《「諸先輩 友人 知己の皆様
 私 小林克己はこのほど死亡いたしました。謹んでお知らせし、あらためて、長きにわたって賜ったご厚誼に対し、心から御礼を申しあげます。また、この間、心ならずとも皆様におかけしたであろうご迷惑の数々について、深くお詫び申しあげます。
 振り返れば、私は、多くの良き先輩、友人、知己に恵まれ、楽しい人生を送ってまいりました。平々凡々、成果もなければ挫折もなく、争いは極力これを避け、贅沢には無縁だがさりとてその日の糧に困るわけでもないという、いわば怠惰な生き方ではありましたが、私には快い一生でした。有り難うございました。少々思うところあって、私は、葬式その他これに類する行事は一切行わないよう、周りの者に言い残してあります。したがって、このご挨拶状が最後のお別れということになります。不遜のようですが、私は、来世とか霊魂とか、輪廻とかいうものを信じておりませんので、今日只今、一握りの灰となって終わります。まことに勝手ながら、弔意を頂戴することはすべて固くご辞退申しあげたく存じます。
どうぞこの先皆様が快適な毎日をお過ごしになりますよう、お祈り申しあげております。
有り難うございました。さようなら。」》
https://blogs.yahoo.co.jp/atunao2002/65193090.html
小林克己は転向したとはいえ、唯物論者であることは止めなかったのかもしれない。

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5)【本日の一行情報】

水生大海実業之日本社庫「ランチ探偵」「ランチ探偵 容疑者のレシピ」が2020年1月期の読売テレビプラチナイト 木曜ドラマF」で「ランチ合コン探偵~恋とグルメと謎解きと~」のタイトルで連続ドラマ化されることが決定した!放送開始は1月9日23時59分。ヒロインを演じるのは、山本美月だ。
https://www.j-n.co.jp/columns/?article_id=560

◎瀬木比呂のリアルすぎるフィクション「黒い巨塔 最高裁判所」が講談社庫から刊行された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002445.000001719.html
しかし、リアルすぎるフィクションであっても梶山三郎の「トヨトミの野望」は講談社庫ではなく、小学館庫から刊行され、続編にあたる「トヨトミの逆襲」が四六判で小学館から刊行され、こちらもリアルすぎる。というよりもヤバすぎると言うべきか。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09386561
J-CASTニュース」が「BOOKウォッチ」で「トヨトミの逆襲」を取り上げ、こう書いている。
《本書では前作同様、トヨトミ社内の技術開発の迷走ぶりや人事をめぐる暗闘がつまびらかに描かれている。自動車業界の人にとって必読の書となるだろう。ちなみに「僕に解を求めるなよ」は、怒ったときの豊田章男トヨタ自動車社長の口ぐせでもあるそうだ。》
https://books.j-cast.com/2019/12/04010380.html

◎「アエラドット」が12月3日付で「今年一番売れたソフトは『ポケモン剣盾』 ニンテンドースイッチも売れ行き倍増」を発表している。
《11月に新作ゲームが発売されたポケモンの快進撃が続いている。ゲーム最新作「ポケットモンスター ソード・シールド(剣盾)」の国内推定販売本数が11月速報で約174万7千本に達した。ニンテンドースイッチNintendo Switch)向けソフトとしては歴代1位の初速で、2019年初のミリオンタイトルとなった。》
https://dot.asahi.com/wa/2019120200069.html?page=1
ポケモン剣盾」は全世界同時発売であり、全世界の販売数は発売初週で600万本を突破したという。

◎にんげん出版からモナド新書「ネット右翼VS.反差別カウンター ―愛国とは日本の負の歴史を背負うことだ!」が刊行された。私は一読、著者・山口祐二郎の魅力に引き込まれた。「NET-IB NEWS」が書評を公開している。
《著者の山口氏は現在、右翼・左翼の混合集団「憂国我道会」の会長。米軍横田基地や米国大使館前で日本の自主・独立を求めるデモで知己を得て、6月に「在日特権を許さない市民の会」(在特会の高田誠(通称・桜井誠)会長(当時)らを相手に起こした民事裁判でその勇姿を見たことがあった。》
《民族運動に関わってきた山口氏だが、何とかしたい気持ちが抑えられず、翌年2月に結成された「レイシストをしばき隊」に参加。思想や政治的立場を超え、差別を許さないという1点で集まった集団である。》
https://www.data-max.co.jp/article/32927?rct=nation
にんげん出版のモナド新書からは角岡伸彦の「ノンフィクションにだまされるな! 百田尚樹『殉愛』上原善広『路地の子』のウソ」も刊行される。これも期待している。
http://ningenshuppan.com/news.html
にんげん出版の社長は小林健治。ブログ「ゲジゲジ日記」のファンも多いのではないか。こんな記述もあった。
《30分待ってタクシーに乗り、3時過ぎに、日比谷の進駐軍に接収された明治生命の地下一階で、出版人・今井照容さん主宰の業界人忘年会。 小学館の大御所に、『週刊ポスト』の差別記事について問う。田中康夫さんとしばし懇談。〝令和新選組“について興味深い話を聞く。 
二次会を神保町の、事務所側の中華料理店。 闘う老人・三上治さんを前に、吉本隆明批判。  現代書館の代表・菊池さんと多分新宿ゴールデン街。(記憶があやふや) 
京王電鉄株主優待券を持つ菊池さんと、新宿駅から特急に乗り調布駅。 調布に住む菊池さんを誘って、我が家で歓待。 吟醸酒を飲みながら、〝クーツー“と〝シモーヌ”の話で盛り上がる。
以後記憶はないが、3時過ぎから本格的に飲んだので、11時前に前には寝たと思う。》
http://ningenshuppan.jugem.jp/?eid=1245156

◎チケット販売サイト「チケットぴあ」が、利用者の利便性を損なわない新たな不正ログイン対策として、かっこの「O-motion」 を導入した。
「O-motion」とは、続発する不正ログインなどのサイバー攻撃に対し、ログイン時に、リアルタイムで普段の行動パターンの傾向を解析し、そのパターンと異なるログインを検知した場合に、疑わしいログインとして検出・通知を行うソリューションである。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000009799.html

ぴあフィルムフェスティバルは新たな映画賞「大島渚賞」を設立することになった。審査員長を大島監督の「戦場のメリークリスマス」で主演をつとめ、初めての映画音楽も手がけた坂本龍一が務めるほか、黒沢清PFFディレクターの荒木啓子が審査にあたる。
https://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201912040001
黒澤清よりも足立正生崔洋一のほうが大島との関係からすれば審査員に相応しいのではないかと思うのは私だけだろうか。

ハースト婦人画報社発行の女性ファッション誌「25ans 」1月号に、イタリア発ドクターズ・スキンケアブランド「オー・ドゥエ・ヴィータ」の高機能クレンジングミルク(200ml)がセットされた限定版が発売された。
雑誌は800円(税込)であり、「オー・ドゥエ・ヴィータ」のクレンジングミルクは3,278円(税込)で合計4,078円(税込)となるところ、この限定版は1,620円(税込)という破格の価格で提供される。
https://www.beauty-news.jp/news_k5A39RLL4Q.html

◎宝島社は、9月より実施している「付録の見える化」パッケージにより、新規読者を開拓し、雑誌販売部数を133%、月間計31万部増と部数を大きく伸ばしている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000958.000005069.html

◎光社新書より発売中の「運気を磨く 心を浄化する三つの技法」(田坂広志)が好調だ。発売たちまち4刷を記録。累計4万部を突破した。科学研究者の立場から「運気」の本質を解き明かしている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000231.000021468.html

◎「野村證券マーケット情報」は「ビジネスパーソンはTwitterをやれ!―売れっ子編集者・竹村俊助が独立したワケ」を公開している。
竹村は1980年生まれで、星海社ダイヤモンド社などを経て独立し、2017年に株式会社WORDS代表取締役に就任。編集者として「ぼくらの仮説が世界をつくる」(佐渡島庸平/ダイヤモンド社)、「いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書」(水野学/ダイヤモンド社)を担当。ライターとして「メモの魔力」(前田裕二/幻冬舎)や「実験思考」(光本勇介/幻冬舎)を担当している。そんな竹村の発言である。
《たとえば最近僕は、140字をきっちり使ってつぶやくということに挑戦しています。140字という制限を意識するだけで、句読点の使い方やカギカッコの使い方といった、細かいところにまで配慮して章を作ることができるようになる。感情の垂れ流しではなく、「このメッセージを多くの人に届けるんだ」という思いでTwitterに向き合うと、章力やマーケティング力がものすごくつくんですよ。》
https://www.nomura.co.jp/el_borde/feature/0057/

東スポWebが「田中みな実の初写真集 異例の『初版12万部』」を掲載している。
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/1645686/

産経新聞は12月5日付で「【学五輪】「世界小説」への野望、衰えず 謎多き隠遁作家トマス・ピンチョン」を掲載している。執筆は産経の記者である海老沢類だ。
《世界を動かす巨大な力をつかみ取る、という学的野望は高齢になっても衰えない。邦訳が新潮社から来年刊行される新作『ブリーディング・エッジ』(2013年)は米中枢同時テロが起きた2001年の物語。金融不正を調査する女性を主人公に監視が強まるネット社会の不気味さが描かれる。テーマは悲観的だが、子供の成長や夫婦関係の修復といった「光」も織り込まれる。》
https://www.sankei.com/life/news/191205/lif1912050015-n1.html
産経新聞に置いておくには勿体ない才能である。

朝日新聞デジタルは12月4日付で「多層的な思考、虚構から新たな意味 哲学者・千葉雅也さん、初小説『デッドライン』」を掲載している
https://www.asahi.com/articles/DA3S14282547.html
12月16日(月)に喫で「『デッドライン』発売記念 千葉雅也×保坂和志 トーク&サイン会イベント『響きあう小説』」が開催される。
https://www.shinchosha.co.jp/news/article/2219/
1月10日には代官山蔦屋書店で「千葉雅也『デッドライン』(新潮社)・平倉圭『かたちは思考する』(東京大学出版会)刊行記念 千葉雅也×平倉圭トークイベント『小説を書くこと、制作すること』」が開催される。
https://store.tsite.jp/daikanyama/event/humanities/11445-1822041202.html

◎「オズの魔法使い」の作者ライマン・フランク・ボームの「サンタクロース少年の冒険」新潮庫版の装幀と挿絵はコミックエッセイ「大家さんと僕」(新潮社)の矢部太郎が担当した。
http://music-book.jp/book/news/news/357085

◎「ITmedia ビジネスオンライン」が公開している「マシリトが行く!」だが、週刊少年ジャンプ」元編集長であり、「Dr.マシリト」の異名を持つ白泉社会長の鳥嶋和彦がいつものことだけれど面白すぎる。マシリトが面白すぎるのは、マシリトが真面目過ぎるほど真面目だからである。渡世は異にするが私も見習いたい。
《…僕は常に思うんですけど、ユーザーである子どもたちの視点で見れば、話を聞いた瞬間に良いか悪いか、すぐ判断できるんですよ。それなのに時間がかかったり躊躇(ちゅうちょ)したりするのは、目の前のメーカーと一緒にやっているってことの信義則だとか、そういった大人の事情を一方で考えちゃうんですね。それで判断が鈍ったり、返事がヌルくなったりするっていう部分があると思うんです。》
《発売元がバンダイでも、クレームが来るのは『ジャンプ』編集部なんですよ。午後3時過ぎに、子どもから電話がかかってくるんです。「このゲーム、キャラクターが似てないね」って。だから僕ら編集者は、キチッとやらなきゃいけない。原作者を背負っている以上、最終判断は僕らですから。》
《実は、これは内山さんには言ってないんだけど、8月に発売を予定していたのがボツになって流れて、そうすると次にバンダイさんが言ってくるのは、11月か12月のクリスマス商戦だろうと。そこで出させないわけにはいかないので、さすがにOKして出させようと。だからそこでヘンなものを持ってこられたら困るな、と思っていたんですね。》
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1912/05/news014.html
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1912/06/news020.html

伊藤忠商事は、主婦の友社およびPPW Sports & Entertainment (HK) Limited (「PPW社」)と香港に合弁会社を設立し、中国市場における知育・育児関連事業の展開を開始することについて合意した。
今回の中国市場における知育・育児関連事業の展開にあたり、主婦の友社が新たにIPキャラクターを制作した。2019年内を目途にこのキャラクターを活用し、SNSや動画サイト、育児専門のポータルサイトなどを通じて知育・育児コンテンツの配信を開始する。さらに、2020年よりアパレル、雑貨、玩具などのライセンス商品や日本製のベビーケア用品の販売、および主婦の友社の知育・育児関連書籍の中国におけるライセンス展開などへと順次、展開を拡大していくという。今後は伊藤忠商事のブランドビジネスのノウハウと、主婦の友社のコンテンツ制作ノウハウ、およびPPW社の中国国内における豊富なネットワークを最大限に活用し、中国における知育・育児関連事業の拡大・深化を目指すそうだ。
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2019/191205.html

司馬遼太郎賞は林新・堀川惠子の「狼の義 新 犬養木堂伝」(KADOKAWA)に決まった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000006581.000007006.html

藝春秋の電子書籍編集部は、同社の電子書籍約4800点のダウンロード数を元に集計した、2019年電子書籍ベスト10を発表した。
1位「コンビニ人間」(村田沙耶香) 2位「一切なりゆき 樹木希林のことば」(樹木希林) 3位「裸一貫! つづ井さん1」(つづ井) 4位「そして、バトンは渡された」(瀬尾まいこ) 5位「月曜断食 『究極の健康法』でみるみる痩せる!」(関口賢 関口鍼灸治療院) 6位「反日種族主義」(李 栄薫) 7位「ナナメの夕暮れ」(若林正恭) 8位「十二人の死にたい子どもたち」(冲方 丁) 9位「羊と鋼の森」(宮下奈都) 10位 「火花」(又吉直樹
https://www.atpress.ne.jp/news/200422

◎12月5日の首相動静によれば「2時30分、公邸。月刊誌「Hanada」のインタビュー。」とある。
https://www.asahi.com/articles/ASMD56J0PMD5ULFA03C.html
安倍首相は雑誌をなかなか上手に使っている。いずれにしても首相動静を見る限り、桜は散った…。

朝日新聞デジタルは12月4日付で「MUFG、リクルートとデジタル通貨 来年開始めざす」を掲載した。
《新会社の設立は10月に基本合意した。出資比率はリクルート51%、MUFGが49%となる見込み。「資金移動業者」の資格を得て通貨の運営をする計画だ。》
https://www.asahi.com/articles/ASMD435NZMD4ULFA003.html

◎世界化社のライフスタイル誌「MEN’S EX」の公式サイト「MEN’S EX ONLINE」は、11月期で2,000万PVを突破(20,696,689PV)。前年同月比417%の伸長となった。ユニークユーザー数も順調に伸び続け、168万UU(同235%)に到達した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000711.000009728.html

◎「民雄忌  ~北條民雄を偲ぶ会~」が12月7日に徳島県阿南市のロイヤルガーデンホテルで開催された。トークセッション「北條民雄 人と学」に登壇したのは吉村萬壱若松英輔、高山彦の三人であった。
https://twitter.com/kurogokegumo/status/1203301366321553408
https://www.city.anan.tokushima.jp/docs/2019102300015/file_contents/1.pdf

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6)【深夜の誌人語録】

知ることも罪ならば、忘れることも罪なのだ。